ブギーマンは世界を大いに嗤う   作:兵隊

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第11話 勇者と 友達になった 日

 

 今現在、迷宮都市オラリオには三つの勢力が君臨していた。

 

 一つは、【フレイヤ・ファミリア】。

 フレイヤを主神としたファミリア。その眷族の数は100名以上を超えており、Lv.7の【猛者(おうじゃ)】オッタルを始めLv.6の冒険者も在籍している事から、質が最も高いファミリアである。とはいえ、彼ら彼女らの団結力は薄い。すべてはフレイヤという女神によるカリスマによって纏めらており、横のつながりは皆無と言っても差し支えないだろう。

 それでも、【フレイヤ・ファミリア】はオラリオに君臨している三大勢力の一角として君臨している。馴れ合いなど必要ないと言わんばかりに、彼ら彼女らは常に己を向上させるために日夜鍛え続けている。だからこそ、頂点に座しているのだろう。

 

 

 もう一つは、【ロキ・ファミリア】。

 【フレイヤ・ファミリア】とは違い質では一枚劣るものの、彼ら彼女らには【フレイヤ・ファミリア】にはない団結力があった。

 眷族同士の絆は固く、数もオラリオに存在するファミリアで最多と評されている。【フレイヤ・ファミリア】には質は一枚劣るものの、それでも創設メンバーでもある【勇者(ブレイバー)】フィン・ディムナ、【九魔姫(ナイン・ヘル)】リヴェリア・リヨス・アールヴ、【重傑(エルガルム)】ガレス・ランドロックの三名は【ロキ・ファミリア】内でも頭の一つ二つ抜きん出ており、オッタルという例外を除くが【フレイヤ・ファミリア】の上級冒険者にも劣らない実力を有している。

 

 正に質の【フレイヤ・ファミリア】、数の【ロキ・ファミリア】。

 【フレイヤ・ファミリア】がオッタルを頂点とした大樹のような集団であるのなら、【ロキ・ファミリア】は創設メンバー三人を中心とした芝生のような団体といえるのかもしれない。

 

 

 そんな中、【ロキ・ファミリア】が拠点としている、とある一室にて団長フィン・ディムナは思案していた。

 考えるのはもう一つの勢力。【フレイヤ・ファミリア】でもなければ、自身が率いている【ロキ・ファミリア】でもない。意識を向けているのは三つ目の勢力。

 

 それは突然現れた。

 どこの勢力にも所属していないソレは、いきなり現れて【静寂】と【暴喰】を単独で抑え込み、遂には撃退して見せた規格外。

 神の眷族というわけでもなく、ファミリアに所属しているわけでも、ましてや何者かに従っているわけでもない。冒険者ではなく一般人。ありとあらゆる因果の外に存在するかのような、急に湧いて来た異分子。

 今ではアルフィアを戦利品として扱い、何でも屋としてオラリオ郊外に住んでいるとフィンは耳にしている。

 

 今のところ、問題の彼に暴力性は見られない。

 気に入らないからといって人を殺めたり、不快だからという理由で傷つけたりしているわけでもない。

 個人が持つには過剰すぎる暴力を持っていながら、その振る舞いは穏かなモノ。故にロキは問題の彼を“放っておいても何の問題もない危険物”と言うのだろう。

 

 フィンもその意見には同意見であった。

 ロキ、そしてリヴェリアの言っていたとおり、こちらに敵意がないのなら放っておくべきであると。

 

 しかし無視できないのも事実。

 【ロキ・ファミリア】の団長として、何よりもフィン自身の目的のためにも、問題の彼が立ちはだかり障害となりえることになろうものなら、嫌が応にも対峙しなければならない。

 

 故に、フィンは思案していた。

 もし相対したものなら、問題の彼にどうやって闘えばいいか、と。

 結果だけで言えば、徒労に終わる事になる。実力差が違いすぎる。【静寂】と【暴喰】を同時に相手取れる輩にどうやって勝てばいいのか。

 

