超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して   作:ホタチ丸

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はい、皆さんこんばんわ!
気がつけば、もう12月なんですね。
1年って本当にあっという間に過ぎていきますよね。
それでは、 そのメイド、スパイ はじまります


そのメイド、スパイ

 テキパキとネプテューヌを治療するコンパやその周りで心配そうにしている夢人達を見て、斧を持っていた少女は気まずそうに後ろ髪を掻く。

 ネプテューヌ達と戦いを続ける気分でなくなってしまったことはもちろん、状況についていけないのだ。

 

「おい、どうしてテメェやネプテューヌがルウィーにいるんだよ? 守護女神戦争の続きをしようって感じじゃなさそうだが……」

 

「その前に1つ確認させてくださいませんか? あなたは本当にわたくしの知っているホワイトハートなのですか?」

 

「はあ? 胸に栄養がいき過ぎて、遂に頭がおかしくなったか?」

 

「……そのわたくしの胸に絡めた毒舌、自分の胸が真っ平らなことをコンプレックスにしている本人で間違いなさそうですわね」

 

「誰が無乳だ!? 喧嘩売ってんのか、この無駄乳ホルスタインが!?」

 

 1人納得するベールと違い、少女は顔を真っ赤にして怒鳴った。

 緩んでいた手に力が戻り、ギリギリと斧を握りしめだす。

 

「あら、図星を指されて怒ってしまいましたか? でも、大きいのも意外と苦労が絶えないのですわよ。例えば、胸が重くて肩が凝ってしまったり……その点、あなたは肩凝りとは無念で羨ましい限りですわ」

 

「ざっけんな!! なに、これ見よがしに自慢してんだよ!!」

 

 わざとらしく胸を強調させてにやりと笑うベールに、少女の堪忍袋の緒が遂に切れてしまう。

 斧を構え、完全に戦闘態勢へと戻ってしまった。

 

「やっぱり、テメェはここでぶった切ってやる!! その胸抉って、へこませてやるよ!!」

 

「……やはり、こちらの方が本物っぽい反応ですわね。それでは、もしかして教会にいた方が……」

 

「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと構えろ!! それとも、黙って抉られるってのか!!」

 

 少女の反応を見て、ベールは眉間にしわを寄せた。

 だが、そんなこと少女には関係ない。

 いつまで経っても槍を構えようとしないベールに苛立ち、声を荒げ続けている。

 

「もういい、戦う気がないって言うなら……」

 

「――ま、待ってください、ブラン様!?」

 

 いい加減我慢の限界を超えそうになった少女が斧を振りかぶろうとした時、それを止める声が響いた。

 その人物は慌てていたのがひと目で分かるくらい頬を赤く染め、ハアハアと何度も白い息を吐き出している。

 いつもはピシッと着こなしているだろう赤いメイド服でさえも乱れており、辛そうな表情をしている。

 

「フィナンシェ? どうしてあなたがここに?」

 

「ま、間に合ってよかったぁ――って、全然間に合ってない!? あわわわわ!? だだだだ大丈夫なんですか!?」

 

「とりあえず、応急処置だけは出来たです。でも、手の火傷が酷くて……」

 

「でしたら、早く街に行きましょう!? そこなら、薬もちゃんとありますから!? さあ、早く!?」

 

「分かった!」

 

 少女が不思議そうに呼びかけるも、メイド服の少女――フィナンシェは傷だらけのネプテューヌを見て慌ててしまい、答える余裕がなかった。

 コンパに症状を聞くと、フィナンシェはすぐに移動しようと急かしだす。

 夢人はそれに短く答えると、ネプテューヌを背負ってフィナンシェの後ろを急いでついていく。

 

「話を聞けよ!? ……チッ、勝手に行っちまいやがって」

 

「まあまあ、そう言わずに。わたくし達も早く追いかけますわよ」

 

「……妙な真似をしたら、すぐにぶった切ってやるからな」

 

「はいはい、わかってますわ」

 

 続いてコンパ達も走り去ってしまい、残されたのはベールと少女だけだった。

 ベールの言葉に、少女は渋い顔で脅しながらも同意する。

 そう言って夢人達の向かった方へと向かう少女の背中を見ながら、ベールは困ったように笑みを浮かべて後を追うのであった。

 

