プリエ・エトワールの絶望~愚民と愚民政策~ビッグデータの完成~ 作:プリエ・エトワール
傲慢にも、世界全体のルール改変に挑み、敗北していく。
先に結論を言っちゃうと、愚民政策に付き合うということは、そんな狂った考えに自分の身も心も捧げてしまうということです。
そんな人間の愚かな一面、実態を、宇宙世紀というフィクションを舞台に描写した作品が機動戦士ガンダムということ。
話は変わりますが、今の21世紀の時代にウクライナでそれをやってしまったのがプップクプーのプーってことです。
物事には始まりがあれば終わりもある。
北国のあいつら、過去の歴史から何も学んでないねえ。
一億総白痴化という愚民化政策の実態
敗戦後の日本の一億総白痴化という愚民化政策は、古代ローマ時代の、パンとサーカスの施策と同じ系譜の手法です。
一見、市民権を持つローマ市民に、食料とサーカス(各種コロッセオでの戦い、テロマエでの娯楽、他)を提供するという健全な政策と思えるが、その実、市民から考える力を奪うものであった。
当面の、つまり、直近の問題である、食料の確保と娯楽の提供を行政側がやってしまい、国内の政治対立や、奴隷問題、反乱。国外への侵攻の莫大な費用、異民族の侵攻、その他、といった様々な問題から目を逸らさせていた。
その民衆を堕落化、飼い殺しにしていた政策が、後の帝国の混乱に繋がっていくのだが、それはまた別の話。
実際にその愚民化政策の効果は絶大であったのだから、今日(こんにち)、誰もローマに愚民化政策など存在しなかったなどと、間違っても言えないのです。
そんな、愚民化政策が、今日も形を変えて存在していることを、否定することも。
さて、前置きはこれくらいにして、一億総白痴化という愚民化政策説明を開始する。
これは、太平洋戦争敗戦後の、食糧問題の対処が終了してからの政策と言えます。
もちろん、まだ食料問題が解決する以前から実施されていましたが、それが本格化するのは、国内の食料、貧困問題が解決した後のことです。
住居、食料、飲み水といった諸問題が解決した後、民衆が次に求めることは、まず娯楽です。
この政策の実施、継続には、当時、目覚ましい発展を遂げるラジオ、テレビといったメディアが大いに役立った。
人間は、まず目の前の出来事から対処しようとする生き物です。それを無視して長期的に物事を考えることは稀。
ラジオ、テレビといったメディアは、そのように視聴者を操作するのには打って付けの手法でした。
後年、車と一体化、また、持ち運びのできるように小型化された物も多数あり、目も当てられない結果となります。
携帯電話、そしてスマホも、この系譜といえるでしょう。
ちょっと話が平成、令和の状況に飛んだ。
昭和初期に戻します。
人間の脳は、使用しない部位は基本、高度な発達はしません。
多く使われる部位が先行して発達、進歩します。
すでに手に職があり、また、様々な職種の専門家であった大人や、バイクや車、演奏のための楽器などといった趣味があった青年層、自分で見る見ないの選択ができた映画好きの者たち、子供たちは、簡単に一億総白痴化という愚民化政策には陥りませんでした。
しかし、娯楽がラジオ、テレビしかなかった子供たちはたまりません。
ラジオ、テレビにかじりついて離れることを忘れた子供は、次々に触れた番組情報を消費することに余念がなく、この時期、経験しなければならなかった多くのことをやり逃してしまいます。
その上、脳が自分で物事を考えることよりも、メディアが垂れ流す情報を処理し続けることの方が優先するようになっていて、そこから脱却することが難しい状態となっていきました。
何しろ、その自分の状態が、一種の中毒状態であるという自覚もあまりないことから、脱却には何かしらの切欠が必要で、その機会がなければ、延々とその中毒症状が続いてしまうのでした。
さらに悪化すると、本当に必要な情報も流してしまってよい情報と誤認し、自分の興味のある情報以外、見向きもしない状態へと陥りました。
この状態は、過去の、大本営の御達しをそのまま鵜呑みにする大日本帝国時代の国家状況とまったく同じです。
戦後、滅びた帝国の愚民化政策の代わりに、ラジオ、テレビといった情報系メディアが、民衆に号令する立場に入り込んだ形です。
そして、当たり前のことですが、メディアの裏には西側の資本家や、結託する日本の政治家たちがいました。
彼等のさじ加減で、特定の政策を上げ下げし、視聴者を誘導することも度々ありました。
無論、物事には裏表があり、こういった情報の統制には良い面もありました。
