【完結】仮面ライダーハルガ   作:じゅんけん

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 仮面ライダーハルガ、前回の3つの出来事!

 1つ!正体不明の巨大ロボット兵器が街に現れ、集団で破壊活動を繰り広げる。

 2つ!ベロアグアのひとりキキスは、カイラから新装備E2 パルマナカルマを渡される。ルイたちの前に現れたキキスは新装備を使おうとする。

 そして、3つ!キキスが手にしていたパルマナカルマは、ひとりでに炎のベルトと融合!黒き戦士となったルイは、驚異的な破壊力でキキスを退却させ、巨大兵器5体を撃破したのだった!




EPISODE 13 薄紫の刃

 

 

 コンクリートの坂道を下る、黒い車輪。そのうしろから、少し控えめなエンジン音が聞こえる。

 

 道はゆるやかな弧を描いている。赤色と白色の2台のバイクは、坂道の曲線に沿って下へと降りていく。

 

 車体の傾きが、水平になる。バイク乗りの先には、円形の地下室が待ち構えていた。

 

 地下空間の中心の床に、銀色に光る円形の板。ふたりのバイク乗りは円盤に向かうと、その上に車体を乗せる。

 

 ふたりのバイク乗りはヘルメットを脱いだ。中からは、澄んだ目をした男と女の顔が現れた。彼らは各々のマシンから降りて、金属質の円盤から離れる。すると、周りの床から機械の擦れ合う音がもれた。

 

 床のタイルが開く。中から、銀色の機械の腕が現れ、バイクのガソリンタンクに向かって伸びる。

 

 さて、今この部屋にいる者は、ふたりのバイク乗りの他にもいた。地下アジトの壁際に置かれたソファに、青い服を着た青年が座っていた。

 

「それにしても、さっきから少し暑いわね」

 

 と、茶髪の女が両手のてのひらで顔を仰ぎながら言った。じじつ、さくらの額には汗が垂れていた。

 

「もう冬なのに」

 

「俺が、炎の力を使いすぎたから、熱を放出したのか」

 

 そう言ってルイは、右手に握る黒い小さな装置を見た。光を反射して白く見える線で、PERMANCARMAと印字されている。

 

「そうかもね」とさくらは返事をした。

 

「どうなんだ、調子は」

 

 ロウは座っているソファの上を横に滑り、ふたり分の席を空けながら尋ねた。

 

「あれからずっと、お前が変身すると黒いままだが」

 

「ああ」とルイは答える。「今は何ともない」

 

 短い返事を聞いたロウは、そうか、と相槌を打つと顔を横に向けた。そうして、服を脱いで素肌の大部分を露出させているさくらの姿が視界に映ったわけである。

 

「おい」とロウはよびかけた。「なにしてるんだ」

 

「何って、暑くてしょうがないのよ。全部脱がなかったら別にいいでしょ」

 

「急に脱がなくてもいいだろう」

 

 と、彼は落ち着いた素振りを、あえてそう見えるようにしているかのようにして、単調な口ぶりで言った。

 

「そう? 私はあんまり気にしてない」

 

 さくらの相変わらずの態度を見て、ロウはふぅっと息を吐いた。

 

「いつも、こうなのか」

 

 ロウの眼はルイの方を向いていた。

 

「えっ」

 

 ふたりの会話を横から眺めながら、自らの意思に反してにやにやしてしまっていたルイは、度肝を抜かれたような声を上げた。それから遅れて相手の言葉を理解し、口を開く。

 

「うん、まあそうかな。俺もそこまで気にしてなかったし」

 

「何を笑ってるんだ」

 

 ルイの表情を見た青年は、怪訝な顔をして言った。

 

「俺はお前と違うからな」

 

 ルイはいたずらっぽく答えた。

 

 ロウはルイから目を逸らした。それから再び茶髪を下げている女の方をちらりと見たが、そのとき、彼女の肩に直線の模様が刻まれているのを見つけた。

 

「なんだ、それは」

 

 ロウは尋ねた。黒い直線の模様は、アラビア数字であり、406と記されていた。

 

【挿絵表示】

 

「ああ、これ? 」と、さくらはロウの疑問を察して、自分の左肩をこちらに向けて見せた。

 

