「オラァオラァ! そんなもんか!! 仮面ライダーバッファさんよぉ!!」
「ちっ……」
仮面ライダーバッファに変身した俺はカイザの繰り出す猛攻撃に反撃できずにいた。防御するだけで精一杯でとてもじゃないが攻撃する隙がない。
俺が弱いことは自分でもわかってる。
「はははは!! ほらほらぁ! 反撃してみろよぉ!!」
調子に乗り出したカイザがカイザブレイガンを連発してくる。なんで今俺は、相手の武器の名前がわかったんだ……? 前にも言ったが俺には仮面ライダーブラックRX以降のライダー知識が全くない(第一話参照)。そのため今のように知らないライダーの知識があるはずがない。
カイザブレイガンから放たれた光弾をゾンビブレイカーで防ぐ。
ゾンビブレイカーとはゾンビレイズバックルを使用して変身したゾンビフォーム専用装備だ。チェンソー型の剣で、刃を回転させて殺傷力を高めることができる。
「ちっ……めんどい」
次々に放たれた光弾をゾンビブレイカーで叩き落しながらカイザに近づく。だが、カイザはカイザブレイガンをソードモードにしてゾンビブレイカーを弾き返した。
「はっ! 雑魚のくせにさっさと死にやがれ!」
カイザからすれば早く終わる戦いだと思っていたのか段々と苛ついてきてるのがわかる。
「お助けしますぜ旦那!!」
後ろから声が聞こえ振り向きざまにゾンビブレイカーを振るうと、量産型ライダーであるライオトルーパーが胸から火花を散らしながら飛んでいった。
見れば先程までフブキ達を囲っていた手下達が全員ライオトルーパーに変身していた。なるほど……ライオトルーパーは質よりも数で攻めるタイプか。少し面倒だな……。
「卑怯じゃねぇのか?」
「はっ! これだから雑魚は……ンなもん勝てばいいんだよ! 勝てばな!」
ウザったらしい声音でカイザがカイザブレイガンを叩きつけてくる。だが、
「なに!?」
カイザブレイガンを素手で受け止め握りしめると、無防備になったカイザの胴体に何度も何度もゾンビブレイカーで斬りつける。
「ガハッ! ぐほぉ! て、てめぇ……調子に乗ってんじゃぐほはぁ!?」
カイザの肩に叩きつけたゾンビブレイカーの刃を回転させ、勢いつけて振り下ろす。
そして俺はゾンビレイズバックルのウェイキングキーを回す。するとカイザのいる地面から無数の腕が出現しカイザに纏わりつく。俺はゾンビブレイカーを放り投げバーサークローをカイザの心臓に突き刺す。
「ち、畜生ーーーーーーー!!」
突き刺した手を戻し蹴りつけて後ろを向いた瞬間、カイザが雄叫びを上げながら爆散した。そして放り投げたままにしてあったゾンビブレイカーを戻す。
「……で、まだやるのか?」
ゾンビブレイカーを肩に担ぎながら周りを見渡し、カイザが殺られてただオロオロしてるだけのライオトルーパー達を睨みつける。
「ひ、ひぃ!! に、ににに逃げろ!!」
「おいおい……」
一目散に逃げていったライオトルーパーに呆れでため息が出た。
「大丈夫だったか?」
俺は変身を解除してなぜか逃げずにいたフブキ達に近づきながら声をかける。黒フブキからの敵対心は変わらないが。
「近づくんじゃねぇよ人殺し!」
「ちょ、ちょっと黒ちゃん!?」
人殺し……?
「どういうことだ?」
「仮面ライダーは人殺しだろうが! 人を殺して楽しんでる奴らのことだよ!!」
「で、なんで俺まで人殺しって言われなきゃいけねぇんだよ」
まさか俺も仮面ライダーに変身できるからそう呼んだってことだろうか?
そもそもなんでみんなそんなに仮面ライダーに対して憎しみを抱いているのかがわからない。
「まぁ、仮面ライダーが人殺しかどうかなんて俺には関係ないしどうでもいい。仮面ライダーのベルトを見たのだって今日初めてだし」
「「
俺の言葉に白黒フブキが驚いたようにこちらを見る。
「……なんだよ」
「つ、つまり、お前は……今日初めて仮面ライダーに変身して、喧嘩慣れしてるだろうあのバッテンの仮面ライダーに勝ったっていうのかよ?」
「そうなるな。少なくとも、俺の言葉をお前たちが信じるならな」
黒フブキが小さく「ありえねぇだろ」と呟いていたがどうかしたのだろうか? 確かに今回初変身だが、カイザの変身者が油断していたのとスペック頼りだったから勝てただけに過ぎない。
もし最初から全力で来られていたら殺されていたのは俺かもしれない……。
「……す」
「あん?」
白フブキがワナワナと震えている。もしかして今更恐怖がぶり返してきたのだろうか?
