超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
連日投稿はストップしてしまいましたが、大きく間を空けないようにはしていきます。
それでは、 その女神、依頼する はじまります


その女神、依頼する

 ――ルウィー。

 女神ホワイトハート様が治めている大陸。

 他の大陸と違って季節の変化がなく、1年中雪と氷で覆われている大地。

 また魔法文化の発祥地とも言われ、他の大陸とは違う成長を続けているとか。

 

 ……まあ、こんな調べればすぐ分かることはどうでもいいんですけどね。

 

「わ、わわわ! なにこれ! すっごくつめたい!」

 

「おっ、ピー子ってば雪を見るのは初めてなの? ……なーんて、わたしも雪を見た記憶なんてないんだけど――へぶっ!?」

 

「あたった! ねぷてぬのまけ!」

 

 周りを見れば、ピーシェさんとネプテューヌさんが雪で戯れています。

 それにしてもピーシェさんは良い肩をお持ちのようですね。

 雪を投げるフォームやスピードなんて、とても初めてとは思えませんよ。

 

「アハハハ! なんかネプテューヌの頭にタンコブができてるみた――いぼっ!?」

 

「ふふーん、勝負はもう始まっているんだよ、REDくん。そんなに余裕ぶっててもいいのかな?」

 

「や、やったなー!? なら、今度はアタシのを喰らえー!」

 

 どう考えても笑われた腹いせにしか見えませんでしたが、ネプテューヌさんはREDさんも雪合戦に巻き込もつもりのようです。

 素早く雪玉を作って投げるREDさんでしたが、ネプテューヌさんはそれを軽々と避けてしまいます。

 

「甘い甘い。そんな遅い玉に当たるわたしじゃないもんね。ほらほら、こっちもどんどん行くよ!」

 

「えっ、ちょっ、まっ――ぶっ!?」

 

 どうやら勝負はネプテューヌさんの勝ちのようですね。

 雪玉を避けつつ、またREDさんの顔面に直撃させてます。

 

「ど、どうしてアタシの攻撃は当たらないのにネプテューヌの攻撃は当たるの!? アタシとネプテューヌ、いったい何が違うって言うの!?」

 

「まあ、これが実力の差ってやつだよね。わたし、これでも主じ――ごうっ!?」

 

「あぶっ!?」

 

「やったー!! ぴいのかちー!!」

 

 ……本当の勝者は漁夫の利を狙っていたピーシェさんでしたか。

 ドヤ顔のネプテューヌさんの横っ面に向かって思いっきり投げてましたからね。

 ついでと言わんばかりにREDさんの方にも投げてましたし。

 

「おい、そこの3人。遊ぶのはいいが、風邪を引いても……」

 

「まだ終わってないよ! それっ!」

 

「アタシだって今度こそ!」

 

「ほいっと」

 

「――っぐ!?」

 

『あっ……』

 

 3人を注意しようとしたMAGES.さんに悲劇が襲いかかりました。

 ピーシェさんに向けて投げられた雪玉が2つともMAGES.さんの顔に直撃してしまったのです。

 ネプテューヌさんとREDさんもさすがにヤバいと感じたらしく、冷や汗を垂らして頬をひくつかせています。

 

「……なるほど。貴様らは少し頭を冷やした方がよさそうだな。よし、分かった。私も少し遊ばせてもらおうじゃないか」

 

 そう言いながら杖を構えだすMAGES.さん。

 つまり、魔法を使った雪合戦の始まりですね! ……って、そんなの分かりたくなかったんですけど!?

 

「ま、待って!? 落ち着いてMAGES.!?」

 

「そうだよ!? ほら、遊びなら杖なんか捨ててさ!? 正々堂々と戦おうよ!?」

 

「生憎私の地元の雪合戦では魔法を使って雪玉を作るのが主流でな。安心しろ、力加減を間違えたりはせんさ」

 

『地元ルールって怖い!?』

 

 比喩表現でなく、MAGES.さんの周りが冷たさを増していくのを見て、ネプテューヌさんもREDさんも慌てて宥めようとしました。

 しかし、MAGES.さんは綺麗な笑顔を浮かべるだけ。

 風前の灯同然となったネプテューヌさんとREDさんは互いに抱き合いながら顔を青ざめています。

 

「さあ、行く――ぶっ!?」

 

「えへへ~、めーちゃん討ち取ったり~」

 

