超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
最初に忠告しておきますけど、今回新しく登場する彼はちゃんと原作にも登場してますよ。
リメイクではシナリオの都合上、完全にいなくなってしまいましたが……
それでは、 私が帰るわけがない はじまります
――私は幸せだった。
不自由のない生活を送っていたわけじゃないけど、大好きなお父さんやお母さん、それにお兄ちゃんがいて毎日楽しかった。
時々、お父さんとお母さんが【ごめんね】って言ってきたけど、私は決まって【そんなことないよ!】って言って大好きな2人に抱きつく。
そうしていると、お兄ちゃんも一緒になって皆でギュッとして笑いあえる。
その日もいつも通りの毎日が送れるものだと思っていた。
森の中で見つけた綺麗な花を皆に見せたくて、はしゃいでいたのを覚えているわ。
駆け足で家へと帰った私が見たのものは……
* * *
「ゆめとさぁん……」
(ね、眠れない!?)
スライヌに完全な敗北を喫した日の夜、夢人はベッドで横になっていても眠れなかった。
理由は背中越しに感じる体温と甘い寝言を呟くネプギアである。
約束通り、夢人はネプギアと一緒のベッドで眠ることになってしまった。
2人が今いる部屋は、ミモザが新しく契約した個室である。
都合よくコンパの部屋の両隣りが空き家になっていたため、それぞれの部屋を夢人とネプギア、それにミモザで利用することになったのである。
一緒のベッドで眠るだけならばアカリと3人でいた時のように縄で縛ってもらおうと思っていた夢人であったが、ネプギアはそれを拒否してしまった。
【だ、だったら……え、えーいっ!?】
何を思ったのか、ネプギアは夢人の背中に抱きついてしまったのである。
本人も緊張していたらしく声が上ずっていたのだが、しばらくするとネプギアは嬉しそうに顔を綻ばせるのであった。
【えへへ、捕まえちゃいました】
背中から感じるネプギアの温もりと甘い声に、夢人は身動きが取れなくなってしまった。
興奮や緊張が高まる夢人とは対照的に、ネプギアは安心を感じていた。
程なくして眠りに落ちたネプギアであるが、その両腕は夢人を離してはくれなかったのである。
(な、なんとかして離れないと!?)
ネプギアを起こさないように、夢人は慎重に腰に回された腕を剥がそうとする。
夢人もこの状況を嬉しく思っていないと言えば嘘になる。
しかし、夢人とネプギアの間には重大なすれ違いが発生していたのである。
それは、2人の関係。
ネプギアは夢人と恋人同士だと勘違いしているようだが、実際は違う。
ロムからその勘違いを聞かされていたにもかかわらず、夢人は誤解を未だ解いていなかった。
つまり、夢人は恋人のように思ってくれるネプギアに気まずさを感じていたのである。
告白した時に逃げられたこともあり、夢人はネプギアが本当に好きなのは自分ではないと思いこんでいるのだ。
(ゆっくり……ゆっくり……)
「……うぅん」
「っ!?」
「……すぅすぅ」
(危なかった……)
慎重に指を剥がしていく夢人であったが、急に唸り声を上げるネプギアに驚いてしまう。
だが、目覚めるまで至らなかったことを理解すると、夢人は安心して大きく息を吐く。
そして、ようやく指を剥がし終えた夢人は体をゴロンと転がせると、ネプギアから離れることに成功するのであった。
そのまま自分は床にでも眠ろうとしたのだが、夢人はいつの間にかネプギアに左手を掴まれていたのだ。
「――消えないで」
左手を掴むネプギアの指を外そうとした夢人は動きを止めてしまった。
先程まで安らかな寝顔で眠っていたはずのネプギアが、まるで泣いているように見えたからである。
呟かれた寝言や夢人の左手を掴む手も震えている。
躊躇いがちに夢人が震える手を両手で包むと、ネプギアの表情から悲しみの色は消えていく。
口元に笑みを浮かべるまで回復する。
(ネプギア……)
