アーカムハウスのヨコハマ暗躍記   作:DUN.ネコノカンリニン

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紫式部登場回!みんな、彼女を応援してやってくれ!


第五話:アーカムハウス、元凶を知る。

 まさか……ディックが?そんなことをするはずがない。ディックはいつだって市民や表社会の平和を願って活動していたはずだ……なのに、なぜ?

 それは、本人に聞かないとわからない。そう思った私は、ディックに面会を求めた。

 案の定オーケーは出たが、今は少し危険な状態。私は、少し身構えていく。後ろに透明化させた「雪女」と「屍に跨る男」とこの前討伐した「サトリ」と「浄玻璃閻魔」を出しておく。

「さて……ディック、君がなぜこのようなことをしたのか、説明してもらうとしよう」

 そう言ってドアをノックする。コンコンコンっと気持ちの良い木の音がするが、私の気持ち自体は決して良くない。

 すると、ドアが開いた。

「やあ、待っていたよ。八雲。紅茶はダージリンで良かったかな?それともアッサムのミルクティーが良かったか?」

「私はいつだって緑茶だ。緑茶にはカテキンが入っていて今の冬の季節にはぴったりだ。しかも緑茶―――及び日本茶の歴史は平安の世から始まっていて……」

「ああ、もう良い。それより、早く座りなさい。冷えているだろう。暖房をつけてある」

 この優男が私の親友―――ディック・P――異能力「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」だ。

「再開を喜びたいが……その前にさっさと本題を済ましてしまおう。さて、私が何を言いたいか分かるか?」

「いいや。全く皆目見当もつかない。早く言ってくれないか?僕は焦らされるのが好きではないんだ」

「では、単刀直入に言おう。今、ヨコハマで多発している異能力者による無差別殺人。しかし、その瞬間を収めた写真の中に一人だけ何時もいる不可思議な人物がいる―――それが君だ」

 私は、ディックの目を真っ直ぐ見ながら問う。しかし、ディックの気配は変わらない。

「私が?いやいや、そんな訳が無いだろう。私がこの協会の管制塔から動くのは稀だと、君もよく知っているだろう」

「ああ。よく知っている。だが、少し確認が取りたかっただけだ。すまなかった、時間を取らせてしまって」

 私は、直感でディックが一連の事件の犯人ではないと思った。なぜなら―――というか直感に理由も何もないが―――ディックはこの面会中も一瞬だって嘘の気配を出したことはない。そして、もし嘘をついていたら、「浄玻璃閻魔」がすぐさまディックの舌を抜き取っていることだろう。以下のような理由から、ディックを信じることに決めた。

「いいや、こちらはいいのだよ。何時でも来てくれたまえ。君の為ならいくらでも時間を取ろう、私の世界でたった一人の親友のために」

「はは、少し君にそのような言葉をかけられると恥ずかしいな」

「なんだ、照れてるのかい?」

「うるっさいなぁ」

「「あっっははははは!」」

 ああ、やはりディックを疑った私が馬鹿だった。彼は何時だって表社会の平和を願った、私のたった一人の親友だった……。

 そう、感動していたその時だった。

 

 バンッ!

『お楽しみの時間はそこまでです、会長』

 機動隊が、扉を破り、銃弾を撃ちこの応接間に入ってきた。その先頭には私も見慣れた人物が……

「グッ……何故、君がここにいる……副会長……紫式部!」

 異能力協会副会長―――紫式部―――異能力「源氏物語」である。彼女とは、同じ日本を愛する者同士仲が良かった。私も彼女のことは愛称で「紫」と呼んでいた。

「おい、紫……これは、あんまりではないか?ディックは今まさに私と話をしていたところだぞ。しかも、君はディックと仲が良かったじゃないか。何故、こんなことを……」

「何故か?それは単純です。会長、あなたに国連から直々に逮捕状が出ています。罪状は国家転覆罪。まさか、あなたがこのようなことをするなんて……失望しました」

「それは、何かの間違いで……君も知っているだろう、ディックは、表社会の平和を願って今まで活動してきたと!一番傍に居た君が一番良く知っているのではないか?!考え直せ……」

「それ以上言うなら、あなたも同罪にしますよ?まあ、その前にあなたは私の美貌に精神を破壊されるでしょうがね」

 彼女の異能力「源氏物語」は一言で言ってしまえば周りの生物の精神を破壊する能力。故に協会の監視の下、管理されていた。

「クッ……それでも!」

「いいんだ、八雲」

「ディック!だが、このままでは君は!間違いなく死刑だ!」

「いいか、落ち着いて聞いてくれ、八雲。僕は、君と出会えて幸せだった……。八雲、この言葉を知っているかい?『サヨナラを言うべき相手がいる人生は善い人生だ』……今の僕たちにピッタリじゃないか」

「お前、何を言って……」

「いいかい、八雲。僕は、今、君にサヨナラを言うべきなんだ。でも、僕には、それ以上の言葉が頭の中でぐるぐる回っている。それを今から言う……。僕は、君と出会えて幸せだった。そして、これからも、僕は君とともにあるだろう。だから、僕が去ったことを、僕が死んだことを、悔やまないでくれ。その時でも、何時でも僕は……君の傍にいるから。さぁ、サヨナラだ。八雲」

 鼻水が止まらない、涙も、汗も止まらない。けど、何も言えない。今日、ディックに会うために新しく買ったハンカチがもうびしょ濡れだ。だが、今、私に言えることは唯一つ。これが、私の今言える最高の言葉だ。

「ああ、さようなら。ディック。また逢う日まで」

「……うん」

「では、会長……いや国家転覆の大罪人を連行します。異議は認めません」

「あぁ……もう、いっそ一思いに連れて行ってくれ。私は、これ以上もう、彼に会う気はない」

 そう言って、私は立ち去った。彼との、永遠の別れを告げて。

 

 私は、暗い路地を歩いていた。ロンドンを超え、更にがむしゃらに歩いていたら、ドイツに着いていたらしい。……何時、私はパスポートを見せたのだろう。

 そう思いながら、路地を進んでいた。すると、後ろに気配を感じた。

「誰だ。そこにいるのは」

 私がそちらの方向を向くと、そこに居たのは先程別れを告げたはずの親友―――ディックだった。

「……ディック、ではないな。お前、誰だ」

「……あっちゃーバレちゃったか」

 やはり違った。そして、私はその姿を見た時、とても驚愕したのを覚えている。

「……ッ!お前は……お前は!」

「その通り……君もよく知っている人物さぁ!不条理に飲まれた道化の哀しき名前は―――?そう!カフカ。カフカ・Fだよ。ラフカディオ……いや、八雲」

 そこに居たのは私が元々所属していた世界的異能犯罪組織―――「オリンポス十二神」が一柱―――“偽りの美貌を持つ道化(アフロディーテ)”カフカ・F―――異能力「変身」だった。




ディックがラスボスだと言ったな。あれは嘘だ。

この中ならどの文豪が出て欲しい?

  • ゲーテ・J――異能力「ファウスト」
  • 紫式部――異能力「源氏物語」
  • ダンテ・A――異能力「神曲」
  • 幸田露伴――異能力「風流微塵蔵」
  • ジョン・M――異能力「失楽園」
  • カーター・L――「ネクロノミコン」
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