超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
ネプコラボ、結局ネプテューヌが揃わずに最終進化ができませんでしたorz
なんでベールはいっぱい手に入ったと言うのに……
それでは、 独りぼっちのわけがない はじまります
イヴォワールと共に入って来た人物は珍妙ないでたちをしていた。
服が珍しいわけではない。
髪の毛も特別凝った形状に仕上げているわけでもない。
腰まで伸びる長髪のストレートヘアーに無地のブラウスとロングのスカートを身に纏っているだけである。
落ち着きのあるコーディネート言えよう。
――ただ1つ、白い豚のお面を被っていなければ。
「(´・ω・`)じー……」
服装や声の高さからして女性であることは間違いないはずなのだが、白い豚のお面が異様な雰囲気を放っている。
しかも、最初に夢人達へ挨拶をしてから、ずっと何かを待っているようで身動き1つしない。
終いには自分で効果音まで口にし始めてしまう。
(……なんで豚のお面なんて付けているんだ?)
(……いやはや、まさかこんな場所で“らんらん”に出会うなんて思いませんでした)
見つめられている夢人達はそれぞれ違う理由で戸惑いを覚えていた。
多少なりとも白い豚のお面を被った女性――らんらんのことを知っているデンゲキコからしてみれば、純粋に出会ったことに対する驚き。
一方で、らんらんについて予備知識のない夢人はどう反応していいのか分からず困惑していたのである。
「(´・ω・`)たんぱつ、やっぱりらんらん帰ってもいい?」
「そんなことを言っておると、またグリーンハート様に出荷やらどうとか言われるぞ?」
「(´・ω・`)そんなー」
しばらく夢人達を見つめていたらんらんであったが、突然イヴォワールへと顔を向けて口を開いた。
イヴォワールから返って来た返事にらんらんが落ち込んでいるようなのだが、お面のせいで表情が読み取れないために分かり辛い。
そんならんらんの様子に、イヴォワールはため息をつきながら夢人達へと説明を始める。
「彼女はこう見えても優秀でしてな。お2人を安全に国外まで誘導してくれましょう」
「……えっと、その前にどうして豚のお面なんて付けているんですか?」
「おっと、御波殿は彼女達に出会うのは初めてですかな? 彼女達は“らんらん”と言う者でして、複雑な事情から白い豚のお面を被っているのですよ」
「は、はあ」
あまりにも自然にらんらんを紹介するイヴォワールを見て、夢人は自分だけが白い豚のお面が見えているのではないかと錯覚してしまった。
それを否定する言葉を聞けてホッとしたが、同時にイヴォワールの言う複雑な事情が気になってしまう。
「詳しくはご説明できませんが、やむにやまれぬ事情があるのですよ。のぅ、らんらん?」
「(´・ω・`)らんらんは豚だから難しいことは分からないよ」
「だそうです」
「いや、よくないでしょ」
流れるようなイヴォワールとらんらんの会話に、夢人は思わずツッコミを入れてしまった。
何かをはぐらかそうとしている雰囲気を感じ取ったのである。
「ま、まあまあ、御波さんも落ち着いてくださいって。らんらんについては私がご説明しますよ。いいですよね、協院長さん?」
「……うむ、すまんのぅ。よろしくお願いしますぞ」
(協院長は何を考えているんですか!? 御波さんにらんらんを紹介した結果、どうなるのかなんて火を見るよりもファイヤーじゃないですか!?)
