いつも通りの日常……それは突如として消えてなくなるんだと、このときの俺は初めて知った。
「なんだこれは……? なんなんだよいったい……!?」
突然わけの分からない異形達が現れ俺達を襲い始めたことにより、俺たちの世界は終わりを迎えた……。俺の幼馴染みである潤羽るしあは俺を庇ったばかりに異形に胸を貫かれて死んでしまった。
悔しかった。何もできず恋人を失ったことが何よりも悲しかった。家族も失った。友達も謎の光線に撃ち抜かれて死んだ。仲の良かったちょっとサイコパスじみた世界的人気のアイドルでさえも目の前で死んでしまった。
なぜだ?なぜだなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだ?そう、考え込んだ。俺の真後ろにまで異形が迫っていたことにすら気づかないぐらい……。
「あぶねぇ!」
だが、その悲しみは突然現れた紫の鎧を着た人物に蹴り飛ばされたことによって吹き飛んだ。
「こんなところで座り込んでじゃねぇ! 邪魔だから早く逃げろ!」
「……なんだと?」
その言葉に、チェンソーのような武器で異形を斬り殺したそいつに向かって、俺は掴みかかった。
「お前に何がわかる!! 世界があの異形に壊され、恋人も殺された俺の気持ちが!!」
「知るかそんなの!」
そいつは鬱陶しそうに俺に投げ捨てると、チェンソーのような武器を俺に向けた。
「お前たちのことなんざ俺には関係もねぇしどうでもいい。だが、目の前に死なれるのだけは迷惑だ。いいか? さっさと逃げろ……そして、生きろ」
その言葉に悲しみの感情が混じっていたことに俺は気づいた。少しだけだったが声が震えていた。
いったいどれほどの悲しみを感じればこうなるのか、俺には想像もつかなかった。
「とにかくせっかく生き残ったんだ。俺らがジャマトを殺し尽くすまでどっかに隠れてろ」
もう俺に興味をなくしたかのように顔を背けたそいつはチェンソーのような武器を担ぎながら何処かへ去っていった。
それから俺はまた走った。時々ジャマトというらしい異形が追いかけてくるが、なんとか振り切ることに成功する。奴らは見た目的に目や耳がありそうにないのにまるでゾンビかと思わせるぐらいしつこかった。
もうどれほど何日も経った。何時間走ったのかさえ考えるのも嫌になってきた。身体中は血塗れで服はボロボロ、髪の毛は荒れ狂い、目の下には深い隈ができていた。まぁ、いつ襲われるかわからない恐怖で一睡もしていないから仕方ないというべきなんだが。
そしてかつて仲間だった人達の屍を乗り越えながら逃げ続けた俺は……あのとき助けてくれた仮面ライダーと再開した。
「お前は……あのときの」
「やはり、まだデザイアグランプリは終わってねぇか。いつ終わるんだよ」
俺を見るなり退屈そうにため息を吐く彼に、弄ってしながらも少しだけ警戒しながら近づいてみる。
「お前は……ふん、まだ生き残ってたんだなギーツ」
「ギーツ? 何を言っているんだ? 俺は浮世英寿だ。そのギーツってやつじゃない」
「あぁ? どうなって……あ~なるほどな……この世界のコイツはまだギーツに変身していない時期か。もしくは仮面ライダーにならなかった浮世英寿か」
なんかブツブツと一人で喋ってるな。声が小さくてうまく聞き取れなかった。
「まぁいい。お前がギーツだろうとなかろうと、俺には関係のねぇことだ。死にたくなったから大人しくしていることだな」
「ちょ、ちょっと待てよ。いったいこの世界はどうなっているんだ? 突然現れたあの異形……ジャマトだったか? あれが現れてから世界はめちゃくちゃだ」
「そりゃそうだ。アレは俺たち仮面ライダーがやってるデザイアグランプリの敵だからな」
ふむ……なるほど。仮面ライダーの邪魔をする敵だから『ジャマト』ってことか。
「お前は俺のことを知ってるみたいだが、俺はお前のことを知らない。お前は……誰なんだ?」
「……まぁ、それぐらいはいいか。俺は芙蓉道長。デザイアグランプリの参加者だ」
デザイアグランプリ……さっきも言ってたやつだな。
「そのデザイアグランプリっていうのは?」
「それ以上は教えられねぇな。知りたきゃ仮面ライダーになるこった。ま、この世界のお前が仮面ライダーになれるとは思えねぇがな」
「なにか仮面ライダーになるための条件でもあるのか? 例えば誰かに選ばれる、とか。偶然そういうのを見つける、とか」
「……お前、本当は記憶を持ってるとかじゃねぇよな?」
記憶? 何を言っているんだ?(2回目)
「はぁ……その間抜け面みりゃ違うってのはわかるが、どうしてこう、どの世界でも浮世英寿は鋭いところをつくんだか……まぁ、だからこそ俺にとっては最高のライバルなんだがな」
またブツブツと……。一体なんなんだこいつは。
「っ!! どけ!!」
「はっ!?」
