超次次元ゲイムネプテューヌ Re;夢のヒーローを目指して 作:ホタチ丸
先日、ようやくセハガールのエンディング3種類……トゥルー、ノーマル、バッドのクリアに成功しました。
とにかく、セガミが可愛かったです。
それでは、 その疑惑、真実? はじまります
今日も色々あった。
……いや、ゲイムギョウ界に来てから何もなかった例がないんだが。
「はあ……」
こぼしたため息が白く染まる。
あっちのゲイムギョウ界でもそうだったけど、ルウィーは寒いと改めて思う。
その代わり、空気が澄んでいるおかげで夜空の星が綺麗に見えているんだけどな。
……ルウィーに到着して早々、色々と大変なことが起きてしまった。
魔王派によるブランの偽物騒ぎとネプテューヌの負傷。
話を聞いたベールによれば、俺達が最初に会った方が偽物でレジスタンス側のブランが本物らしい。
そして、本物のブランがネプテューヌを襲ったと。
「考えても仕方のないこと、なのか」
「――何がですか?」
「わっ!? ネプギア!?」
すぐ近くから声をかけられ驚いてしまう。
考えに没頭しすぎたせいで、ネプギアが近づいてきたことに全く気付かなかった。
「あっ、ごめんなさい。夢人さんが1人で外に出ていくのを見て、その……」
「いや、ちょっと考え事があってさ」
シュンとして項垂れるネプギアに、申し訳なく思いながら俺は答えた。
ひと言断わってから外に出ればよかったかもしれない。
「考え事、ですか?」
「うん、ネプテューヌのことなんだ」
「……ネプテューヌさんのことで何かあったんですか? 治療なら、コンパさんが大丈夫だって言ってたじゃないですか」
「えっと、そう言うことじゃなくて……」
首を傾げるネプギアを見て、俺は胸が痛んだ。
こうなってからの生活も長くなったが、いつまで経っても慣れそうにない。
あんなに姉のことを思っていたネプギアがネプテューヌのことを他人行儀な呼び方で呼ぶ姿を見るのは辛いものがある。
「もしかして、今俺達と一緒にいるネプテューヌはこっちのゲイムギョウ界のネプテューヌで、俺達の知っているネプテューヌじゃないのかもって考えてたんだ」
確信があるわけじゃないが、色々とそう考えた方がつじつまが合うのは事実だ。
まず、ロムから聞いたネプテューヌ達女神4人が俺の捜索に出るなと言われていたこと。
次に、ラステイションでノワールと戦った後にネプテューヌから聞いた弱音。
最後に、今日のブランと戦っていた時のネプテューヌの姿だ。
少なくとも俺達と一緒のゲイムギョウ界から来たネプテューヌなら、ノワールやブランに敵意を持つ理由がないはず。
しかも、仲裁に入ったベールですら敵と判断しようとするなんておかしい。
「なあ、ネプギアはどう思う?」
自分の中ではほぼ結論が出ているはずなのに、そう思いたくないと理由だけで俺はネプギアへと尋ねた。
もしかしたら、俺の勘違いのせいでネプテューヌの記憶を混乱させているのではないかと考えてしまう。
本当なら、とっくに記憶を取り戻しているはずなのに、軽はずみなことを言ったせいで俺の話と自分の記憶との差異に苦しんでいるんだとしたら……
「それ、夢人さんが考えることじゃないと思いますよ」
「え?」
そんな風に悩む俺に、ネプギアは想像もしていなかった答えを返してきた。
いつの間にか下を向いていた顔を上げると、ネプギアが真剣な表情で俺を見つめていた。
「夢人さんにとって、ネプテューヌさんが自分の知っているネプテューヌさんでいることって大事なんですか? それとも、知らないネプテューヌさんだったら何か不都合なことでもあるんですか?」
「いや、そんなことないけど……」
「だったら、それで終わりでいいんです。それじゃ駄目なんですか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
頭の整理が追いつかず、俺は軽く混乱してしまった。
ネプギアの言う通り、どちらのネプテューヌであっても俺は記憶を取り戻す協力をしただろうし、暴走しかければ何があっても止めようとすることは断言できる。
まったくもってネプギアの言葉は間違っていない。
……でも、本当にそれでいいのかと思ってしまう自分もいる。
「相手のことを考えられるのは夢人さんの美点ですけど、同時に直さなきゃいけない欠点です。自分のことで悩んで苦しむ夢人さんを見て、ネプテューヌさんがどう思うのかを考えてください」