一見すると、らんらんをいぶかしむ夢人を宥めているように思えるが、デンゲキコは内心で激しくイヴォワールのことを毒づいていた。
申し訳なさそうに目を伏せる協院長の姿も、デンゲキコには白々しく見えてしまう。
「任せてくださいよ――まあ、この場で簡単に簡潔にコンパクトに言うならば、らんらんとはゲイムギョウ界におけるスタンドアローンコンプレックスなんですよ」
「すたん……え、何それ?」
「要するに、白い豚のお面を被った集団ってことです。詳しくはプラネテューヌへの帰り道でご説明しますよ」
「……分かった」
にこやかに笑っているデンゲキコだが、実際はうやむやにして煙に巻こうとしているのだ。
しかし、夢人はそんなデンゲキコの本音よりも、このままリーンボックスを離れることに表情を曇らせる。
「あの、最後に1つだけ聞いてもいいですか?」
「何ですかな?」
「今も牢屋にいるMAGES.や鉄拳はどうなるんですか?」
それは今の夢人が取れる最後の抵抗だった。
理由は異なるが、MAGES.達も捕まって牢屋の中にいた事実は変わらない。
純粋にMAGES.達のことを心配する気持ちもあるが、リーンボックスの外へと逃がされる自分達との待遇の差をついてどうにか事態の打開を図ろうとしたのである。
「安心して下され。彼女達も決して悪いようにはしませんよ。ただ彼女達――いえ、MAGES.殿と鉄拳殿だけはこのまま外へと出すわけにはいかないのです」
「っ、どうしてですか?」
イヴォワールの言葉に、夢人はわずかな期待を募らせる。
しかし、続けるイヴォワールの説明に夢人の期待は脆くも崩れてしまう。
「彼女達は御波殿と同じでこの世界と違う世界からやって来たからです。戸籍もリーンボックスへの渡航記録もない彼女達をこのまま御波殿達と一緒に逃がしてしまえば、有らぬ疑いをかけられかねないのです。ですから、彼女達にはクーデターが終わるまで牢屋の中にいてもらい、無実の罪で投獄されたリーンボックスの住民と言うことになってもらいたいと思っております」
「戸籍情報の改ざんってことですか? でも、すぐにばれちゃうような気がするのですが……」
「なに、そこは問題ないじゃろうて。戸籍情報を管理しているのは協会なのじゃからな。苦し紛れに情報のもみ消しを行った結果、少しばかり読み取れないデータが出来てしまったところで中身を確かめる術はないのじゃからな」
何でもない風に笑っているイヴォワールとは対照的に、デンゲキコの頬は引きつっていた。
イヴォワールはMAGES.と鉄拳の安全を確保するために、リーンボックスと言う国の後ろ盾を用意していたのである。
しかも、それが作られた戸籍だと分からないようにデータを破壊するとも言っているのだ。
わざと雑な隠ぺい工作を行い、真実を闇の中に葬り去ろうとしているのである。
「後はコンベルサシオン殿のことじゃが、ルウィーの宣教師である彼女にはクーデターの表側の顛末だけを知ってもらい、ルウィーへ報告してもらおうと考えておる。新体制となったことが分かれば、また友好条約を結ぶ席につけるかも知れんからな。少なくとも断わったワシがいなくなれば、何かしらの反応を見せてくれるじゃろう」
「なるほど。つまり、牢屋にいる皆さんは無事に解放されるってことですね」
「いや、まだあの兄弟が残って……」
「――そんな人達、私のログにはありません」
MAGES.達の安全がイヴォワールの口から保証されると、すぐにデンゲキコは話を切り上げようとした。
クーデターのことよりも、デンゲキコは自分が安全にプラネテューヌに帰れることの方が大事なのである。
決して薄情なわけではないが、特に思い入れがあるわけでも話に出てきたミモザと知り合いでもないため、リーンボックスの問題は結局他国の問題としか思えないのだ。
だから、夢人の言葉を強引にでも切り上げて話を進めようとする。
……因みに、そこには兄弟に対する嫌悪感も理由に含まれていたりした。
「と言うことで、私達の質問は以上です。それで、そこのらんらんについていけばいいんですね?」
