超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
VⅡ、無事に発売しましたね。
でも、私はまだプレイできていない。
……PS4、まだ持ってないんです。
それでは、 これがデートのわけがない はじまります


これがデートのわけがない

 ――リーンボックス。

 雄大なる緑の大地とも呼ばれている女神グリーンハートが治める大陸である。

 別名の由来通り、他の3大陸に比べて豊かな自然に溢れている。

 街並みが自然と調和していると言ってもいいだろう。

 高層ビルと言った近代化を象徴する建物は存在せず、どこか古めかしいレンガ造りの建物が主であり落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 

「へぇ、そうなんだ」

 

「ご理解いただけたようで何よりです」

 

 リムジンで移動中の夢人達は、車内でジャッドからリーンボックスについての情報を聞いていた。

 理由は当然、これから向かう先がリーンボックスであるからだ。

 

「でもでも、バリバリの都会っ子のわたしとしてはちょーっとアレだね。あんまり興味湧かないかなー」

 

「何を言っているのよ。そこがいいんじゃない。自然の中でゆったりと生活できるなんて最高じゃないの」

 

 ジャッドの説明に、ネプテューヌは困ったように笑いながら頬を掻く。

 すると、アイエフがすかさず自分の意見を述べる。

 

「確かに他の大陸に比べると不便なこともあると思うけど、リーンボックスはゲイムギョウ界の中で1番治安がいい国なのよ」

 

「それってプラネテューヌよりもですか?」

 

「当然よ。争いのない平和な国とも言われてるくらいで、入国希望者が後を絶たないって聞いているわ」

 

 コンパの疑問に、アイエフは楽しげに答える。

 その様子はまさにこれからリーンボックスに行けることが楽しみだと体全体で表現しているようなものだ。

 

「ほえ~、そんなにいい国なんだぁ。楽しみだね~」

 

「うんうん、ヨメのあいちゃんがそこまで褒める国だもん。アタシも今から楽しみなのだー!」

 

「ぴいもぴいも!」

 

 アイエフの語るリーンボックスを思い浮かべ、プルルート達はワクワクを隠せずに口元を緩めた。

 REDとピーシェに至っては、リーンボックスへの到着を待ちわびて足をバタつかせてしまう程である。

 

「2人とも、暴れちゃダメですよ。少しはねぷねぷを見習って……」

 

「ねえねえ、このジュースって飲んでいいの?」

 

「――って、勝手に何をしているんですか!?」

 

 コンパがREDとピーシェを注意していると、ネプテューヌが勝手に備え付けの飲み物を取り出していた。

 今まで大人しくしていたと思っていた分、コンパは大きな声を出して慌ててしまう。

 

「ええ、もちろん構いませんよ。ご自由にお飲みください」

 

「おおー、さすがミモリンの執事さんは太っ腹だね! それじゃ、遠慮なく……」

 

「あっ、ずるい! アタシにもちょうだい!」

 

「ぴいにものませて!」

 

 にこやかな笑みと共にジャッドが許可を出すと、ネプテューヌは躊躇うことなくグラスにジュースを注いでいく。

 それを見ていたREDとピーシェもジュースを欲しがり、ネプテューヌに近づくために移動中の車内でドタバタと動き出す。

 

「ああもう、たかが飲み物1つで暴れるんじゃないわよ! 少しは落ち着きなさい!」

 

「そんなこと言っちゃって、実はあいちゃんもわたしのジュースを飲みたいんでしょ? コップはちゃんと人数分あるみたいだし、そんなにカリカリしないでってば――そんなわけで、まずはロムちゃんに」

 

「ありがとう(にこっ)」

 

「次はシン君だね、ほいっと」

 

「おっと、ありがとうございます。そう言えば、ジャッドさんに聞きたいことがあるんですけど……」

 

「何でしょうか?」

 

