ホロライブライダーズ 不死身の闘牛   作:プロトタイプ・ゼロ

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第七話「夢と未来とセクシャル先生」

 

 

「くっ……意外と強いぞ。余でも止められるかどうか」

 

 突然ケータイに親友からの助けを求める声が聞こえたから向かってみれば、そこにはかなたの首を絞めるバッファの姿。

 

 それを見た瞬間、あやめは自分の限界を超える速度でバッファの懐に入ると蹴り飛ばした。

 

 そして、かなたを助けに入ったことで次はあやめがバッファの標的になっていた。

 

「……」

 

「くっ……! やめろ! 人間様! 余はお前とはこんな形で戦いたくない!!」

 

 バッファの暴力的な攻撃をすべて紙一重で躱したりしながら呼びかけるが、バッファの意識は戻ってこない。

 

 おそらく鬼の力を最大限に発揮すればバッファを倒すことはできるだろう。だが、それを抜きにしてもあやめとしては自分が属する学校の生徒を殺めることはしたくない。

 

 二振りの刀でバッファの拳を防ぐが、思った以上にパンチ力が高いためか防ぎきれず吹き飛ばされる。追撃とばかりにバッファがあやめの近くに現れると、その無防備な腹に踵が落ちる。

 

「がはっ……!」

 

 その威力は思わず意識を失いそうになるほど。だが、それでも寝ているわけにいかない。見ればバッファの振り下ろされる足が見えた。

 

「や、やばっ!!」

 

 すぐに横に転がり足の力を使って起き上がる。

 

「くっ……流石に余一人じゃ倒せないぞこんなの!!」

 

「あやめちゃん!! ベルト! 道長くんのベルトを外して!!」

 

「ベルトォ!? う~ん、やってみるよ!!」

 

 狙い所は決まった。なら、あとはやるべきことをするだけ。

 

「本当はあんまりやっちゃいけないんだがなぁ……」

 

 ゆらりと腕を下ろし肩の力を抜く。身体の底からゆらりゆらりとオーラが溢れ出し、あやめの後ろで鬼の姿を象った。

 

 その姿はまさに鬼神の如し。

 

「らぁ!!」

 

 殴りかかってきたバッファを刀で受け流し蹴り飛ばす。空中に飛ばされるもバッファはくるりと回転し電柱を蹴ってあやめに突っ込みながらライダーパンチを繰り出す。

 

「この力を開放したからには……こっからは余も手加減できぬからな!」

 

 バッファの繰り出すライダーパンチに対して二振りの刀でまるで舞うように斬りつける。

 

「鬼神双烈斬!!」

 

 一撃二撃三撃と刀による一撃が多くなっていく。終いには無数の腕で刀を振るっているようにしか見えなくなってくる。

 

 最初こそ連続ライダーパンチで応戦していたバッファだったが、途中から防ぐことすらできなくなるほどその連撃は凄まじかった。

 

「うぅ、らぁ!!」

 

 最後に力強く地面を踏みしめなから二振りの刀でバッファを弾き飛ばす。丁度刀の切っ先がデザイアドライバーに来るように調整しながら。

 

 背中から壁に強打したバッファはそのまま崩れ落ちると動かなくなる。デザイアドライバーが外れたことにより変身が解除された道長は地面に横たわりぐったりとしている。

 

「おい大丈夫か!?」

 

「えっ……どうなってるの!?」

 

 すぐに道長に駆け寄った二人は、道長の身体が悲惨な姿になっていることに驚愕した。

 

 身体のあちこちから火傷の匂いが溢れ、手首は青白く変色し折れ曲がっている。幸いにも顔を近づければ寝息が聞こえることから最悪の事態にはなっていないことがわかるが、それでもこれは酷すぎた。

 

「ど、どうしょう! 余、殺しかけた……? びょ、病院に……!!」

 

「落ち着いて! いや、私も落ち着けてないけど取り敢えず落ち着いて! ちょこ先生に連絡しよう!」

 

「う、うむ……そうだな」

 

 慌てふためくあやめをどうにか落ち着かせながら、自分も心の音がうるさいのを自覚し震える手をどうにか抑えながらとある人物に連絡を取る。

 

「あ、ちょこ先生!? こんな時間にごめんなさい! 道長くんが大変なことになってて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜数分後〜〜

 

「ふぅ……取り敢えず応急措置は施したわ」

 

 ホロライブ公園の近くに住んでいる癒月ちょこに連絡をとったかなたたちは、これ以上道長を傷つけないようにしながらちょこの家まで運び込んだ。

 

 最初道長の容態を見たときはちょこの顔色は真っ青になるほど酷かったことがわかり、事情を後回しにして優しく道長の服を破りながら治療を行った。

 