共産主義勢力や、隣の分断国家の思想が、無秩序に日本国内で飛び交うよりは、そりゃ、面白おかしいラジオ、テレビメディアが、世の中を席巻した方がましではありました。
しかし、確実に、この愚衆化政策のために、大切な思考力を奪われた者たちも実在するのです。
「そんな状況下、1970年代後半に発表されたアニメーション作品が、機動戦士ガンダムな次第です」
プリエ・エトワールはそう言うと、パソコンの前で険しい表情となった。ここからが、いばらの道になることを理解しる者の表情だった。キーボードを打つ指も、微かに震えた。
「ここからが地獄なのです。私は、絶望を相棒に一人、ここからの道を突き進まなければならないのです」
「私の語る話の内容に絶望する者も少なくないでしょう。それでも突き進むのですよ」
「ついてくるのです、相棒」
宇宙世紀の地獄のはじまり。
眼を閉じると胸の前で十字を切り、プリエは宇宙世紀、一年戦争以前の設定を語る準備に入る。
「まずは、宇宙移民の本来の目的から説明します」
「人類の統合を終えた地球連邦政府」
「彼等の次の目的は、旧世紀の権力者たちによって作り出された差別意識の解決と、人口増加によって生活空間が狭まった、人類社会のヤマアラシのジレンマ解消でした」
「それぞれの国家が生き残るために、あるいは他国を侵略し、富の簒奪を実施するため、時の権力者たちは意図的に、様々な差別を生み出していきました」
「やれ、自分たちは仏教徒(キリスト教徒、イスラム教でも同じこと)だから、我々の信仰を否定する異教徒を討て。我々が許す。神仏も喜んでくれるだろう」
「やれ、我々、労働階級は、資本家によって搾取されている。平等な社会のために資本主義勢力を打倒し、世界同時共産革命を成し遂げるのだ。我々が正義だ。共産主義の敵は殺してやることこそ慈悲」
「やれ、我々優秀なるアーリア人は、その生存圏を獲得するため戦う。邪悪なユダヤ人を最終的解決でこの世から排除し、そうして我々のための帝国を建設するのだ。迷うな。我々こそ神に選ばれた民族なのだ。ユダヤやロマといった呪われた存在を殺し尽くし、浄化してやれ」
「やれ、我々はアジアの希望だ。鬼畜米英をアジア諸国から追い出し、天皇陛下の下、王道楽土を建設するのだ。我々、大和民族はそのための死兵となり、その最後の時まで戦い抜くのだ」
「その他、民族や肌の色、階級といった、権力獲得、維持のための様々な差別の導入」
「他民族支配を、代理である配下の別民族に任せ、ヘイトをそちら側に向ける手法」
「そういった権力者による誘導、洗脳による過去の支配から、地球人の一般市民を開放、救済する」
「地球連邦政府内の議論は、ほどなく、一つの手段の実現に収束していく」
「人類を宇宙に移民させ、すべての人類は根本的に宇宙に住む存在、すなわちスペースノイドであると意識を改革させる。そうすることで、宗教や思想、民族、人種といった差別を解消すると」
「同時に人類に新たな生活空間を与え、人類が多すぎる故に生ずる無駄な争いを解消させようと」
とりあえず、ガンダムの設定を素直に読み取れば、そうと認識できることを言い切り、プリエはフウッと息を吐く。
だが、哀しいかな。
思考能力が愚民化政策によって低下した者たちは、自力でここまで思考できない。
文章として説明されて、あるいは聴かされて、はじめて理解する。
それはさて置き。
これからがやっと、ザビ家(デギン・ソド・ザビ)によって操られていたジオン・ズム・ダイクンの扇動のことである。
正直、ここがプリエがガンダムファンたちに、もっとも理解して貰いたかった事件であった。
人類が地球上でのみ生きていた時代、猛威を振るっていた様々な差別。
それらの差別は、地球連邦政府の宇宙移民政策によって希薄になった。
そんな宇宙世紀に、彼等によって新たな差別が振り撒かれた。
ここが、後の一年戦争と、それ以降の地球圏の地獄の出発点。
「さあ、自分の絶望の数を数えろなのです!」
予告
つぎは、ガンダムファンの一部が誤解して信じていることの一覧を発表します。
例 連邦の宇宙移民政策は、宇宙にいらない人間を捨てた棄民政策だった。等々。
その多くは、人類の大半を殺してよい人類と差別し、実際に人類の半数以上の人々を死に追いやったジオン側の戯言。
しかし、一部のファンは、それを作中の嘘と理解できず、事実と認識してしまうのです。
そして、そんな間違った考えの信者になってしまった方々が、作品に違う感想を持った方々を攻撃し始めるという………
…これ、今もweb上で続いているのです。
この現実、かなり笑えないのですよ。
ここまでお付き合い下さり恐悦至極なのです!