プリエ・エトワールの絶望~愚民と愚民政策~ビッグデータの完成~ 作:プリエ・エトワール
世は悪意に満ち満ちていて、日々、あなたも攻撃の対象になっているかもしれませんよ?
第一章 亡国が作成した人類愚民化率のビッグデータ。その完成の先に
その日、プリエ・エトワールは自室のベッドに寝転び、ハイライトの消えた瞳で天井を見詰めていた。
意図せず自分が手にしたかったデータ…絶対に手にすることはできまいと考えていたデータ…を、世界中にコロナをばら撒くような連中の働きにより、意図せず手にすることができたのだ。
それは、愚民と、彼等を産み出す愚民政策の研究を人生の目的にしていたプリエにとって、非常に重要で、得難い情報であった。
「………まさか…敵対勢力の働きに恩恵を受けるなんて………ちょっと泣く…です」
プリエは、他者を愚民として操り、支配しようとする存在を敵視していた。その連中の非人道的な行為によって利益を受けることは、プリエにとってそれなりに衝撃であった。
その事実に軽い眩暈を覚え、絶望感に苛まれて泣きたくなりもする。
とはいえ、いつまでもこうして絶望に身を任せている訳にもいかない。
人類社会において、正確な情報とは至宝である。
それなくしては、人は夜道を歩き続けるようなものだ。一つ選択を間違えは死に直結する場合もあるし、そうでなくとも、ただ悪戯に時間と資源を無駄にするだけとなる。
故に、人類の歩みには正確な情報が必要不可欠なのだ。
この人口増加に人類が苦しむ時代、愚民という存在に向き合うには、その正確な総数を知ることは必要不可欠である。
それ故、人類の支配層の一部はフェイク情報を世界中に流布し、どれほどの愚民が、事の正否の確認もせず政府機関の命令に従うか監視した。
従来の疫病と大して変わらないコロナを非常に毒性、感染率の高いものとして世間に流布。疑似的なパンデミック状況を生み出し、人々がどれほど各国政府の言いなりになるかをデータ化したのである。
その至宝のものともいえる情報を、今回のコロナ騒ぎで人類は奪われたのだ。
正直、由々しき事態である。
待望の品、愚民のビッグデータを得た独裁思考の強い支配層の者たちは、それを持って天に唾吐くが如き悪行を次々に実行に移すだろう。
事実、北国の独裁者が、この愚民化率ならばと、隣国ウクライナへと大規模な侵略を開始している。
このデータ通りなら、ウクライナ、及び、米国、欧州側からの反抗も小規模に終わると考えたからだ。もう、先進国側の住民の愚民化は粗方成功していると思い込んで。
もっとも、その企ては大幅に失敗し、北国の独裁者は多くの点で変更を余儀なくされた。
それは、独裁者たる彼が、クリミア併合当時の状況から、自分が欧米各国に行動を先読みされているということを失念し、計算に入れていなかったからである。
こいつは先の成功に気を良くし、また選挙前に他国に侵攻すると。
それに、プップクプーのプーが先読みを許したのは欧米だけではなく、彼が欧米に対抗する上での味方と思っていた、某大国にもである。
某大国が愚民のビッグデータを北国側に渡し、暗にウクライナ侵攻への後押しをしたのだ。
そんな策略をまったく見抜けていなかった。
その結果、ウクライナでの度重なる失態で弱体化した北国は現在、某大国の経済植民地、衛星国状態である。
この事態は、北国が世界の主導権を握るグレートゲームで一歩も二歩も後退したことを意味し、今後、ウクライナの戦況がどうなろうが挽回は不可能だろう。
独裁者は、自分は人を操る側であると思い込み、他者に操られるとは思わないものだ。その傲慢さ故に、自分も所詮は人間である。場合によっては愚民化するということを知らないだ。
それはさておき。
せめて、他者の意見に耳を傾けることのできる者たちだけにでも、この絶望的な情報を伝えなければならないとプリエは思う。今は、行動しなければならない時。そうプリエは考えた。
絶望に苛まれつつも、プリエ・エトワールの思考は健全だった。
「………もうコロナ騒ぎもお終い…まあ、政府に言われるままにワクチンを打った人々すべてが愚民化しているとは思いません」
