【完結】ようこそ、 比較人類研究部へ!! byウマ娘プリティーダービー 作:ちありや
〜水澤視点
「本当にスミマセン。私も楽しみにしていたんですけど…」
合宿が決定して更に3日後、演劇部の強化合宿についての参加者が確定した。鷹山先輩、タカチャン先輩、ミノちゃん先輩、(
本当は私も参加希望だったのだが、「年頃の娘が男子との泊まり込みなんてけしからん」と親からNGが出た。
「男子と言っても俺と星埜だからな。ウマ娘を腕力でどうにか出来る訳無いのに、親御さんも心配症なんだな…」
これは確かにその通りで、小学生程度のウマ娘でも成人男性を凌駕するパワーを持っている。高校生の体力なんて言うまでも無い。
これは特段にパワートレーニングをしていない、私達の様な市井のウマ娘でも言える事で、ウマ娘に対する性的暴行なんて、それこそ男性10人掛かりとかでないと成立すらしないのだ。
「さて、それではURAから貸してもらった衣装合わせをしたいので、男子は出て行って下さい」
鷹山先輩の言葉に対してタカチャン先輩が唐突に話題を変えた。さり気なく私に向けて何かの合図なのかウインクまで添えて。
鷹山先輩達も一瞬『なんで今?』と言いたそうな顔をしていたが、特に抗議の声を上げる事無く部室から退出していった。
そう、演劇で使う衣装としてURAから、というか中央トレセン学園から貸与された制服が今日届いたのだ。
藤色と白を基調にしたセーラー服、胸元のリボンを留める蹄鉄型の金具、スカートにはウマ娘特有の尻尾を出すための穴と補強金具が付いている。更には制服と同じ色のオーバーハイソックスまで、本当の、本物のトレセン学園の制服だ。
小学生時代の私はこの服を着る為に頑張ってきた。この制服はウマ娘にとってまさに『エリートの服、強者の証』なのだ。
その憧れのトレセン学園の制服は、進学を諦めた時に永久に袖を通す事が不可能な服になった。
なったはずだった……。
「お〜、水澤ちゃん似合ってるね〜、凄く可愛いよ〜。学園の現役アスリートみたい〜」
トレセン学園制服に身を包んだ私をミノちゃん先輩がからかう様に囃し立ててくる。タカチャン先輩もミノちゃん先輩も着替えが完了して、見てくれだけはトレセン学園の生徒が3人集まって談笑している様に見える。
「先輩達も似合ってますよ。やっぱりこの服って特別ですよね。なんだか走り出したくなります」
届いた衣装は新品では無かった。恐らく備品として保管されていた『かつて生徒だったウマ娘』達のお古だろう。それが故に、今着ている服に込められた『想い』が皮膚を通して私に入り込み、走りへの欲求を増幅している様な気がしてならない。
「いーなー3人とも。アーシもウマ娘ちゃんの制服着たかったなぁ…」
ただ1人、江戸城高校の制服を着たユカリちゃんが口をとがらせてボヤいてくる。まぁ劇の役柄的にユカリちゃんはトレセン学園生徒では無いので仕方ない。まぁ着るだけなら後でどうにでも出来るので、私の着古しで良ければ体験してみても良いよね。
「それに合宿でイッちゃん来ないの寂しーわー。さっき鷹山先輩も言ってたけど、ウマ娘なら男子も怖くないのに、イッちゃんのご両親も心配性だねー」
さり気なく漏らしたユカリちゃんの言葉にウマ娘3人のウマ耳がピクリと動いた。そうじゃないのユカリちゃん、その認識は少し……。
「あ〜、惜しいユカリン。ちょーっと違うんだなぁ…」
私の考えを読んだかの様な振りで、タカチャン先輩が顔の前で人差し指を振って否定するスカしたポーズを取る。その台詞を言おうと待ち構えていた感が強いのは気のせいかな…?
「あ〜、夏ですもんね〜」
ミノちゃん先輩も意味深な返しをする。え〜? この話しまだ続けるんですか…?
ユカリちゃんは怪訝そうな顔をしている。ここから先はかなりデリケートな話になるので、あまり大きな声では… はっ! そうか、タカチャン先輩は『こういう話』になる事を見越して鷹山先輩ら男子2人を
「知らない子も多いのだけれども、
夢見る様な仕草で最後には手を組み天を仰ぐタカチャン先輩。
それを聞いてユカリちゃんも「お〜」と手を打つ。『そういうの』があるのは知識として知ってはいるらしい。しかしその実態がどの様な物なのか詳しく理解してはいない様子だ。
無理もない。ウマ娘の発情期に関しては「絶対的にコレ」という資料がない。
大体何よりウマ娘そのものからして「去年と今年で感覚が違う」とか千差万別で、唯一無二の確実なデータが取れないという事らしい。
ヒトとウマ娘の付き合いは1万年にも及ぶのに、未だに未知の部分が多く解明しきれていない上に自分でもよく分からないのがウマ娘なのだ。
「聞いたことはあるけど、アーシも『ヒト』なんでその辺よく分かんないんスよねぇ。ハンブー先輩も以前何か言ってたけど全然頭に入って来なくて…」
ちなみにハンブー先輩とはユカリちゃんの陸上部の先輩で、鷹山先輩のクラスメイトでもあるハンブルグヒーロー先輩の事と思われる。クールな感じのキレイな
「アーシらも生理の前とかムラムラする時はあるっすけど、ウマ娘のは大変そうですねぇ… てゆーか話出たついでに聞きますけど、ウマ娘には普通の生理は無いんですか? 生理痛とか無さそうに見えるスけど…?」
ユカリちゃんグイグイ来るなぁ… 私は女の子同士でもこの手の話題は恥ずかしいので避けてるんだけど、ユカリちゃんはここぞとばかりに探究心に火を点けている。これは鷹山先輩の影響かもなぁ。良くない傾向だなぁ……。
「一応あるけど、出血はかなり少ないわね。生理痛とか言うのも私はなった事は無いわね。ミノは?」
「わたしも無いですよ〜」
みんなの視線が私を向く。私もそういった痛みの経験は無い。なので首を振って答えた。
「え〜? 何それ超羨ましいんですけど〜? やっぱりアーシもウマ娘に生まれたかった〜!」
あ、ヒトの生理痛ってそんな大変なんだ? 今のユカリちゃんの顔を見ただけでも、彼女が今世界全体を呪っているのが分かるくらい彼女が運命に絶望しているのが感じられる。
この話題、もうやめた方がよくないですか…?
「まぁ
あぁそれ、私も地元で聞いた事があるかも……。
「あ、つまりイッちゃんがムラムラして鷹山先輩を襲うかも知れないから合宿に行けないって事スか?!」
何でそうなるのよ!!??