 

*     *    *

 

 

「やれやれ、随分と馬鹿なことを考える奴もいるものだ」

 

 肩をすくめて息を吐く言葉とは裏腹に、シンの表情は冷ややかである。

 雪に紛れてよく分からなくなっているが、その足元には壊れてディスクの破片が散らばっている。

 

「これが彼女の指示……ってこともあり得ないこともないか。そろそろ、俺も切り捨てられるってことかな?」

 

「ぬら?」

 

「ああ、君は気にしなくてもいいよ」

 

 心配げに見上げてくるスライヌに、シンはフッと軽く笑みを見せた。

 

「それよりも、目の前の相手に集中した方がいいんじゃないかな?」

 

「――グルルルルッ」

 

 そう言ってシンが顎を向けた先には、牛のような頭を持つ人型のモンスター……牛鬼が唸り声を上げていた。

 しかし、その姿は既に満身創痍であり、体中の至るところから血が流れている。

 自慢の武器であった斧も刃の部分が砕けて無残な姿を晒している。

 

「ぬら!! ぬらぬら、ぬーらっ!!」

 

「ごめんごめん。君の強さは分かっているさ。でも、最後まで油断はしない方がいいってことだよ」

 

「ぬーらっ!!」

 

 急に怒り出すスライヌを、シンは苦笑しながら宥めようとした。

 それが癪に障ったらしく、スライヌは弾かれたように牛鬼へと向かっていく。

 

「ウガアアアアッ!!」

 

 突撃してくるスライヌに対して、当然牛鬼も黙っていない。

 巨体に見合った大きな手のひらをかざして、飛び込んでくるスライヌを鷲掴みにしようとする。

 

「ぬーら……っら!!」

 

「ウゴォッ!?」

 

 だが、牛鬼の手のひらをスライヌは器用に空中で交わした。

 そのまま伸びた腕を転がるように滑り、スライヌは牛鬼の顎を打ち上げるように体当たりをする。

 ぷるぷると柔らかいスライヌの体に見合わない威力があったらしく、牛鬼はそのまま仰向けに倒れてしまう。

 

「ぬら!! ぬららららら!! ぬら!!」

 

「ハイハイ、分かってたよ。君の方が強いってことぐらいね」

 

「ぬら!」

 

 倒れた牛鬼の腹の上で跳びはねながら叫ぶスライヌを見て、シンは穏やかな笑みを浮かべて称賛の言葉を送った。

 すると、満足したらしいスライヌも何度も頷く。

 

(……それにしても、“僕”達を襲うために用意したモンスターがあの程度なんてね。それとも、モンスターは陽動で本命は別にあったのかな?)

 

 シンは今の状況を冷静に考察してみた。

 

 ボッツの案内で夢人達と一緒に偽物のホワイトハートがいる街へと向かっていた途中、草むらの影でスライヌが自分を呼んでいることに気付いたシンは1人脇道に逸れてモンスター達と戦うはめになった。

 理由は夢人達を危険にさらさないためでは決してない。

 スライヌが持っていたディスクさえなければ、シンも1人で動くことはなかっただろう。

 

「まあ、どっちでもいいか。遅かれ早かれ、彼女も消さなくちゃいけないんだし」

 

 投げやりとも思える結論を口にしながら、シンは倒れている牛鬼を通り越し、その後ろにある木の根元にある雪を退かす。

 すると、雪の中から壊れていないディスクが姿を現す。

 

「おっ、やっぱりあった。それじゃ――バイバイ」

 

「ぬら!?」

 

 両手でディスクを拾い上げると、シンはそれを笑顔で真っ二つに折って割ってしまった。

 ディスクが壊れた瞬間、倒れていた牛鬼の姿も光の泡となって消失してしまう。

 牛鬼の上に乗っていたスライヌは急に足場がなくなったせいで驚きの声を上げている。

 

「さて、そろそろ俺も……」

 

「ぬらっ!!」

 

「――っと、何だ怒っているのかい?」

 