 アイエフの怒号を受け流し、ネプテューヌは隣のロムから順番にジュースを配っていく。

 車内の揺れでこぼれそうになるジュースを受け取り、シンはジャッドへと疑問をぶつける。

 

「鍵の欠片と言うアイテムをご存じないでしょうか? 僕達、それを探すために旅をしているんです」

 

「あっ、そうだったです。これと似た形の物を見たことはないですか?」

 

 コンパがポーチから鍵の欠片を取り出して見せるが、ジャッドの反応は芳しくない。

 しばらく目を細めて観察し終えると、申し訳なさそうに首を横に振り始める。

 

「……すいません、私には心当たりがありません」

 

「そうですか」

 

「まあ、そう簡単に見つかるわけないよね」

 

 ジャッドの答えに、コンパは肩を落として落ち込んでしまう。

 逆に、ネプテューヌはある程度予想がついていたため、ほとんど気落ちせずに苦笑していた。

 

「でもさ、リーンボックスって平和な国なんでしょ? だったら、この前のラステイションみたいな――もごっ!?」

 

「ラステイション? ラステイションがどうかされたんですか?」

 

「い、いえ、何でもないです!? ……駄目じゃないか。あのことは秘密にしておかないと」

 

 余計なことを口走ろうとするネプテューヌを、シンは慌てて止めた。

 不思議そうに首を傾げるジャッドに誤魔化しを入れ、シンは小声でネプテューヌを叱る。

 

 ……キラーマシンによる街の破壊活動は、公に広まっていないのである。

 他国に付け入る隙を見せる大失態であるため、ラステイションの教会がかん口令を敷いているのだ。

 この事件が広まれば結果的にシアン達にも迷惑をかけることに繋がるため、夢人達も無暗矢鱈に吹聴することをマジックからはもちろん、アイエフからも禁じられていた。

 現に今も口を滑らせそうになったネプテューヌに、アイエフは厳しい非難の目を向けている。

 

「……ご、ごめん、つい」

 

「……今度は気をつけてね」

 

 小声で謝ってくるネプテューヌに、シンは困ったように笑いながら言った。

 好意的に受け取れば、シンの笑みは口を滑らせそうになったネプテューヌへの内面に対するフォローであろう。

 だが、シンには別の思惑も存在していた。

 

(そう、まだ公表されちゃ困るんだよ)

 

 ――内心で情報が伝達されていないことにほくそ笑んでいたのである。

 そんな様子などおくびにも出さず、シンは話題を変えるために車内に入ってから一言もしゃべらない夢人へと声をかける。

 

「御波君、さっきからずっと黙っているけど大丈夫かい? もしかして酔ったとか……」

 

「あっ、いや、そう言うわけじゃないんだけど……」

 

「本当に大丈夫なんですか、夢人さん?」

 

「……うん、大丈夫だから」

 

 ボーっとしていたのであろうか、夢人の反応は鈍かった。

 顔色も悪く見え、隣に座っていたネプギアも心配してしまう。

 安心させようと口元を緩めようとしたのであろうが、夢人はぎこちなく頬を引きつらせてみせるだけだった。

 

「ゆっちゃん、本当に大丈夫なの~?」

 

「無理しちゃダメですよ。具合が悪くなったのなら、すぐに言ってくださいです」

 

「無理しないでね、夢人お兄ちゃん」

 

「3人もありがとう。でも、俺なら大丈夫……」

 

「――説得力無いわよ、その顔じゃね」

 

 そんな様子に不安が煽られ、プルルートにコンパ、ロムも心配そうに夢人を見つめてくる。

 夢人は2人にもお礼を言って平気だと伝えようとするのだが、ミモザに一刀両断されてしまう。

 

「体調が悪いんだったら、無理するんじゃないわよ――ジャッド、まずは屋敷に向かってちょうだい。それと、すぐに彼を部屋に案内してあげて」

 

「い、いや、本当に大したことないから……」

 

