超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
今回、何回か書き直したせいで遅くなってしまいました。
とりあえず、久しぶりの戦闘シーンは難しかったです。
それでは、 その暴走、止めます はじまります


その暴走、止めます

 薄暗い森の中を甲高い音が響く。

 ネプテューヌの刀剣と少女の斧が交差した音である。

 女神化して一気に攻勢へと持っていこうとしたネプテューヌは……

 

「オラオラオラッ!!」

 

「ぐっ!?」

 

 未だ防戦一方で表情を険しくさせていた。

 刀剣も振るわれることなく、斧の攻撃を受け流すだけで精一杯の状態。

 対して、少女はネプテューヌに隙を与えないように果敢に攻め立てている。

 

(なんて馬鹿力!? このままじゃ……っ!?)

 

 刃を通して伝わってくる振動に顔をしかめつつも、何とか刀剣を手放さずに後ろへと退避し続けるネプテューヌ。

 だが、2人がいるのは森の中。

 後ろに下げた足が木の幹にぶつかってしまう。

 

「もらった!!」

 

 これ以上後ろに退避できないネプテューヌを前にして、少女は振り上げていた斧を斜めに斬り下ろす。

 手加減など一切感じさせない渾身の一撃であっただろう。

 証拠に、大木は綺麗な切り口を残して両断されてしまったのだから。

 

「チッ、またかよ!!」

 

 大木が倒れて大きな音がする中、少女は忌々しそうに舌打ちをする。

 その視線は既にネプテューヌを捉えていた。

 

「ハアアアァッ!!」

 

「おら――よっと!!」

 

「っ!?」

 

 咄嗟に上空へと逃げることで斧を回避したネプテューヌは少女を背後から奇襲するつもりであった。

 しかし、大木を両断した段階で少女は斧を振り回した遠心力を利用して振り返っていたのである。

 刀剣に向かってゴルフのスイングのように振り上げて斧をぶつけると、少女はそのまま力任せにネプテューヌを吹き飛ばす。

 刀剣こそ手放さなかったが、ネプテューヌは空中で無防備に体を晒してしまう。

 

「もう一丁ッ!!」

 

(っ、マズイ!?)

 

 自身の腹部へと迫る斧を見てからのネプテューヌの判断は早かった。

 空中でバランスを取ることをやめ、即座に刀剣を手放す。

 そして、バンザイのように伸ばしていた両手で地面へと着地すると、体を大きく回転させる。

 結果、斧を真横から蹴り飛ばして軌道を変更させることに成功したのである。

 

「なあっ!?」

 

 ブレイクダンスのような動きで自身の攻撃が防がれたことに驚いている少女の隙をつき、ネプテューヌは即座に地面に落した刀剣を拾い上げる。

 そのまま後ろへと距離を取り、刀剣を構え直す。

 だが、思うように指先に力がこめられず、眉をひそめてしまう。

 

(思ったよりも腕が痺れているみたいね。もう何回もあの馬鹿力を受けたら……)

 

 ネプテューヌは最悪の未来を想像して目を細める。

 刀剣の切っ先が震えそうになるのを必死に堪え、状況を打開するための方法を検討する。

 

「ったく、相変わらずしつこい奴だぜ。こっちはさっさと終わらせなきゃいけねえってのに」

 

「だったら、その用事を優先させてもいいんじゃないの? 今なら、わたしも見逃してあげてもいいわよ」

 

「ハッ、冗談じゃねえ。わたしがここでテメェを見逃すわけがねえだろ――今度こそ、きっちりトドメを刺してやるよ」

 

 少女の前に出した足に力が入ると同時に、ネプテューヌの体は自然と後ろへと体重を移動させていた。

 これから訪れるであろう衝撃……斧による連続攻撃を回避するための準備に入ったのである。

 

 ……ここまではっきりと優劣が別れてしまった原因は、2人が戦っている場所だろう。

 森の中と言う制限されたフィールドは少女に有利に働き、ネプテューヌを劣勢へと追い込んでいる。

 広い空間であったのなら、ネプテューヌは初動が遅くなってしまう斧を難なく避けられただろう。

 しかし、動くスペースが限られている森ではそう上手くいかない。

 避けようとしても動けないネプテューヌは仕方なく斧を受け流すことしかできなかったのである。

 

(後ろには限界がある。左右では避けきれない。上は……もう無理ね。だったら!)