「重ね重ねお詫び申さねばなりますまい。このようなことに巻き込んでしまい、本当に申し訳ない」
「いえいえ、こうして無事に帰れるのなら問題なしですよ」
再び頭を下げて謝罪するイヴォワールに、デンゲキコは愛想笑いを浮かべた。
心の中では、もう聞き飽きたとか早く帰らせて欲しいなんて思っていても決して表に出さない。
「では、らんらんも2人のことを頼むぞ」
「(´・ω・`)はあまじはあ、らんらんは空気を読める豚だからプリン3個で手を打ってあげてもいいのよ?」
「……ほら、これでグリーンハート様の分も一緒に買って帰って来なさい」
「(´・ω・`)ゝ任せとけ」
頭を上げたイヴォワールがらんらんに視線を移すが、そこには最初に部屋に入って来た時のやる気が感じられなかった。
気だるげに報酬を強請るらんらんを見て、イヴォワールは仕方なく財布からお金を取り出す。
すると、らんらんは急にシャキッとし出してイヴォワールに敬礼をする。
「さて、これで本当に最後のようじゃのぅ。御波殿、まだ納得しておりませんか?」
「……できませんよ。納得なんてしたくありません」
「その気持ちを忘れないでくだされば充分です。御波殿は、協会の理念を疑うことができず大切な者を失くしてしまったワシのようにならないでくだされ」
願いにも似たイヴォワールの言葉に、夢人は返事をすることができなかった。
黙ったまま俯き、悔しそうに拳を握りしめるだけである。
(……俺はやっぱり何もできないのか)
無力感に苛まれるが、今の夢人にできることは何もなかったのであった。
* * *
「少しは落ち着きましたか?」
「……うん、なんかごめんね。本当、子どもみたいに泣いちゃって」
隣に座っている金髪の少女に尋ねられ、私はさっきまでの自分を思い出して恥ずかしく感じた。
今まで生きてきた中で、トップクラスの醜態を晒してしまった。
まさか甘い言葉をかけられてワンワンと泣き喚くことになるなんて思わなかった。
でも、泣いたおかげで少しだけスッキリできたような気がする。
今、私達は自然公園のベンチに並んで座っている。
さすがにあんなことがあっても、ずっと道のど真ん中に居続けていられるほど私の面の皮は厚くない。
夜の時間帯と言うこともあり、公園は今の私にとっていい感じで静かだったことが理由で少女に連れてきてもらったのである。
「気にしないでいいですよ。泣いていいって言ったのは私なんですから」
「それでもアンタ……えっと、そう言えばアンタの名前を聞いてなかったわね」
「ナナハです。よろしくお願いしますね、アイエフさん」
「敬語もさん付けも必要ないわよ。私もナナハって呼ぶから」
金髪の少女――ナナハに甘えてしまった手前、畏まった態度を取られると凄くくすぐったく感じてしまう。
だから、無理やりにでも楽に話してもらおうと自分から彼女の名前を呼ぶ。
「分かったよ、アイエフ……こんな感じでいいかな?」
「うん、その方が私も楽でいいわ」
私の提案を受け入れてフランクになってくれたナナハに安心して頬が緩みだす。
そんな私を見て、ナナハもクスリとほほ笑み返してくる。
「うん、少しは元気が出たみたいで本当によかったよ」
「まあ、ね。色々と吐き出せたおかげか、気持ちも楽なった気がするのよ」
何故だか、自然とナナハには自分の気持ちを驚くほど素直に話せていた。
散々泣いて迷惑かけたのにまだ甘えようとしているのかと、自分の弱さを嫌でも自覚してしまう。
でも、それを上手く誤魔化せる手段が思いつかず、私は夜空を見上げる。
「……星、凄く綺麗に見えるのね」
「リーンボックスは街灯の数も少ないからね。街が暗い分、星がよく見えるんだよ」
「へぇー、そうだったんだ」
私の下手な話題作りにも、ナナハは気にすることなく付き合ってくれた。
でも、そんなナナハからのボールを私は上手く投げ返せなかった。
……何をやっているのよ、私は。
自分から話題を振ったのに、自分で終わらせるなんて。
「他の国と比べたら、ちょっと遅れているような気もするけど、私はこう言う心が落ち着くようなところがリーンボックスの良い所だと思うんだ。アイエフはどう思う?」