「油断大敵(ぶい)」

 

 そんなMAGES.さんの凶行を阻止したのは、プルルートさんとロムさんでした。

 

「ぷるるともロムもすごい! よーし、ぴいもまけないもん! それそれそれっ!!」

 

「わわっ!? こっちに投げないでくださいですぅ!?」

 

「まったく、雪玉をぶつけ合って何が楽しいの――がぶっ!?」

 

「ミモちゃん!?」

 

「あ、あはは、皆寒いのに元気だね」

 

 どんどん広がる雪合戦の輪と名付ければいいんでしょうかね。

 遂にはコンパさんとミモザさん、シンさんまで標的になっていますよ。

 もう参加していない人の方が少なくなっています。

 

「あらあら、ピーシェちゃんもロムちゃんもあんなにはしゃいじゃって」

 

「グリーンハート様は参加されないんですか?」

 

「わたくしは遠慮させて頂きますわ。だって、服が濡れてしまいますもの。そう言うデンゲキコさんはどうなのですか?」

 

「私は記録係ですので背景に徹しますよ」

 

 隣で優雅にほほ笑むグリーンハート様に、私は首から下げたカメラを見せました。

 実はこのカメラ、この前のリーンボックスの記事を書いた時に貰った臨時ボーナスと貯金を崩して買った最新機種なのです。

 そのお値段、給料3カ月分!!

 高かったですが、それに見合った性能に私は毎晩カメラを頬ずりしてしまう程に幸せを感じています。

 

 ――さて、そろそろどうして私デンゲキコがネプテューヌさん達と一緒にルウィーに来ているのかを説明しましょう。

 ズバリ、ルウィーで起こっている事件の記事を書くためですよ!

 1時期ルウィーへの渡航が全面不通になったのは記憶に新しいですよね。

 しかし、その理由は未だ公表されていないのです!

 私はこれに特ダ――ゲフンゲフン!? 事件の臭いを感じたのです!

 だから、私はちょうどルウィーへ出向くと言うネプテューヌさん達に同行したと言うわけですね。

 

「ミモザもあんなに楽しそうに……ふふ、本当によかったですわ」

 

 まあ、今回は危険なことに巻き込まれることもないでしょう。

 何故なら、リーンボックスの女神グリーンハート様が同行してくださっているのですから。

 もしも、グリーンハート様を巻き込んだ事件が起きたら、それこそ国同士の争いになってしまいますからね。

 そんな馬鹿な真似を同じ女神であるホワイトハート様がするわけありませんもの。

 

 ――と言うわけで、今回は安全に取材を続けられそうです!

 いやもう、プラネテューヌに戻って来てからはもう会うこともないと思っていましたが、まさかすぐにこうして一緒にルウィーへ渡るなんて考えもしませんでしたよ。

 皆さん、荒事は頼みましたよ!!

 私は安全な位置から皆さんの活躍を記録しておきますので!!

 

「夢人さんはやらないんですか?」

 

「まあ、俺が行ったら集中砲火を浴びる未来しか見えないからな」

 

「ふふ、そうかもしれませんね」

 

「えっ!? その反応はちょっと傷つくんだけど!?」

 

 グリーンハート様以外の外野の声にもアンテナを伸ばす私ってば、本当に記者の鑑なんじゃないですかね。

 ……決して盗み聞きじゃありませんから。

 やましい気持ちなんてこれっぽっちもありませんから。

 

「ごめんなさい。でも、夢人さんならそうなっちゃうかもって私も思っちゃって」

 

「……どうしよう、自分でもそう思っていたわけだし何も反論できない」

 

「気にしなくても大丈夫ですよ。それよりも……」

 

「うん? ――あっ」

 

 そちらの方へ顔を向けると、別次元の空気が漂っていました。

 あの人達、イチャイチャで雪を溶かそうとしているのですか?

 ネプギアさん、御波さんの腕に抱きついてますし。

 

「夢人さんの腕、すごく温かいです……でも、気付かないなんて酷いです。ずっと寒かったんですから」

 

「い、いやでも、ネプテューヌ達もいるからさ……その……」

 

「つーん」

 

「……ごめんなさい」

 

「はい、許してあげます」

 

 直接話したことはありませんでしたが、ネプギアさんってあんな人だったんですね。

 あんなに御波さんに甘えちゃって――ムムッ、もしやあの2人はそう言う関係なのでは?