「いいから大人しく休んでおきなさい。いいわね?」

 

「……分かった。ありがとう」

 

 反論を許さないミモザに、夢人は諦めて厚意に甘えることにした。

 ここで終わればいい話だった。

 しかし、車内の雰囲気は2人の会話を聞いていたネプテューヌ達の驚愕に彩られていた。

 

「ミモリンがゆっくんに優しい、だと?」

 

「う、嘘、だよね? あ、アタシ、夢でも見ているのかな?」

 

「――あなた達は私を何だと思っていたのよ」

 

 目の前で起こった現実を受け止めきれず、ネプテューヌとREDは愕然としてしまう。

 ミモザとしては確かに夢人のことを露骨に嫌う素振りを見せてはいたが、病人に鞭をうつような真似をするつもりはない。

 だからこそ、ミモザは夢人への配慮に対する2人の感想に頭痛を覚えてしまう。

 

「2人とも、いくらなんでも失礼ですよ。ミモちゃんだって、ゆっくんさんのことが心配なだけですから」

 

「そ~だよ、ミモちゃんだってゆっちゃんのことが心配なだけなんだから~」

 

「別にそのブ男を心配しているわけじゃないんだけど……」

 

 信じられない気持はあるが、再起動を果たしたコンパとプルルートはネプテューヌとREDをたしなめた。

 擁護されている立場ではあるものの、ミモザはそのまるで自分に言い聞かせるようなフォローに苦い気持ちになる。

 一応、会話がひと段落したことを確認すると、ジャッドはミモザへと声をかける。

 

「部屋をご用意するのは構いませんが、それでは約束の時間に遅れてしま……」

 

「いいのよ。あんな人、ずっと待たせておけばいいのよ」

 

 困ったように眉間にしわを寄せるジャッドに構わず、ミモザは鼻で笑って答える。

 すると、ネプテューヌが暗い雰囲気を払拭するチャンスだと思ったのか……

 

「なになに? 待ち合わせとか、もしかしてミモリンはリーンボックスに着いたらデートとかしちゃうの?」

 

「ほ、本当なの!? アタシ以外の誰とデートするって言うの!?」

 

「……あなた達ね」

 

 からかうようにクスクスと笑うネプテューヌと勢いよく食いつくREDに、ミモザは本格的に頭が痛くなってきた。

 似たようなやり取りは既にコンパの部屋でしていたのだから、ミモザの反応は当然だろう。

 しかも、調子のいいことに先程の会話など忘れてしまっているかのような振る舞いだ。

 因みに、これには会話に参加していない傍観者の立場にいたアイエフも眩暈を覚えていた。

 

「変なこと言わないでちょうだい。さっきも言ったけど、私はワンダー様以外の殿方と添い遂げるつもりはないわ」

 

「そ、それはちょっと……」

 

「何? 何か言いたいことでもあるの?」

 

「ひっ!?」

 

 ワンダーの正体を知っているロムが控えめに無理だと伝えようとするが、ミモザの威圧に押し負けて黙ってしまう。

 大人気なく悲鳴を上げられるほど怖い顔をしていたことに羞恥を感じたミモザは、誤魔化すように咳払いをする。

 

「とにかく、私は別に行かないわけじゃないわ。ちゃんと会うつもりだから、文句は言わせないわよ」

 

「……分かりました」

 

 頬をほんのりと朱色に染めながらも、ミモザは強い口調でジャッドへと告げた。

 渋々ながらもジャッドはそれを了承し、話を聞いていたであろう運転手へと無言のまま指示を出す。

 

「ところで、リーンボックスに着いたら私達はどうすればいいのかしら? まさか、その屋敷から1歩も外に出るなとかは言わないわよね?」

 

「それこそまさかよ。そんなことしたら、屋敷の中が滅茶苦茶にされちゃうわ」

 

 タイミング良くリーンボックスに着いてからの話題になったため、アイエフは思い切ってミモザへと疑問をぶつけた。

 