 

 思考の末、ネプテューヌは1つの可能性に賭けた。

 圧倒的に不利なこの状況の流れを変えるために、意を決して刀剣を強く握り直す。

 

「ウオラアアァァッ!!」

 

 ぐるんと大きく斧を回転させて肩に担ぎ直すと、少女は真っ直ぐにネプテューヌへと突撃する。

 勢いとスピードを乗せた一撃。

 上へと避けられたとしても、すぐに追撃できるように警戒を怠らない。

 

 ――だが、警戒していたにも関わらず、少女はネプテューヌの姿を見失ってしまう。

 

(下、だと!?)

 

 ネプテューヌの選択した下への回避……スライディング気味に斧の下へと体を滑り込ませるなど、少女は予想もしていなかった。

 上を警戒するあまり、少女の顎は浮いてしまっている。

 さらに、巨大な斧が影になり、ネプテューヌの姿を少女の視界から完全に消してしまう。

 

「させ――ぶっ!?」

 

 瞬時に斧の軌道を変更しようとした少女であったが、急に目の前が真っ暗になって驚いた。

 顔に受けた衝撃と冷たさに、思わず体を仰け反らしてしまう。

 

(な、舐めた真似しやがって……!)

 

 少女は慌ててネプテューヌが移動した方向の真逆へと飛んで体勢を整えようとする。

 自分に何が起こったのかを理解し、少女は苛立ちを隠さず顔に付着した雪を拭う。

 

 ――そう、ネプテューヌは避けた時、手のひらですくった雪を少女の顔へと投げていたのである。

 顔に投げた理由が避けるための時間稼ぎだけじゃないことぐらい、少女にも分かっていた。

 

「でえええい!!」

 

「っ、させっかよ!?」

 

 だからこそ、少女は正面から向かってくるネプテューヌに反応できた。

 自身の劣勢を打開するために、ネプテューヌなら絶対にチャンスを見逃すわけがないと確信していたからである。

 

「セイッ!!」

 

「――なにっ!?」

 

 しかし、刀剣と斧がぶつかり合って拮抗することはなかった。

 迎撃のために振るった斧を、ネプテューヌが押し出すように刀剣で引っ張ったからである。

 当然、少女は斧に引かれて体勢を崩し、ネプテューヌは無理に体を捻ったことで回転してしまう。

 

 ――つまり、ネプテューヌは完全に少女の背後を取ったのである。

 そのまま刀剣を振り下ろせば、ネプテューヌの形勢逆転が決まる。

 自身のプロセッサユニットに似た物体が少女の背中にあろうとも、ネプテューヌには関係ない。

 峰へと返した刀剣を少女の首へと叩きこもうとする。

 

「なっめんな!!」

 

「っ、嘘!?」

 

 しかし、そこで終わるような少女でもなかった。

 体を捻ることにより、機械的な翼で刀剣を弾いたのである。

 そのまま肩口から前転をするように丸くなって距離を取る少女を見て、チャンスを潰されたネプテューヌは顔を歪める。

 

(迂闊だったわ。あの翼みたいなのがある限り、背後からの攻撃は効かない……そうなると、やっぱり正面からしか……)

 

(あっぶねえ。何とか避けられたが……マズイな)

 

 焦りを感じていたのは少女も同じであった。

 刀剣を弾いた翼の調子がおかしいことに気付いたのである。

 この違和感を抱えたままネプテューヌと正面から対峙するのは難しいと判断し、少女は戦法を変える。

 

(あんまり趣味じゃねえが、やるしかねえ!!)

 

 無言のまま少女が手を伸ばすと、水色の光る球が出現した。

 合計5つの野球ボールサイズの球が揃った途端、それらはネプテューヌへと牙をむく。

 

「くっ!?」

 

 飛来してくる球をネプテューヌは横に跳んで避けようとした。

 だが、球はネプテューヌの動きに合わせて軌道を修正する。

 自分を追ってくる5つの球から逃げながら、ネプテューヌは先ほどから動かない少女を観察する。

 少女はまるで指揮者のように伸ばした手を細かく動かしている。

 

(遠隔操作、ってことね。だったら、このまま……!)

