【完結】仮面ライダーハルガ   作:じゅんけん

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 仮面ライダーハルガ!前回の3つの出来事!

 1つ!ルイとさくらは、人々を襲った疑いで逮捕された。

 2つ!さくらを戦わせていた組織の幹部カイラが、ルイとさくらの前に現れ、ふたりを助けた。

 そして3つ!自動車で移動中の3人に襲いかかった牛型の怪物を、炎の戦士ハルガことルイが撃破した。




EPISODE 4 新たなる脅威

 

 

 人里離れた山奥―。

 

 枝を生やした木々が立ち並ぶ森林。地面には枯れた色の葉の絨毯が広がる。生きるものの気配はほとんど感じられず、辺りは静寂に包まれていた。

 

 ピィィーーー

 

 と、甲高い鳴き声が響いた。森の中を、小さな影がゆらゆらと動いていた。

 

 黒い宝石のような身体に翼の生えた機械は、木々の間を飛びさまよっていた。鳥のメカは、内部に組み込まれたプログラムに従い、必死に然るべき場所へ帰ろうとしていた。

 

 突然、蒼い一筋の光が走った。細く鋭い閃光は、メカの身体を貫いた。

 

 機械は砕け散った。粉々になったボディは、地面に落下した。

 

 黒い破片の落ちたところに、何者かの足が歩み寄った。人間の形をし、蒼穹の色の装甲を身にまとっていた。頭部の左右に、鋭い突起があった。

 

 仮面の下から、青い眼が覗いていた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 田舎町の車道を、1台の自動車と、それにつづく2台の大型バイクが走っていた。ルイとさくらは、それぞれ白と赤のマシンに乗り、カイラが乗る自律型自動車リオンを追っていた。日は沈んでおり、下弦の月が夜空に昇り始めた頃だった。

 

 2人の前を行く自動車が止まった。そこには、大きな1軒の家がそびえ立っていた。

 

 カイラはドアを開け、自動車から出てきた。

 

「あの、ここは、、?」

 

 ルイはカイラに尋ねた。

 

「我々が用意したアジトだ。」

 

 男は胸ポケットから、小さなリモコンを取り出した。カイラは右手の指で、リモコンのボタンのひとつを押した。

 

 すると、玄関の扉の横2mほどにあるシャッターがゆっくりと開き始めた。シャッターが開いた先は、地面が斜めに下がっていた。車が1台通れるほどの大きさの道は、地面の下へと続いているようだった。

 

「この下に、ガレージがあるのよ」

 

 と、さくらが彼に教えた。そして、バイクに乗ったまま、地下道へ入っていった。

 

 ルイも彼女のあとを追った。地下道は弧を描くように左に曲がっていた。円の半周分くらい進むと、そこには大きな部屋があった。

 

 部屋は丸い壁に囲まれていた。部屋の中央には、金属質の大きな円形の床があった。さくらは、その大きな円の上にバイクを乗せた。

 

 ルイは地下にある空間を見回した。周りには何もなく、コンクリートの見た目の壁が見えるだけだった。

 

 ルイは白いバイクの隣に、自分が乗っているバイクをとめた。

 

「なんだ、ここは、、、」

 

「組織が私たちに作ってくれたの。自由に使っていいって」

 

 そのとき、カイラが地下施設の入口に姿を現した。彼は、ルイとさくらに冷淡な笑みを向けた。

 

 ふたりは円形の床から離れて、カイラの方に歩み寄った。すると、背後で静かな機械音がした。

 

 ルイがうしろを振り向くと、円形の床の周りのタイルが開かれていた。中から、ロボットアームのようなものが伸び、ふたりが停めたマシンの方を向いた。機械の腕は、座席の前にある、ガソリンタンクの入り口に接着して回した。すると、床から別の腕が伸びてきて、ガソリンタンクの入り口に突っ込んだ。給油をしているらしい。

 

 ルイは驚いた表情をしたが、カイラはそれには反応を示さなかった。

 