「実は私も知らないのよ」

 

 彼女の返事に、ロウは疑うような顔をした。さくらは口を開いて語り出した。

 

「もしかしたら、記憶を無くす前の私が、何かの記念に入れたのかも。ほら、私の誕生日と同じ数字だし」

 

 ロウはなるほど、と頷いた。

 

「なんで肩に入れたのかは、分かんないけど。背中でも良かったわよね」

 

「どっちでもいいだろ」

 

「ねえ、そういえばさ」とさくら。

 

「オルタグアの中で、自分の身体を保てる者は限られてる、って言ってたけど。それってふたりだけなの?」

 

 彼女はふたりの青年の顔をかわるがわる見つめた。

 

「他に仲間とか、恋人とかいたりして」

 

 ロウは、無言でさくらの瞳を見返した。

 

「なによ、おかしなこと聞いた?」

 

 青年は無言のままだった。妙に不穏な顔つきをして、唇を噛み締めていた。口を閉ざしたロウのかわりに、ルイが話した。

 

「俺やロウと同じように、肉体を維持したまま時空を越えられる人は、もう1人いるよ。」

 

「そうなの?」さくらは興味津々で聞いていた。「どんな人なの」

 

 ルイはさくらの眼をちょっとばかり見たあと、おもむろに口を開いた。

 

「女の人なんだけど、どっちかというと、ちょっと男っぽくてさ。悪い意味じゃなくて、頼りにできるっていうか。」

 

「戦いも得意でさ。俺がベルトを手にする前は、俺よりもはるかに強かった。」

 

「そんな人がいたのね」と、さくらは応じた。「それで、今はどこにいるの」

 

「それは、、、」

 

「消えた。」

 

 ずっと黙りこくっていたロウが、口を開いた。

 

「何も言わずにな」

 

「そうなんだ、、、」

 

「でも、きっと帰ってくるさ」とルイ。「何か事情があるんだろうし、もし何かあったとしても、そんな簡単にやられる人じゃない」

 

 ルイは明るい表情をふたりに向けてみせる。なんらかの事情を抱えている仲間を、元気づけようとした。

 

「、、、無事だといいわね」

 

 さくらはロウの横顔を見た。青年は、めったに見せないような不安そうな表情をしていた。

 

「今は、オルタグアはルイとロウのふたりだけってこと? 」

 

「そうだな」とルイは答えた。

 

「じゃあ、ベロアグアの方がちょっと多いのね」

 

「かつてはもっといたがな」とロウ。「俺たちが倒した」

 

「元から、」とルイがひきとった。「肉体を維持できる存在は、ベロアグアの方が多かったんだ。仲間の数は、俺たちが勝ってたけどな」

 

「言い換えれば、」とロウが口を開く。「今のベロアグアには、本当に強い奴だけが残ってる。本気で戦わないと、殺されるぞ」

 

 ロウは、本気なのかどうか分からないような顔をして言った。

 

「そんなふうに脅さなくても、私は平気よ」

 

 さくらは少しむっとした口調で言い返した。彼女の様子を見たルイは口を開いた。

 

「これまで以上に厳しい戦いが待ち受けてるってのは間違いない。でも、俺たちならできる」

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 東の空に浮かぶ太陽が照らす街。

 

 巨大兵器たちは巨大な腕を振り回して街を蹂躙していく。街の建物が次々と崩れ落ち、地面とぶつかって轟音を轟かせる。

 

 黒いハルガの身体は紅い炎に包まれ、その目には決意が宿る。これは自分の戦いであり、人々を守るための戦いだと、ルイは心に誓った。

 

 1体の巨大兵器がハルガに向かって突進してきた。黒いハルガは右腕を奥へ据え、炎の剣のかたちに変える。

 

 炎の戦士に振り下ろされる巨大な拳。戦士の肉体は地面と兵器の装甲とから圧力を受けた。だが次の瞬間、兵器の厚い装甲に紅い光の筋が走る。炎の打撃を貫かれた金属の塊は、大きな轟音と共に粉々に崩れ落ちた。

 