「えっ!? わ、私も別に落ち着いた雰囲気は嫌いじゃないわ!?」
自己嫌悪に陥りそうになっていると、今度はナナハが私に話を振って来た。
突然のことで慌ててしまい、私の頬が恥ずかしさで熱くなる。
……あーもう、しっかりしなさいよ私。
こんなのいつもの私のキャラじゃないでしょうが。
ネプ子とかREDに見られたら、またツンデレがどうとか言われ――あっ。
「……ヤバッ、どうしよう」
「どうかしたの?」
「ううん、ちょっと困ったことを思い出してね」
心配してくれるナナハには悪いけど、こればかりは相談できない。
冷静になって考えてみると、私のせいでネプ子達が暴走するかもしれないような気がする。
今でもミモザの話に納得したわけじゃないけど、クーデターが失敗することもかなり深刻な問題だ。
なにせ、リーンボックスの今後を大きく左右する出来事なのだから。
それを台無しにしてしまう原因になったのが私が飛び出したせいで暴走したネプ子達だと思うと……
「ねえ、本当に大丈夫? 顔、凄く青くなっているよ?」
「……あ、あははは、き、気のせいよ。うん、私は元からこんな顔色だし、暗くてそう見えるだけよ」
心配してくれるナナハを誤魔化そうとしたが、どうも信じてもらえてないようだ。
気遣ってくれているのはありがたいけど、今の私は意識を飛ばしてしまった方がきっと楽になれると思う。
いっそのこと都合よく記憶喪失にでもなってくれないかなぁとか考えてしまう程、私は追い詰められている。
……うん、ネプ子達が暴走したとしてもきっとミモザが止めてくれるわよね。
他力本願とか無責任だとは思うけど、ナナハのおかげで落ち着けたとは言ってもネプ子達に会うのは辛い。
正直、どんな顔で会えばいいのか分からない。
事情も話せないし、ずっと黙ったまま気まずい思いをさせるなら、このまま本当に別れてしまった方がお互いのためよね。
「ねえ、ナナハ」
「何? やっぱり、体調が悪いの? だったら、今から病院に……」
「そうじゃなくてさ。アンタは聞かないの?」
我ながら具体性に欠ける問いかけだと言う自覚はある。
でも、ナナハはそれでも通じたらしく、私の目を真っ直ぐに見つめて口を開く。
「無理には聞かないよ。誰だって言いたくないことや秘密にしたいことはあると思っているし」
「……そっか」
あくまで私が話すのを待つと言っているナナハから目を背け、私はまた夜空を見上げた。
俯いてしまったら、また涙がこぼれそうだと思ったからである。
……ただのお人好しかと思ったけど、随分ときついことも言えるのね。
泣いていた理由を無理やり聞きだそうとしたり、しつこいくらいに心配される方がずっと楽だった。
でも、ナナハはそんな私の“仕方なく”の逃げ道を潰したんだ。
「私も昔ね、ずっと誰にも言えない秘密があったんだ。家族や親友、好きになった人にすら絶対に知られたくなかったし、言うつもりもなかった秘密をずっと抱えて生きていた。その秘密は結局バレて皆に知られちゃったんだけど、その時好きになった人と親友が何も言えなかった私を信じて待っていてくれたんだ――だから、私もアイエフが話してくれるまで待っているよ。あっ、でも話したくないなら、それでもいいんだけどね」
チラリとナナハの方を見ると、困ったように笑みを浮かべていた。
そんなナナハの顔を見て、また目頭に熱がこもってくる。
参ったなぁ、本当にナナハは厳しいことしか言わないのね。
ここで逃げ道なんて用意されても、絶対に選べないわよ。
本当のことを話す勇気が持てない私には眩しすぎて真っ直ぐ見れないわ。
「……あのさ、どうしてそこまで私に構うの?」
涙が浮かび上がってきた瞼を見られないように手で覆いながら、私はナナハへと尋ねた。
捻くれた質問だとは分かっていても、聞かずにはいられなかったのである。
「――女の子を助けるのに理由なんていらない、ってね」
「えっ……」
「ふふっ、まあ私の場合はある人からの受け売りなんだけどね」
無駄にキリッとした低い声で答えられ、思わず驚いてしまった。