――また、だ。
また俺は同じことを繰り返すところだった。
勝手に悩んで苦しんで、結局答えを出すことも動くこともできずに後悔だけを増やしてしまう自分。
リーンボックスでもナナハに言われたばかりなのに、俺はまた自分のことばかりでネプテューヌを傷つけるところだった。
「ありがとう、ネプギア。うん、何か難しく考えすぎていたみたいだ」
でも、今度は止まれた――いや、ネプギアが止めてくれた。
俺が後悔をする前に……ネプテューヌを傷つける前に気付かせてくれた。
悩んだ所で、ネプテューヌが入れ替わるわけじゃない。
だったら、俺がやることは変わらない。
ネプテューヌとの約束を守り、困った時は手を差し伸べて助ける。
それがきっと今の俺ができることなんだと思う。
「ふふ、少しはお役に立てたみたいでよかったです。夢人さんって、いっつも人の気持ちを考えているのに肝心な部分を無視するんですから」
「それって、俺が鈍感だってことだよな?」
「加えて、1人で考えこみ過ぎです。そんな何かが起こる度に自分のせいだって考えるのは、夢人さんの悪い癖ですよ」
「うぐっ」
ジト目で見てくるネプギアへ、俺は何も言い返せない。
そう言うことを考えていたことは事実であり、図星を指されて気まずくなってしまう。
「そもそも夢人さんは――くしゅんっ」
「あっ、ごめん。長話しすぎたな。そろそろ中に戻ろう」
くしゃみをするネプギアに、俺は着ていた上着を羽織らせた。
自分1人ならともかく、寒空の下で長話をするべきではなかったと今更ながら後悔する。
「むぅ、別に大丈夫ですよ」
「駄目だって。鼻も赤くなってるし、頬だって冷たいじゃないか」
むくれるネプギアの頬を触ると、予想以上に冷たくなっていた。
すると、ネプギアは頬に触れている俺の手に自分の手を重ねて目を閉じる。
「それは夢人さんの手が温かいからですよ。もうちょっと2人っきりお話ししてもいいじゃないですか」
「それなら部屋の中でも大丈夫だろ。寒いのを我慢して風邪でも引いたら、どうするんだよ」
「……もう、そう言うところが鈍感なんですよ」
あれ、俺何か間違っているのか?
そんな拗ねた顔されても困るんだけど。
いや、確かにシチュエーション的にはなかなかいいロケーションだと思うよ。
でも、ネプギアが風邪を引くよりは――って、ここか? ここのことなのか?
俺が心配し過ぎているだけなのか?
「分かりました。でも、今夜はもう少しだけ付き合ってもらいますよ……だって、今日は一緒に寝れませんから」
「まあ、さすがにな」
寂しそうにするネプギアに、俺は乾いた笑みを返す。
ブランに用意してもらった部屋にケチをつけるわけにはいかないからな。
それに正直に言えば、一緒に寝るのは緊張してしまうので助かったかもしれない。
でも、それはそれで俺もちょっとだけ残念に思う。
1つのベッドの上で手を繋ぎ合い、他愛ない話を眠くなるまで繰り返す……うん、今はそれだけでいっぱいいっぱいです。
ヘタレと言われようが、今はそれだけで幸せすぎて先に進むのが怖いんだ。
「じゃあ、戻りましょう。あっ、でも、その前に1つだけ聞いておきたいことがあったんです」
頬に添えていた俺の手をゆっくりと離し、そのまま握るネプギア。
気のせいか、その手が少しだけ震えているような気がした。
「もしも……もしもの話ですよ。夢人さんは私があなたの知っているネプギアじゃないとしたら、どう思いますか?」
「……え?」
悲しそうな顔でそんなことを聞いてくるネプギアを、俺は呼吸すら忘れて見入ってしまう。
「例えばの、仮定の話です――姉思いで誰からも好かれる素直で真面目なネプギア、そんなもう1人の私がいたら夢人さんはどうしますか? やっぱり、私なんかじゃなくてもう1人の方を……」
「ネプギア」
「きゃっ」
それ以上、ネプギアをしゃべらせないために俺は強引に抱き寄せた。
強く、絶対に離さないように。
「ごめん、ネプギアの言う通り俺って鈍感で無神経だったな。ネプギアの気持ちも考えないで、変なこと聞いて……」
「……本当に、そうですよ。彼女に他の女の子のことを聞くなんて、本当に酷いです」
記憶喪失なのはネプギアも一緒で、同じように不安を感じていないはずはなかったんだ。
それなのに、俺はネプテューヌのことばかり気にしてネプギアの気持ちに気付こうとしていなかった。