 これ以上の単独行動は怪しまれてしまうと思い、シンは夢人達の所に戻ろうとした。

 だが、振り返ると同時に胸元へと飛び込んできたスライヌに阻まれてしまう。

 優しく抱きしめたスライヌが腕の中で暴れる様子を見て、シンは穏やかに口元を緩める。

 

「そもそも、君がアレの上に乗っているのが悪かったんじゃないのかな? 俺としては、あんなものを1秒でもゲイムギョウ界に存在させたくなかったからね」

 

「ぬららら! ぬらっ!」

 

「……分かってるよ。あんな醜い紛い物を造った奴は、俺が必ず始末するさ」

 

 暴れているスライヌを宥めながらも、シンは牛鬼のいた場所を見続けていた。

 その瞳には隠しきれない怒りが込められている。

 腕の中にいるスライヌはそれが分かってしまい、悲しげに眉根を下げてしまうのであった。

 

 

*     *     *

 

 

「――やはり、彼女が本物のホワイトハートで間違いないのですね」

 

「はい、その通りです、グリーンハート様」

 

 確認を取るベールの言葉を、フィナンシェは肯定した。

 その視線は茶髪の少女――先ほどまで水色の髪をしていた少女へと注がれている。

 

 森を抜けて街に着いた夢人達は、少女とフィナンシェと互いの情報を交換し合った。

 フィナンシェが仲介役になったことにより、話し合いはすぐに終了した。

 それも一重に話を騒がしくするRED達がいないことも幸いしたのかもしれない。

 3人以外はネプテューヌに付いており、夢人達の代表としてベールだけが少女とフィナンシェと話をしていたのだ。

 

「そんなに偽物はわたしにそっくりなの?」

 

「ブラン様には失礼かもしれませんが、偽物の外見は瓜二つです。おそらく、ブラン様と付き合いの短い方ではどちらが本物かを判別することは難しいかと思われます」

 

「そう」

 

 フィナンシェが言い辛そうに答えると、少女――ブランは眉をひそめた。

 それまでが平然としていたように見えていたので、余計に不機嫌な表情を浮かべていることが分かる。

 

「わたくしも気付きませんでしたわ。こうして直接話していても、あなたと偽物の違いがまったくわかりませんもの。並ばれたら、本当に分からなくなりそうですわ」

 

「そこまでなの? 女神の目すら欺くなんて……」

 

「……まあ、単にわたくし達が戦い以外での交流がなかっただけかもしれませんけど」

 

 重く受け止めるブランに対して、ベールは困ったように眉根を下げた。

 フィナンシェの言葉が正しければ、ベールはブランを間違っても仕方ないと思っているのだから。

 

「そうね。わたしもあなた達のことなんて知ろうとも思わなかったわ。どうせ戦って倒さなきゃいけないと割り切っていたのかもしれないわね」

 

「仕方ありませんわ。守護女神戦争の勝者は1人だけ、どうすれば勝てるのかだけを考えるのが建設的ですもの」

 

 ブランとベールの視線が絡まり、無言で見つめ合う。

 ベールとは違い、ブランはこうして目の前で今まで戦ってきた相手と穏やかに会話をしていることにモヤモヤとした不思議な気持ちを抱いていた。

 その感情を上手く言葉に表せず、ブランはわざとらしく咳払いをする。

 

「んっ、それで話を戻すけど、あなた達はこれからどうするつもりかしら?」

 

「どうするつもり、とは?」

 

「決まっているじゃない。ルウィーの問題とあなた達は無関係よ。このまま国に帰るのか……それとも、偽物に味方してわたしを倒すつもり?」

 

 とぼけたように目をパチクリさせるベールを見て、ブランは目を鋭くさせて挑発した。

 返答次第ではすぐにでも女神化して戦闘を始めそうな様子である。

 

「少なくともあなたと敵対することだけはあり得ませんわ。偽物の問題はわたくし達も他人事ではありませんし、何より騙された借りを返さなくてはいけませんもの」

 

「魔王派、だったわよね。わたしの偽物を用意できるなんて、あなたの話以上に厄介で大きい組織なのかもしれないわね」

 