 そもそも、今回のリーンボックスへの移動に夢人達の同行を強制したのはミモザ本人なのである。

 だからこそ、アイエフはミモザの真意を問いただしたくもあった。

 しかし、ミモザはアイエフの意図を理解しながらも、敢えてネプテューヌ達へとチラリと見てから誤魔化す。

 単に皮肉を言っただけのように思えるが、アイエフはミモザがこの場で言えない何かを隠しているのだと直感した。

 

「そうだよね。まったく、ピー子はすぐに暴れるから」

 

「ムッ、ぴいはあばれないもん。あばれるのは、ねぷてぬとREDのほう」

 

「いやいや、アタシは結構落ち着いてるじゃん。ミモリンが言っているのはネプテューヌのことだけだよ」

 

「……変に目立つような行動を取らなければ、好きに街を見て歩いて来ていいわ」

 

 ミモザは皮肉すら通じず、ツッコミ待ちをしているかのような会話を繰り広げる3人を無視してアイエフの疑問に答えた。

 下手に口を挟んで話を脱線させ、頭を痛めたくなかったからである。

 

「いいわね? 絶対に面倒なことには首を突っ込むんじゃないわよ」

 

「……そこまで念を押されると、何だか余計に変なことに巻き込まれるような気がするです」

 

「そうそう、わたしってば見ての通り人気者だから、事件のほうから近づいて来るんだよね。しかも、今のミモリンのフラグでダメ押しされちゃったし、これは絶対に何かあるよ」

 

 念を押すミモザに、コンパは苦笑してしまう。

 ミモザが自分達のことを心配し過ぎているのだと感じたのである。

 ネプテューヌもコンパと同じように考え、いつもと同じように軽く冗談を言って車内の雰囲気を明るくしようとする。

 

「――あなたの人気やフラグなんて関係ないわ。あなた達は絶対にリーンボックスの問題に関わっちゃ駄目よ。例え、それがどんなことでもね」

 

 だが、そんなネプテューヌの思惑を壊すように、ミモザは真面目な顔で告げた。

 そこに冗談を言っているような雰囲気は微塵も感じられない。

 

「あ、あれ、もしかしてかなりマジな話だったりするの?」

 

「ええ、マジも何も冗談を言っているつもりは最初からないわ。それに、あそこはあなた達の言うような夢の国なんかじゃないわ」

 

 自分の冗談でミモザから重たい発言を引き出してしまった手前、ネプテューヌは理由を尋ねずにいられなかった。

 しかし、ミモザの態度は変わらず、不機嫌そうに窓の外へと視線を向けてしまう。

 

「――あそこは地獄よ。人間にも女神様にとっても、ね」

 

 

*     *     *

 

 

 裏路地に入ると、そこには既に待ち人がいて不機嫌な様子を隠そうともしていなかった。

 腕を組んであからさまに指を叩く仕草なんてしている彼女の異様な雰囲気に、誤って裏路地に入ってしまった猫ですら逃げ出してしまう。

 その様子がおかしくて、ついつい笑ってしまう。

 

「おい、遅れてやってきたくせにその態度はいったい何だ?」

 

「いやぁ、ごめんごめん。あの屋敷、意外とセキュリティーが厳しくてね」

 

 笑ったことが癪に障ったのだろう、彼女は俺をいつもの倍以上にきつい目で睨んでくる。

 実際、あのお嬢様は本当に金持ちだったみたいで、常時門には守衛が交代でついていた。

 その目を掻い潜ってこうして会いに来た俺を褒めて欲しいくらいだよ。

 しかし、そんなことなど彼女が考慮に入れるわけがないと分かっているため、俺はすぐさま話題をここにいるはずのもう1人へとすり替える。

 

「デルフィナスはどこだい? もう来ているんだろう?」

 

「……既に帰った。何でも、やることがあるらしい」

 