「その赤いマシンは、さくらくんのマシンをもとに、ハルガが使いやすいようアレンジしたものだ。」

 

 と、カイラが自慢げに話した。

 

「ぜひ使ってくれ。」

 

「ありがとう、ございます。」

 

「両方のマシンに、通信機が取り付けられている。私と、君たちでいつでも連絡がとれる。」

 

 ルイは、バイクのハンドルの間に、黒い小さな四角形があるのに気づいた。

 

「それと、さくらくん、気づいていると思うが、君の装具もアップグレードしておいた」

 

 さくらは、うん、とだけ返事をした。

 

「これは上の家の鍵だ。」

 

 カイラはそう言って、ルイに鍵を渡した。ルイが受け取ると、男はふたりに背を向けた。

 

「あの、」

 

 ルイは立ち去ろうとする男を呼び止めた。

 

「どうして、ここまでしてくれるんですか」

 

 カイラはルイに背を向けたまま、口を開いた。

 

「君たちには、大いなるものと戦う力がある」

 

「え、、?」

 

「ルイ、君はなんのために戦う?」

 

「俺は、、、」

 

 ルイは少し考えた。そしてすぐに、彼の中の答えが湧き上がってきた。

 

「目の前で、大勢の人が、たくさんの命が消えていくのを見た。俺はそれを、ただ見つめることしか出来なかった。」

 

 そう言いながら、彼は拳を握りしめた。さくらは、彼女の隣で話す彼の瞳を見つめていた。

 

「だけど今なら、この力がある。この力を使って、人々を救いたい。だから、俺は戦います。」

 

 ルイは青い瞳でカイラの背中をまっすぐに見つめた。彼が話し終えると、カイラはふぅぅっと、深いため息をついた。男の体は少し震えているようだった。だが、ルイの方を振り返った時、男は小さく笑みを浮かべていた。

 

「私たちも同じだ。だから、できる限りのサポートはする。」

 

 そう言うなり、カイラは地下道の方へ歩き、その場を後にした。

 

 カイラが出て行ってからしばらくして、さくらがルイに話しかけた。

 

「あなた、強いのね」

 

「え?」

 

「平気?家族のこと」

 

「、、、うん。平気ではないけど、大丈夫。」

 

 ふたりの間に、しばらくの沈黙が流れた。

 

「私ね、過去の記憶がないんだ。」

 

 ふいに、彼女はそう言った。ルイは彼女の言葉に驚いて、顔を上げた。さくらは、哀しげな顔で、地下室の丸い壁のどこかを、じっと見つめていた。

 

 が、すぐにルイの方に目線を戻した。彼女の顔はもとに戻ったように見えた。

 

「上に行ってみない?私もまだ、この部屋しか見てないのよ。」

 

 さくらは、まるでなにもなかったかのように、そう言った。

 

 ルイは戸惑った。だが、さっきの彼女の哀しげな表情を思い出し、無理に触れないでおこうと思った。

 

「そうだな」

 

 ルイは、地下施設の入口と反対側の壁に、階段が続いているのに気づいた。ふたりは階段をあがって、家の1階に着いた。

 

 家の中は広々としていた。リビングの奥に、2階に続く階段が見えた。

 

 一通り家の中を見て回ったあと、ふたりはリビングのソファに腰かけた。

 

「そういえば、わたしはここに住むことにしたけど、」

 

 と、さくらが言った。

 

「あなたはどうする?」

 

「俺は、、」

 

 彼の脳裏に、家族と住んでいた家の記憶が蘇った。ルイの心に一瞬、忘れかけていた恐怖が戻った。

 

「俺も、ここに住むよ」

 

「そう、良かった」

 

 と、さくらは返事をした。

 

「そのほうが、なにかと便利よね」

 

 それから、ふと思い出したような顔をして、言った。

 

「あいつが、あなたの所持品を持ってきたらしいわ。」

 

 そう言ってさくらが指し示す先には、3つぐらいのダンボール箱が置かれていた。

 

「えっ」

 