 道長の着ていた服には血がびっしりとこびりついており、うっかり肌を傷つけないように丁寧に脱がした。このとき道長の意識がなかったことが幸いだったとちょこは語った。もし意識が戻っていたら傷の痛みで治療などできなかったかもしれないからだ。

 

「それで、一体何があったの? 道長様の身体を見てみたけど、あの折れ方や肌色は異常よ?」

 

「そ、それは……」

 

「私が説明するよ」

 

 かなたは偶然道長と公園で鉢合わせしたことを語った。その時仮面ライダーに襲われ道長に助けられたことも。そして、事情が事情なだけに道長が仮面ライダーに変身して守ってくれたことも。

 

「そう……それでその敵対してた仮面ライダーがなにかのアイテムを道長様のベルトにつけたあと暴走した、それでいいかしら?」

 

「はい……」

 

「事情はわかったわ。道長様の意識が戻り次第になるけれど、取り敢えず私の知り合いがやってる病院に連れていきましょう」

 

「……助かりますよね?」

 

「安心して? その人はとても腕のいい人だから」

 

「わかりました……」

 

 顔を俯かせるかなたから離れちょこは一人道長の近くに寄る。

 

(まさか道長様が仮面ライダーになるなんて……)

 

 今も意識を取り戻さない道長。

 

 学園では毎日とは言わないが道長と顔を合わせてはいる。だがそれでも保険を担当する教師として深く関わったことがあるわけではない。

 

 まだちょこが魔界から人間界に来たばかりの頃、目的の場所が分からずどうしたらいいか不安になったことがあった。その時出会ったのがまだ幼かった道長だった。

 

 聖都大学附属病院にて親友に会いに来た彼女は、聖都大学附属病院の名前しか聞いていなかったため場所が分からなかったのだ。そんなときに道長に道案内されたことがあり、心の底から感謝していた。

 

 その相手が今、仮面ライダーとなって死にかけている。

 

(恩を返すなら今、よね?)

 

 ポケットからスマホを取り出し電話をかける。

 

『……なんの用だ? こっちはこれでも忙しいんだ。要件は早めにしてくれ』

 

「今こっちに患者がいるんだけど……お願いしてもいいかしら?」

 

『……どんな状態だ?』

 

「簡単に言うなら……死にかけてるわ」

 

『今から車をお前の家によこす。安心しろ。俺に切れないものはない……おい、親父。急患者だ。車を出せ』  

 

 プップーと音が流れ電話が切れた。思わず苦笑いを浮かべながらスマホをポケットにしまうと、あやめを呼び道長を抱きかかえてもらう。

 

 それから数時間が経ちちょこの家に一台の車が停まると、白衣を着た青年と同じく白衣を着た男が降りてきた。

 

「患者はどこだ?」

 

 白衣を着た青年――鏡飛彩はちょこと視線を合わせると口を開く。

 

「今あやめちゃんが連れてる子よ」

 

「親父、二人で車に乗せるぞ」

 

「よしきた!」

 

 鏡飛彩と白衣を着た男――鏡灰馬はそそくさとそして丁寧に道長を車に運ぶと、聖都大学附属病院に向けて車を出した。

 

「だ、大丈夫だよね?」

 

「えぇ、心配はいらないと思うわ。なにしろ、彼は世界一のドクターだもの……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!! や、やめてくれぇ!!」

 

「貴様は仮面ライダーになった……なら、俺に倒されろ。そのための力だ」

 

 これはもしかして夢、なのか……? もしや俺の過去だったりするのか? でも、俺はこんなの知らない。

 

 俺の変身するバッファとは少し変わって黄色く大きな角。通常のゾンビフォームとは違い胸の場所に青いコアが煌めいており、所々赤黒く禍々しいトゲのついた鎧がゾンビフォームに少し重なるようになっていた。背中には黒いマントがあり、腰のベルトには通常のゾンビレイズバックルとは違うゾンビレイズバックルと俺があのとき取り付けられた赤黒いヘルライジングレイズバックルが装着していた。

 

 少なくとも、俺はこんなバッファは見たことがないな。

 

「自分が仮面ライダーであったことなど忘れていれば、俺に狙われることもなかっただろうに……」

 

「や、やめてくれ! 謝る! 謝るから!!」

 

「謝る? 何を馬鹿なことを言っている……お前が仮面ライダーになったことが原因だろう?」

 

 バッファは通常よりも禍々しくなったゾンビブレイカーを振り上げると一気に振り下ろした。その一撃により相手は瞬く間に消滅した。

 