 ともなれば、強くなるしかない。

 ダンジョンを潜り、冒険を重ねて、心身ともに鍛えるしかないのだが――――。

 

 

「――――それこそ、愚かだ」

 

 

 口元を歪めて、フィンは自嘲気味に笑った。

 嘲っていると言っても良い。それは何者に対してか。無論、自分自身に対してだ。

 

 そんな愚行は、フィン・ディムナには容認出来なかった。

 強さだけを追い求め、餌を前にした獣のように、ただひたすらに前進する事など、フィンには文字通りの意味で出来なかった。

 

 全ては彼の目的――――衰退した小人族(パルゥム)の再興のためにも、そのような愚かな行動は取れない。

 常に民草、そして他の冒険者の羨望を集めるためにも、彼は()()()()()を取らなければならないのだ。

 

 いつからだろう――――冒険する事を愚かと断じるようになったのは。

 いつからだろう――――打算的に行動するようになったのは。

 いつからだろう――――この身が不自由であると思い始めたのは。

 いつからだろう――――自身が一番愚かだと感じるようになったのは。

 一体、いつからだろう、とフィンは自問自答をするが、答えは出なかった。

 

 きっと最初からなのだろう、とフィンは結論を出した。

 小人族(パルゥム)に希望を見出させるために歩みだした“勇者”としての道に不満はない。フィン自身、それは自身の誇りであり、為すべき義務であるのだから。

 だが同時に考えてしまう。もし、そんなことも考えずに自由に選択ができるのなら、何も考えずに日々を過ごす事が出来たのなら、それこそ急に現れた規格外たる――――問題の彼のように。

 

 

「……いいや、気の迷いだなこれは」

 

 

 首を横に振る。

 何を考えているのか、と。あまりにも自身と問題の彼との間にある実力差に、気でも触れたかとフィンは頭を振って忘れることにした。

 

 ロキやリヴェリアの意見が正しい、と。

 問題の彼のことは放っておいた方がいいと、フィンは結論付けるも。

 

 

「だ、団長!!」

 

 

 慌てて入ってきた、同じ【ロキ・ファミリア】の冒険者によって、その判断は見事に打ち砕かれる事となる。

 

 問題の彼。

 黒髪黒眼の男。

 神々には無視され、人民には【抑止力(ジョーカー)】と呼称される人間。

 ソレはいとも簡単に、フィンの事情など考えなしに、現れることとなる――――気絶したベート・ローガを片手で抱えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、悪いな。なんかご馳走してもらっちゃって」

 

 

 そう上機嫌に笑いながら言うのはアルマ・エーベルバッハだった。

 視線は彼の目の前。つまりテーブルであり、その上にある木皿に載せられた菓子に向けられていた。

 

 アルマとフィンがいるのは黄昏の館にある客室。

 突然現れたアルマに【ロキ・ファミリア】の面々は警戒を露にしたが、片手に抱えられていたベートを見て、瞬時に理解する。また返り討ちにあったのか、と。

 

 そこで冷静に対応したのが、団長のフィン・ディムナ。

 何事か直ぐに理解した彼は、気絶しているベートを他の団員に任せて、自身はアルマへ応対していた。他の主な面々は居ない。各々ダンジョンに行って居たり、買物を楽しんで居たり、主神のロキに至っては、今頃ヘルメスと会合を楽しんでいる筈だ。

 

 だが直にに帰ってくるだろう、とフィンは推察する。

 その前に、と。アルマ・エーベルバッハという人間がどのような存在なのか、ある程度把握しておく必要があるため現在に至る。

 

 これまた上機嫌に菓子を頬張るアルマを見て、油断なく更に自身も顔に笑みを張り付かせてフィンは応じた。

 

 

「構わないよ。うちのベートがお世話になってしまったようだし」

 

「そう言って貰えるとオレも遠慮しなくていいから助かる。というか、既に遠慮してないんだがいいよな?」

 

「勿論。ベートだけじゃない。アイズもお世話になっているからね」

 

「あいず?」

 

 