「凄いですよ!! 道長くん!! 凄いです!!」
「えっ!?」
「始まったかぁ……」
先程まで震えていた少女とは思えないほどの輝いた瞳で迫ってきた。正直少しビビった。
「あー悪い。フブキのやつ、実はかなりの仮面ライダーオタクでな。周りが仮面ライダーアンチしかいねぇのと、肝心の仮面ライダーがクズばかりでなぁ……」
「そ、そうか……」
なるほど……よく分からなかった!
「取り敢えず騒ぎを聞きつけた警察とかも来る可能性が高いし、俺はこれで……」
「待ってください!!」
面倒ごとはもう勘弁してほしかったため、その場を離れようと思ったが、それよりも早く白フブキに手を掴まれた。
「なんだよ」
「その……白上達もついていっていいですか?」
「はっ……?」
どゆこと?
〜〜道長宅〜〜
「それで……頼みたいことってなんだんだ?」
パトカーや自衛隊の人間が来る気配がしたため、裏ルートを使って家までフブキ達を連れてきたのはいいものの、俺に頼みたいことってなんなんだろうか?
正直フブキ達とは学校でもそれほど話したことがあるわけではないし、こうやって家についてくるほどの仲でもねぇ。
だからこそ少し怪しんでいることはある。俺の家を特定させて警察に突き出す、とかな。だが、そんなことをフブキがするとは思えないし思いたくもない。
「えぇと、その……なんて言いますか」
ちなみに黒フブキは白フブキの中に消えていった。どういうわけなのかは知らないし興味もないが、どうやら黒フブキは白フブキの悪魔的な存在らしい。悪魔的って表現がおかしいと思うが、フブキに教えてもらった仮面ライダーの中には悪魔と契約して戦う仮面ライダーもいるらしいので割りと間違ってない気がする。
「連れてきてもらって頼みづらいことではあるんですが……」
「もう面倒だから早く言ってくれ。余程のことじゃなければ承諾してやるから」
「本当ですね? 言質取りましたよ」
フブキの目が怪しく光った気がした……もしかしてやらかしたかな?
「では、2つほど言いますが……一つはフブキ達をしばらくここに泊めてほしいんです」
「………………………………は?」
「2つ目に……「待て待て待て待て!」なんですか?」
こいつ、何がわからないの?って顔しやがって……。
「泊めてほしいって言うけどなぁ……お前、男の家に泊まることがどういうことかわかってんのか!?」
「そ、そりゃあ、理解もしてますし、本来なら頼むようなことではないこともわかってます! それでも……今は家に帰れない事情があるんです!」
「事情って言ったってなぁ……そりゃあ余程のことに入るぞ?」
いや潤んだ目をされましてもねぇ……?
「てめぇ!! フブキの頼みが聞けねぇっていうのか!?」
「急に黒化するのやめてもらえます?」
それ分離してるとき以外でも表に出てこれるんだね黒フブキ。
「はぁ……わかった、取り敢えずそれあとにしておこう。2つ目は?」
その質問に黒フブキから白フブキに戻るフブキ……うん、ゲシュタルト崩壊しそうだわそのうち。
「2つ目は、白上の親友を探すのを手伝ってほしいんです!」
フブキの親友……それって。
「最近行方不明って噂されている大神のことか?」
「そうです! 知ってたんですか?」
「噂になってたからな。なんとなく覚えてた」
正確には俺が目覚める前の俺が覚えてたんだがな。
大神ミオ。黒い髪に赤いメッシュが入った少女の名だ。まるで母親を思わせる母性を持ち、彼女と接したほとんどの男が赤ちゃん化することで有名らしい。俺は授業が同じになったときぐらいしか顔を合わせたことがないからわからんが。
基本的に誰に対しても同じように優しく接してくれる大神に恋心を抱くやつは多い。まぁ、大体のやつがフラれているみたいだがな。大神家は白上家に古くから仕える由緒正しき家だ。これは歴史の授業で教師がよく話しているので覚えている。
正直俺という存在も色々あやふやのためわからないことも多い。例えば俺は他の転生者のように記憶を継いでいないことだ。仮面ライダーになれるってことは、おそらく俺も転生者の一人なんだろうが……どうにもそこらへんの記憶が抜け落ちている。
そして、この世界で生きていた俺の記憶も一部分が消えているため、俺がどのように生きていたかがわからない。かなたやるしあに対してはある程度記憶があったが……まぁ、そこはいいか。
「問題はどうやって大神を見つけるか、だな……」
「そうですよね……」
どうやらまだまだ問題は多そうだな。
〜〜????〜〜
「ここか……駄女神の言っていたイレギュラーのいる場所は」
振り向く多くの女性の目線を振り向かせうっとりとさせている青年が街の中を歩いている。青年はそんな視線など気にすることなく歩き続ける。
場所を移動し商店街にやってきたが、中は様々な人たちで溢れかえっていた。魚を売っているおっちゃんや本屋の店番をしているツムリや本の整理をしているギロリやおにぎり屋の店を手伝っている猫の獣人など様々だ。
「……ちょっと待て。なんか二人ほど関係ないやついなかったか? まぁ……いいか」
やはりこの青年は気にしなかった。いや、気にしないようにした。
「それにしても、やはりここでも俺は人気だな。流石スター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズの称号を持つだけはあるな。ま、俺のことだけど」
商店街を歩いていただけでもかなりの視線を集めていた。中には写真を撮る許可を取りに来た女子高生もいた。
「
そんな時だった。商店街の奥の方でなにやら人が騒ぎ出した。
「……なんだ?」
気になって近づいてみると、一人の男性が少女を抱き寄せナイフを突きつけていた。
「う、動くんじゃねーぞ! 動いたらホロメンを殺すからな!!」
男はかなり動揺しているようで目の焦点が定まっていない。口から若干よだれも溢れており、ポケットからはなにかの薬のようなものが飛び出ている。
(なにか麻薬でもしていたのか?)