ネプギアだって、今の自分と失った記憶の差異で苦しんでいる。
だから、俺はネプギアに伝えなきゃいけない。
言葉じゃなくて行動で。
「んっ……」
抱きしめていた腕を少し緩め、俺はネプギアの唇を奪う。
抵抗することもなくキスを受け入れてくれたネプギアは俺の首の後ろへと腕を回して、お互いの距離がもっと近づく。
恋人関係になって何度も交わしたキス。
その度に俺の中で何かが満たされていくような気分になる。
言葉じゃ伝わりきらない俺の好きって気持ちがネプギアにもちゃんと届いて欲しい。
「んぅ……そうやって不意打ちするなんてずるいです」
「ずるくていいさ。俺がこんなことするのは君だけだから」
「……本当、夢人さんはずるいです」
さっきよりも顔を赤くして心なしか瞳も潤んでいるように見えるネプギアの姿の方が俺にはずるいと思う。
キス以上のことを……と、思わず流されてしまいそうになる。
心臓が今にも飛び出しそうなくらいバクバクとうるさく鳴り響いてる。
寒かったはずなのに、今は熱くて苦しい。
でも、それが嫌じゃなくて、俺達は無言のまま見つめ合う。
しばらくすると、ネプギアが徐々に顔を赤くさせながら口を開く。
「あ、あにょ!? わ、わたひっ!?」
「プッ、慌て過ぎだって」
「わ、笑うなんて酷いです!? 元はと言えば、夢人さんが急にキスをするのが悪いんですよ!? 私だって、心の準備が必要なんですから!?」
緊張で舌ったらずな言葉づかいをするネプギアを見て、俺はおかしくなって噴き出してしまった。
ネプギアも俺と同じで緊張していたんだと分かって嬉しい。
当たり前のことだけど、気付けてよかった。
「悪かったって、許してくれよ」
「駄目です! 夢人さんの言葉には誠意と信憑性が足りません! だから――んっ!」
「んむっ!?」
それは正に不意打ちだった。
ぷりぷりと怒っていたネプギアが話を途中で切り上げ、今度は自分から俺にキスをしてきた。
でも、相当慌てていたせいか、勢い余って唇越しにお互いの歯がぶつかってしまう。
「こ、これで許してあげます!? お相子です!? さあ、行きますよ!?」
「お、おい!? そんなに引っ張らないでくれって!?」
自分でも失敗したと分かっているらしく、ネプギアは耳まで真っ赤にさせて俺に顔を見せようとしない。
そのまま強引に俺を引っ張って行こうとする。
……うん、今はもう少しだけこのままでいよう。
変に焦る必要なんてない。
俺達のスピードで進めばいいんだ。
ネプギアが隣にいてくれる幸せを感じながら、2人で1歩ずつ進んでいきたいな。
* * *
「はあ、見事にやることがなくなってしまいましたわね」
ため息をついてベールがこぼす言葉に、俺は苦笑してしまう。
ルウィー到着2日目にして、俺達はすでに手詰まりになってしまっていた。
「うむ、白の女神からの返事はまだなのか?」
「今日中には返事をするとは言ってましたが、それまでは何もすることがありませんわ。本当に何をして時間を潰しましょうか」
「そうか」
そこでMAGES.も話を切り上げてしまい、ベールと2人そろってため息をついた。
まあ、2人の気持ちも分からなくない。
いざ魔王派討伐と向かった先で罠だと知り、教会にいる偽物に対して燻っている思いがあるのだろう。
「はいはーい! だったら、街の中とか色々見て回ろうよ! わたしのまだ知らないこの国の面白いところを発掘探検して楽しんじゃおうよ!」
「アタシもネプテューヌに1票!」
「ぴいもぴいも!」
「だったら~、あたしも~」
そんな2人の空気を読まず、ネプテューヌが騒ぎ出すといつもの面子が同調し出す。
ネプテューヌの怪我は幸い手の火傷以外は大したことがなくて、今ではもう元気を持て余している様子だ。
「まったく、鍵の欠片探しはどうしたのよ? あなた達はチェアーさんとか言う人からそれを探すように頼まれているんじゃなかったの?」
「そ、そうでした!? すっかり忘れていたです!?」
「――って、忘れてたの!?」
ネプテューヌ達を見て呆れるミモザのひと言により、コンパは忘れていた旅の目的を思い出して慌てだした。
大事なことを忘れていたコンパの姿に、ミモザはガクッと体勢を崩す。
確かに、ラステイションでもリーンボックスでも見つからなかったし、それ以上にインパクトのある事件に巻き込まれたからな。
コンパが忘れるのも無理はない……かな?