 ルイは段ボール箱に近づき、開けた。中には、彼が住んでいた家で使っていた小さな机や本棚などが入っていた。

 

「あいつって、、カイラさん?」

 

「そうよ」

 

「あの人、何者なんだ、、、」

 

「まあ、これが組織の人間の力ってことよ。」

 

 ルイは、あのカイラという男は、只者ではないと思った。数々の物凄い発明品を自分に与えたばかりでなく、自分が住んでいた家までも把握していた。

 

「あっそうだ、ご飯食べない?あなた、私と出会ってからちゃんと食事してないでしょ。」

 

 事実、ルイは今朝おにぎりを食べたきりで、しばらく何も食べていなかった。

 

「うん。でも、あんまりお腹すいてないな」

 

「そっか、疲れてるのかな、、」

 

 さくらの赤い眼がルイを見ていた。

 

「でも、食べておけば。腹が減っては戦はできぬ、よ。」

 

 ルイはふっと笑った。さくらも彼に笑い返した。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 壁が黒く、暗い部屋。そこには1人の女と、2人の男が居座っていた。

 

 女はブロンドの髪に、黒いバトルスーツをまとい、青い目をしていた。彼女は腕を組み、顔をやや下に向けていた。男のひとりは、赤い髪に派手な服装をしている若い男。もうひとりは、軍服を着た中年の男だった。円形のテーブルに、時計回りに、女、若い男、中年の男の順に座っていた。女と若い男の間には1人分の座席が空いていた。

 

 暗がりの中で、ドアの開く音がした。カツカツと足音を立てて、灰色のスーツの男が入ってきた。

 

「カイラさん、おかえりっす!」

 

 と、赤い髪の若造が言った。

 

「ああ。」

 

「もう済んだのか」

 

 と、軍服の男が聞いた。

 

「ああ、ルイとさくらくんは我々の陣営で、共に戦うことになる。」

 

 カイラはそう言いながら、テーブルの空いた席に腰かけた。

 

「でもいいんすか、こんなやり方で」

 

 若い男が問いかけた。すると、老いた男が答えた。

 

「奴らが何故人間を襲うようになったのかを、探らなくてはならんからな。」

 

「ふーん。とうとうあいつらも、人間が嫌いになったんすかねぇ」

 

 若い男がそう言うと、長老は鼻で笑った。それから、正面に座る男の方を向いて、口を開いた。

 

「そういえば、お前がつくったメカが破壊されたらしいな。」

 

 カイラは足を組み、右手で顎をさするような動作をして、口を開いた。

 

「あのボディを破壊するとは、、、とんだ力だ。」

 

「それほどの力を持っているのは、やつしか知らんな。」

 

「ああ、もう1人の、ハルガ、、、」

 

 カイラがそう言うと、ブロンドの髪の女が顔を上げた。

 

「どうしたんすか、アイゼさん」

 

 と、若い男がブロンドの女に尋ねた。

 

「いや、なんでもない」

 

 女は青い目を逸らして言った。女の隣に座るカイラは軽く咳払いをして、口を開いた。

 

「炎のハルガだけで、奴に太刀打ちできるかわからない。」

 

 カイラの言葉に、長老は頷いた。

 

「勝率は五分五分だろうな。それに、万が一のことを考えて、我々も準備を進めなくてはならん。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 翌朝。ルイは街中でバイクを走らせていた。

 

 さくらとルイは、昨晩、メカがいなくなったことに気づいた。ふたりは手分けして、メカを探すことにした。

 

 探す、とは言っても、あの小さな機械を探し出すのは難しい。だが、自分たちが街中を走り回れば、どこかにいるメカが自分たちを見つけて飛んでくるだろう。

 

 ルイは紅いマシンに乗って、車道を移動していた。朝の太陽が、真紅のバイクを照らしていた。

 

 突然、彼の前方100mほどのところに、煙がたった。ルイはバイクを止めて、前を見張った。

 

 煙の中から、大きな影が現れた。それは、巨大なロボットのようなものだった。黒く輝く装甲が、高さ3mほどの巨大な身体を覆っていた。

 

