ある約束の話、或いはただ一つの後悔の話   作:鎮竹燐

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はい、また書きました。
このままのペースでいくと確実に本編よりも番外編の方が話数多くなるけど今更分割すんのも正直めんど……大変なのでこのままいきます。作者はこんな感じの生き物です。よろしくお願いします。






さて、この愉快な時空を書き始めてから作者の中に一つの疑問がありました。今まではこの疑問を言葉に表せず、アロナちゃんかわいいプラナちゃんサイコーと必死に考えました。


そうして誤字脱字がないか自分の作品を見直していた時に、朧げながら浮かんできたんです。確認の2文字が。今回はそういう話です。


だからこれはプラナちゃんにとっての必須イベント。ご都合主義でhappyにしたのならご都合主義でbadになるかもしれない。その可能性を確実に潰すための、2人にとって大切なイベントなのです。



この世界線を書くのならこれを書かないと世界にとってハッピーエンドでもプラナにとってハッピーエンドって "まだ" 言えないと思うんですよ。プラナちゃん本人が現状がハッピーエンドだって言ったのだとしてもです。


自身が幸せであると認識できる状況は、その幸せが一時的にでも永久的にでも失った事があるからだと思うんです。
絶望→希望→絶望か希望→絶望のどっちであるかは考えません。
詳細を考えちゃうと作者(推しは出来たら過去も幸せでいて欲しい人間)は発狂しちゃうからね。
まぁつまり、プラナちゃんは最後の絶望のとこまでもう行ったんですよね。ならね最後の絶望から →希望 にせにゃならんのですよ。


作者はプレ先を最高の先生だと認識してるので、決して嘘つきにはさせないのです。





長くなりましたね。
それでは本編どうぞ。


番外編その3 大切な確認作業

 

 

 

 

この物語は!

 

 

 

プレナパテスの決戦を終え脱出フェーズに入った直後!

 

 

 

アロナちゃんとプラナちゃんが奇跡を起こす為に手を取り合った結果!

 

 

 

アロナちゃんとプラナちゃんがフュージョンし!!

 

 

 

超絶超人天才美少女生徒会長のプロナちゃん(仮称)が現れ!!

 

 

 

プロナちゃん(仮称)(連邦生徒会長そっくり)の超人パワー!!!

 

 

先生やプレナパテスの大人のカード!!!

 

 

ゴルコンダ&デカルコマニーの必死の声援!!!

 

 

生徒達の神秘が合わさり!!!

 

 

 

 

なんか…こう…(都合が)いい感じになった世界線である!!!!(その後フュージョンは解けた)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラナは自身の隣に立つ(正確には自身が隣に立った)「先生」、通称プレ先の姿をちらりと見た。

 

 

プレ先はプラナの視線に気づいた様子はなく目の前で繰り広げられているこちらの世界のプレ先、通称 "先生" と自身の先輩であり(本人に伝える気はあんまりないが)姉の様な存在であるアロナの夫婦漫才のようなやり取りを微笑ましく見守っている。

 

 

 

気づいていないのであれば、すこーし寂しい気もするが観察を継続する。かつてとは違いプラナの補助がなくとも己の両の足で立つことができ、その目と耳は生徒たちやキヴォトスの姿、喧騒の音を拾っている。

 

 

歪んでしまった顔を隠すのと形を整える役割していた仮面は、この世界に来たと同時に顔も直ったのだから外してもいい筈なのだが、あまり外そうとしない。

 

本人曰く、こちらの "先生" と区別するためだと言っているが。プラナは知っている。

 

 

 

 

あれは色彩の嚮導者として立った自分を、この幸福な世界の中で忘れない様に、自身の戒めの為につけているのだと。

 

 

 

プラナとしてはあの時を思い出すから、あの仮面が正直好きではないのだが、仮面の下を知っているのは、現状プラナ自身とクロコ、後はこちらの "先生" くらいだろう。アロナ先輩は知らない。

 

 

 

 

 

思い返せば、「先生」が立ち上がった、立ち上がってしまった、あの時。正直に言えばプラナは辛かった……のだと思う。あの頃の自分は今と比べると感情が薄かったが、それでも無いわけではない。

 

 

 

支えるのだと、「先生」の選択を尊重するのだと決めても、無理に無茶を重ねて無謀を絶望というコーヒーにブレンドした様な状況を思えば、当然だと思う。

 