 2体の巨大兵器が長い腕を振り回す。金属の装甲が、左右からルイに迫った。ハルガはふたつの拳に押しつぶされる寸前、真上へ飛び上がった。片方の巨大兵器の方へ飛んでいき、炎の打撃を与える。それからもう一方へ迫り、頭部を直撃。炎の衝撃波が兵器たちを襲った。

 

 ハルガは次々と迫り来る兵器たちと対峙した。黒き拳が繰り出す炎の打撃は凄まじく、兵器の装甲を砕く火花が飛び散る。黒いハルガは熾烈な戦いをつづけた。

 

 黒いハルガが凄まじい一撃で怪物たちを圧倒する一方、蒼いハルガと女は、それよりもやや威力に欠けるが、戦略的な攻撃を繰り出していた。

 

 さくらの両手に据えられた鎌が、巨大兵器に刃を向ける。彼女の身体に装着されたブースターと、風のハルガが生み出す渦の力で、彼女の身体は巨大ロボットの死角を高速で駆け巡る。相手の俊敏な動きに翻弄されている機械に、さらなる渦と鋭い刃が襲いかかる。

 

 遠距離から白い光の矢が放たれる。さくらは機敏な動きでそれを回避し、自分を攻撃してきた兵器に接近。そのまま両腕を激しく振り下ろし、兵器の足元を劈く。

 

 それに続いて、風のハルガの嵐が吹き込む。猛攻を受けて巨躯のバランスを崩した兵器は、地面に倒れ込んだ。

 

 巨大兵器が地面とぶつかり、大きな音が轟いた。だがふたりの背後―今倒した巨大兵器に対して逆方向からも轟音が響いた。

 

 振り向くと、こちらをめがけて突進する巨大兵器。さくらとロウは身構えた。相手との距離を見計らい、動き出す機会を伺っていた。

 

 だが突然、轟音が鳴り響いた。驚くふたりをよそに、巨大兵器の装甲は地面に向かって崩れ落ちた。

 

 灰色の煙が兵器の装甲の至る所からたつ。

 

 さくらは、瓦礫となった巨大兵器を茫然と見つめた。ばらばらに崩れた装甲の重なりの隙間に、白い煙がたっていた。そのとき彼女は、煙の向こう側に潜む人影を目にした。

 

「誰かいるわ! 」

 

 さくらは警戒の声をあげた。彼女は鋭い眼で、煙幕の中をこちらに向かって進んでくる影を見つめていた。

 

「お前は、、、! 」

 

 相手の姿を捉えた風のハルガは、いつになく驚きに満ちた声を発した。

 

 煙の柱からは、黒とミント色の服装を纏った女の身体が浮き出ていた。灰色の霧の中から現れた頭は、薄紫色のショートヘアを冠していた。

 

「生きていたのか! 」

 

 風のハルガは驚嘆の言葉を発した。相手の女の顔には、何の色も表れなかった。

 

 薄紫の奥に光る赤い眼と、ハルガの仮面に潜む青い眼が、互いに見つめ合う。女性の艶やかな両手には、白く光る刀が、逆手に握られていた。

 

「もしかして、さっき話してたオルタグアの人? 」

 

「久」

 

 薄紫の髪は、静かに轟くような不思議な声で囁いた。

 

「え」

 

 さくらはその人物の方を振り返った。

 

「何て言ったの? 」

 

 薄紫は殺風景な顔をしたまま、それ以上何も言葉を出さなかった。

 

 彼女は横に立つロウの方を向いた。表情こそ読めないが、険しい顔をしているのが感じられる。さくらは激しい緊張感を覚えた。

 

「下がってろ」

 

 青年の言葉の意図を、さくらは理解しなかった。だが次の瞬間、彼女の目の前に刃が飛びこんできた。

 

 白い刃の先は風のハルガに向かっていた。いや、蒼穹が創り出した大気の流れで、そちらに逸らされた。薄紫の髪と蒼い装甲が重なり、互いにぶつかり合う。

 

 戦士の腰に巻かれた風のベルトが、光を放つ。すると蒼い渦が薄紫の女を覆う。ひときわ大きな光の筋が宙を貫いたかと思うと、風の戦士にしがみついていた身体は建物の壁に吹き飛ばされた。

 

 放り出された影は宙で回転し、コンクリートの壁に足をつけた。それから左手と右手を身体の上下に据えて、その場で静止した。

 