「オルタグアか、、!」

 

 ルイは再びハンドルを握り、体に力を込めた。彼の腰に炎のベルトが巻かれた。彼の身体が炎で包まれると共に、バイクのエンジンから吹き出る煙が、炎に変化した。

 

 真紅の光を放って、ルイの肉体は戦士ハルガへと変身した。ルイはバイクに乗り、巨大な怪物に向かって突き進んだ。

 

 巨大ロボは、左腕を振り上げて、腕部の先をルイに見せた。指の先に白い光が現れた。次の瞬間、光がルイの目の前に飛び込んできた。

 

 ルイはハンドルを切りながら同時に身体を右に逸らした。ミサイルのような光は、彼の左肩をかすめ、地面と衝突した。ぶつかった場所に、大きな火花が散った。

 

 白い光が再びルイに襲ってきた。彼は、立て続けに降り注ぐ光の矢を、巧みなハンドルムーブでかわした。ルイはほとんど無傷の状態で、敵の足元にたどり着いた。

 

 ルイは両手でハンドルを握りしめた。それから、両腕を支点にして身体を持ち上げ、脚を座席に乗せてしゃがみ込んだ。手をハンドルから離し、勢いよく車体を蹴った。

 

 ルイの身体は10mほど跳んだ。それから右拳を後ろに構え、敵の頭部に急接近した。

 

 ルイは右半身を突き出して、灼熱の拳を敵の頭に食らわせた。と同時に、左拳を奥に据えた。それから瞬時に身体を反転させ、燃える左拳を突き出した。

 

 ルイは重力に抗うように、怪物の目の前の上空にとどまり続けた。身体を右に左に交互に反転させ、連続で炎の打撃を叩き込んだ。敵はその間、あまりのダメージに身動きを取れないのか、抵抗することなくじっとしていた。

 

 だが、彼が巨大な怪物に炎のパンチを入れる度に、違和感を覚えた。敵の身体の内側から、同じ力で押し返されるような体感。これまでにない感覚だった。

 

 ルイは15回ほど連続打撃を決めたあと、身体を後ろに逸らしながら両脚を振り上げた。それから脚を勢いよく伸ばし、敵に最後の打撃を見舞った。

 

 巨大な怪物はルイの打撃で後ろに押された。バランスを崩して、背中からバタンと倒れた。だが、怪物はすぐに頭を起こして、飛び起きるように地面に立った。

 

 ルイは右脚を後ろに下げ、体勢を低くした。目の前にそびえ立つ怪物に飛びかかる機会を狙っていた。

 

 そのときだった。彼は何者かの気配を感じた。後ろを振り返ったが、誰もいなかった。代わりに、背後から翼のはためく音が聞こえてきた。

 

 遠方の空から、翼を生やしたオルタグアが4体、ルイと巨大怪獣を目がけて飛んできた。

 

 4体の鳥型オルタグアは、ルイから20mほど離れたところに降り立った。

 

 ルイは、敵が増えた、と思った。状況はかなり自分が劣勢だと考えた。

 

 ところが、鳥のオルタグアたちは着地するやいなや、巨大怪獣の方を睨みつけて威嚇していた。ルイはオルタグアの予想外の行動に驚いた。巨大怪獣とオルタグアは別物なのか、、、?

 

 だが、当然と言うべきか、オルタグアが警戒しているのは巨大怪獣だけではなかった。彼らはルイにも敵意の眼差しを向けていた。

 

 3者は互いに睨み合って、固まっていた。

 

 そのとき、静かなエンジン音が聞こえてきた。ルイは後ろを振り向いた。白い車体が近づいてきていた。

 

 さくらが乗ったマシンは、ルイの斜め後ろ2mほどのところで止まった。さくらは無言で座席から飛び降り、両腕に斬撃用鎌型武器を構えた。ルイの横に並び、オルタグアと巨大ロボを交互に睨みつけた。

 

 ルイは前を向いた。鳥のオルタグアたちは、さくらの方をしきりに警戒している様子だった。

 