夢人にはネプギアがどんな夢を見ているのかは分からない。
だが、手を握って安心できるのなら、ずっと握っていようと思った。
例え、それがお互いのためにならないとしても、夢人はネプギアの手を強く振り払うことができなかった。
複雑な心境を抱えたまま、夢人は眠るネプギアから目を逸らすことができなかったのであった。
* * *
「ゆっくん、大丈夫?」
「……ごめん、大丈夫じゃないかも」
コンパの部屋で朝食を食べ終えた夢人はソファーに体を横たえてぐったりとしていた。
結局、一睡もできずにネプギアの寝顔を眺め続けてしまったのである。
心配するネプテューヌへの返事にも力が入っていない。
「まったく、ブ男は情けないわね。少しはシャキッとしなさいよ、シャキッと」
「ミモリンはゆっくんにいつもきっついね。そんなにツンツンしていると、あいちゃんみたいになっちゃうよ」
「お生憎さま、私にはもう心に決めた殿方がいるの――それと、ミモリン言うな」
紅茶を飲みつつ夢人を冷めた目で見つめるミモザ。
茶々を入れるネプテューヌに構わず、ミモザは胸元に手を添えて語りだす。
「そう、私は遂に理想の殿方に巡り会えたのよ。あの慈愛に満ちた瞳、たくましい腕、クールなのに無邪気な子どものように純粋な心、風と共に去っていく後ろ姿にも気品が溢れていて……ああ、ワンダー様! 次はいつお会いできるのかしら!」
周りのことなど気にせず、ミモザは感極まって大きな声を出してしまう。
頬を赤らめてうっとりとしている姿は、まさに恋する乙女であった。
「なにー!? それ、どこのどいつなの!? アタシのヨメを誘惑した馬の骨はどこにいるの!?」
「ワンダー様は馬の骨じゃないわよ!! ワンダー様はとても誠実で紳士で優しくて強い殿方よ!! ――ああ、今でもあの私を見つめる瞳を思い出せるわ。凡骨の男共のような性欲を一切感じさせない清廉潔白な瞳。どこかの役に立たないブ男とは違って、全てを受け止めてくれるような包容力を感じたお言葉の数々。まるでおとぎ話に出てくる理想の王子様のような方でしたわ」
(正体はロボットだけどな)
突然の発言に慌てるREDへの反論は、いつの間にかミモザによるワンダーの美談に変わってしまった。
さり気なく比較対象としている夢人を貶しているのだが、この場で気にしている者は誰もいない。
熱く語るミモザとは違い、聞き手のネプテューヌ達は半ば呆れながら聞き流していたからである。
当人である夢人も眠気のせいでまともにミモザの話を聞いていられない状態だったので心の中だけでツッコミを入れている。
「あれ~? でも、ワンダーってあのロボットさんの事だよね? ミモちゃんってロボットさんのことが好きなの~?」
「うーん、そう言えば、ゆっくんが倉庫で急に現れたバイクのことをワンダーって呼んでたような……」
「ふっ、あなた達の頭の中は本当に空っぽのようね」
首を傾げながらプルルートはふとした疑問を口にする。
プルルートもワンダーと会っているため、熱っぽく語るミモザが不思議に思えたのである。
便乗してワンダーの名前に聞き覚えのあったネプテューヌもミモザへと質問を投げかける。
だが、ミモザは2人の疑問に詰まることなく余裕を持って答える。
「ワンダー様がただの機械のわけがないじゃないの。よく考えてごらんなさい。あんなに高度な知能を持ったロボットがいると思うの?」
「確かにそうだけど、ゆっくんがワンダーって呼んでたバイクは勝手に動いたりしゃべったりしていたよ?」
「そんなの遠隔操作に決まっているじゃない。きっとそのバイクを鎧のように纏った姿があの御姿なんだわ。私には分かる。ああ、ワンダー様のお顔はきっと理知的でいながらもたくましさを兼ね備えた英雄のような方なのよ。間違いないわ」
(中身は俺だったんだけどなぁ)
当たり前だと言わんばかりに話すせいで、ミモザの言葉には妙な説得力がある。