「な、仲間じゃないの!? 」

 

 さくらは大いに焦った口調で尋ねた。風のハルガは、蒼い仮面を斜め上に向け、相手の姿を見据えていた。

 

「あいつはベロアグアのひとり、イヴナだ」

 

「まさか、そんな、、、 」

 

「かつて俺たちで倒したと思っていたが、しぶとい奴め」

 

 ふたりはイヴナの方を見据えた。薄紫の髪の女は、壁にくっついたまま身体を前へ倒し、二筋の刃をこちらに向けた。

 

「戦」

 

 イヴナの囁きが風に乗って流れてきた途端、女は壁から飛び出した。

 

 片方の刃が蒼い装甲に襲いかかる。風のハルガは宙を歪ませるような渦を引き起こして、相手の攻撃を逸らした。

 

 それからすぐに、もう片方の刀が横方向から走った。ロウは素早く後ろへ回転し、斬撃を回避する。

 

 身を翻した直後に顔を上げた風のハルガ。その仮面の前に、すでに2本の刃が迫っていた。いくら風を操れる彼でも、攻撃から完全に免れることは不可能であった。

 

 咄嗟の判断で、両腕を顔の前に掲げたロウ。次の瞬間、金属同士が衝突する音が張り裂けるように響いた。

 

 さくらの鎌形装備が、相手の刀を押しとどめていた。

 

 向かい合った刃を握る赤い眼は、互いに鋭く睨み合った。だが、薄紫に包まれた方が、より尖っていた。

 

 さくらの鎌は押されはじめた。そのとき、蒼い風の筋が彼女の両脇を吹き抜けた。

 

 イヴナを捕らえた渦は、そのまま彼女の身体を押し戻した。

 

 刀使いは宙で回転し、地面に足をつけた。それからすぐにさくらに迫った。その動きの流れは恐ろしく俊敏だった。戦いに慣れたさくらでも、それに備えることはできなかった。

 

 そうして、彼女の肉体が切り裂かれるかと思ったそのとき、蒼い装甲が彼女の視界を覆った。

 

「ぐはっ」

 

 装甲とぶつかった2本の刃は、相手の身体を切り刻むのではなく、凄まじい勢いで吹き飛ばした。

 

「ロウ! 」

 

 蒼い戦士の身体は街の建物の間を5ブロックほど進んだ。みるみる小さくなる仲間の影を見ていたさくらだが、ふいに危険を察して身体を横に翻した。

 

 はたして、彼女の咄嗟の行動は正しかった。さくらのすぐ横に、光る刃が宙を貫いていた。

 

 さくらは身体を起こして両手の鎌を構えた。イヴナはすぐにそれに反応し、方向を変えて前へ踏み込んだ。

 

 再びさくらに迫る2本の刃。さくらは左手の鎌で相手の斬撃を上に流した。それからすぐに、右の鎌で敵の身体を斬り抜いた。

 

 さくらは相手を突き飛ばしたような手応えを感じた。そうして彼女は顔を上げた。そして次の瞬間、その感覚は幻であったことが分かると同時に、彼女の身体に戦慄が駆け巡った。

 

 相手の身体は宙で逆さを向いていた。それは、さくらの攻撃が回避されていたことを意味していた。と同時に、相手にとっては絶好の隙であった。

 

 光る刃が、下から上へ突き上げられた。

 

 イヴナの一撃を喰らったさくらは、その勢いで後ろへ宙返りした。彼女は残っている気力を振り絞って、着地の方向を決めた。地面に着いた足は3、4歩ほどよろめき、すぐに地面に膝をつけた。

 

 イヴナはこちらに顔を向けたまま前傾姿勢になっていた。が、ふと彼女の視線は上へ移る。

 

 力を消耗したさくらの前に、黒い影が降り立った。

 

「お前、、、! 」

 

 ルイの声は、かつて撃破したはずの敵を再び目にしたことに対する驚きで震えていた。しだいにそれは、仲間を傷つけられた静かな怒りに変わっていった。彼の黒い拳は小刻みに震えていた。

 

「黒」

 

