プリエ・エトワールの絶望~愚民と愚民政策~ビッグデータの完成~   作:プリエ・エトワール

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 Q なぜ機動戦士ガンダムが、世間からリアルだという評価を得たか?

 A それは作品の中で登場キャラクターたちが明確に嘘をつき、本来は善良であるはずの多数の人たちが、嘘に騙されて悪行に走っていた描写があったから。


やっとガンダムを利用した愚民化政策の説明

 「そのように、きっちりと現実世界と同じ人間の社会構造上の問題点を、アニメーション作中に反映したからですね」

 

 そう言うと、プリエ・エトワールは安堵した表情を浮かべた。

 

 この一連の話をする事前準備として、過去、現実の愚民化政策が、今日(こんにち)の日本にどのような悪影響を齎したか描写しなければならなかったため、その説明にかなりの労力を要したからだ。

 

 そもそも、読者が扇動や愚民化政策をいうものを、そこそこ理解してくれなければ、この話は成り立たない。

 

 それを理解させるための事前作業である。

 

 正直、大変であった。

 

 それも前回までと、プリエは安堵していた。

 

 「さて、まずはおさらいからです」

 

 これまでの暗い表情とは明らかに違う、朗らかな表情となり、プリエは言葉を発した。続けて、同じ内容をキーボードで打ち込んでいく。液晶画面に文字が踊る。

 

 「愚民政策とは、それこそ、ローマの昔から存在している人間の操作方法」

 

 「まず、為政者に都合の良い嘘を次々と重ね、あの手この手の手段を用い、その嘘を民衆に真実と誤認させる」

 

 「人類はその発達の過程で脳の一部に問題があり、元々、愚民的であった一部の人間は嘘を嘘と見抜けない。かならず愚民政策に取り込まれる」

 

 「そうなると、先に愚民化した者たちから一般民衆にも愚民化政策が伝播していき、ついには集団そのものが取り返しのつかない状況へと追い込まれていく」

 

 「そうして、愚民と化していく民衆を、何事も自分で判断できない状況に追い込み、その上で、指導者である自分たちはすべて理解している。我々、政府の人間がすべてをコントロールするからすべて任せたまえと、権力を独占する手法である」

 

 「ただし、そうして支配者となった者たちもまた、所詮は一人の人間以上の力は持ち得ない。大多数の民衆を操る立場に立とうとも、他者に操られてしまうことも少なくない」

 

 「独裁的に政権を担当する期間が長いと、その傾向を敵対勢力に先読みされて罠に嵌められたり、自分のミスを他者に指摘されることがないために、自ら地獄への道を舗装していってしまうこともある」

 

 「令和の今の世をみると、クリミア併合に続くウクライナ侵攻でやらかしたプップクプーのプーがその典型だ」

 

 「やーい。お前の祖国、経済植民地。隣国の衛星国家」

 

 「強権的政権、独裁者は、一見、とても強力にみえるが、じつは脇が甘く脆い」

 

 「そのため、大抵の独裁者は最終的に酷い末路を迎える傾向がある」

 

 「問題は、多くの場合、隣国だけではなく、愚民政策によって支配されてきた民衆、国家もまた、道連れ的に大きな被害を被ることである」

 

 「うん、おさらいはこれでお終い。さて………」

 

 キーボードを打つ所作もどこか軽やかで、そこまで言い淀むことなく発言していたプリエであったが、あることに思い至り、考え込んでしまう。

 

 「…うう…ガンダム作中でジオン民衆がどのように愚民とされたか。そのことを先に語るべきか」

 

 「それとも、現実の日本国内で、ガンダム作中の嘘を嘘と見抜けないでいる愚民が存在しているという事実を先に語るべきか。それが問題です」

 

 そこまで言葉に出して、プリエは絶望の表情となる。

 

 かつて、web上でのチャットで、ガンダム作中の嘘を嘘と見抜けていない連中と遭遇した事例を思い出し、頭を抱えたのである。

 

 あの遭遇は、正直、酷い経験だったと今も思う。

 

 まあ、だからこそ、人の愚かさの一面を正しく理解できたメリットもあったのだが、それはそれ。

 

 人類の度し難さに触れることは非常に疲れた。

 

 二度と御免である。

 

 それはともかく。

 

 「この世には様々な愚民化政策の形があるように、多数の詐欺が存在し、それに引っ掛かってしまう被害者が一定数存在するのです」

 

 「それは、愚民化した民衆が為政者の嘘を見抜けないように、詐欺師の嘘を嘘と見抜けないから」

 

 「ちなみに愚民化政策の基本は詐欺と同じく、嘘を本当、本当を嘘と誤認させ、他者を操ることです」

 

 「困ったことに、ガンダムのファン層の中には、詐欺の被害者たちのように、作中の嘘を嘘と見抜けないばかりか、人と人を差別し、相争わせる手段のことも理解できていない連中がいるのです」

 

 「彼等は機動戦士ガンダムという作品の根本が理解できていません」

 

 「アースノイドやスペースノイド、オールドタイプやニュータイプといったレッテル張り」

 

 「それが、人種差別意識が低下した宇宙世紀において、ザビ家が新たに用意した、人と人とを争わせるための新たな差別だということが」

 

 「作中の人々は、そのことがあって一年戦争前、一年戦争中、戦後と争い、続編含め、シャアの反乱の時代まで延々と殺し合う結果となったのです」

 

 「そこが宇宙世紀の一連の紛争の根本原因なのだと」

 

 「現実の一般的な常識と、ガンダム作中の一年戦争以前の設定を理解しているファンは、そんなことは百も承知です」

 

 「しかし、ファン内部のガンダム愚民は、その知能の低さ故に、一般的ファンが理解できることが理解できていないのです」

 

 「なぜか?」

 

 「それは、彼等が日本の敗戦後の愚民化政策である一億総白痴化によって、著しく知能を低下させられた結果だからです」

 

 「一億総白痴化という愚民化政策を勇気を持って振り払っていれば、ガンダム愚民の方々も、本来、我々と等しい知性を有するはずでした。嘘を嘘と見抜け、それなりの知性も有していたはずです」

 

 「戦後日本人の平均は基本的に思慮深いと、プリエは理解しています。そんな人々の子供たちが、たかだか一アニメの設定が理解できなくなるほど、知能を低下させるはずもありません」

 

 「しかし、それは現実に起きてしまいました。その点が、愚民化政策の恐ろしい所です」

 

 「と、いう訳で、次回は敗戦後の日本の民衆がどのように一億総白痴化という愚民化政策の罠に陥ったのかと」

 

 「機動戦士ガンダム作中の前日譚として、初期の宇宙移民たち(後のジオン市民の中心)の多くが、なぜ、ジオン・ズム・ダイクンの扇動に乗ってしまったかを語ります」

 

 プリエは、そう言うとパソコンを待機モードとし、立ち上がって自室の机から離れたのだった。




 今回もお付き合い下さりありがとうなのです。 
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