 突然、巨大ロボは左腕を上に向けた。次の瞬間、白い光が放たれた。光の矢は上空に向かって放たれ、その数秒後に地面に向かって急速に落下した。

 

 複数の爆発音とともに、周りを爆煙が取り巻いた。黒い煙で、ルイとさくらの視界は覆われた。

 

 爆煙が去ったあと、巨大ロボとともに、4体のオルタグアの姿も消えていた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 ルイとさくらは、アジトのガレージにいた。ちょうどふたりともバイクを円盤に停めたところだった。

 

「次は、私を呼んでね。少なくともやつらについての知識は私の方があるんだから。」

 

 さくらはそう言いながら、左右のハンドルの間にある通信機をトントンとたたいた。

 

「ごめん、次からそうするよ。」

 

「別に謝らなくていいわ。まだ戦いに慣れないんでしょ」

 

「ああ、」

 

 ルイはそう答えた。だが彼は、どうしてかは分からないが、自分の身体は戦うことに慣れていると感じていた。

 

「なあ、なんで俺のいる場所が分かったんだ?」

 

 と、ルイはさくらに尋ねた。

 

「私もさっき気づいたんだけどね。その通信機には、お互いの位置を感知する機能がついてるのよ。」

 

 さくらはそう言って、通信機の中央部を指で何回か触った。すると、手前の空中に画面が表示された。地図の中央部に、白い丸があり、それに重なるように赤い丸が表示されていた。画面の中央下部には、白い文字で”1 m ”と表示されていた。

 

「すごいな、あの人」

 

 ルイは、通信機が映し出す像を見て、そう言った。

 

「うん。機械を開発する才能だけはあるのよ。」

 

 さくらは少し嫌味ったらしく言った。

 

「あの鳥のメカもあいつが作ったんだけど、、、どこに行っちゃったのかな。」

 

 さくらの目線は天井を向いていた。彼女は、最後にどこでメカを見たのかを、しきりに思い出そうとしていた。

 

「なあ、ひとつ、聞いていいか?」

 

「何?」

 

「なんで、あの人のことを嫌ってるんだ?」

 

 さくらはルイの目を見た。それから、視線を床に落とした。

 

「別に、理由はないけど」

 

 彼女は少しの間、黙り込んだ。

 

「ただ、なんとなくやな感じがするのよ。カイラだけじゃなくて、組織のやつらみんな。なにか隠してるっていうか。私の過去についても、なにか知ってるみたいだし。」

 

 ルイはなにか言おうとした。が、そのとき、ルイのバイクの通信機が赤いライトとともに機械音を放った。

 

 ルイはバイクに近づき、通信機を触った。すると、カイラの声が飛び出た。

 

《街に怪物が現れた。》

 

「また出たのか!」

 

 さっきふたりが戦ってから、まだ10分程度しか経っていなかった。

 

《場所はそちらに転送する》

 

 その声とともに、通信機の手前に画面が映し出された。怪物の居場所が、黒色のピンで示されていた。画面下部には3,826mと表示されていた。

 

 ルイはバイクにまたがった。彼の頭にヘルメットが自動装着された。

 

 さくらは白いバイクの座席に座った。ルイと同じように、ヘルメットが出現し、彼女の頭に装着された。さくらはルイの方を向いた。

 

「今度は私も戦うわよ」

 

 ルイは彼女の言葉にうなずいた。

 

 2台のバイクは、地下道を通り抜け、地上へと飛び出した。南の方角を向いて、疾走した。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 ルイとさくらの目指す先には、巨大ロボが立っていた。

 

 ルイは真紅のマシンに乗ったまま、炎をまとって突き進んだ。さくらは、ハンドルを左に切ってバイクをとめた。それとともに、黒い銃器を右手に取り、敵の方に向けた。

 

 渦巻く紅蓮の炎で、ルイは炎の戦士に変身した。

 

 ハルガは怪物に向かって突き進んだ。その間、さくらは距離をとって敵に銃弾を浴びせ続けた。

 