「しかし、最初や二回目以降に、これは何かおかしいとも思わず、三回目以降も身体にワクチンを入れ続けた輩は、愚民と言って差し支えないでしょう」
ちなみに、プリエ・エトワール自身はワクチンを接種していない。
ワクチンは不要と一回目から接種クーポンを無視した。
厚生労働省のホームパージの説明文、及び、近隣の市役所から送付されてきたワクチン接種のクーポンの説明文から、これは行政側の言い分を聞いてはいけないと感じ取れたからだ。
行政側の役人のみなさんも、明らかに今回のコロナの毒性、感染率、ワクチンの安全性に、少なくない疑問を感じており、もしもの時に備え、責任逃れしていると。
また、ワクチン接種先進国であるイスラエルでのワクチン接種のチェック表欄が、七回目以上も存在している事実を知り、ここはまずいぞ。明らかに無用な物を、我々の体内に入れようとする輩がいると感じ、慎重になったからでもある。
私は、新型ワクチンとやらの実験動物ではない。
ここは様子見に回ったほうが賢明だ。ここしばらくは推移を見守ろう。
具体的には、このバカ騒ぎが終わるまで。
そう結論を出したからだった。
そこに付け加えるなら、プリエはこの時期、某国が様々なビッグデータを執拗に取得しようとしていたことに気付いていた。
ああ、こちらが本当の目的か。これは単純な流行病なんて可愛らしい代物ではないぞと。
そうと知ったプリエは、この時期、以下の如く思考した。
(状況があまりにも胡乱なのです。今回のコロナ騒ぎならずとも、人を支配したい人々は、常に誤情報を流布し、それに流される人々を見て楽しむ傾向があります)
(しかし、今回の騒動はやり過ぎですよ。一般に言われていることとは、別の思惑が明らかにありました。ここで危険を感じないと、どこで危険を感じるんだと、私の頭脳が激しく警戒警報を鳴らしているのです)
(ここは下手に動かぬが上策です)
そして、騒ぎの始まりから三年以上が経過。
この期間中、職場の同僚複数人がコロナ陽性で自宅待機となる中、ワクチンを接種していなかったプリエ自身といえば、三年以上もの間、まったくの健康体であった。
同僚がワクチン接種後の副反応(副作用)に苦しんでいた中で、ワクチン未接種でもまったく害を受けなかった。
実体験としてそうなのだ。
これが何を意味するか?
つまり、世間で当たり前とされた事象の多くは、まったくのフェイク情報であった。そして、このコロナ騒ぎを演出した輩といえば、一般民衆の知らない場所で、かなりの利益を得たということだった。
金銭的にも、情報集め的にもだ。
「ふう…」
思考を中断するとプリエは溜息を吐いて、自室のベッドから立ち上り天を仰ぎ見る。そして、朗々と語り始める。
それは、プリエ・エトワールという人格の儀式であった。まるで、もうこの世には存在しない、己の師へと語り掛けるような、そんな振る舞いであった。
「そのビッグデータの一つ…日本国内での、自分で物事を考えられないで他者の考えに流されて行動してしまう愚民の数のデータは、かなり正確と言えるでしょう」
「自分の考えにではなく、他者の言い分に我が身を任せてしまう愚かさ。その愚かさを自覚できない連中のあまりの多さよ………まさか、こんな形でその詳細な数のデータが手に入るとは………おお、哀れなるかな無知なる子等よ」
「我等デカルティスト(カルテジアン)の太祖ルネ・デ・カルトよ。人類は現代においても、二千年以上以前の状況から進歩できておりません」
「ローマ時代のパンとサーカスはじめ、様々な形態の愚民化政策が存在し、今もその数は増え続けています」
「ですが、これだけ人口が増えてもなお、一般大衆は日々、自分たちがそれによって苛まれていると自覚できずにいます」
「正直、この事態は我々デカルティストの敗北と言えるのかもしれません。自ら考え、判断するという行為の尊さを、我々は一般大衆に伝えきれていないということ…なのですから」
「人々の集合知はいまだ幼く、我等は今すぐそこに叡智を与える術を知りません」
