プリエ・エトワールの絶望~愚民と愚民政策~ビッグデータの完成~ 作:プリエ・エトワール
残念ながら、この現実社会では、他者によって意図的に愚民化教育を施され、人生を破壊されてしまう子供たちが多数存在します。
それは、今日の日本社会も例外ではありません。
貧困の中での教育不足。親が子を自分の所有物としか見なさず、自分に都合の良い生き方しか許さない。
親が宗教狂いで、自分もその子供も、新興宗教の教祖の所有物としか見做さない。一族の資産をすべて教団へと寄付してしまい、貧困の中で生きざるをえない。
親に名前すら与えられず、戸籍すら存在しないまま、生活している子もいます。
自分に戸籍がないことも知らぬままの子も。
そういった子どもたちの流れ着くコンテンツの一つが、機動戦士ガンダムです。
貧者の娯楽、無料の垂れ流し電波によるテレビ番組のひとつ。
貧しさ故に、そういった貧者の娯楽にしか楽しみを見出せず、自分の自由にできる時間を使えなかった哀しい子供たち。
ですが、彼らはこういった娯楽である作品の内容を、ほとんど理解できません。
なぜか?
愚民教育の結果です。
虐待子の多くは、将来、高度な思考をするための思考軸を、幼少期に親に与えて貰えません。
むしろ、親の奴隷として育つように愚民の思考軸を与えられます。
それでは、問題の機動戦士ガンダムというコンテンツ内容を理解するための準備が不十分なのです。
なぜなら、機動戦士ガンダムというコンテンツは、高度な思考軸を身に付けねば理解できない作品だからです。
愚民教育しか施されず阿蒙(お馬鹿ちゃん)に育ってしまった者たちには、それが理解できません。
また、阿蒙は自分が阿蒙であることも理解できない。
そのため、ガンダムを語るSNS上で、自分と違う意見を持っている人物がいると、その人物が間違っていると断じて攻撃する性質があります。
もしかして、自分が間違っているのでは?
そうは考えないのです。
ネットインフラが整った昨今、そういった連中がSNSなどを通じて実社会へと進出して暴れ回っています。
SNSというコンテンツを使い、自分の間違った知識で他者を攻撃する。
そういった行為はダメと、規約に記載されているにも関わらずに。
阿蒙は愚民の思考軸…たとえば、教祖さまや教団の教え以外の、何物の言葉も信じてはいけない…に従って生きているために、他の規約などのルールは守らなくてもよいと認識しているのです。
それが、彼ら阿蒙のジャスティスなのですから。
では前置きはこれでお終い。
本編を始めます。
阿蒙、愚民がなぜ阿蒙、愚民かというと、人の説明を聞けないからだ。
聞かないのではない。
聞けないのだ。
幼い頃から虐待同然の教育を受けていて、管理された思考方法以外での物事への理解が、著しく乏しいのだから。
その幼少期。
片親で半ば放置されて育った子供や、子供の個としての人格を認めない、子は自分の所有物としか考えない毒親を持つ子供。新興宗教狂いで、自分も子供も教祖の所有物としか認識していない宗教狂いの親を持つ子供。
そういった環境で育った者たちの大多数は、自分中心ではなく、他者や、閉じられた閉鎖社会の利益中心に行動するよう、普段から教え込まれている。
今、この時も、洗脳教育を受け続けている状況だ。
つまり、個人が思考信条の自由がある教育を受け、自分という個を確立できた人々に比べて、こういった人々は様々な事象に対して、その理解力が著しく乏しい。
そう育てられてしまったのだから。
SNSなどのネットインフレが発達した昨今でも、そういった歪んだ教育の下で生み出された愚民層は、スマートフォンで他人の書き込みを見ても、文字は読めても内容を正しく理解することができない。