 イヴナは一言発すると、両手を下に振って、刀をしまった。それから左手を胸の前に据える。すると、胸の間からは重量のありそうな銃器が這い出るようにして現れた。全長1mほどはありそうな迫撃砲の、銀色に光る側面中央部には、深緑色の頭蓋骨模様が象られていた。

 

 イヴナはその大きな武器を両手で持ち、発射口と思わしき部位を相手の黒い装甲に向けた。

 

 そのとき、青い光とともにイヴナの傍らに人影が映った。しだいに光が薄れると、そこには灰色のスーツの男が立っていた。

 

「イヴナ、まさかお前が生きていたとは」

 

 カイラはそう言った。ルイと戦わんとしていたイヴナは男の方を向き、銃口を上へあげた。

 

「久」

 

「ああ、久しぶり」

 

 と、カイラは応えた。男は相変わらずの冷たい笑みを浮かべていたが、イヴナの無表情さは、男に負けないくらいの冷たさを呈していた。

 

「カイラ! 」

 

 男の名前を呼んだのは、黒い装甲に包まれた炎の戦士だった。カイラは自分の名を叫ぶルイの方を見た。

 

「お前はどういうつもりなんだ! なんのために今まで、俺とさくらを支援してた! 」

 

 カイラは冷淡な笑みを浮かべた。

 

「人類殲滅のためには、オルタグアは邪魔な存在だった。彼らを討伐するために、記憶のない君たちを利用させてもらったまでだ」

 

 そう言うなりカイラは左腕を前に出し、機械の指を宙に突きつける。さっき男がそこに現れたときと同じ青い光が放たれ、イヴナとカイラの影を覆う。次の瞬間、ふたりの姿は消えていた。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 昼下がりの地下アジト。

 

 ルイは両肘を膝の上に置き、組んだ手の上に額をのせていた。

 

 正直、カイラの答えに期待していたわけではない。だが、男の言葉が一切の情を含まぬことにがっかりしていた

 

「作戦を立てよう」と、ルイは切り出した。「敵が多い。むやみに戦っても勝てるか分からない」

 

「そうね」とさくらは応じた。「でもその前に、今の状況を整理するわ」

 

 自分たちの不利な状況をすでに理解していた彼女は、いつもより落ち着いた態度を見せた。

 

 さくらが話し始める。

 

「まず、あの巨大ロボット。今わかってるのは、ベロアグアの誰かが作ってること。まあ、たぶんカイラだろうけど」

 

「そうだな」とルイが相槌を打った。

 

「特徴としては、数十体の集団で街に現れて、破壊活動を繰り広げる。けど戦闘においては、それぞれ独立して動いている気がするわ」

 

「そういえば」とさくらはルイを振り返る。

 

「前に、変な感覚がするって、言ってなかった? 」

 

「ああ、」

 

 ルイはそのときはじめて思い出したような顔をして、口を開いた。

 

「初めて戦った時は、俺が攻撃すると、同じ力で押し返されるような感覚があったんだ」

 

「どういうことだ」とロウが尋ねる。

 

「俺にもわからないけど。おそらく、あの巨大兵器の原動力は、炎だと思う」

 

「炎だと」

 

「じゃあ、相手が炎の力で動いてたから、同じ力を受けてるように感じたってこと? 」

 

「たぶん、そうなる」とルイは答えた。

 

「あくまで俺の予想だけど。ただひとつ間違いないのは、」

 

 ルイは一度話すのをやめて、黒い装置を取り出した。

 

「これを使ってると、その感覚が全くないんだ。それどころか、使う度に強くなってるように感じる」

 

 ロウはふぅと息を吐くと、口を開いた。

 

「まあ、キキスがそれを持って俺たちの前に一人で飛び込んできたんだ。よほどの性能を秘めているに違いない」

 

「でも、なんでルイのベルトと融合したんだろう」とさくらが問いかけた。「それも、運命の力? 」

 

「さあな」とロウはぶっきらぼうに答えた。「なんでも俺に聞くんじゃない。俺だって知らないことぐらいある。」

 

「じゃあ何も言わなくていいわよ」

 

 ふたりの会話を聞いていたルイは、ふっと笑いの息をもらした。

 

「巨大兵器、、、この10日間で90体は倒したわよね」

 

