少しだけ大人になったカービィとリボンちゃん 作:Hetzer愛好家
「久しぶり、リボンちゃん」
「カ、カービィさん!?」
唐突に。何の前触れもなく、“彼”はとある妖精の家に訪ねてきた。
星のカービィ。幾千もの銀河を股にかけ、その名を轟かせる伝説の英雄。
そんなカービィと共に冒険をして、恋心を抱いた妖精がいた。
名をリボンと言う。
かつて故郷のリップルスターを巻き込んだ大事件。それを解決すべく奮闘し、最終的には見事解決した為、国ではヒーローとまで持て囃されている。
さて、そんなリボンであるが、彼女は長年大きな悩みを抱えていた。
自身の故郷を救う為の道中で、偶然にも出会い、そして互いに手を取り合った星のカービィ。彼と冒険をしていくうちに芽生えた恋心を、何年何十年と経過しても消すことが全く出来なかったのだ。
あまりにもその想いが強すぎて。ヒーローだとされる彼女に少しでも近づこうと、必死にアプローチをかけるその他の男を完全に無視する始末である。
その異常性を心配した女王様が、幾人か良さげな結婚候補を挙げてもバッサリだった。
そんな彼女らが最後に顔を合わせたのは、星羅を征く破壊神及び、それに関連する邪教が起こした大事件である。
しかしこの時は、カービィとリボンは大きく関わりを持ちはしなかった。と言うより、そんな余裕はまずなかった。
破壊神を倒したら、次に待ち構えていたのは
極めつけに、一連の大騒動が全て収まったと思えば、カービィはまた別の騒動を解決すべく旅立ってしまった。と言うか、正確には勝手に巻き込まれたの方が正しいかもしれないが……。
とにかく、彼女はカービィと腰を据えて話す時間がまるでなかったのである。
十八年ぶりに会えたのに、交わせた会話は本当に僅か。この出来事の後に、リボンが長らく病んでしまったのは誰もが想像つくだろう。
そこから更に数年。異変解決で忙しく、とても会える状況ではないカービィ。しかし、ふとした瞬間に会いたいと思って。すぐさま頭を振り、その煩悩を無理くり振り払う。そんな意味を持たない日々を過ごしていたリボン。
そんな状態だから、家の扉が開くほんの数秒前までは、彼女は悶々としながらベッドに沈んでいた。
当のカービィがやってくる。その瞬間までは。
「すっごい大きな家だね。門番までいてビックリしたよ」
「あ、え、カ、カカ、カービィさんですよね? 幻覚なんかじゃなくて、ホントにホンモノのカービィさん?」
「あれ、忘れちゃったの? 僕の顔とか声とか」
「そんな訳ないじゃないですか! ただ、どうしても信じられなくて……」
リボンからすれば、あまりにも劇薬すぎたのだ。サプライズで何のアポもなく、意中の人物がやってくるのは。
本人からホンモノだと伝えられても、未だ信じられず自分の頬を抓っているリボン。それを見て、カービィは困ったように笑いながら動いた。
桜餅にも似たモチッとした手で、リボンの両頬を優しく包んだのである。
「僕の手、温かい?」
「は、はい。それに、すごくモチモチしてましゅ……」
「それが分かるなら、夢じゃないと思うよ。それに僕も、リボンちゃんのポカポカしたほっぺたを感じてる。もしこれが夢なら、ちょっとナイトメアの復活を考えないとなんだけどね」
「……きっと夢じゃ、ないでしゅ。だって、こんなにも温かいんでしゅから。心もほっぺたも、いっぱい温かいでしゅ」
確かな温もりに触れ、少しずつリボンは冷静さを取り戻していく。
同時に、言葉には表せないぐらいの幸福感が、リボンの全身を包んでいった。
「改めて、久しぶり。リボンちゃん」
「……はいっ、お久しぶりです。カービィさん」
多少の気恥ずかしさをかなぐり捨てて。リボンはカービィに、思いっきり抱きついた。
彼らからすれば、ほんの僅かな時間。しかし、確かにその時間の分だけ大人になった二人が、ようやく再開した。
圧倒的カビ×リボ推しなのですが、如何せん本編や書籍での絡みが薄いので自分で描いてしまった次第です。
カービィ64からスタアラまで十八年。そこから追加で数年。二十年以上の月日を数えても、リボンちゃんはカービィを想ってると信じてます。