普段から閉ざされた社会側からのみの要求を聞くように管理されていて、外部社会からの情報の大半を理解できないよう育てられたのだから。
「そういった虐待されて育った子供たちは、普段から思考方法を制限されている」
「親から、悪い人の話は聞いちゃいけない。悪人に付いて行ってはいけない。そう正しい教育を受けた子供は、そういった思考の軸を持つ」
「以後、悪人の話には一切取り合わないし、悪人と思しき人物とは距離を自然に取るようになる。善人と悪人を選別する嗅覚も身に付けるだろう」
「長じて、必ず儲かる投資話があると聞けば、人間のする物事に絶対などない。それは嘘だろう。詐欺だ。そう詐欺と見抜き、簡単に引っ掛かることもない」
「また、あれは詐欺だ。詐欺を働く人物は悪人。そいつの言葉は信じるに値しない。そういった正直者と詐欺師の言葉を区別し、どうすべきか選択することができるようになる」
「さらに、悪人の言うことは聞いてはいけない。詐欺師の言葉を信じてはいけない。そんな思考軸を組み合わせることで、そこに新たな思考軸も生み出すことも可能となる」
「詐欺師などの悪人の言葉はすべて嘘。ならば、その反対側にこそ真実があるといえる。そんな、新たな思考の軸を…悪人たちの言い分の逆が真実…そんな思考軸を獲得するに至る」
「しかし、虐待子はそうはいかない」
「彼らが毒親たちから幼少期に与えられる思考軸といえば、基本、他者、所属する集団への奉仕の強要だから。つまり、奴隷になれって思考軸だから」
「さて、話は変わるが、SNSなどのネットインフラが整えられた昨今、労働に従事するためにはスマホが必要不可欠だ」
「虐待子として成長した阿蒙(お馬鹿ちゃん、愚民のこと)連中も、生活のためにスマホを持つ。その結果、これまで外部との接触を断たれていた愚民世界から、外の世界に初めてアクセスする手段を持つ」
「そんな状況の変化が、実社会で様々な軋轢を生み出し、対立が生じてしまう」
「たとえば、機動戦士ガンダムというコンテンツのファンの間でもね」
「虐待子は貧困家庭に育つ。毒親や新興宗教の教祖に、一家の財産の多くを奪われてしまうから」
「そういった虐待されて育った子供の最後の砦が、無料で垂れ流されるテレビ放送などの貧者の娯楽。ガンダムというコンテンツもその一つだ」
そう思考し、プリエ・エトワールは嘲笑し、そして、その実像の醜さに絶望せずにはいられなかった。
「(こんな思考をすると)辛いのです………」
「…いえ、弱音を吐いていないで、思考軸の話を続けましょう」
幼少期、親から愛されずに碌な教育さえ受けさせてもらえなかった、いわゆる虐待子は、大抵、こういったテレビアニメなどに詳しくなる。
哀しい実態だが、それくらいしか自分で自由にできる娯楽がない。
それが虐待子が置かれている社会の実情だ。
しかし、いくら作品に詳しくなるとはいえ、一般の人々のように虐待子が物語の内容を理解しているかといえば、まったく違っている。
具体的には、あらゆる分野で考えが甘く雑だ。
ガンダムというコンテンツでは、とくにそれが顕著だ。
なぜなら、ガンダムという作品内の登場人物たち…取り分け、ジオン公国軍側、その残党の類に属する人物たちは、作中の行動理念も、行動も、初めから誤っているものばかりで、言動も奇妙。その発言の多くが嘘塗れである。
一般の視聴者は、そのことを容易く理解する。
こいつらは悪人だ。悪人や詐欺師の言うことの逆こそが真実。こいつらの言っていることはすべて信じてはダメだと。
そういった確固たる思考軸を持っているのだから。
はあ? 連邦の棄民政策?
地球上の特権階級のエリートたちが、下層民を形成する貧民を宇宙の棄民して地球を独占した?