「ああ」とルイは応じた。「だけど、全部でどれくらいいるのか」

 

「知ってると思うが、ベロアグアの目的は人類を滅亡させることだ」と、ロウが話した。「少なく見積っても、これまで倒した数の20倍はいるだろう。でないと、俺たちがシャングリラに送った人たちを数えても、世界人口を覆い尽くせないからな」

 

「つまり、計り知れないほどたくさんいるってことね」とさくらは応じた。「ロボットの破壊はルイに任せた方がいいと思うわ。そのパルマナカルマを使えば、私とロウよりも速く相手を倒せる」

 

「わかった」とルイは返事をした。「でも、あまり離れないようにしよう。さっきも、ロウが俺のところまで飛ばされてきてやっと事態に気づいた」

 

「そんなに? 」とさくらは目を丸くして言った。「大丈夫なの」

 

「大丈夫じゃないように見えるのか」と、ロウは答えた。「ハルガの強さは攻撃の力だけじゃない。いかなる衝撃にも耐えられる頑丈な装甲を備えている」

 

 と言い終えると、ロウは軽く咳き込んだ。

 

「ロウ、無理はするなよ」

 

 ルイはそう言った。ロウは彼の顔を横目で見た。

 

「この程度じゃなんともないことくらい、お前は分かってるだろう」

 

「まあな、」とルイは答えた。

 

「さくらは、本当に何ともないのか」

 

「うん、多少の衝撃は、装着してた装備で守られてたし。」

 

「多少じゃないだろ、あいつの強さは尋常じゃない」

 

「大丈夫よ」とさくらは強く言い張った。それから、話の筋を逸らすように喋りだした。

 

「私たちはすでにウッドを倒した。だけど、さっきイヴナって人が出てきたから、組織の構成員は現在4人。これであってるわよね」

 

「3人じゃないのか」

 

 ロウはさくらの言葉に抗した。

 

「キキス、カイラ、それにイヴナ」

 

「いや、もうひとり、、、 」

 

 とルイは言いかけたが、フェルルの甲高い鳴き声が彼らの会話を中断させた。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 太陽が下がり、空が橙色に染まった街。黒い鳥型メカ、フェルルを追って街の中を進む3人の戦士。ルイとロウはすでにベルトを身につけ、ハルガの装甲で身体を覆われていた。

 

 鳥のメカは交差点にさしかかった。甲高い鳴き声をあげながら飛翔方向を変え、上空を旋回した。

 

 3人はその手前で止まった。バイクに乗っていた2人は、座席から飛び降りた。

 

「気配を感じないわね、、、 」

 

 さくらはそう呟いた。3つの影は十字路に到達した。

 

「うしろ! 」

 

 さくらがあげた声に、ルイは振り返った。

 

 そこには、巨大兵器の装甲があった。ロボットは、ビルの外壁に寄りかかっていた。ルイは右脚をうしろに下げて体勢をやや低くしたが、すぐに構えを解いた。

 

「、、、いや、もう破壊されてる」

 

 巨大ロボットの装甲に、大きな穴が空けられていた。その穴の周りに、禍々しい亀裂が刻まれていた。

 

「一体誰が、、、 」

 

 そのとき、彼らの背後から足音が響いた。3人はほぼ同時に振り返った。

 

 アスファルトの上にはふたつの人影があった。片方は彼らが今朝戦った、薄紫の髪の女。もうひとりは黒いバトルスーツに身を包み、真っ黒の頑丈そうなマスクで鼻と口を覆っていた。そのうしろからは金色の髪が姿を見せていた。

 

 ふたりの女は、3人の戦士の20mほど前で踏みとどまった。3人の戦士たちとベロアグアの2人は、互いを鋭い目つきで見据えた。

 

 今にも激闘がはじまるかと思われたそのときだった。相手の姿を見定めたロウという名の青年は、驚くような一言を発したのである。

 

 






お読みいただきありがとうございます!
感想や評価などいただけると、執筆の励みになります。よろしくお願いします。

Twitterにて『仮面ライダーハルガ』制作の裏話などを公開しています。(作者Twitterアカウント:https://twitter.com/kamenrider_jy

次回、EPISODE 14 に、御期待下さい。

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