 

 動かないのではなく、少女が動けないと判断したネプテューヌの決断は早かった。

 後ろから追ってくる球を無視して、少女へと一目散に突撃していく。

 

「――お返しだ」

 

 ボソッと少女が口にした言葉は聞き取れなかったが、ネプテューヌは猛烈な悪寒を感じた。

 だからと言って、今更自分の動きを止められない。

 漏れだした不安を振り切るように刀剣を……

 

「ガッ!?」

 

 ――手放してしまう。

 刀剣を振り下ろそうとした瞬間、ネプテューヌは頭の中が真っ白になってしまったのだ。

 何が起こったのかも分からない。

 気付けば、自分の顎が突き上げられたかのように上を向いていることしか理解できなかった。

 

「こう言う騙し討ちは好きじゃねえが、わたしもここで負けてやるわけにはいかねえんでな」

 

 少女は苦々しい表情で伸ばしていた腕をゆっくりと持ち上げ、指を閉じながら降ろす。

 すると、意識が遠のいていたネプテューヌに6度の衝撃が走る。

 

 ――そう、6回である。

 少女が造り出した球は6つあったのだ。

 ネプテューヌを追尾していたものとは別に、もう1つを自分の近くの雪の中に潜ませていたのである。

 元々雪に紛れて発見しづらい水色だったことに加え、早く決着をつけようと焦ったネプテューヌは最後の1つに気付かなかった。

 だから、真下から自分の顎を突き上げてきた球の奇襲に反応できなかったのである。

 

「恨むんなら、わざわざわたしの国までやって来たテメェの間抜けさを恨むんだな」

 

「う、うぅ、ぐぅ……」

 

 仰向けに倒れるネプテューヌの首元に、少女は斧を突き付けて言う。

 勝敗は明らかだった。

 プロセッサユニットをボロボロにされ、未だ意識が正常に戻っていないネプテューヌの負けだろう。

 立ち上がることすらできずに呻くだけのネプテューヌを見て、少女は斧を担ぎ直して目を細める。

 

「このままトドメ……といきたいところだが、テメェには知っていることを洗いざらい全部吐いてもらうぜ。女神が何の目的もなく他国に来るわけねえからな」

 

「あぐっ!?」

 

「まさか、テメェが黒幕か? だったら、容赦しねえぞ」

 

「うぅ、ぐっ!?」

 

 三つ編みにされたネプテューヌの髪を引っ張ると同時に、少女は腹を押さえつけるように踏みつけた。

 足を必死に退かそうとするネプテューヌに構わず、ぐりぐりと押し込んで抵抗を封じる。

 圧倒的に有利な状況においても、少女がネプテューヌを警戒しているからこそだろう。

 

「とにかく、これからテメェは大人しくわたしに……」

 

「――お、断、わりよっ!!」

 

「ぬおっ!?」

 

 再び雪を投げつけられた驚きで少女が注意を逸らした隙をつき、ネプテューヌは拘束を抜け出すことに成功した。

 しかし、事態は何ひとつ好転していない。

 

「ハア……ハア……ハア……」

 

 少女から離れられたまではよかったが、ネプテューヌはまともに立ち上がれずに膝立ちのままである。

 今にも途切れそうな呼吸を繰り返し、白い息を吐きだしている。

 そんな満身創痍と呼ぶに相応しいネプテューヌの姿を前にして、少女は呆れてため息をついてしまう。

 

「ったく、往生際が悪いにもほどがあるだろ。もうテメェの負けは確定してんだから、大人しく寝てろってんだ」

 

「まだ……終わってなんか……」

 

「あー、何でそうテメェはいつもいつも……」

 

 睨みつけようとしているのであろう弱々しいネプテューヌの視線を受け、少女は思わず額を押さえた。

 ネプテューヌの行動に苛立って始めた戦闘だったが、少女の頭は既に冷静さを取り戻していた。

 少女には今ここでネプテューヌにトドメを刺すよりも情報を聞きだす方が優先度が高い。

 だからこそ、戦うことをやめようとしないネプテューヌが面倒臭く感じてしまう。

 不本意であるものの長い付き合いの中で、ネプテューヌが絶対に引かないと少女は分かっていた。

 

「仕方ねえか。守護女神戦争の続き、ここで決着をつけてやるよ」

 

 だから、少女も諦めた。

 ネプテューヌから情報を聞きだすことを。

 

「ラッキーは2度も続かねえぞ――これで終わりだああああ!!」

 

 構え直した斧を振りかぶり、ネプテューヌへと向かっていく。

 自分を両断しようとする斧の刃が迫っているのを理解しながらも、ネプテューヌは動かない。

 頭は霞がかかったかのように鈍く、目の前の光景がまるでテレビの映像を見ているようだと錯覚してしまう。

 