すぐに元の声色に戻して笑うナナハには悪いけど、心臓に悪い不意打ちはやめて欲しかった。
女の子相手に不覚にも胸をドキッと高鳴らせてしまうなんて思わなかった。
「私も昔、今のアイエフみたいな質問をある人にぶつけたことがあったんだ。そうしたら、そんな答えが返って来てさ、正直何を言っているんだって思ったよ」
……うん、その気持ちは痛いほど分かるわ。
実際、今の私も同じ気持ちだもの。
「あの時の私は自分の殻に閉じこもっていて、その人が私を馬鹿にしているんだと思っていた。その人、女装していたし」
「ブッ!?」
「それもひと目で男だって丸わかりの女装でね。最初はその人のことが変態としか思えなかったもの」
ナナハの思い出にケチをつけるつもりはなかったが、噴き出してしまったのは仕方のないことだと思う。
さすがに女装した男からさっきの言葉を聞かされたら、私でも馬鹿にされているとしか思えない。
「でも、その人のおかげで私は少しだけ素直になれたんだ。周りの全部から逃げて縮こまっていた私に手を差し伸べてくれて立ち上がらせてくれた。キラキラ光る輝きを見せてくれたんだ」
「変態だと思っていたのに?」
「格好とかは関係ないよ。酷いことを言ったり、逃げたりした私に何度もその人は手を差し伸べてくれた。そんな真っ直ぐな姿が私を救ってくれたんだ」
……あれ、ナナハの声が少しだけ熱っぽくなっているような気がするわ。
もしかして、ナナハってその女装男のことが好きなの?
「だから、今度は救われた私の番かなって思うんだ。アイエフは今、自分のことなんて誰も理解してくれないとか思ってない?」
「っ、な、なんで……っ!?」
図星を指されて私は慌ててしまう。
驚きすぎて腰が浮かび上がり、ベンチから滑って倒れそうになる。
でも、私が後頭部をベンチの背もたれにぶつける前にナナハが体を支えてくれた。
「おっと、そんなに慌てなくてもいいと思うんだけど」
「そ、それはアンタが変なことを言うからでしょうが!?」
「別に変なことを言ったつもりはないよ。ただ何となくそうなんじゃないかなって思っただけだし」
お礼の代わりに口から出たのはナナハへの文句だった。
しかし、私の怒声をナナハは無視して不思議そうに首を傾げる。
鋭いのか天然なのかは分からないけど、私のことを驚かせるのはやめて欲しいと思う。
「後は、私も似たような感じだったからかな――泣いているアイエフを見てさ、昔の私にそっくりだと思ったんだよ」
「……何よ、それ。結局、アンタは私を憐れでいたってことじゃない」
「違うよ。私はアイエフに気付いてもらいたいんだ」
急に気持ちが冷たくなったような気がした。
ナナハが上から目線で説教をしているようにしか思えなくなったからである。
でも、ナナハはそんな私の考えを否定して意味の分からないことを言う。
「アイエフはさ、今大切だって思える人がいる?」
「……いないわよ」
「だったら、身近な人でもいいから思い出して欲しいんだ。その人達の顔、声、一緒に過ごした思い出とかを」
そんなことをナナハに言われて、私が最初に思い浮かべたのはネプ子達のことだった。
ネプ子、コンパ、夢人、ネプギア、ミモザ、シン、プルルート、ロム、ピーシェ……リーンボックスに一緒に来たアイツらの顔が頭の中に浮かんでくる。
――馬鹿騒ぎをする馬鹿2人組のネプ子とRED。
――実を結ぶことのない努力を必死に続けていた夢人。
――天然でいつも笑っているコンパとプルルート。
――よく分からないことが多い記憶喪失のネプギア。
――メンバーの中では比較的まともなシン。
――体力がないくせにアグレッシブなお嬢様のミモザ。
――対照的なちびっこ2人組のロムとピーシェ。
「アイエフはその人達のこと、好き?」
「……分からない」
「一緒にいるのは嫌だった?」
「……別に」
「その人達はアイエフのことをどう思っていたと思う?」
繰り返されるナナハからの問いかけに、私は段々口数が少なくなっていった。
遂には無言になり、瞳を閉じてしまう。
……私とアイツらの関係って、結局何だったんだろう?