「呆れたわ。旅の目的を忘れるなんて……ほら、ナナハも何か言ってやりなさい」
「……えっ? 何か言った?」
「こっちもこっちで……!」
まともに話を聞いていなかったらしいナナハの様子を見て、ミモザは額に青筋が浮かび上がるほどに怒りを感じたようだ。
でも、ナナハのことは少し気になる。
リーンボックスから帰って来てから、ずっとどこか上の空でいるような気がする。
後で話を聞いてみた方がいいかな?
「まあまあ、ミモザも落ち着きなさいな。では、今日は各自自由行動と言うことでいいですわね? 返事をもらうまで街から出るわけにもいきませんし、ネプテューヌ達も遊びたいんですわよね?」
「もちろん! いやあ、ベールってば分かってるねー! ――って、イダアッ!?」
「だ、駄目ですよ!? まだ完全に治りきってないんですから!? ベールさんものらないでください!?」
自分の意見が採用されたことが余程嬉しかったのか、ネプテューヌのテンションはかなり高い。
手の怪我も忘れてベールとハイタッチを交わし、痛みに涙を浮かべている。
「ご、ごめんなさい。ネプテューヌが平気そうでしたので、つい……」
「もう気をつけてくださいです。ねぷねぷも今日1日は包帯を取らないで大人しくするんですよ」
「……うー、分かったよ。わたしだって、痛いのは嫌だからね」
コンパに注意されたのはいいけど、ネプテューヌが大人しく過ごす姿を想像できない。
それはコンパも同じなのか、曖昧に笑うネプテューヌを見る目が少しだけ細くなっている。
「ところで、ミモザは何かしたいことがありますか? よろしければ、わたくしと一緒に街を見て回りませんか?」
「……いえ、そんなグリーンハート様のお時間を私などのためにお使いになるなど。グリーンハート様もごゆっくりなさってください」
「いやですわ、もう。昔みたいに“ベールお姉ちゃん”って呼べばよろしいではありませんか。ほら、遠慮せずに」
「……そのような不敬をいたすわけにはまいりません。お戯れもこの辺りでよしてくださいますようお願い申し上げます」
チラチラとベールがミモザを見ているけど、どうにも様子がおかしい。
何だろう、ミモザがベールを避けているように見える。
「……あの、その、この間から聞きたかったのですが、もしかしてミモザはわたくしのことが嫌いなんですか?」
「そのようなことは……」
「でしたら、どうして?」
「それは……」
言い淀むミモザに不安が募っていく。
この場にいるだけで緊張してしまう。
言い辛そうにするミモザを見つめながら、ベールが喉を鳴らす。
すると、ミモザは意を決して口を開く。
「――わ、私は既に心に決めたワンダー様と言う殿方がおりますので、グリーンハート様のお気持ちにはどうしても応えられないのです!!」
空気が凍ったように感じた。
正直、ミモザが叫んだことの意味が分からない。
でも、元凶がベールであることは皆も分かっている。
だから、俺達は固まっているベールへと顔を向けてしまう。
「え、えっと、それはどう言う意味ですの?」
「だって、グリーンハート様は同性の方しか愛せないんですよね? 私はノーマルですから、グリーンハート様のことを信仰の対象として尊敬はできても恋愛の対象としてみることは……」
「ストップ!? ちょっとストップですわ!? 何ですか、その変な言いがかりは!?」
慌ててミモザの言葉を遮るベールだが、もう遅い。
拡散してしまった疑惑のせいで、俺達は1歩ベールから遠ざかってしまった後なのだから。
「み、ミモザ、勘違いしているようですから言っておきますが、わたくしは別に同性愛者ではありませんわ。そもそも、どうしてそのような勘違いをしてしまったんですの?」
「……幼少の頃、よく遊んでもらったことは覚えていますか?」
「ええ、覚えていますわ。でも、それと何の関係が?」
「その時にグリーンハート様がお薦めだと私に遊ばせてくれたシミュレーションゲーム……と、殿方同士の恋愛をテーマにしたゲームが何よりの証拠です!!」
「あっ……!?」
男同士のって、BLゲームのことか!?