 あっ、いえ、これは別にゴシップとかそう言う記事にしようとかじゃなくて個人的な知的探究心的な物ですよ?

 決してリア充爆発しろとか野次を飛ばす気もありませんから。

 

「――くしゅんっ」

 

「寒いのか、ナナハ?」

 

「う、うん、ちょっとね……」

 

 甘ったるい雰囲気を撒き散らしていた2人でしたが、周りが見えていないわけじゃないみたいです。

 近くでくしゃみをしたナナハさんを、御波さんが心配そうにしています。

 でも、ナナハさんの顔はどこかぎこちないように思えます。

 

「だったら、ほら」

 

「え? い、いいよ。夢人も寒いでしょ?」

 

「俺は大丈夫だって」

 

「あっ……」

 

 腕を擦っていたナナハさんに、御波さんが自分が着ていたコートを脱いで渡そうとしました。

 受け取ろうとしないナナハさんを見て、御波さんは苦笑しながらコートを羽織らせます。

 

「顔色も悪いし、しっかり温かくしておけよ。それに辛くなったら、すぐに言えよ」

 

「……私、そこまで子どもじゃないよ。体調管理ぐらい、しっかりしているから」

 

「それでも心配なんだよ。いいからそれは着とけって」

 

「……ありがとう」

 

 驚いて目を丸くしていたナナハさんでしたが、終始御波さんと目を合わせることなく離れて行きました。

 あれは明らかに御波さんを避けてますね。

 気にはなりますが、さすがにプライベート過ぎて突っ込めなさそうです。

 

「そりゃっ!!」

 

「ぬおわっ!? な、何をするんですか!?」

 

「ボーっとしている方が悪いんだよ。ほらほら、行くよ!!」

 

 背景に徹していたはずの私に、ネプテューヌさんは雪玉を投げつけてきました。

 危うく当たりそうになったのを避けることはできたのですが、ネプテューヌさんは私を休ませてくれません。

 

「おっ、デンゲキコちゃんも参戦? だったら、アタシからもプレゼント!!」

 

「ぴいもぷれぜんと!!」

 

「全然嬉しくありませんから!? と言うより、取材中にカメラの存在に気付くことが御法度――んなっ!? ぶっ!?」

 

 ネプテューヌさんのせいで目立ってしまい、REDさんもピーシェさんも私を標的にしてきます。

 雪の弾幕を華麗に避け続けられればカッコよかったのですが、私は足を滑らせてしまう。

 カメラだけは死守しようと体を捻った結果、見事に顔が雪に埋まりましたよ。

 

「チャーンス! 狙い撃つぜー!!」

 

「ちょっ、やめて!? カメラだけはカメラだけは!?」

 

「あれ? ひょっとして防水耐性がない感じ?」

 

 集中砲火を浴びる前にガバッと顔を上げてカメラの存在をアピールすることに成功しました。

 すると、ネプテューヌさんは雪玉を投げる手を止めてくれました。

 私は必死に頭を上下に振ってカメラの安全を確保します。

 

「だったら、仕方ないね。遊んで壊れたら洒落にならないものね」

 

「ありがとうございます!! ありがとうございます!!」

 

 困ったように笑いながら理解を示してくれたネプテューヌさんに感激です。

 馬鹿っぽい感じがしましたけど、話してみると意外とまともだと思ったのは間違いなかったんですね。

 分かり合うって素晴らしい。

 

「こっちこそ、ごめんね。それじゃ、私達はもう少し離れて……」

 

「――フハハハハハ!! 我が氷雪の魔術から逃げられると思うな!!」

 

「……えっ?」

 

 いつの間にか周りが薄暗くなっていました。

 因みに今は昼間で、太陽が雲に隠れたとかそう言うオチじゃありません。

 

 ――ネプテューヌさん達3人と私の真上に巨大な雪玉が現れただけですから。

 

 雪玉を作った犯人は暴走しているMAGES.さんのようですね。

 ですが、あまりに突然のことに唖然としてしまい、私の体は雪玉を見上げたまま動きません。

 隣にいたグリーンハート様は既に退避済みのようです。

 すると、何故か頭の中で新しいカメラを買ってから今日までの思い出が浮かんでは消えていきます。

 

 ……あれ、これって走馬灯?