 はて、と頬張り噛み締めながら首を傾げる。

 誰の事を言っているのか考えているアルマに、フィンは特徴を伝えてやる事にした。

 

 

「ほら、僕くらいの背格好で金髪の人間の女の子だ。何度かそちらに出向いて、稽古付けてもらっていると聞いたけど」

 

「……あぁ、アイツか。別に稽古とかじゃないんだけどな」

 

「というと?」

 

「戯れているのかと」

 

「……剣を持って?」

 

「中にはそんな子供もいるだろう?」

 

 

 いや、絶対にいないが、と心の中でフィンは思うが、敢えて口にしなかった。アルマは本気でそんな子供もいると思っているし、何よりもこちらの常識が通じる相手ではないことはフィンも理解している。

 今度からは少し真面目に相手をしてやるか、と口にしたアルマは続けて。

 

 

「なぁ、ちょっといいか?」

 

「何かな?」

 

「この菓子、三人前持ち帰っていいか? ダメなら二人前でもいいんだが」

 

「別に構わないよ。帰るとき持たせよう」

 

「マジか、言ってみるもんだ。アンタ良いやつだな。助かる、アルフィア達が喜ぶ」

 

 

 そこでフィンはにこやかな笑みのまま、表情を固くした。

 彼が口にしたアルフィアという人物。つまりそれは、先の“大抗争”にて猛威を振るった【静寂】の名である。

 

 今では大人しく、彼に従順――――とまでは行かないが、“大抗争”の際に見せた圧倒的な力が行使されることはなかった。

 だがその気になれば、アルフィアは再び【静寂】へと立ち返ることなど安易であるとフィンは予想を経てる。

 

 だがそこで、同時に疑問が生まれた。

 【静寂】アルフィアは圧倒的だった。それは【暴喰】ザルドも同様だろう。

 そんな二名を、どうやってアルマは勝てたのか。

 

 

「ちょっと、いいかい?」

 

「何だ?」

 

 

 フィンの眼に映るのは、これまたご機嫌なアルマの姿。

 とても百戦錬磨の戦士のそれではなく、かといって神出鬼没な暗殺者といった物騒な姿でもない。ましてや千の呪文を扱うような魔法使いといった気配もない。

 神の恩恵(ファルナ)を授かった冒険者ではなく、特別な力を持たない一般人。それがフィンからみたアルマという規格外であった。

 

 だから聞いてみたかった。

 アルマの戦力分析もあるが、単純に一個人としての好奇心もある。

 

 

「君はどうやって、アルフィアとザルドに勝利したんだ?」

 

「どうやってって……」

 

 

 対するアルマは特に隠す事もない、といったような極めて軽い口調で事実だけを口にする。

 

 

「殴って蹴って、ひたすら暴れただけだが?」

 

「――――――――」

 

 

 フィンは言葉を失い、眼を丸くさせる。

 

 アルマという男は規格外だ。

 だがその規格外にもそれなりの理由がある筈とフィンは思っていた。

 例えばエルフのように、神の恩恵(ファルナ)がなくても魔法を行使する事が出来るといったように、彼にもこちらが把握していないだけで何か強力な手札を持っていると推理していたから。

 

 フィンが思い出すのは一つの光景。

 ザルドとアルフィア、両名と対峙していたアルマの姿。

 口から血反吐を吐きながら、黒い彼を睨みつける――――アルフィア。

 裂帛した気合と共に、黒い彼に突貫する――――ザルド。

 そして、相手の返り血なのか、自身の血なのかわからない程度に血まみれで、楽しそうに笑みを浮かべる――――アルマ。

 

 戦いの全容は把握していないが、フィンが最後に三名を見たのはそんな姿だ。

 地獄のような光景で、暴力の権化達が、暴れ回る姿は、今でも鮮明に思い出すことが出来る。

 

 

「……というと、君は二人に肉弾戦だけで対抗していたという事かい?」

 

「そうなるな。昔から筋トレとか走り込みしていたし、力だけは凄いんだよオレ」

 

 

