第一話「転生?仮面ライダー!」
日常とはつまらないものである。毎日が退屈で少しばかりの刺激が欲しいと思ってしまう。まぁ、犯罪めいた刺激はいらないけど。
高校に入ったら何かが変わるかなって思っていた。だけど何も変わらず特に面白いわけでもない授業を聞いて、部活に入らず家に帰ってゲームをする。
なんて退屈なんだ。何が楽しいんだ。人生なんて一度っきりしかなくて、ゲームのように一度死んだら教会で生き返るってこともない。
そんな俺の人生は唐突に終わりを迎えた。眼の前に現れた死神によって。
「パンパカパーン! おっめでとう〜! 君は仮面ライダーになる資格を手に入れたよ! 嬉しいね!」
そう言って眼の前に突然現れた美少女は……
「じゃあ、取り敢えず一回死のっか?」
満面の笑みを浮かべながら、何もない空間から取り出した大きな鎌で俺の首を躊躇なく斬り裂いた。というか人を殺すの軽すぎだろ……。
首を斬り裂かれた……確かにその感触があったはずなのに、気づいたときには傷ひとつない状態で俺は生きていた。いや、あの少女の言う通り一度死んではいるみたいだが。
周りには俺と同じように殺されたのかは分からないが、沢山の人が困惑した表情を浮かべながらどっかの施設っぽい場所で立っていた。
「やっほ~! みんな元気かなぁ?」
俺も周りと同じように見渡してみたら、俺を殺したあの少女がなにかの台の上で手を振っていた。
「ではでは~! 今から楽しい楽しい殺戮ライダーバトルをはっじめるよ〜!」
やはり軽い。彼女の言葉はとにかく軽い。
「ふざけんな!! ここはどこなんだよ!」
「そうよ! いきなり刀で心臓貫いたりして!」
「元の場所に返してくれよ!」
なるほど……やはりみんなもこの少女に殺されたようだ。殺すときに使った凶器はそれぞれ違うみたいだが。
「うるさいなぁ……静かにしてねぇとぶっ殺すぞクソガキども?」
先程までの高めのテンションからは考えられないほど底冷えた声音に、周りの空気が一気に冷たくなる。決して大きな声ではないのに、彼女から遠目の場所にいた俺の耳にまで届いた声を聞いた瞬間、背中に流れる汗が止まらなくなる。
「よし! ちゃんと静かにできてえらいね〜? 説明、続けるね?」
黙って聞いてろ……そう言われたようにも聞こえた。流石に殺気の籠もった声を聞いたみんなは騒がなかった。やはり命はみんな惜しいもんな。
「じゃあ〜ルールを説明するねぇ。今からみんなにはとある物語の世界に転生してもらいまーす! そこで命をかけたバトルファイトをしてもらうよ。拒否は受け付けないのでそのつもりでいてね!」
「質問いいか?」
俺は静かに手を上げる。周りの視線に「余計なことするな!」って言葉が見えるけど無視だ。
「なにかなぁ?」
「アンタは俺に、仮面ライダーになる資格を得たって言っていたよな? その仮面ライダーは決められるのか?」
その言葉に僅かだが周りの空気が変わった気がした。やはり気になるだろうなとは思っていた。
「やれやれ……どんな質問かと思えば。そんなの適当に決まってんじゃん? わかりきったこと聞くなよクズが。もっと考えて発言しろよ〜小学生かよ」
流石に酷くね?
「もう質問はないね? たとえあっても無視するけどね☆」
少しイラッでしたけど耐える。というか耐えるしかない。
「君たちは我らが主様を楽しませるためだけに死んで、違う世界に転生して殺し合ってもらうよ! 転生後は何してもらって構わないから。たとえその世界を滅亡させようと、原作キャラたちを犯したり殺しちゃってもいい! そこからは君たちの自由! たった一人になるまでね」
満面の笑みを浮かべているように見えるのに、それは悪魔の微笑みに思えてしまう。少女のいう『主様』ってやつのためだけに俺の人生を終わらせられたことには文句を言いたいが、それは勝ち残ったときにするとしよう……俺、このバトルファイトに勝ち残れるかな?