 そんなことを考えていると、全身に冷たさと痛みを感じながら目の前が真っ暗になってしまいました。

 カメラ? 守れるわけないじゃないですかぁ……

 

 

*     *     *

 

 

「ようこそ、ルウィーへ……と言っても、あなた達だけなのね」

 

 ホワイトハートは露骨にため息をつく。

 その理由は目の前にいる夢人達である。

 

「まさか、雪合戦で濡れた服を乾かすために教会を使われる日が来るとは思わなかったわ」

 

「……え、えっと、本当にすいません」

 

 現在、ホワイトハートと面会しているのは雪合戦に参加していないメンバーだけなのである。

 つまり、夢人とネプギア、ベールとナナハの4人しかいない。

 皮肉を言うホワイトハートに言い訳をすることもできず、夢人は申し訳なく頭を下げることしかできなかった。

 そんな夢人を見て、ホワイトハートは疲れたように背もたれへと体を傾ける。

 

「まあ、いいわ。うるさいのがいない方が話もしやすいでしょうし、かえって好都合なのかもしれないわね」

 

 緩んでしまった空気を引き締めようと、ホワイトハートは曲がっていた背筋をピンと伸ばす。

 

「ようこそ、ルウィーへ。わたしがこの国の女神ホワイトハートよ。あなた達が来るのを待っていたわ」

 

「どう言う風の吹きまわしですか? わたくしを歓迎すると、本気で仰っていますの?」

 

「……今はそうも言ってられないのよ」

 

 自分の訪問が好意的に受け取られると思わなかったベールがきつく目を細めた。

 他国の女神が教会を訪問してくる――1歩間違えれば、喧嘩を売りに来たと言われても仕方のない行為のはずだった。

 しかし、表情を険しくさせるホワイトハートにはベールの訪問を許容した理由があった。

 

「単刀直入に言うわ――お願い、わたしにあなた達の力を貸してちょうだい」

 

 椅子に座ったままとはいえ、女神であるホワイトハートが頭を下げる姿に夢人達は驚いた。

 

「今現在、ルウィーはあなた達も知っている『魔王派』の被害が拡散しているわ。わたしも何とかしたいと思っているけど、厄介な問題があって動くに動けないのよ。だから……」

 

「――ちょっと待ちなさい。あなた、自分の仰っていることを本当に分かっていますの? そもそも、どうしてそんなことをわたくし達に頼むのかしら?」

 

 ベールの言葉には棘があった。

 互いに守護女神戦争で争っていた仲なのだ。

 簡単に協力を要請してくるホワイトハートを疑ってしまうのも無理はない。

 

「酷い言い草ね。わたしは正気よ。それに、あなた達を頼ろうと思ったのはコンベルサシオンから話を聞いたからよ」

 

「コンベルサシオンさんから?」

 

「ええ――御波夢人、でよかったかしら?」

 

「は、はい」

 

 眉をひそめるベールとは対照的に、ホワイトハートは疲れたように肩を落とす。

 知っている名前が出たことで聞き返した夢人に、ホワイトハートは話しかける。

 

「あなたにはずっとお礼を言いたかったのよ。ありがとう。あなたのおかげでゲイムギョウ界中に『魔王派』の危険性を広めることができたわ」

 

「いや、お礼なんて……」

 

「謙遜する必要ないわ。あなたがやったことは十分意味のある行為よ。これで『魔王派』も動き辛くなったでしょうし――でも、そのせいであなたに余計なものまで背負わせてしまったわ。ごめんなさい」

 

「き、気にしないでください!? あ、アレは本当に俺が勝手にやったことなんですから!?」

 

 ホワイトハートからの称賛と謝罪に、夢人は落ち着かない気分だった。

 リーンボックスの事件で『魔王派』を広めたことは、あくまでミモザとイヴォワールを助けようとしたことの副産物にすぎないと夢人は考えている。

 だから、ホワイトハートの真摯な態度が伝わってくる度にくすぐったく感じてしまうのだ。

 

「そう。でも、女神として……いえ、わたし個人もあなたに感謝しているのよ。本当にありがとう」

 

「い、いやぁ、その――いっ!?」

 

 ホワイトハートの花が綻ぶかのような笑みと感謝を伝えられ、夢人の頬が朱に染まった。

 だが、すぐに頬を引きつらせてしまう。

 二の腕の辺りから鋭い痛みを感じたからだ。

 顔を向けると、そこには不機嫌なネプギアが夢人の腕をつねっていた。

 