「それほどまでに、物事を自分で考えることのできる者と、そうでない者の溝は深いのです」
「人類はその考える力の源泉、巨大な脳を発達させる段階で、様々な生物の脳を内包していきました。そのため、人間はその恵まれた脳の、どの部分を使用するかによって能力が分化します。してしまうのです」
「人類出現以前、それまでの生物に存在しなかった部分…つまり人類特有の脳の部位を活性化させ、上手に利用した者は、偉大な指導者や芸術家、文化人、経済人、匠と言われる職人などになりました」
「一方、犬や爬虫類といった下等生物たちと同様の部分を主に活性化、利用した者達は、程なく他者に使われる立場へと追いやられていった」
「その人類の多様性の有様に、邪悪な者たちが気付くにはそう時間はいりませんでした」
「意図的に、同族を犬畜生同様に扱い奴隷化していく者たちが現れ始めます。知的生命体の証である大脳の悪用です」
「犬畜生ならば、自分の群れの生存戦略のためにそうすることもありでしょう」
「しかし、知的生命体同士でそれをすることは、決して許してはならないことなのです」
「なぜなら、その先に待つ結果は、犬畜生の群れの終焉と同じ………いえ、人類という種の上に、それとは比べ物にもならない大破壊と大量死を招くのですから」
「群れの維持のために、分業することは決して悪いことではありません。むしろ良いことです」
「ある者が頭脳を担当し、ある者はその手足となる。これは、群れを効率化して生存率を高める結果を齎します」
「しかし、それは非常に危険な賭けでもあるのです。群れの頭脳担当が大人数なら、一人の多少の間違いなら数の力でリカバーできるでしょう」
「ですが、極少数の頭脳が群れを支配し、自分の間違いを認めない傾向であったならば、少しのミスだけでも、群れは全滅の可能性に遭遇してしまう」
「たとえば、イヌ科の狼の群れならば、寿命も短く頭脳担当のリーダーの交代も早く、また、近親婚の遺伝病を防ぐため、増えた群れの分割もスムーズに運ぶでしょう」
「元々、種族の生存率も低いのでしょうから、それらの決定に反対する個体もいない」
「しかし、知的生命体である人類の場合、これは凄惨な結果を招くことになります」
「人類は寿命も長く、大多数で暮らすメリットを知っており、他の群れとの殺し合いの道具も豊富ですから」
「その上で、為政者が自身の利益(税金等)を少しでも多く手にするため、集団を囲い込み、分化する事態を望まなかったら?」
「もし、あなたの住む社会の支配者が、過去、欧州大戦を引き起こしたちょび髭の伍長であったならどうでしょう?」
「もし、太平洋戦争を主導し、アジア地域に大破壊を齎した、東北の貧農の小倅であったなら?」
「もし、現在、南北に分断されている半島国家の、北側の指導者チャーハンだったら?」
「もし、ウクライナに侵攻を開始した北国の独裁者プップクプーのプーだったら?」
「その先に待つものは大破壊です。自分たちの社会のみならず、隣人たる者たちの社会も飲み込む破滅です」
「それ故に、人類は愚民政策という愚劣な悪行をそうと見抜き、それを成そうとする輩と決別し、理性をもって愚民となることを避けなければならないのです」
「人類は理性と勇気を持ってして悪しき愚民政策と縁を切り、独裁者たちの手足とは決してなってはいけないのです」
「自分を含め、共に生きる同族たちのために」
「だからこそ、この私プリエ・エトワールは絶望に苛まれつつも語り続けましょう」
「実例を持ってして、愚民と化してしまった人々の思考の狭さと、考え続けた人々の思考の偉大さを」
「コロナ騒ぎの影で、人類の愚民化率のビッグデータを、独裁主義者たちに奪われてしまったぞと」
そう言い終わると、プリエ・エトワールは自室の机へと向かい、プライベート用のパソコンの電源を入れるのだった。
理性的で叡智ある人々に、自分のか細い声が少しでも届くようにと祈りながら。
予告
次は、過去の天下国家が愚民政策によってどう変質したか。その末路を実例をもって説明します。
しばし、お付き合い願います。