(わたし……こんな所で……)

 

 走馬灯がネプテューヌの頭をよぎる。

 リーンボックスでのこと、ラステイションでのこと、プラネテューヌのこと――そして、白と黒と灰色がチラつく不鮮明な思い出。

 その中で、ネプテューヌはとある言葉を聞きとる。

 

『――ならば、貴様が女神になればいい。ゲイムギョウ界で唯一の女神に、な』

 

 誰から言われた言葉なのかはわからない。

 ノイズだらけの思い出の中で都合よく改変したものだったかもしれない。

 しかし、その言葉はネプテューヌの心に火を灯す。

 

「あああああああああッ!!」

 

「っ、何だ――って、アツッ!?」

 

 急に虚ろだった瞳に力が戻って叫び出すネプテューヌに驚くのも束の間、少女を白い煙が襲う。

 どこから噴き出したのかも分からなかった煙に触れ、少女は条件反射で後ろに跳び退く。

 

「おいおい、マジかよ」

 

 指先が膨れていることとネプテューヌを中心に噴き出している白い煙を見て、少女は冷や汗をかいてしまう。

 煙の正体が湯気であることにはすぐ気付けたが、それをネプテューヌが発生させていることが問題なのだ。

 ネプテューヌが周囲の雪を蒸発させるだけの力を残していたことが恐ろしいのである。

 ――しかし、それを目の当たりにしても少女の口元には笑みが浮かんでいた。

 

(ハハッ、そうだよな! テメェがそう簡単にやられるわけねえよな!)

 

 喜びとも興奮ともとれる感情が少女の胸に渦巻く。

 油断していた自分への情けなさやトドメをさせなかった悔しさはあるが、それ以上に少女はネプテューヌの抵抗を歓迎する。

 何故ならば、自分の敵は強大で――長い時の中を競ってきたのは間違いなんかじゃないと確信したからだ。

 

「ハアアアアアッ!!」

 

「っ、来い!!」

 

 湯気から飛び出し正面から突っ込んでくるネプテューヌを見て、少女は口角を吊り上げた。

 受けて立つと体で宣言するように、どっしりと構えたままネプテューヌを真っ直ぐ見据えている。

 対して、今のネプテューヌは無手だ。

 刀剣は少女の近くに転がっている。

 

(さあ、どう来る? 剣を拾うか? それとも……)

 

「セイッ!!」

 

「――へっ、読めてんだよ!!」

 

「っ、くっ!?」

 

 プロセッサユニットの浮遊能力を活かした空中での回し蹴り……それがネプテューヌの選択だった。

 だが、その動きは少女に読まれており、斧で防がれてしまう。

 そのまま足を押し返されてバランスを崩すも、ネプテューヌは諦めず握り拳を少女へと向ける。

 

「だから、そんなの当たるわけ――っ!?」

 

 今度も斧を横にずらして防げば終わるはずだった。

 そのまま押し切り、今度こそトドメをと考えていたはずだった。

 

 ……しかし、押し負けたのは少女の方だった。

 突然斧を持つ手にビリッと電気が流されたかのように痺れが走ったせいである。

 一瞬で握力が弱まり、少女はネプテューヌに押し負けてしまったのだ。

 

(自分の体に魔法だなんて……無茶苦茶なことしやがって……!)

 

 ネプテューヌの手から微かに稲光のような物が見え、少女は何が起こったのかを察する。

 斧を通じて電気を流されたのだと。

 気付いた途端、先ほどの湯気も同じように発生させていたのだと理解する。

 

「ふぅ、やっぱりちょっと痛いわね。でも、これでお互いに条件は一緒ね」

 

「……どう言う意味だ?」

 

「言い訳みたいに聞こえるかもしれないんだけど、さっきまで指先が冷たくて思うように戦えなかったのよ。でも、今のでわたしもあなたも腕は痺れている――ここからが本番よ」

 

 刀剣を拾い上げ、手のひらの感触を確かめながらネプテューヌは不敵に宣言した。

 あまりの言い草に呆気にとられた少女であったが、すぐに鼻を鳴らして好戦的な笑みを浮かべる。

 

「ふん、相変わらずムカつくことばっかり言いやがるぜ。何度やってもわたしが勝つに決まってんだろ」

 

「そう言うことはわたしを倒してから言いなさい。出来もしないことを口にしても、子どもの強がりにしか見えないわ」

 