「おやおや、それは仕方ないね」

 

 俺の返答がお気に召さなかったらしく、彼女は忌々しそうに顔を歪める。

 

 しかし、デルフィナスはもう帰ったのか。

 ちょっと残念だな。

 聞きたいことがあったと言うのに……

 

「それで、首尾のほうはどうなってるんだい? 上手いこと、あの剣を使えたんだろう?」

 

「……ああ、使えるには使えたさ」

 

 これ以上、彼女の機嫌を損ねるのはマズイので、俺は話題を変えることにした。

 しかし、彼女は喜ばしいはずの報告を口にしているのにも関わらず、その表情は苦々しい。

 

「確かに、あの剣――ゲハバーンは便利な力を持っている。アレさえあれば、女神など容易く葬れるほどにな」

 

「だったら、よかったじゃないか。これで、1番の問題だった女神を簡単に排除できるようになるならさ」

 

「――だが、私はもう2度とゲハバーンを使う気はない」

 

「はあ?」

 

 俺は彼女の正気を疑ってしまった。

 彼女が何を言っているのか理解できない。

 

 俺と彼女の共通の目的の1つは、ゲイムギョウ界から女神と言う存在を失くすことだ。

 手段や目的、過程も結果も関係ない。

 ただ、俺達の目的を達成するためには女神と言う存在が邪魔なのだ。

 だからこそ、俺と彼女は協力し合える。

 しかし、今彼女は女神を簡単に排除できる手段を自ら捨てると言っている。

 協力関係を結んでいる俺にとって、その発言は到底受け入れることができない。

 

「どう言うつもりなんだ? まさか、考えを変えただなんてつまらないことを言うつもりはないんだろ?」

 

「当然だ。そうでなければ、ここで貴様とこんな話などせん」

 

 彼女の答えに、俺は一先ず安心した。

 

 まあ、彼女が心変わりしただなんて事は最初から疑ってなかったんだけどね。

 彼女、結構不器用だしね。

 ここで俺を待っていた時点で、打倒女神の協力関係を崩すつもりがないことは丸わかりだ。

 つまり、彼女が何故ゲハバーンを使わないのかと言うと……

 

「ゲハバーンにはいったいどんなデメリットがあったんだい?」

 

 ――そう、使えない事情があると言うことだ。

 彼女だって、使えるのなら利用し尽くすだろう。

 そう考えると、ゲハバーンには女神を容易く葬れるメリットをマイナスに変えてしまうデメリットが存在するのだと言うことは明白だ。

 

「一言でいえば、あの剣は無駄の塊だ。確かに、あの剣の力は女神やモンスターに対しては絶大な効力を発揮するだろう。だが、効率が悪すぎる」

 

「それは君の能力と違って、剣と言う形を取っているからかい?」

 

「それもあるが、単純に疲れるのだ。あの剣は扱う私からも力を奪い取ってしまうのだからな」

 

 ほう、それはそれは恐ろしい剣だね。

 見た目の通り、呪われているみたいだ。

 使用者すら消耗させる武器なんて、誰だっていくら便利でも使うわけがない。

 

「あの剣に頼らなくとも、私の力があれば同じことはできる。だから、私はもう2度とあの剣を使うつもりはないと言ったんだ」

 

「なるほどね。それで、その無駄の塊をまだ君は持っているのかい?」

 

「ふん、役に立たないものを大事に取っておくわけはないだろ。既にデルフィナスに押し返したさ」

 

 それは残念。

 せっかくだから、調べてみようと思ったのに。

 

「そんなことよりも、大事なのは鍵の欠片の行方だ。本当に探すことはできないのか?」

 

「無理無理。アレ自体を感知できないからこそ、警報装置代わりにガーディアンを設置していたんでしょ?」

 