納得しかけていたネプテューヌの問いかけにも、ミモザは何故か確信を持っているかのように頷きながら答える。
途中で話を脱線させてワンダーへと思いを馳せるミモザの勘違いは正されることなく、ソファーに突っ伏した夢人だけが真実を知っていた。
「ほえ~、ロボットさんには中の人がいたんだぁ」
「そうだね。でも、中の人って言うと何だかアニメやゲームの声優さんみたいに聞こえるね」
「ああ、それは分かるかも。まあ、可愛い女の子は皆アタシのヨメって言葉を座右の銘にしているアタシにとっては二次元も三次元も関係ないけどね。もちろん、例えワンダーって人に恋をしていても、ミモリンがアタシのヨメであることに違いはないよ」
「だから、ミモリンって言うな。それと、私はあなたのヨメには絶対にならないわよ」
マイペースなプルルートの言葉を皮切りに、ネプテューヌとREDが大きく話を逸らしていく。
最後に大きく腕を広げて笑顔を浮かべるREDを見て、ミモザは露骨に嫌そうな表情を作った。
「あなたの恋愛観をとやかく言うつもりはないけど、そんな大量生産型の嫁になるつもりはまったくないわ。お嫁さんって言うのは、本当に愛し合った殿方と結ばれる幸せな女性のことを言うのよ」
「大丈夫大丈夫、嫁は嫁でもアタシが言っているのはヨメだからさ。それに、今ならツンツンしてて素直になれないミモリンも即座にデレデレになってくれるアタシの超絶テクニックを披露しちゃうぞ」
「……そんなことになるくらいなら、死んだほうがマシだわ」
REDの怪しい通販セールスのような台詞に、ミモザは心底嫌そうに顔を歪める。
すると、REDはカラカラと笑いながら口を開く。
「もー、冗談だってば。ミモリンってば、頭固すぎ」
「固っ!? そんなことないわよ!?」
「おっ、意外と気にしてたりしてるの? うーん、ミモリンは普通の女の子らしいコミュニケーションに飢えてるとみた――ネプテューヌ!!」
「合点承知!!」
何気ない一言に喰いついたミモザを見て、REDはにやりと口の端を吊り上げた。
結論に至ると、REDはすぐにネプテューヌへと呼びかけて視線を送る。
ネプテューヌもREDが何を言いたいのかを理解しているようで、2人はじりじりとミモザににじり寄り始める。
「な、何よ?」
「ふっふっふ、いやあミモリンがそんなに頭が固いことを気にしているならさ……」
「アタシ達で柔らかくなるまでほぐしてあげようって思っているだけだよ」
「ひぃっ!?」
手をワキワキとさせながら近づいてくる2人に身の危険を感じたミモザはすぐに逃げ出そうとする。
だが、身近に迫った恐怖に体がすくんでしまっていたミモザが逃げられるわけもなく……
「逃がすかー!」
「確保ー!」
「きゃあっ!? ちょ、やめ――あひゃひゃひゃひゃ!? しょ、しょこはやみぇ!?」
――2人に床に押さえつけられ、体中をくすぐられてしまうのであった。
必死に逃れようともがくミモザだが、2人の拘束から抜け出ることができずに呂律の回らない笑い声を部屋に響かせていく。
「うぅ~、2人だけでずるいよぉ~。あたしだけ仲間外れだなんて……」
「ほら、ぷるるんも見てないでこっち来なよ!」
「そうそう、これも大切なヨメとのコミュニケーション――名づけて、ヨメニュケーションだよ!」
「……それ、語呂悪くない?」
「……アタシも言ってから気付いた」
疎外感を感じて落ち込むプルルートに、ネプテューヌとREDは声をかける。
会話を続けながらもミモザを離す気配は微塵も感じられない。
些細なことでツッコミを入れたり、肩を落としても、2人はミモザをくすぐる手を止めようとしなかった。
そんな2人の微妙な気持ちの変化に気付くことなく、プルルートはパアッと嬉しそうに顔を綻ばせる。
「うん! あたしもミモちゃんを柔らかくしてあげるよ~! えへへ~、ふにゃふにゃにしちゃうんだからね~」
「ちょっ、やめっ!? これ以上は本当に無――いやひゃひゃひゃひゃ!?」