「……デレデレし過ぎじゃないんですか?」

 

「そ、そんなことないって」

 

「本当ですか?」

 

「本当だって」

 

 弁解する夢人であったが、ネプギアの反応は悪い。

 最初に声が上ずったのがいけなかったのかもしれない。

 そんな夢人達を見て、ホワイトハートはクスリと笑みをこぼす。

 

「あなたも隅に置けないのね。そんなに可愛らしい彼女がいるなんて」

 

「えっ!? ま、まあ、その……はい。俺にはもったいないくらいの彼女で……」

 

「夢人さん……!」

 

 からかうようなホワイトハートの発言に戸惑い顔を赤くしつつも、夢人ははっきりとネプギアとの交際を認めた。

 不貞腐れた様子から、ネプギアはパアッと顔を明るくさせる。

 ……だが、それを聞いていたナナハの表情にも変化があったことに誰も気付かなかった。

 

「惚気られちゃったわね。これ以上は野暮になりそうだから話を戻すけど――そうね。あなたが問題視していることはちゃんと理解しているわ。でも、わたしは自分のことよりも国民の安全を優先したい。だから、あなた達の力を貸して欲しいのよ」

 

「……まずは話を聞かせてもらえますか?」

 

 国民のことを引き合いに出され、ベールはホワイトハートの言葉を強く否定もできなくなってしまった。

 女神として自分も国民の安全を優先すると言う気持ちは十分理解できるからである。

 

「ありがとう。実はルウィーで活動をしている『魔王派』の中に、どうにもわたしの偽物がいるらしいのよ」

 

「それはコンベルサシオンさんの話に出てきた女神を騙っていると言う……」

 

「ええ、そうよ。厄介なことに、その偽物が周りの人達を巻き込んで街1つを支配してしまったのよ。自分こそが本物であり、自分達の行動はわたしに乗っ取られた教会を取り戻すためのレジスタンス活動だって言い張っているらしいの」

 

「それはまた……分かりやすい大義名分を手に入れましたわね」

 

 額を押さえるホワイトハートの苦悩はベールも共感できる。

 自分の名前を勝手に使われて面白いわけがない。

 ましてやベールから見て、ホワイトハートは他の女神達よりも女神としての誇りを大事にしていたように思えた。

 だからこそ、その偽物が許せず、自分が動けない状況が悔しくて頭が痛いのだろうと推測する。

 

「わたしが自分で偽物を退治しに行くことはできない。そんなことをしてしまったら、今以上の混乱がルウィー全土で起こり……最悪、国がわたしと偽物を信仰する人達で2つに割れてしまう」

 

「だから、被害を少なくするためにわたくし達が偽物を退治する、と? ですが、それではクーデターに加担人達はどうするつもりですか?」

 

「当然、わたし自身で説明するわ。大事なのはレジスタンスにいるわたしが偽物だと言うことをルウィー全土に広めないようにすることよ」

 

 人の口に戸は立てられないように、ホワイトハートが偽物と相対してしまえば、その噂は爆発的にルウィーを駆け巡るだろう。

 なにせ、対象は自分達が信仰する女神なのだ。

 そんなことが起これば、ルウィー全土に不安が広がってしまうのは自明の理である。

 だからこそ、ホワイトハートは自分で偽物を退治できない。

 

「だから、あなた達にお願いしたいのよ。偽物を退治して、レジスタンスに加担した人達を救って欲しいの」

 

 再び頭を下げて頼み込むホワイトハートを前にして、夢人達は互いに顔を見合わせた。

 初めに頷いたのは夢人だった。

 そんな予想通りの反応に苦笑しながら、ベールはホワイトハートへと顔を戻した。

 

「分かりましたわ。『魔王派』のことは他人事ではありませんし、わたくし達であなたの偽物を退治して参りますわ」

 

「ありがとう。とても心強いわ」

 

 ホワイトハートから差し伸べられた手を、ベールは握り返した。

 守護女神戦争で争ってきた相手と穏やかに握手を交わす現状に、ベールは不意におかしさが込み上げてくる。

 それはホワイトハートも同じだったかもしれない。

 2人とも、口元が軽く緩んでいたのであった。




と言う訳で、今回は以上!
次回は久しぶりにまともな戦闘シーンが入るかな?
とりあえず、どんどん話を進めていきましょう。
それでは、 次回 「その偽物、キレる」 をお楽しみに!
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