 

 

 

 

 

 

そうしてふと、プレ先の手を見た。

 

大人にしては細い方ではあるけれど、しっかり筋肉のついていてちょっとゴツゴツした努力の手。あたたかそうなやさしい手。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて果たせなかった約束が、心に刻まれた鋭利で残酷な冷たさが自身を襲ったのをプラナは自覚した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喉がつっかえる。うまく声が出せない。ちゃんと呼吸が出来ている自覚はあるけれどそれでも息が、胸が苦しい。幸いあちらの "先生"もアロナ先輩も自分の異常には気づいていない。なら大丈夫。修正できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思った時。

手を掴まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰にか?なんて言うまでもない。自身の隣に立つ存在はそういう者だ、と分かっていながらも異常に気付き手を握ってくれた事に安堵する。

そうして彼はポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 <すこし、寒そうだったからね。大丈夫かいアロナ?>

 

 

 

 

 

 

 

目を見開く。いつもは意識して硬めに喋っているのを知っていたから。自分のことをそう呼んだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……大丈夫です。ご迷惑をお掛けしt <私は> ……?」

 <かつて約束を果たせなかった。……いや、この言い方は正しくないな。>

 <約束を破った。>

 「…先生、それは……」

 <事実だよ。経緯はどうであれ、私は自分の生徒と交わした約束を破り、悲しませてしまった。>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 <お詫びだとか、代わりにだとか、そんな狡い事を言うつもりはない。>

 <しかも、私は今から酷いことを言う。聞いてくれるかい?アロナ>

 「了承。……先生のお言葉であればどんな事でも聞きます。」

 <ありがとう。では………>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 <アロナ……これからも寒そうだなと思ったら、あっためる為に手を握ってもいいかな?>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

成程、確かに酷い言葉だ。だってそれはかつての自分が言った事だ。果たせなかった約束だ。あり得ないのだと思っても、唐突にまた果たせなくなるかもしれない約束だ。怖い、怖い約束だ。こんな約束をしようとするなんて、全くなんてひどい先生だ。こう言われたら、自分の返答なんて一つだけだと決まっているじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…承諾。……これからも、アロナの手を、……先生の、手で、あっためてください。…寒そうだと、…思った時以外も……握ってください。…、そして…、……今度は………けして……」

 

 

 

はなさないで

 

 

 

 

<…あぁ、決して離さないよ。……………ありがとう、アロナ>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてわたしは、先生の胸の中にいた。

感じるあたたかさ。今を確かに刻んでいる心臓の音。頭頂部に感じる冷たさ。壊さない様に潰さない様に、それでも離れない様に、離さない様にしっかり抱きしめて。泣いた。はじめて泣いた。声を抑えきれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胸の中の冷たさが完全に消えたわけではない。

それでも、このぬくもりは、そんな冷たさを優しく融かしてくれているようだった。






…先生、これからも…アロナを、たくさんあっためてくださいね。











以下、この物語の前日譚。蛇足注意





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…あの時の応えは、今であっても変わらない。私はワタシの生徒たちをしっかり見ていくつもりだ。

…別世界の同一人物であってもぬくもりは違うのだと、数日前に確認された。……約束を果たせなかった事実は変わらず、彼女の心に私は届かない。届いてはいけない。

なぜなら、彼女にとって「先生」とは。
確かにこの世界に存在するお前のことを指すのだ。もういないが故に新しく生き私が生徒として見る「プラナ」ではなく、共に生きる「アロナ」の先生はお前なのだ。


………かつてのプレナパテスの遺志は、私にとって重い教訓となった。
自身の覚悟は周りからどう見えるのか、どう思うのか理解したつもりだ。



お前もそうだろう?
お前も私なのだから。


忘れていないのだろ?
自覚があるのだろ?



なら誓いを果たす時だ。
大事なのは経験ではなく、選択なのだから。
今この時、遺志を託したプレナパテスと生徒を見守るプレ先は両立するのだからな。
彼女と2人で話せる様にする時間は作る。
存分に話せ。





だが、全部話終わったら。
私の生徒を泣かしたんだ。
一発。重いのを叩き込む。
それで私からは終わりだ。




…せいぜい甘んじて我々にとって、何より痛く強く悲しい武器。
生徒の涙でボコボコにされてこい。

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