くすぐられ過ぎて涙を浮かべるミモザの懇願も虚しく、プルルートも加わった3人によるコミュニケーションは激しさを増して続行される。
ミモザの不運は、この場に3人を止める者がいなかったことだろう。
ネプギアとコンパ、ロムにピーシェは4人で買い物に出かけており、この場にはいない。
夢人はソファーで眠気と格闘中で、シンに至っては朝から姿を見せていない。
そして、残る1人はと言うと……
(……私は何をやっているんだろう)
アイエフは目の前に置いてあるコーヒーを眺めたまま自問自答を繰り返していた。
意図して騒ぐネプテューヌ達を無視しているわけではない。
外からの声が入らないくらい思い詰めていたのである。
1口も飲むことなく、見つめたコーヒーは既に大分温くなってしまっていた。
(馬鹿よね、私も。そろそろ言い出さないと……)
頭の中で結論付けたはずの問題に、アイエフは苦悩する。
迷いを断ち切るように決意を固めようとするが、あやふやな言葉が出てきて上手く形にできない。
そんな自分への呆れからか、アイエフはため息をついてしまう。
喉を潤そうと口にしたコーヒーもいつもより苦く感じられたのであった。
* * *
「ミモちゃん、大丈夫ですか?」
「……だ、大丈夫なわけ、ないじゃない」
コンパが倒れ伏しているミモザを心配して声をかける。
そのやり取りだけなら、先程の夢人とネプテューヌと同じように思えるが、ミモザの瞳は怒りに燃えていた。
――帰って来たコンパ達が目撃したのは、ピクピクと体を痙攣させるミモザとオロオロしているネプテューヌ達3人であった。
夢人はソファーで寝息を立てており、アイエフに至っては我関せずと携帯電話を弄り続けていたため、誰もミモザを助けなかったことが原因である。
夢人の方に向かったネプギアを除き、コンパ達は慌ててミモザを介抱して事情を聞いたのがつい先ほどのことであった。
「よくも、やって、くれたわね……!」
「いやぁ、ごめんごめん」
「ついつい歯止めが効かなくてさ」
ぎろりと目を尖らせるミモザの前には、正座をするネプテューヌとREDの姿がある。
2人とも眉尻を下げて謝罪を口しているのだが、どうにも軽く感じられてしまう。
誠意の足りない様子が、ミモザにさらなる怒りを燃やす要因となっていたのだ。
「もう、2人ともちゃんと反省してくださいです」
「いやいや、反省はしているよ。でも、アレはもっとミモリンと仲良くなるためのコミュニケーションの1種だったんだよ」
「そうそう。いつもニコニコ、アタシの隣に素敵なヨメ、がポリシーなアタシとしてはミモリンのデレを引き出そうとしたイベントを進行中だっただけだよ」
コンパが咎めても、2人は反省の色を見せない。
それどころか、お互いに顔を見合わせて共感してしまう始末だ。
隣にいるミモザからギシッと歯軋りが聞こえるコンパからしてみれば、堪ったものじゃない。
「と、とにかく、2人ともちゃんとミモちゃんに謝るです!? じゃないと、2人だけお昼のプリンを抜きに……」
『――ごめんなさいでしたー!?』
プリンとコンパが口に出した途端、2人はすぐさま頭を下げた。
潔いとも思える態度の転身に、怒りを覚えていたミモザも呆れてしまう。
「はあ、本当あなた達って馬鹿よね」
「ちょっと!? なんでそれをストレートに言っちゃうの!?」
「ミモリンは本当にきっついなぁ」
思ったことをそのまま口に出すミモザに対して、ネプテューヌは思わず大きな声を出してしまう。
苦笑しているREDの頬も若干だが引きつっている。
「ミモちゃんは、やっぱりミモちゃんでした~、まる」
「プルルートちゃんも反省して(めっ)」
「……ぷるーん、ごめんなさい」
「ねぷてぬもぷるるともれっども、ちゃんとみーもにあやまらなきゃだめだよ」
ネプテューヌ達と並んで正座できなかったプルルートが綺麗にまとめようとするが、ロムとピーシェに窘められてしまう。
そんな3人の様子に怒りを感じている方が馬鹿らしいと思ったミモザは深いため息をつく。