「ですから、ここは協力しませんか? それがお互いのためになりますし、よいと思うのですが?」

 

 協力を申し込んでくるベールの手を、ブランはすぐに掴むことができないでいた。

 難しい表情で俯き、ベールに顔を見られないように帽子で顔を隠してしまう。

 

「……少し、考えさせてちょうだい。確かにいい話かもしれないけど、わたしからして見れば偽物もあなた達も同じなのよ」

 

「無理もありませんわ。でも、しばらくはこの街に滞在させてもらっても構いませんわよね?」

 

「監視はさせてもらうわ。少しでも妙な真似をしたら……」

 

「分かってますわ。それでは話も終わりましたし、わたくしもネプテューヌの所へいかせて頂きますわ」

 

 そう言って退室するベールを見送り、ブランはどっぷりと椅子の背もたれへと体を預けた。

 しばらく無言の時間が流れるが、何も言わないブランを心配してフィナンシェが声をかける。

 

「ブラン様、本当によろしかったのですか?」

 

「……何のこと?」

 

「彼女達に手伝ってもらった方がよかったのではないですか?」

 

 フィナンシェの質問に、ブランは何も答えようとしない。

 しかし、その沈黙が何よりの答えだとフィナンシェは察する。

 

「分かりました。この件はブラン様の判断にお任せします」

 

「……ごめんなさい、わたしが優柔不断なせいであなたに迷惑ばかりかけてしまって」

 

「気にしないでください。私が好きでやっているだけですから」

 

 申し訳なさそうに謝ってくるブランを、フィナンシェは優しくほほ笑みながら見守る。

 その生温かい視線がくすぐったくなり、ブランはフィナンシェから顔を背けてしまう。

 

「ところで、教会の動きはどうなっているの?」

 

「はい、そちらの方は未だ目立った動きを見せていません。しかし、ラステイションから送られてくる兵器のことを考えますと、悠長にしている暇はあまりないと思います」

 

 話題を変えた途端、フィナンシェの顔が曇りだす。

 

「今はどうにか報告を誤魔化して数を減らしていますが、根本的な解決に至っていません。それにいつまで騙せるか分かりませんし……」

 

「本当に危ないことばかりさせてしまってるわね。あなたには感謝してもしきれないわ」

 

「ですから、気にしないでください。弱気になるなんて、ブラン様に似合いませんよ。ブラン様はどっしりと構えていてくださいませんと」

 

「……でも、これだけは言わせてちょうだい。ありがとう、フィナンシェ」

 

 互いに笑みをこぼし、2人の間を流れる空気が軽くなる。

 2人が本当に信頼し合っている証拠だろう。

 

「ふふっ、ブラン様がそう言って下さるからこそ、私も頑張れるんですよ。ラステイションの方はもう少し何とかしてみせます。ですが、もしもの時は頼りにさせてもらいますよ」

 

「ええ、任せてちょうだい。例え、どんな強力な兵器だとしても、わたしは負けないわ」

 

「とても心強いです。では、私もそろそろ教会に戻らせて頂きますね」

 

 いつまでも自分がここにいるのはマズイと、フィナンシェは偽物の目を欺くために教会へと戻ろうとする。

 フィナンシェにそんなことをさせてしまっていることを、ブランは不甲斐なく思って顔を俯かせてしまう。

 

「くれぐれも気をつけてちょうだい。危険だと判断したら、すぐにでも逃げて……」

 

「大丈夫ですよ。教会の中にもちゃんと私の味方になってくれる人がいますし、上手くすれば偽物を追いだすことが出来るかもしれませんから」

 

「……それでも、よ。あなたが1番に優先することは自分の身を守ることよ。これ以上、危険な真似をする必要はないわ」

 

 強がりとも取れるフィナンシェの軽口を、ブランはきつく戒める。

 言葉は厳しいかもしれないが、それはフィナンシェの身を案じるブランの気遣いだ。

 そんなブランの気持ちを正確に汲み取り、フィナンシェは頬を緩める。

 

「ありがとうございます。では、出来る範囲で活動を続けていきますね」

 

「そうしてちょうだい」

 