 鍵の欠片、俺達にとって重要な意味を持つアイテム。

 とある目的のために、俺達はそれを4つの大陸にそれぞれ置いておかなければいけなかった。

 だから、盗まれないようにプラネテューヌの洞窟と同じようにガーディアンを配置していたんだけど、先日その反応がなくなってしまった。

 ――つまり、誰かがガーディアンを倒してしまったと言うことだ。

 慌てて彼女が現場に向かうと、そこには鍵の欠片がなくなっていたのである。

 

「チッ、どこのどいつなんだ。人の物を勝手に盗むなんて……」

 

「いやいや、配置的にはモンスターを倒した後に手に入るお宝ポジションだったし、ガーディアンを倒した誰かが持って行っちゃったんでしょ?」

 

「それが腹立たしいのだ!! まったく、これだから若い連中は何でもゲームのように物事を考えおって!!」

 

 目くじらを立てるのはいいけど、それって地味に年寄り発言しているよね。

 まあ、実際年寄りなのは間違いないんだろうけど。

 

「とにかく、鍵の欠片の行方は貴様も探しておけ。いいな?」

 

「でも、俺の方が先に見つけちゃうと色々と困ることになっちゃいますよ?」

 

 念を押してくる彼女に、俺は意地悪く答える。

 一応、今の俺は【鍵の欠片を探す女神の仲間】を演じている。

 その“僕”が彼女よりも先に見つけると、必然的に女神に鍵の欠片を奪われることに繋がってしまう。

 

「別に構わん。最後に私達の所に戻ってくれば、それでいいのだからな」

 

「わお、随分と俺を信用しているようだね」

 

「当然だろう。貴様の目的には、鍵の欠片が必要不可欠なのだからな」

 

 脅迫にも似た彼女の信用が逆に心地よく感じる。

 最初から実行するつもりだったとはいえ、こうまではっきり言われると清々しいものだ。

 

「オーケー、鍵の欠片については見つけ次第連絡と言うことにしよう。次は、これからの計画の話だ」

 

「何も問題はない。私は予定通り進めるだけだ」

 

 自信満々に答える彼女には悪いが、どうにも不安になってしまう。

 不器用だからこそ、彼女には予測できない事態に対する対処が遅れると言う欠点がある。

 しかも、ここに来る前にあのお嬢様も不吉な言葉を残していた。

 きっと何か予想外のことが起こる――俺にはそう思えてならない。

 

「貴様も仕込みを抜かるなよ。そうでなければ、デルフィナスからも叱責を受けるかもしれんぞ」

 

「怖い怖い。得体が知れない分、本当に何をされることやら」

 

 そう、これから行う計画にはデルフィナスも絡んでくる。

 デルフィナスがどのような存在なのかは、おおよそ予測はついている。

 しかし、完璧に捉えたわけではないため、無理に手を出して怪我を負いたくはない。

 だから、今は彼女と同じように協力関係を崩せない。

 そのため、デルフィナスの要望も受け入れた計画を俺も予定通り進めるとしますか。

 

「では、明日はよろしくお願いしますよ――コンベルサシオンさん」

 

 敢えて彼女を“コンベルサシオン”と呼び、俺は踵を返して裏路地を出た。

 後ろから鼻を鳴らす声が聞こえてきたが、振り返るつもりはない。

 何故なら、裏路地を出た瞬間から俺は“僕”の演技を再開させなければいけないからだ。

 

 さて、まずはアレの準備をしておかないとね。

 後は“彼女”とこの国が勝手に爆弾を爆発させてくれる。

 問題は鍵の欠片の行方か。

 まあ、そっちは地道に探していくしかないけど、いったいどこの誰が持っていったんだろうね。

 今日は“新作”の調整もあるし、眠れないかなぁ。




という訳で、今回は以上!
まあ、ソフトの方は予約して買ったんですけどね。
早くお金をためてハードの方も購入しないと……
それでは、 次回 「こんなにも女々しいわけがない」 をお楽しみに!
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