ぷっ…くくっ。
サイド3ジオン公国の阿呆共がそういうのなら、その逆が真実でしょうね。
スペースノイドとは、宇宙に住む才能を示して、宇宙移民となったスーパーエリート。
その多くが、地球連邦政府の宇宙開拓政策で、開拓に参加、協力すれば、人種、思想信条の変わりなく、等しくスペースノイドとしての権利を与えられる。
そんな政策に同意し、旧世紀での地球上の様々な差別から逃れた人々でしょう。
一方、アースノイドとは、身体障碍や知的障害といった様々な要因で宇宙移民になれず、地球連邦政府によって保護され、地球上で生活している人々と、政府関係者の家族たちでしょう。
まあ、スペースノイドになれなかった、身体、知的障碍者や、境界知能、発達障害の人々が、スペースノイドたちが支払った税金で保護されて生活している。
ある意味、それが特権階級というのなら、そうでしょうが。
スペースノイドとアースノイド。
どちらが自由で、どちらが不自由な立場であるか、少し考えれば解りませんか?
つまり、地球連邦政府とは、旧世紀の人類が複数の陣営に別れて殺し合う状況から多くの人々を救い出し、当時のエリートが造り出した地球上の地獄から、大多数の人々を救い出した。
また、差別されてきた弱者であるアースノイドたちを救済し、エリートであるスペースノイドたちとは別に地球上に住まわせた、人類史上、もっとも立派な政権でありましょう。
それから、棄民とは、他人の土地に勝手に入り込み、自分の権利を主張し出して乗っ取りを仕掛ける集団。
そういった捉え方もあるのです。
ですから、袖付きとかのテロリスト連中が、自分たちスペースノイドは棄民であるという言葉は、ある意味、侵略者という立場上、正しいかもね(UCネタ)。
実際、作中でジオン公国軍の連中は、人類の半数以上を死に至らしめ、連邦側のスペースノイドたちの所有物であった地球圏を乗っ取ろうとした侵略者だから。
大量虐殺の加害者側が、自分たちは地球連邦政府によって宇宙に捨てられた棄民だなんて、馬鹿げた被害者コスプレを大真面目にやっているのだから、笑える。
いえ、笑えませんね。
それから、フル・フロンタルやゾルタンといった強化人間は、肉体だけでなく、記憶すら造り出されて捏造されたお人形。主のテロの言い訳を連呼するオウムに過ぎない。
テロの黒幕に都合の良い内容しか連呼しないオウムの言葉なんて誰が信じか。
考えるに値しない。騙されるな。
上記の如く、容易く作品内容を理解してね。
しかし、虐待されて育ってきた子供は、長じてもそれは理解できません。
そりゃね。
サイド3でザビ家という独裁集団の下、支配されていた民衆同様、現実で、他者に支配されて生きてきた虐待子がさ、機動戦士ガンダムという難解なコンテンツを、正しく理解できるはずないでしょう。
虐待子は、悪人、詐欺師のいう言葉の逆が真実…そんな高度な思考軸を想像することもできないのだから。
それほどの低能に育つように、他者から人生を破壊され続けてきたのだから。
むしろ、作中のジオン公国側のウソに騙されて、じつはジオン公国側が正しくて地球連邦政府側が悪である…なんて与太話を信じてしまう始末。
阿蒙は阿蒙だから、極端に他者のウソに弱いのよね。
それで、フィクションの中のウソでさえ、ウソと見抜けず、信じてしまう。
彼等に、ガンダムというコンテンツを正しく理解しろということは。酷。
残酷なことなのです。
「でも、本当に不幸なのは、阿蒙の相手をしなければならなくなった一般の人々。ネットインフラが整備されなければ、一般人の世界と阿蒙の世界とは別れていたのにね」
「別たれていたはずの阿蒙(お馬鹿ちゃん)が、SNSなどのインフラ整備の末、隔離された閉鎖社会から一般の日本社会へと這い出し、大暴れしている」
「ああ、辛いのです。ですが、それがこの令和の実情なのです」
プリエ・エトワールが、ハイライトが消えた濁った瞳を晒してそう言った。
ああ…愚民を製造する愚民教育って、怖い。
それではまた次回でお会いしましょう。
阿蒙は阿蒙だから、ここで何が問題にされているかも理解できまい。