「んじゃ、至極面倒くせえ簡単な説明はしてやったからんだから、今から強制的に転生させるね? 答えは聞いてない!」
少女が指を鳴らした瞬間、俺たちの足元に魔法陣のようなものが浮かび上がりその姿を消し始める。おそらく転生が始まったんだろう。
気がつけば残りは俺一人になっていた。この際だから色々聞いておきたかったがどうやらそこまで時間があるまでもなさそうだ。
「なぁ、アンタ名前は?」
「んぅ? まだいたの? 面倒だけど、主様から君のことは……あー何でもない。アタシはメサリス! 覚えておきなよ?」
メサリス……なるほど覚えた。
「ならアンタのいう主様って奴に伝えておいてくれ……楽しませてやるよってな」
そう言って俺は不敵な笑みを浮かべる。その瞬間俺は魔法陣の光によってその場から消えたから、少女がどのような表情を浮かべていたかまでは分からない。だけど驚いたことには間違いないだろうな。
〜〜〜〜
「くっ……いてて。ここは……家の中か?」
どうやらいつの間にか意識を失っていたようだ。気がついたらベッドから落ちて頭を打ってしまった。
状況がよくわからない。取り敢えず俺はベッドの柱に掛けてあったカバンを取り、その中身を確認する。
「財布に学生証に……これはベルトか?」
カバンの中にはどっかの学生みたいな持ち物が入っていた。だが、それよりも目につくのが紫色の闘牛のような絵が描かれたマークの付いたコアみたいなものと、黒いベルトだった。
なんだろう……これ? おろ、手紙が入っている。なになに?
『これを読んでいるってことは、無事転生できたようだね。これはデザイアドライバー。仮面ライダーギーツという作品に登場する令和ライダーの変身ベルトだ。一緒に入っている君専用のIDコアをセットして仮面ライダーバッファになってもらうよ。特別ボーナスとしてゾンビレイズバックルを2つ入れておいたから有効活用してもらいたい。では、君が優勝できるのかどうか楽しみにさせてもらうよ』
なるほど……全然わからない!! え、なにこれどういうことだ? 転生……? 優勝……? どういうことだよ説明しろや!
「ゾンビレイズバックルっていうのは……これかな」
机の上には紫色の骸骨のような蠍のようなものがついた物体が2つ置いてあった。これがそのゾンビレイズバックルってやつだろう。
「そう言えば……これどう使うんだ?」
少なくとも俺の知ってる仮面ライダーはブラックRXまでなんだが……誤解のないようにしておきたいが、別に昭和生まれとかではない。ちゃんとした平成生まれなんだが、家の事情で仮面ライダーは昭和のしか見えいなかったため、平成以降の仮面ライダーは知らないんだ……誰に向かって言ってんだろうな俺は?
「まぁ、実践あるのみかな?」
ベルトにIDコアをセットしてゾンビレイズバックルと一緒にカバンにしまう。その後軽めの朝食(いつの間にか作られていたけど問題はなさそう)を食べ、制服に着替えて紫色のパーカーを羽織る。
「……取り敢えず学校行くか」
これ、実は転生したら記憶をなくしましたってパターンだったりするのかな?
〜〜ホロライブ学園〜〜
家から出て徒歩十分の先、目の前には高校にしてはかなり大きめな広場があった。
校門のところには銀髪をショートカットにした少女が立っている。頭に手裏剣つけているし背中に天使の羽っぽいの生えてるけど……。
「おはようございまーす!」
「えっ、あー……おはよう、ございます」
生徒会役員なのか笑顔で挨拶をしてくる。それよりも頭についてる手裏剣がとても気になる。
「今日は早いね〜! いつもより早起きしたのかな?」
おっとぉ? もしかしてこの人、この世界の俺(?)を知ってるタイプかな? ちょっと困ったぞ。
「あーうん、そう。そんなところかな」
「ふふ、早起きはいいことだよ。いつもみたいに遅刻間際じゃないからね」
マジか。この世界の俺は遅刻ギリギリに登校してんのか。
記憶を整理してわかったことだが、。詳しいことは知らないけど、今目の前にいる人物は天音かなたっていう天使のようだ。頭に手裏剣くっついてるのはなんでだろうか?
「どうかした?」
「……いや、なんでもない。それじゃあ行くわ」
「うん。またね」
天音と別れて教室へ向かう。教室は二階にある『一年A組』らしい。
「こんるし〜!」
「……あ?」
教室に入った途端突然後ろから抱きつかれ前に倒れそうになるが、なんとか気合で耐え抜く。
「……るしあ、急に抱きつくのはやめてくれ。あと首しまって地味に苦しい」
若干顔だけ後ろへ向け後ろから抱きついてきた少女――潤羽るしあに苦笑する。
「嫌なのです。みっちーがこんなにも早く登校するのが悪いのです」
「いつものように遅刻ギリギリに来いと!?」
両サイドにシニョンのついた緑髪のボブカットを揺らしながら彼女の赤い瞳が俺を映す。幼い頃から一緒にいたからか彼女は俺に対しての執着心が異様に高い。ヤンデレ気質もあるようなのでなおさらヤバい。
「でも、こんなに早くに来るなんて本当に珍しいのです」
「……たまにはいいだろ」
幼馴染みに心配されるレベルで遅刻ギリギリなのか俺は……?