「はあ、もういいわよ。それで、これからあなた達はどうするの?」
「どうするって、何が?」
「だから、いつまでプラネテューヌに引きこもっているのかってことよ」
問われた内容の意味が分からず、ネプテューヌは目をパチクリとさせてしまった。
ネプテューヌの察しの悪さにムッとするミモザであるが、今はそれよりも重要なことなので話の軌道を無暗に逸らしたりしない。
「あなた達は鍵の欠片とか言うアイテムを探しているのでしょう? だったら、早いところ次の大陸に向かいましょう――そうね、私は次に向かうのならルウィーがいいと思うわ」
「ルウィー、ですか?」
「ええ、1年中雪で覆われている大陸らしいわ。何でも、4大陸の中で1番魔法に関する造詣が深いらしいのよ。前から魔法について興味があったし、私も行ってみたかったのよ」
声を弾ませるミモザの話を聞いていくうちに、コンパも段々とルウィーへの期待が募っていく。
それはネプテューヌ達も例外ではなく、瞳を輝かせてウキウキし始める。
「よーし、それなら次の目的地はルウィーで……」
「――無理ね」
「ありゃ? あいちゃん?」
1歩下がった位置にいたアイエフの発言に、ネプテューヌは不思議そうに首を傾げた。
アイエフは顔をしかめつつ、片手に持っている携帯電話の画面に映し出されている内容を読み上げる。
「今現在、ルウィーへの渡航許可は取れないらしいのよ。国内で何かしらの問題が起こって一時的に入国を禁止にしているみたい」
「その何かしらの問題って何なんだろう?」
「さあ、詳しい情報は発表されてないみたいだけど、1部ではラステイションが関係しているとか言われているみたいね」
REDの質問に対して、アイエフも明確な答えは出せない。
話した内容でさえルウィーの教会が発表した情報なのに、当事者ではないアイエフがそれよりも詳しい情報を知っているはずがないのだ。
すると、ネプテューヌは目に見えて落ち込んで肩を落としてしまう。
「えー、それじゃあ渡航許可が下りるまで何をしてればいいの?」
「なにも私達の行ってない大陸はルウィーだけじゃないわ。ルウィーの問題が解決するまで、もう1つの大陸に……」
「――嫌よ」
妥協案を出すアイエフの言葉を遮り、ミモザは嫌悪感を隠すことなく言葉を続ける。
「それだけは絶対に駄目よ。あそこに行くくらいなら、渡航許可が下りるまでプラネテューヌにいた方がマシだわ」
「うーん、でも、どの道鍵の欠片を探すために全部の大陸を回らなくちゃいけないんだから、行ける時に行っといた方がいいと思うんだけど」
「……だったら、あなた達だけで行ってきなさい。私は絶対にあの国にだけは行かないわ」
ネプテューヌが控えめに説得しても、ミモザは頑なに拒絶した。
嫌な沈黙が支配する中、その流れを断ち切るようにインターホンが鳴り響く。
「は、はーい、どなたですか?」
『やあ、遅れてごめん』
「シンさん!? もう、遅いです……」
助かったと言わんばかりに急いでコンパが扉を開けると、そこには苦笑するシンが立っていた。
来る時間が予定よりも遅かった理由を聞こうとしたコンパであったが、最後まで言葉を続けることはできなかった。
何故なら、シンの隣に見知らぬ男性がいたのである。
「え、えっと、どなたですか?」
「彼は……」
「すみません、失礼させて頂きます」
困惑するコンパにシンが説明しようとするも、男性は勝手に部屋の中に入ってしまう。
急に見知らぬ男性が入って来たことにネプテューヌ達の緊張感が増す中、唯一ミモザだけは忌々しそうに目を細める。
「……ジャッド」
「お迎えにあがりました、ミモザお嬢様」
――夢人がネプギアに膝枕されて眠っている間に、新しい厄介事はすぐ傍にまでやって来ていたのであった。
という訳で、今回は以上!
私はジャッドの最後が忘れられないです。
理由? それはこの章が進めば分かりますよ……
それでは、 次回 「私がスクープを逃すわけがない」 をお楽しみに!