「はい……それと、最後にブラン様のお耳に入れておきたいことがあります」

 

 2人しかいない部屋なのにも関わらず、フィナンシェは周りを確認してからブランの耳へと口を近づける。

 余程重要な話なのだと、ブランは表情を険しくさせて耳に全神経を集中させる。

 

「――あのボッツと言う人を信じてはいけません。彼は間違いなく黒です」

 

 

*     *     *

 

 

 ――その頃、街の裏路地では……

 

「クソッ!! どうしてモンスターが出て来なかったんだよ!!」

 

 苛立ちを隠そうとせず、壁を蹴りつける1人の男の姿があった。

 

「ちゃんと仕掛けたはずなのに!! どうしてなんだよ!! クソクソクソッ!!」

 

 まるで子どもの癇癪のようであった。

 何度も何度も壁を蹴りつけるが、男の怒りが晴れる様子はない。

 

「ボクの計画は完璧だった!! 邪魔なアイツらをモンスターに襲わせて消せば、あの人がボクのことを認めてくれるはずだったのに!! どこのどいつなんだ!! ボクの邪魔をしたのは……」

 

「――それは俺だよ」

 

「っ、誰だ!?」

 

 まさか自分の叫びに答える者がいるとは思っていなかったせいで、男は慌てふためいてしまう。

 そんな男に構わず、シンはへらへらと笑いながら姿を現した。

 

「こんなに早く君がボロを出すなんて思わなかったよ。まあ、そのおかげで色々と手間が省けてよかったんだけどね」

 

「ま、まさか全部聞かれてたって言うのか!?」

 

「……あんなに大声で叫んでおいて聞かれないと思っていたのかい? むしろ、そっちの方が驚きなんだけど」

 

「ハッ、しまった!?」

 

 今更慌てて口を両手で塞ぎだす男を見て、シンは呆れてしまう。

 男の間抜けな反応に力が抜けてしまったが、シンはここに来た目的を果たすべく頭を振って気持ちを切り替える。

 

「まあ、君が馬鹿でもアホでも俺には関係ないからいいけどね。でも、1つだけどうしても許せないことがあるんだ。それは何だと思う?」

 

 依然としてシンは軽薄そうに笑っているだけのはずなのに、男は恐怖を感じてしまった。

 ゆっくりと近づいてくるシンを前にして、思わず後ずさってしまう。

 

「勘違いしないで欲しいのは、別に俺は君が邪魔だと言っているんじゃないんだよ。君にも目的があるみたいだし、それを否定するつもりはない。ああ、俺の作品を勝手に使ったのも別に関係ないからね。道具と言うのもは使うために存在しているわけだし、むしろ俺はアレをどんどん使うべきだと思っているからね。だったら、どうして俺はこんなにも君が許せないんだと思う? ――ボッツ君?」

 

 淡々と語るシンに、男――ボッツは何も答えられない。

 いや、答える余裕がないほど怯えてしまっていた。

 顔は真っ青になり、今にも倒れてしまいそうである。

 

「答えが分からないかい? 仕方ない、特別に答えを教えてあげるよ」

 

「ヒィッ!?」

 

 話しかけながらシンは徐に拳銃を取り出し、銃口をボッツへと向けた。

 情けなく悲鳴を上げて尻餅をついてしまうボッツを見下ろすシンの顔から既に笑みは消えてしまっていた。

 無表情のまま引き金に指をかけて、シンはボッツへと言い放つ。

 

「――不愉快なんだよ。君のような何も知らない奴に俺の作品をあんな見るに堪えない醜い姿に変えられたことがさ」

 

 言い終えた途端、裏路地に1発の銃声が響く。

 しばらくすると、シンは1人で裏路地から出てどこかへと歩いて行ってしまう。

 ……だが、一緒にいた筈のボッツの姿だけは忽然と消えてしまっていたのであった。




と言う訳で、今回は以上!
サブタイで出ていたフィナンシェよりもシンの方が目立っているような気がする。
次回は久しぶりに夢人君にスポットが戻ります。
つまりは、そういうことですよ。
それでは、 次回 「その疑惑、真実?」 をお楽しみに!
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