突然俺は道長に突き飛ばされたかと思うと、コイツの胸にどっからが飛んできた光弾が突き刺さった。
『あ~惜しいなぁ……もう少しで殺せたのになぁ』
「は?」
「ちっ……生きてやがったか」
光弾は俺の後ろから飛んできた。だから後ろを振り返れば、まるでパンダを思わせる白い装甲を纏った仮面ライダーが木の上に座っていた。手にはライフル銃のような武器を構えていた。
「ダパーン……相変わらず不意打ちとは、臆病なやつだな」
『ははっ! その臆病なやつにまんまと殺られた君は間抜けだよねぇ? 間抜け過ぎて笑い死にそうだよ』
「そのまま死んどけ」
もう一発光弾が撃ち込まれる。
「お、おい! 大丈夫なのか?」
「これが大丈夫そうに見えんのか?」
俺が駆け寄って抱きかかえると道長は震える手で俺にドライバーを渡してきた。
「ギーツ……仮面ライダーになれ! お前が……世界を、救え!」
「……」
「お前ならできる。お前のことは、俺が一番知ってるからな……お前は強い。だから……」
「あぁ、わかった。俺が世界を救ってやる。俺に……任せておけ」
俺が不敵な笑みを浮かべてドライバーを……デザイアドライバーを受け取ると、道長は安心したような笑みを浮かべながらポリゴンのような粒子となって――この世から消滅した。俺の手にデザイアドライバーを残して。
「おめでとうございます!」
俺が立ち上がると真後ろから女の声が響く。振り向けばどこから現れたのか黒髪をポニーテールにした美少女が大きめの箱を持って歩いてきた。
その合間にもダパーンが光弾を放ってきているが、俺の周囲に展開された謎のバリアがそれらすべてを弾いた。
「私はデザイアグランプリのナビゲーターを務めているツムリと申します。改めておめでとうございます! 今日から貴方は仮面ライダーです! では、これをどうぞ!!」
そう言ってツムリが持ってきていた箱を開けると、道長に託されたデザイアドライバーと同じデザイアドライバーと、赤い狐の絵が描かれたギーツIDコア、そしてトリガーの付いたピストルグリップがついた――マグナムレイズバックルが入っていた。
「さぁ、これをどうぞ」
「……これとこれだけでいい」
俺はギーツIDコアとマグナムレイズバックルだけを取る。
「え……? で、ですが」
「今は……俺に託してくれた道長の意志とともに、ダパーンを倒したいんだ」
「……わかりました。検討をお祈りします」
納得のいってないのが見てわかる表情をしているツムリは俺に一礼するとその場から消える。俺はダパーンの方に向き直りデザイアドライバーを腰に装着しドライバーの右側にマグナムレイズバックルをセットする。
『SET!』
相手に向けて指でキツネの影絵を作り、中指と親指でフィンガースナップをする。そしてアプルーバルリボルバーを回転させ、ストライクトリガーを押す。
『MAGNUM』
何もない空中に浮いた『MAGNUM』の文字が銃弾へと変わり跳ね返ってくると俺の上半身に白い装甲が装着され、
『READY FIGHT』
コアIDに対応した仮面ライダーギーツの「マグナムフォーム」へと変身する。
「さぁ……ここからが、ハイライトだ」
極めて冷静に決め台詞を決めるとマグナムシューター40Xを構えながらダパーンへ向かっていった。
〜〜芙蓉道長(現代)〜〜
「それで、本当なんだろうな?」
アレからなんとかジーンを問いただして大神の居場所を吐かせることに成功した。まさか既に居場所を掴んでいるとは思わなかったが。
「あぁ、最近協力者になった奴から聞いたからな。見た感じ胡散臭いやつだったが、おそらく信用はできるはずだ」
「でも、まさか廃棄された工場を拠点にしているなんて、なんだかゲームの定番のように白上は思いますね!」
いやゲームって……本当に白フブキはゲームが好きなんだな。
「はぁ……それは別にどうでもいいんだが、なんで生徒会長もいるんだよ?」
「……捕まった」
「は?」
「大神の居場所掴んだから白上を捕まえに行こうとしたら、見つかって洗いざらい吐かされた挙げ句ついてきた」
俺の後ろでニコニコしながら周囲を警戒している鬼の生徒会長――その名も
「いやぁ、人間様のことはとある人から噂で聞いていたんだがな! なかなか見つけられなくて余も困ったぞ! でも! 今回は人間様だけじゃなく白上もいることだ! ぜひとも仲良くしたいな!」
なんか、やけにフレンドリーな奴だな。
「……あぁ、そうか」
「テンション低いぞ?」
「元々だ。気にするな」
「そうか! なら気にしないでおくな!」
なんか腹立つわ。
「はぁ……もうすぐ目的の場所につく。各自警戒しながら静かに移動しよう」
「「「了解!」」」
声、うるせぇよ。もうちょい静かに返事してくれ。頼むから。
「ミオ、待ってて……必ず助けるからね」
〜〜廃棄工場奥地〜〜
「ぐへへ〜さぁ、一つになろうミオちゃ〜〜ん♪」
「嫌! 嫌だよ! 離して! なんか臭い!」
