── n < 無限 ──
森丘露夜──イヴナは炎のベルトと邂逅した。彼女の意志ではなく、ベルトの意志によって。
彼女は炎のハルガと呼ばれる戦士になった。
炎のハルガの絶大な力は、敵勢力が有する風のハルガの力と拮抗していた。
長きに及ぶ戦いの末、二人のハルガだけが戦場に残った。
仲間を失った風のハルガは、絶望の闇に飲まれ、炎のハルガを喰らった。
闇のハルガは、デーモン・スカーと呼ばれた。その存在は、長きに渡って人々の脅威となった。
── n < 10000 ──
森丘露夜が誕生した。
彼女は炎のベルトと邂逅した。
彼女は知っていた。これが初めてではないことを。母親から託された、金の腕輪が宿す記憶によって。
森丘露夜は炎のハルガとなった。その力は、風のハルガの力と拮抗していた。
仲間も敵も散り、二人のハルガだけが戦場に残った。
風のハルガは怒りの闇に飲まれ、炎のハルガを取り込んで闇のハルガ──デーモン・スカーとなった。それは長年に渡って人々に脅威を与え続けた。
── n < 5000 ──
森丘露夜が誕生した。
彼女は悟っていた。同じことの繰り返し。同じ結末。
彼女は炎のベルトを拒んだ。しかし、運命は彼女に抗う術を与えなかった。
何度も訪れるベルトとの邂逅。敵と仲間の死。風のハルガの暴走。
その中のひとつすら、止めることはできなかった。
彼女は必死にもがき続けた。何度も何度も。
そして──
── n < 100 ──
森丘露夜が誕生した。
彼女は炎のベルトと邂逅した。
しかし、彼女はその力を拒んだ。
炎のベルトは、彼女とは別の宿主を選んだ──飛鶏上瑠威。
森丘露夜は、ついに運命に抗うことに成功した。
しかし、それは闇のハルガの誕生を止めることにはならなかった。
雷のハルガという存在が現れたのだ。
その存在によって、新たな運命が生まれた。怒りに飲まれた炎のハルガが、闇のハルガとなった。
── n < 10 ──
森丘露夜が誕生した。
彼女は運命に抗う術を探していた。
彼女は一人の女性と出会った──華烏きるあ。
森丘露夜は、華烏きるあに、金の腕輪を託した。
彼女には、未来を変える力がある。なぜかそう感じたのだ。
華烏きるあは計画を練った。しかし計画は失敗した。
── n < 5 ──
森丘露夜が誕生した。
彼女は金の腕輪を手にした。それと同時に、計画の失敗を知った。
彼女は華烏きるあに金の腕輪を託した。
彼女ならいつか、未来を変えてくれる。そう信じて。
── n = 1 :β世界線──
森丘露夜が誕生した。
彼女は金の腕輪を手にした。それと同時に、ふたたび計画の失敗を知った。
彼女はふたたび華烏きるあに金の腕輪を託した。
彼女ならきっと、未来を変えてくれる。そう信じて。
しかし運命には簡単に抗えなかった。
炎のハルガは闇に呑まれた。
── n = 0 :α世界線──
森丘露夜が誕生した。
彼女は金の腕輪を手にした。それと同時に、ふたたび計画の失敗を知った。
彼女はふたたび華烏きるあに金の腕輪を託した。
森丘露夜はこのとき、すでに知っていた。華烏きるあに全てを託すだけでは不十分であること。自分こそが覚悟を決めなければならないことを。
────EPISODE 34-αに続く
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次回『EPISODE 34-α 破回』に御期待下さい。