アーカムハウスのヨコハマ暗躍記 作:DUN.ネコノカンリニン
―――護衛任務当日。私は、その「C001」―――もとい与謝野晶子(幼少期)に変身して、件のエリスという娘との待ち合わせ場所に行った。
「はじめまして。私は、小泉八雲。君の護衛任務を任されました」
「あら。はじめまして、八雲。私はエリス。多分リンタロウがつけた護衛ね……ただのお使いでそこまでしなくてもいいと思うのに」
ん?
「お使い?」
「ええ、そうよ。これからテレビで見たお使いってやつをやりたくてリンタロウにお願いしてみたら、OKがでたのよ。だから、一緒に買い物に行くってわけ」
「ああ……そう」
なんということだ!護衛任務って聞かされてたのに……これじゃお守りじゃないか。しかし、せっかく受けた依頼を蔑ろにするとどうなるか……分かったようなものじゃない。恐らく、ポートマフィア総出で私を殺しに来るだろうなあ……。
「では、早速生きましょうか。遅くなるとボスが心配します」
「ああ……リンタロウならそうなるわね……さっさと終わらせちゃいましょ。面倒くさいことになる前に」
巻きでやるぜ。早くやらないとボスが心配すると思うなあ。多分、この子ボスの愛娘みたいな感じの人物だし。
―――巻でやった結果、そんなに買うものは多くはなかった。
強いて言うならば、冷凍食品が少しかさばるぐらいだったか。まあ、何にしろ、なかなかいい結果だったのではないかと、私は思う。
そして、最後の仕上げのポートマフィア本部ビルまでエリスを送り届けるというのも、難なくクリアした。これで、今日の仕事も終わりかあ。
「では、お気をつけて。お嬢様」
「今日はありがとう!お使いってこんな感じなのね……感覚がわかってよかったわ!」
「それは何よりです。では、」
そう言って、私は、その場を後にした。
駅の近くを歩いていると、少し、楽しい気持ちになってくる。
多くの人が歩いて、駆けて行くこの道から続くヨコハマの街を、私がこれから守っていくのだと思うと、結構誇らしい。私は、元来、このような性格ではないのだが、最近になって性格も丸くなってきたのだろう。このようなことに喜びを見出すようになった。
そのようにして、私が異能力を発動させているのを忘れて駅を歩いていると、声をかけたられた。
「ちょっと、そこのアンタ。止まりな」
「アンタって、私のことですか?」
「そうだよ。アンタだよ。聞きたいことがある。社まで来てくれないかい?」
「どちらまで?」
「武装探偵社までさ」
ぶっぶぶ武装探偵社あ?またかよおおおおおお!もういい加減にしてくれよ……お守りが終わってもう帰って休みたいんだよ……なんで私なんだよ。
まあ、ここで逃げると確実に殺される気がしたので、ついていくことにした。
「分かりました。私にどんな手伝いができるかはわかりませんが、ついていかせてもらいます」
はあ……なんて日だ。
―――「遅かったですね、与謝野さん」
「ああ、ちょいとこいつが気になってね」
「これは?」
「さあ?
ん?自分の幼い頃ぉ?
……いや、考えてみれば不思議なことではない。先程のボスの文脈を見れば、大体のことは想像がつく。と、いうことは……この人が与謝野晶子?
「はい。皆さん、こんにちは。私は小泉八雲と申します」
「そうか。では、小泉。こっちに来い。話がある」
「では、失礼させていただきます……これって、異能力解除したほうが良いですか?」
「ああ、こちらとしても、異能力がない方が助かる」
異能力を解除する。そこに居たはずの与謝野晶子(幼少期)は、いなくなり、そこには二十代のおっさんが立っていた。
「どうも、改めまして小泉八雲です」
「では、会議に出てもらう。小泉の話は恐らくこれからのヒントになりそうになるからな」
「恐縮です」
というわけで、会議に出る羽目になりました。ふっざけんなよほんと。
―――「武装探偵社の皆さん、えーっと……敦少年と太宰以外の方はじめまして。私は、アーカムハウス副所長を務めさせていただいております。小泉八雲と申します」
一斉によろしくという声が上がる。
「では、今日の議題ですが……今日の議題は今多発している事件についてです。では、順を追って説明します。
まず、こちらの画像を見てください。この画像は、今月の六日にヨコハマ内で撮影された写真です。そこに写っているのは、市民を虐殺する異能力者の姿。この異能力者は、情報によればポートマフィアの中原中也で間違いなさそうなのですが……少しばかり苦労してマフィアの方に問い合わせたところ、その日は別の任務に当たっており、その周辺には居なかったのことです。そして、奇妙なことに異能力が『汚れつちまつた悲しみに……』ではなく、他の異能力だったそうです」
「そうか。ならば、次の写真も奇妙な点があるということだな?」
「はい。そのとおりです。ここに写っているのは、海外の異能者ダンテ・Aで、その日は、東京の方に出向いていたそうです。そして、これらの写真に共通して写り込んでいる人物が……『欧米諸国米国共同公設組織――ヨーロッパ・アメリカ異能力者協会』―――通称『異能力者協会』の会長ディック・Pでした」
私は、息を呑んだ。……まさか、ディックが?
ダンテはそろそろ本格的に登場させます。お気づきの方はいると思いますが、今作のラスボスはディックです。
この中ならどの文豪が出て欲しい?
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ゲーテ・J――異能力「ファウスト」
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紫式部――異能力「源氏物語」
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ダンテ・A――異能力「神曲」
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幸田露伴――異能力「風流微塵蔵」
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ジョン・M――異能力「失楽園」
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カーター・L――「ネクロノミコン」