青年は下手に動かず、取り敢えず観察することとした。
「へ、へへへ! オレ様ァ運がいいぜ 転生しても覚醒剤がやめられなくて金に困っていたら、こんなにも金になりそうなお嬢様に出会えるだからなァ……ラミィちゅわぁぁん?」
「ひぃ、キモい」
確かにキモい。青年も心の中で同意した。
「そこまでにしておけよ転生者?」
流石に見ていられなかった青年が前に出る。すると後ろから「危ないぞ!」とか「戻れ!」と声が聞こえてきたが全部スルーする。
「なんだぁてめぇ!! オレ様ァの前に出てくるなんてよォ……何様のつもりだゴゥラァ!!」
「別に? ただ、目の前で困っている人を放っておけないだけさ」
この世界に来る前まで仲良しだった親友の言葉を借りる。青年の記憶にいるお人好しなら絶対にそう言うはずだからだ。
「さぁて、悪者退治と行くか」
「調子に乗るんじゃねぇぞ!!」
「きゃあ!?」
男はラミィを突き飛ばしどこからともなくベルトを取り出すと腰に当てる。すると帯が腰に巻き付きライダーベルトになる。
「へぇ~戦極ドライバーか」
青年の言葉に苛ついた表情を見せる男は懐からドリアンロックシードを取り出して
『ドリアン!』
解錠スイッチを押し戦極ドライバーにセットする。
「変身!」
カッティングブレードを下ろし上空に現れたクラックが開く。すると開かれたクラックからドリアンが出現し男の顔を覆う。そこから鎧となり仮面ライダーブラーボへと変身を完了した。
「へへへ……ぶっ殺してやるよぉ」
「やれやれ……こうなりゃ俺もやるしかないな」
背年も懐からベルトを取り出し腰に当てる。すると帯が腰に巻き付きライダーベルトになる。
「デザイアドライバーだと!?」
「ほう? まさかデザイアドライバーを知ってるとはな」
「当たり前だろうが!! 俺が殺された日に放送されたんだからな!!」
恨みのこもった目で睨みつけてくるが、青年はどこ吹く風といったふうにスルーする。
『SET』
マグナムレイズバックルをデザイアドライバーの右側に装着する。
『SET』
続けて取り出したブーストレイズバックルをデザイアドライバーの左側に装着し、相手に向けて指でキツネの影絵を作り、中指と親指でフィンガースナップをする。
『DUAL ON』
『GET READY FOR BOOST & MAGNUM』
『READY FIGHT』
上半身を右側に現れたマグナムフォームの鎧が包み込み、下半身を左側に現れたブーストフォームの鎧が包み込む。それによって青年は仮面ライダーギーツ・マグナムブーストフォームへと変身を遂げた。
「さて、ここからがハイライトだ!」
マグナムシューター40Xを手に仮面ライダーブラーボに向けて走り出した。
next timebuffer
今回登場したキャラ
◆白上フブキ
ホロライブ世界でトップクラスに権力の高い白上家の一人娘。仮面ライダーが敵視されているなか、かなりの仮面ライダーオタク。
◆黒上フブキ
白上とは違い仮面ライダーを敵視している。道長が初戦闘で初変身したことに驚きを隠せない。白上フブキと同一人物であるためか、彼女の仮面ライダーオタクが少しだけ移っているが、本人は全く気づいていない。
◆芙蓉道長(仮面ライダーバッファ)
主人公。仮面ライダーでは基本である初戦闘で敵対ライダーを倒した。ホロライブ世界で仮面ライダーが敵視されていることに疑問を抱いている。
◆仮面ライダーカイザ
ゲームで言うところのチュートリアルみたいな敵。
◆雪花ラミィ
人里離れた白銀の大地に住む、雪の一族の令嬢。「ユニーリア」という雪国生まれのお嬢様で、エルフの父と人間の母との間に生まれたハーフエルフ。
◆青年(仮面ライダーギーツ)
なにやら道長のことを知っている素振りを見せたかもしれない謎の人物。
◆男(仮面ライダーブラーボ)
なんかクスリを決めてるキモくてやべぇ~ヤツ
黒上フブキのヒロイン化
-
黒上フブキはヒロインにすべし
-
黒上フブキはヒロインにしないべき