一緒に鍵の欠片を探す仲間?
偶然出会って同じ面倒事に巻き込まれたから情が湧いただけの知り合い?
それとも、私が一方的に負い目を感じているだけの他人だったのかも……
「――ワッ!!」
「ひゃあっ!? な、何すんのよ!?」
物思いに耽っていると、急にナナハが耳元で大声を出してきた。
自分が投げかけてきた質問で悩んでいるのに悪戯をしてくるミモザに怒りがわき、私はキッと睨みつける。
すると、ミモザは柔らかく頬を緩めて口を開く。
「ちょっと難しく考えすぎていたみたいだからね。眉間がこうギューってなってたし」
わざと眉間にしわを寄せて私の顔を真似たつもりでいるナナハに、私は怒りを通り越して呆れてしまう。
悪戯はともかく、気遣ってくれたことは事実なのだから。
しかし、ナナハはいまいちペースの取り辛い子だと思う。
「うーん、じゃあ質問をちょっと変えるね――その人達はアイエフのことを嫌いになると思う?」
「それは……」
ナナハの問いかけに、私は口ごもり答えを出せない。
別に予想がつかないわけじゃない。
むしろ、ネプ子達ならどう思うのかなんて嫌でも分かってしまう。
でも、私はそれを口に出せない。
はっきりとした自信はないし、もしかしたら私が都合よく考えすぎているのかもしれないと思っているからだ。
だって、私は……
「――俺は嫌いにならないぞ!!」
「うひゃあっ!?」
私の葛藤を馬鹿にするかのように、犯罪者として捕まって協院長に逃がされたはずの夢人の声が聞こえてきた。
思わず変な声を出してベンチから立ち上がってしまった。
バッと声がした方を向くと、そこには真っ直ぐに私に向かって歩いてくる夢人の姿がある。
「あ、アンタどうしてこんな所に……」
「悪い、ちょっと前からそこで話を聞かせてもらってた」
「そう言うことじゃなくて……」
「アイエフに何があったのかは分からないし、どうしてナナハとそんな話をしていたのかも分からない――けど、俺はアイエフを嫌わない。それだけは誓って言えるよ」
「っ!?」
心臓が飛び出るのではないかと思うくらい大きく跳ね上がった。
色々と言いたいことがあったはずなのに、迷いなく言い切った夢人の言葉で頭の中を真っ白にされてしまったのである。
「……あーもう、なんでこうもまた面倒くさい状況になっているんですか!? 私は無事にプラネテューヌに帰りたいだけだったのに!?」
「(´・ω・`)ドンマイ」
「元はと言えば、あなたがちょっとコンビニに行こうぜとか言ったのが原因じゃないですか!?」
「(´・ω・`)寄り道はジャスティス、きりっ」
知らない女性の声とらんらんの特徴的なニュアンスのコントが聞こえてくるが、私は夢人から目が離せないので確かめられない。
黙ったまま私も見つめ返すことしかできないでいると、夢人はニッと笑う。
「ネプテューヌ達だって、絶対にアイエフのことを嫌わないさ。皆アイエフのことが好きで、一緒に居たいって思っているから一緒にいるんだ」
そう夢人に言われ、私は俯いてしまった。
その答えは私が予想していたものとまったく同じだった。
――でも、私は素直にそれを喜べない。
それどころか、余計に胸がズキズキと痛みだす。
「……本当に嫌いにならない?」
「おう!」
――だから、もう私は耐えられなかった。
私のことを何にも知らないくせに自信満々に言い切る夢人に……
「アヴニールにアンタの剣を売ったのが私だとしても?」
――隠し事をしたままでいることが嫌だった。
と言う訳で、今回はここまで!
そう言えば、前作完結からもう1年経っているんですよね。
それなのに、まだこっちは遅々として進まない……くっ、リーンボックス編は今月中に終わらせたい(願望)。
それでは、 次回 「ありがとうと言われるわけがない」 をお楽しみに!