そう言えば、前に元のゲイムギョウ界にいたベールもナナハにBLゲームを紹介したって言ってたけど、こっちでも同じようなことをしていたのか!?
と言うより、子どもだったミモザに何てものを薦めているんですか!?
――あっ、ナナハのベールを見る目が冷たくなっている。
「あ、あれは違うんですのよ? あれはその、布教と言うかちょっと教育しようとしただけで……」
「いや、それどっちもアウトだからね。と言うより、さすがにドン引きだよ」
「ネプテューヌ!? って、皆さんまで!?」
言い訳を並べようとするベールをネプテューヌが両断した。
そこで初めてベールは俺達全員から引かれていることに気付いたらしい。
「しかも、協院長から聞きましたよ!! 最近は女性同士で、その……そう言うことをしている本を眺めながらニヤニヤしていたって!?」
「それはわたくしのではありませんわ!? それは夢人さんの物です!?」
「えっ、俺!?」
突然、指を指されてそんなこと言われても心当たりなんてない。
だから、お願いだから俺までそんな目で見ないでくれ!?
「そうですわ!? あの本は夢人さんが落とし物で、わたくしはそれを預かっていただけですわ!? そうですわよね!?」
「いや、そんなこと言われても……」
「とぼけないでください!? ほら、ナナハさんとブラックハートっぽい子が出ている本ですわ!?」
……あっ、思い出した!?
俺がこっちに来る前に持っていた本のことか!?
すっかり忘れてた!?
「夢人さん、それって本当ですか?」
ヤバい、不味いぞこの状況!?
隣のネプギアは泣きそうだし、他の皆の視線も痛い!?
「そ、それは……俺のじゃないです」
「っ、嘘を仰らないでください!? アレは確かに夢人さんが落としたもので間違いありませんわ!?」
「本当に俺のじゃないですから!?」
嘘はついていない。
だって、本当にアレは俺のではなく、イワから借りた物だし。
とにかく、俺はアレを読んでニヤニヤしてませんから!?
あの時はそんな心の余裕なんてなかったですから!?
でも、謝らせて!? ごめん、ベール!?
「――で、ゆっくんはこう言っているけど、本当のところはどうなの? ベールって、やっぱり男に興味がないの?」
「失礼なことを仰らないでください!! わたくしだって、素敵な殿方と恋愛をしたいと思っていますわ!!」
「それはゲームで?」
「当たり前ですわ!! イケメンは二次元に限りま――ハッ!? 図りましたわね、ネプテューヌ!?」
どんどんベールはド壺に嵌まって行っているような気がする。
今もネプテューヌの誘導に簡単に引っかかってる。
「……御波君、御波君」
「どうした?」
ギャーギャーと騒ぐネプテューヌ達の興味の対象が再びベール1人に戻ったことに安堵していると、シンが小声で話しかけてきた。
シンと言えば、昨日は悪いことしてしまった。
少し用を足してくると離れた後、ネプテューヌのことで慌てていたせいでシンのことを忘れてしまっていた。
1人にしてしまったことを緊急事態だから仕方ないと許してくれたけど、申し訳ない気持ちが残っている。
「長くなりそうだから、先にネプギアさんと一緒に出かけて来ていいよ。これからデートでしょ?」
「え、でも……」
「気にしないでいいよ。ロムちゃんやデンゲキコさんももういないし、グリーンハート様達はまだ長くなりそうだからね」
シンの言う通り、この場にロムとデンゲキコの姿はない。
ロムはこの世界のブランに会おうとしているし、デンゲキコの方は使い捨てカメラの現像だと朝一番で出かけていった。
「じゃあ、後は任せていいか?」
「うん、楽しんできなよ」
せっかくの厚意なので甘えることにした。
笑顔で応援してくれるシンは本当にいい奴だと思う。
名字呼びをされているのはちょっと壁を感じるけど、今度またゆっくりと話をしたいな。
「ネプギア、行こうか」
「はい」
差し出した手を握るネプギアと共に、俺は部屋を出た。
未だ疑惑をかけられて涙目になっているベールへ無言のエールを送りつつ、俺はネプギアとのデートへと出かけるのであった。
と言う訳で、今回はここまで!
ゲームの難易度的に今作はサクサクと進められましたね。
トゥルーの分岐も複雑なことが必要じゃありませんでしたし、戦闘をちゃんとしていればレベルも勝手に上がりましたし。
2か月連続の新作でしたが、ボリュームもあってとても楽しめました。
それでは、 次回 「その声、むなしく響くだけ」 をお楽しみに!