俺たちはどうやら見てはいけないものを見ているのかもしれない。
「えぇと……えぇ?」
「通報するか?」
「斬ろう……今すぐに斬り裂こう」
「どう見てもゴブリンとオークな融合だろありゃ」
上から順に白上フブキ、黒上フブキ、百鬼あやめ、そして俺だ。
「誰だ!? 今僕ちゃまのことを侮辱したのはぁ!?」
「いや侮辱以前に……事実だろ」
俺のツッコミを聞いてか、いやらしい感じに鎖に繋がれた大神の身体を舐め回すように眺めていたオークゴブリンが振り向いた。
「てっ、誰だお前らぁ!? この超絶スーパーミラクルハイパーアルティメットウルトライケメンの
「うわぁ~ちょっとどころかかなりドン引きものですね。こんなのをイケメンなわけないじゃないですか。むしろ道長くんのほうがイケメンですね!」←白フブキ
「そうだな。道理だ」←黒フブキ
「うむ!」←あやめ
「スルーしていい?」←俺
「ブヒ!? よぉぉぉく見たらホロメンの白黒フブキちゃんとあやめちゃんじゃないかぁ〜♪ やっぱり僕ちゃま持ってるわぁ〜まさか嫁達の方から来てくれるなんて〜」
何言ってんだ……こいつ? オークゴブリンは物凄くニチャアと音を立てながら口角を上げる。
「き、気持ち悪いです」
「ってか嫁ってなんだよ気持ちわりぃな」
「言葉通りの意味だよぉマイハニーィ? 君たちホロメンはみ〜〜〜んな! この超絶スーパーミラクルハイパーアルティメットウルトライケメン僕ちゃまの嫁なのさ!」
「頭、大丈夫か? お前病院行ったほうがいいんじゃねぇか」
「うるしぇな! オスは黙ってりょよ! ってか僕ちゃまの嫁達から離れりょよ!」
「フブキ、慰めて。今俺はすんげぇ見た目の悪い奴に差別された。同じ男に……男だと思いたくもねぇけど」
「よしよし帰ったから甘やかしてあげますからね」
「そんなことよりウチのこと助けてよぉーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
そうだな。早く開放してやんねぇと。
「てめぇ、転生者か?」
「な、なんでわかった!? ま、まさかお前も……」
「いや俺は違うけど「転生者じゃねぇんなら引っ込んてろよカスが!!」えぇ……」
前から思ってたけど転生者達って全然話通じねぇなおい。もう諦めてたけど。
「はぁ……もういい。頭にきた。ぶっ飛ばす」
俺はデザイアドライバーを腰に装着しゾンビレイズバックルを右側にセットして仮面ライダーバッファ・ゾンビフォームに変身する。後ろで「なっ!? 人間様って仮面ライダーだったのか!?」って驚いている鬼の声がするが無視だ無視。
「取り敢えず……というかもう死ね!」
ゾンビブレイカーを思いっきりオークゴブリンに叩きつけて殴り飛ばす。
「扱いが酷ーーーーーーーーい!! ぶべらぁ」
壁を貫通して消えていったゴミのことはガン無視して、大神を傷つけないように縛り付けている鎖を斬り裂く。その際倒れそうになっていたから抱きかかえてやる。
「あ、ありがとう……」
なんで顔を赤くする。おい俯くな。睨むなそこの三人!!
次回……「暴走と鬼と天使」
今回登場したキャラ
◆浮世英寿/仮面ライダーギーツ(過去)
我らが主人公の過去。今はまだこれ以上語れぬ。
◆芙蓉道長/仮面ライダーバッファ(過去)
英寿にデザイアドライバーを託し消滅した第一話冒頭に出てた本来の転生者。
◆仮面ライダーダパーン
不意打ちを得意とし地味に相性のいいマグナムレイズバックルを使って世界の住人とか仮面ライダーとか関係なく殺していた。今現在のことは不明。
◆ツムリ
デザイアグランプリのナビゲーター兼アイドル的存在。英寿の存在に期待のようなものを向けている。
◆白上フブキ
最近ちょっとヒロインみたいになってきた候補一人目。ようやく心の親友と再会できて嬉しい。それはそうとミオに嫉妬中。
◆黒上フブキ
ヒロイン候補二人目。白上フブキの心の影であり同一人物。白フブキが親友に再会できて自分のように嬉しい。
◆百鬼あやめ
ヒロイン候補にはまだ入ってないホロライブメンバー。前々から道長とは話してみたいと思っていた。あわよくば生徒会に……。それはそうと出番がなくて同行した意味がわかんなくなってる。
◆大神ミオ
だいぶ前からオークゴブリンに監禁されていた。オークゴブリンが奥手だったおかげもあり貞操は守られていた。だが、毎日飽きることなくいらやしい目で身体を舐め回すように眺められて精神的に披露している。
◆オークゴブリン(名称仮)
語ることいる?いらねーよな?
桜井景和と鞍馬祢音の参戦(なお、オリキャラとして扱うものとする)
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あり
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なし