 ルイはバイクの前輪を浮かせた。彼は、バイクとともに宙に飛び上がった。

 

 炎の拳が巨大な怪物に降りかかった。だが、怪物はびくとも動かなかった。

 

 さくらは、射撃をやめた。右手で握るグリップを前に押し出し、銃器を変形させた。そして巨大な怪物の方に駆け寄った。

 

 ルイが地面に着地すると同時に、彼の背後から横に飛び、引き金を引いた。すると、銃口からは先程の2倍ほどの速度で、弾丸が発射された。

 

 が、2人の攻撃をもってしても、敵を弱らせることはできなかった。

 

 巨大なロボットは、右腕を振り回した。すると、突風がルイとさくらにぶつかった。2人は怪物から離れるようにして飛ばされた。

 

 さくらの身体が地面に叩きつけられた。かと思われたが、衝突する寸前、彼女の背中と足にブースター型装具が装着された。さくらの身体はぶつかる寸前でとどまった。それから身体が起こされた。

 

 ルイは背中から地面にぶつかった。だが、彼の全身を覆う紅い装甲が、彼を落下の衝撃から守った。ルイは起き上がると同時に、さくらのほうに目をやった。

 

「大丈夫か!?」

 

 ルイは、さくらの身体に装着された装具品がよく見えなかったので、そう尋ねた。

 

「うん、大丈夫よ。」

 

 そう言ってさくらは立ち上がった。

 

 怪物はふたりの方にのっそのっそと近づいていた。ルイは、その巨大な怪物から、禍々しい、それでいて既知感のある匂いを感じた。その瞬間、以前の戦闘で感じた違和感は、確信に変わった。

 

「やっぱり、ちがう、、、!」

 

「ちがうって、何が?」

 

 さくらは彼に尋ねた。

 

「こいつ、オルタグアじゃない!」

 

「え!?」

 

 さくらはこちらに歩み寄ってくる巨大怪物を見上げた。だが、彼女からすると、外見がこれまでのオルタグアとは少し違うということしか分からなかった。

 

 巨大なロボットは、ふたりの1mほど前で止まった。そして、まるでルイとさくらが攻撃をしかけるのを待っているかのように、大きな両腕を垂らして、じっとしていた。

 

 ルイとさくらは、正体の分からぬ巨大怪物を睨みつけ、じっとしていた。

 

 そのとき、彼らの間を、一筋の蒼い光が走った。

 

 光は巨大怪獣の身体を貫いた。それから1秒ほど遅れて、巨大なロボットは後ずさりした。

 

 ルイとさくらの前に、突然、嵐が現れた。渦巻く風は、上空から地面にだんだんと降りているようだった。ルイは、嵐の中心に人間の形をした影を見つけた。

 

 ふたりの目の前に、蒼い装甲の戦士が姿をあらわにした。こちらに背中を向けて、宙に浮いていた。

 

 風の戦士は、宙に浮いたまま、両腕を広げた。戦士の身体から、蒼い光が、風の流れに乗って飛び出した。

 

 戦士を取り巻く渦はしだいに蒼く染まっていった。それとともに、勢いも増していた。

 

 戦士の前方で、巨大ロボが立ち上がった。戦士は、両腕を勢いよく前に突き出した。

 

 蒼穹の激風が、巨大ロボに突き当たった。その瞬間、周りに大きな渦が発生した。さくらは両手で視界を覆った。

 

 巨大ロボの影は、荒れ狂う嵐の中に消えた。

 

 しばらくして、嵐が静まった。そこには、巨大怪物の姿はなかった。

 

 先程までロボットが立っていたであろう地面から、白い煙が立っていた。その手前に、蒼穹の戦士がこちらに背を向けて立っていた。

 

 ルイは、謎の人物に近づこうとした。そのとき。

 

 蒼穹の仮面は、こちらを振り向いた。

 

 

 






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<注意書き>

・本作は作者独自のフィクションであり、実在する人物や団体と一切の関係はありません。
・エピソードの更新頻度は不定期です。ご了承ください。

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