「それはこっちの台詞だ――って、誰が子どもだ!? 自分が女神化して大きくなるからって馬鹿にしてんじゃねえ!?」

 

 怒鳴る少女だが、その姿に隙はない。

 相対するネプテューヌも同じで、互いに踏み込む機会を狙っている。

 ジリッと足で雪が動く音を最後に、2人の間を静寂が支配する。

 片時も逸らすことがないにらみ合いが続き――ドサッ、と木の上から雪が落ちる音が響く。

 瞬間、弾かれたかのように2人は同時に動きだす。

 刀剣と斧が再び激突……

 

「そこまでですわ!!」

 

『っ!?』

 

 ――するかのように思われたが、それを阻む存在が2人の間に姿を現した。

 それは先端が尖った木の幹のように見える。

 制止の声が聞こえてきた方へと顔を向ければ、そこには緑色の魔法陣から伸びている。

 その傍にいた緑色の髪の女性……女神化したベールはネプテューヌと少女へ厳しい目を向けたまま言う。

 

「お互いに武器を納めなさい!! これ以上の戦いは無意味ですわ!!」

 

「……テメェまでいるのは驚いたが、素直に従うわけねえだろ。いいぜ、2人ともまとめてぶっ飛ばしてやるよ」

 

「1人が2人になっても変わらないわ。わたしの邪魔をするのなら、あなたも一緒に倒すだけよ」

 

「っ、ネプテューヌまで!? あなたは何を考えているんですの!?」

 

 まさかネプテューヌまで戦いをやめようとしないことに、ベールは焦り出す。

 刀剣と斧を向けられている危機的状況に、ベールは槍を構えるしかなかった。

 

「何もおかしいことなんてないわ。わたし達は戦わなきゃいけない。女神はゲイムギョウ界に1人だけで……」

 

「ネプテューヌ!!」

 

「っ、お前は……」

 

 淡々としゃべるネプテューヌの声を遮ったのは遅れてやってきた夢人だった。

 だが、反応したのは少女の方であり、ネプテューヌは冷ややかな目で夢人を見つめている。

 

「お前は何を言っているんだよ!! 自分が何をしようとしているの分かっているのか!!」

 

「そんなこと、ゆっくんに言われなくても……ゆっ、くん? あれ、ゆっくんって……」

 

「ベールもブランも敵じゃない!! 戦わなくていいんだ!!」

 

「で、でも、2人を倒さなきゃわたしは――うぐっ!?」

 

「ネプテューヌ!?」

 

 夢人の登場でうろたえ出したネプテューヌの頭に鋭い痛みが走る。

 重く鈍い痛みに堪えられず、ネプテューヌは両手で頭を抱えて倒れそうになってしまう。

 間一髪夢人が受け止めたが、謎の頭痛は治まらない。

 

「大丈夫、大丈夫だ。2人は敵じゃないし、ネプテューヌはネプテューヌだ」

 

「わたしはわたし……」

 

「そうだ。馬鹿なことして騒ぐお前も今のお前も同じだ。だから、怖がらなくていいんだ」

 

「わたしは……」

 

 落ち着かせるようにネプテューヌを抱きしめて、夢人は言った。

 すると、ネプテューヌは次第に落ち着きを取り戻し、ゆっくりと全身から力を抜いていく。

 完全に夢人の胸に身を寄せて目を閉じると、女神化が解けてネプテューヌは眠ってしまう。

 

「も~、ゆっちゃんってば速すぎ……って、ねぷちゃん!? ど、どどどどうしたの!?」

 

「わわわわわ、たたたたた大変ですぅ!? す、すぐに治療しないと!?」

 

 寝息を立てるネプテューヌを見て夢人が安心していると、後ろから遅れてやって来たプルルートとコンパが騒ぎ出す。

 続々とこの場にいないシンを除く全員がネプテューヌと夢人を中心に集まっていく。

 

「……どう言う状況なんだ、こりゃ?」

 

 ポツリと状況についていけない少女が呟く。

 少なくとも、もう戦う気はないらしく構えていた斧を下ろしている。

 

 ――そんな中、1人が舌打ちをし、木の影に隠れていたもう1人がほくそ笑んでいたことは誰も知らない。




と言う訳で、今回はここまで!
明日発売になるアイエフ主役のゲーム、楽しみですよね。
先月にブランのゲームとGER買ったばかりで出費が痛いですが(・・;)
それでは、 次回 「そのメイド、スパイ」 をお楽しみに!
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