それから教師が来るまでるしあと雑談でもして暇をつぶした。中身が純粋な日本人である俺としてはるしあのオカルトチックな死霊術を聞くのが楽しかった。意外と面白いし興味深い内容を聞けてよかったと思ってるが、やはり死霊術を扱う家系は優遇されにくい。
まぁ、そんなことはさておき……時間を飛ばして放課後。俺は冷蔵庫の中身が残り少ないのを見ていたため買いだめするためにスーパーにやってきた。やってきたんだが……
「や、やめてください!!」
「フブキに手ぇつけたらぶっ殺してやるっ!!」
さて、これは一体どういう状況ですかねぇ? 白い髪に猫耳みたいな耳がついた少女――白上フブキと黒い髪に同じく猫耳みたいな耳がついた少女――黒上フブキがいた。その周りには下卑た笑みを浮かべた男が数人囲んでいる。
助けたほうがいいのだろうか? としばらく眺めていたらフブキたちを囲んでいた男の一人が俺の存在に気づいてしまった。
フブキが俺を見て驚いた顔をする。小声だったが「どうしてこんなところに君が」なんて言っていたあたり俺がここにいるのが信じられないのだろう。
「なんだぁてめぇ? 何見てやがる!!」
「え? あー……面倒くさ」
思わず呟いてしまった。だけどしょうがないよね。出くわしちゃったんだもん。
「てめぇ、この子たちの関係者かなぁ?」
「別に。高校の友達さ」
「じゃあさ〜引っ込んでてくれない?」
頭の軽そうな金髪の男が俺の肩に手を置く。その際かなり力を込めていることから「邪魔するな」って意志を感じる。
「無理かな。友達が危険な獣に襲われてるのに、助けないバカはいないんじゃないかな?」
そう言うと金髪の男が軽薄そうな笑みを浮かべたあと集団のとこまで戻っていく。
「はぁ……やれやれ、いるんだよねぇ。こういう正義感のある愚か者って」
僅かな青筋を浮かべている金髪の男は懐からガラケーのようなものを取り出した。というか今時ガラケー?って思ったが、普通のガラケーとはなにか違う感じがする。
「俺さ〜君みたいなやつって嫌いなんだよねぇ」
9・1・3!スタンドバイ!
黄色と銀色を主としたそのガラケーをベルトに差し込んだ瞬間、男の身体を黄色い光が包み込みその姿を変えた。
「仮面ライダーカイザ……聞いたことはあるだろ?」
男が――仮面ライダーカイザがそう言いながら近づいてくる。
「仮面ライダー!? そ、そんな……」
白フブキが絶望した表情を浮かべ、黒フブキが憎しみを込めてカイザを睨みつけている。
なるほど……この世界では仮面ライダーは悪なのか。うぅん……俺今変身したらヤバそうだぞ。でもなぁ……
「眼の前に困ってる人がいるのに……無視するわけにも行かねぇよなぁ」
耐えきれなくなった俺はカバンからバッファのIDコアをはめたデザイアドライバーを取り出して腰に当てる。するとドライバーから帯が伸びてライダーベルトになる。
「なっ……てめぇも仮面ライダーか!!」
「道長くん……そんな」
そんな裏切られた表情をしないでよ。
ゾンビバックルをデザイアドライバーの右側にセットする。
『ZOMBIE』
左手で右腕を払い、小指と親指を突き出しながら胸をなぞり、左手を掲げ、
「変身」
『GRAB! CLASHOUT!』
『ZOMBIE』
『Wooooo……』
『READY FIGHT』
仮面ライダーバッファに変身完了する。
「さぁて、ここからがハイライトだ……」
「それバッファのセリフじゃねぇだろ!!」
知るかそんなこと。
今回の登場キャラ!
◆天音かなた
主人公の通うホロライブ学園にて生徒会に所属している天使。背中に生えた天使の羽と頭にある手裏剣のような輪っかが特徴。一応風紀委員長兼書紀担当。
◆潤羽るしあ
主人公の幼馴染み。人間界育ちだが、実家は魔界ではかなり有名なネクロマンサーの家系。死霊術の腕は歴代で最高峰だが、主人公には絶対に知られないように努めている。
◆白上フブキ
主人公の通うホロライブ学園の生徒。このホロライブ世界ではトップクラスに権力の高い白上家の一人娘。
◆黒上フブキ
白上フブキのもう一つの人格。一心同体というか白上フブキそのものではあるが、黒上フブキとして分離して外に出ることが可能らしい。
黒上フブキのヒロイン化
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黒上フブキはヒロインにすべし
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黒上フブキはヒロインにしないべき