「フブキ達を守るためなら……俺は、果て無き闇に染まり悪魔ともなろう」

 

 赤く染まった空を見上げながら呟くバッファ。その光景がどんどん遠ざかり、俺の意識が浮上した。

 

「ここは……?」

 

 アレからどうなった? 凄まじい痛みに耐えきれなくて意識を失ったのは覚えているんだが……その後のことが何もわからない。

 

 というかここはどこなんだ? 真っ白な部屋の中みたいだが……。

 

 なにか腕とか足とかに繋がっているような気がするぐらい動きづらいし、訳はわからないけど取り敢えず起き上が……

 

「いっ……痛え!?」

 

 身体中から尋常じゃない痛みが走った。思わず顔を顰めてベッドに横になる。とてもじゃないが起き上がれそうになかった。

 

「ほう……ようやく起きたようだな」

 

 俺がベッドに横になると同時に白い部屋の扉が開き、少し年上の青年が入ってきた。

 

「癒月に電話したという天使と鬼の少女に感謝することだ。でなければお前は、全身複雑骨折による失血多量で死んでいた。それに、お前がここに運ばれてからもう二週間も経っている。それまでの間にホロライブ学園から様々な生徒が見舞いに来ていたぞ」

 

 そうか……出血多量で二週間も寝込んでたのか。二週間も……二週間?

 

二週間だって!? ッ……痛えぇ」

 

 流石に二週間もずっと寝ていたとは思わず、思いっきり起き上がろうとして身体中にまた激痛が走った。そうだった……痛くて起き上がれないの忘れてた。

 

「何やってんだか……まぁ、しばらくはベッドで寝たきりになると思う。学園のほうは休学扱いだ」

 

「あ、はい」

 

 マジか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

 ただ寝てるだけの生活がしばらく続いた。それももうすぐで終わる。なにしろ退院だからだ! 飛彩先生も不思議な表情してたな。流石に治るの早くないかって。残念ながら俺も謎なんだ。

 

「白上達が来ましたよー」

 

「よぉ、生きてっか?」

 

「いや言い方……」

 

 そんなどうでもいいことを考えていると、病室のドアが開き学園からそのまま来たのか制服姿の白黒フブキと大神が入ってきた。

 

「……あんまり他の人に迷惑かけるなよ?」

 

「「「……」」」

 

 あれ? なんか固まった?

 

「「「こっちのセリフじゃあーーーー!!!!」」」

 

 その後駆けつけた飛彩先生に仲良く怒られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖都大学附属病院から離れた場所にある高い木の枝に座り込んでいるジーンは、懐から壊れたゾンビレイズバックルを取り出した。

 

「……やれやれ。派手にゾンビレイズバックルが壊れてるね。まぁ、これはスペアだから出力も本来のゾンビレイズバックルと比べればだいぶ低いけど……」

 

 そう言ってふっと笑うと空に向かって投げ捨てる。その瞬間懐から取り出した未来感のある不思議な銃でゾンビレイズバックルを撃ち抜いた。

 

「おそらく彼がまだ使っていないゾンビレイズバックルこそが、本来のゾンビレイズバックルだね。さて……バッファはギーツのように俺に感動を見せてくれるのかな?」

 

 

 

 

 

 

 




今回登場したキャラ

◆芙蓉道長/仮面ライダーバッファ
 我らが主人公。ヘルライジングレイズバックルを単発で使って変身したことにより意識を失い暴走。ヘルライジングホッパーの能力がそのまま使ってるため全身が折れては治りを繰り返した。その影響もあり変身解除の際は死ぬ間際だった。

◆百鬼あやめ
 思った以上に暴走したバッファが強すぎたため百鬼家の力を最大限に使用した。死にかけの道長を見て顔が真っ青になり生徒会での仕事がうまくいかなくなった。

◆天音かなた
 暴走の原因がベルトにあることにいち早く気づいた。あやめが来なかったら今頃死んでた可能性が大きい。

◆癒月ちょこ
 ホロライブ学園にて保険を担当する先生。そのセクシーな見た目と相手を惑わすような喋り方から男子からの人気が凄く高い。なお、道長からの興味は皆無。昔聖都大学附属病院に行くのに道に迷っていたところ道長に案内されたことがある。

◆鏡飛彩
 聖都大学附属病院が誇る天才。その若さで数々の人間を失敗なく治療してきた凄腕。甘いものが好物でいつも決まった時間にケーキを食べている。

◆鏡灰馬
 鏡飛彩の父親。聖都大学附属病院での名高い凄腕を誇る。普段はそんなところが見られないらしいが……飛彩がドクターを目指すきっかけとなった人物の背中である。
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