 うっはははは、と居丈高に笑うアルマを見て、フィンは笑みが崩れそうになる。

 

 そんなわけないだろう、と叫びたかったがグッと堪える。

 トレーニングをしていたというだけで、人は強くなれるわけがないし、【静寂】と【暴喰】に対抗できるわけがない。しかし現に、アルマという規格外は不可能を可能としてしまっている。

 

 嘘を言っているのではないか、とフィンは混乱しているのを余所に、アルマはマイペースに問いを投げた。

 

 

「そういえばさ、魔法ってどう使うんだ?」

 

「え、魔法?」

 

 

 今だに混乱しているフィンは、いまいち冷静になれないまま、簡単にアルマに魔法の原理を説明した。彼は本当に知らなかったようで、なるほど、と何度も頷いて感心するような口調で。

 

 

「それじゃ何か。魔法使える連中は詠唱を暗記しているってことか?」

 

「そうなる、かな?」

 

「意外と面倒なんだな。やっぱり近付いて殴った方が性に合ってる」

 

 

 己の適正を再認識しているアルマに、フィンは思わず口にした。

 

 

「アルフィアに教えてもらわないのかい?」

 

「教えるも何も、アイツ魔法使ったものなら多分死ぬからな」

 

 

 何気なく笑いながら口にするアルマに対して、フィンはますます混乱した。

 

 何故そんな重要なことを口にするのか、と。

 “大抗争”の主犯格の一人であるアルフィアの報復を求めている人間が存在するのは確かである。そんな連中が表立って行動しないのは、アルフィアの強さが健在であると思っているからに他ならない。

 だが本当に、アルマの口にした事が事実であれば、連中は行動を移すに違いない。それが解らないほど、アルマは愚者なのか、とフィンは思うが。

 

 

 ――いいや、違う。

 ――彼は単純に。

 ――そんな連中が来ても、自分だったら何とかできると思っている。

 ――地面のアリがいても警戒しないように、赤ん坊を敵と認めないように。

 ――彼にとって自分以外の人間は、警戒するに足る存在ではないのか。

 

 

 絶対的な自信。

 何が起きても何とかするという、傲岸不遜な思考回路。

 一見自惚れにも捉えられるが、彼にとっては絶対的であり、彼にとってハプニングとは驚くに値しない些事なのだろう。

 

 神の恩恵(ファルナ)がない一般人。

 神々は腫れ物を扱うように無視を決め込み、民草は彼を【抑止力(ジョーカー)】と評する。

 元々、彼には駆け引きなど必要がなかった。そんなもの、自分以外の人間達で化かし合えば良いと言わんばかりに、ただでさえ強い自分がそんなものに頼ってしまったものならそれでこそ卑怯と言うものと言わんばかりに、超然と彼は世界に君臨していた。

 

 同時にフィンは羨ましく思う。

 

 

 ――彼のように生きる事が出来れば。

 ――打算的に考えず、全てを救う事が出来るだろう。

 ――自由に生きて、小人族(パルゥム)の希望となり、勇者として生きることなど容易い。

 ――それこそ英雄に、神工(じんこう)の英雄にすら成れた。

 

 

 だからこそ、聞いてみたかった。

 彼から見たこの世界はどう見えているのか、フィンは興味があった。

 

 

「君はこの世界をどう見ている?」

 

「ん?」

 

 

 急な質問であったが、アルマは大した驚きもせずに考える間もなく即答してみせる。

 

 

「つまらないし、下らないモノだ」

 

「下らない?」

 

 

 つまらないのはある程度理解できる。

 彼ほどの強さがあれば、何事も簡単に事を片付けられるだろう。我を貫き通し、好き勝手生きる事が簡単である事は、安易に想像が出来る。

 

 しかい下らないとは、どういう意味なのかフィンは考えていると、直ぐにアルマは理由を口にしていた。

 

 

「そう、下らない。うちの従業員でさ、同じファミリアにいながら虐められていたヤツが居るんだよ。まだ子供だ。そんなヤツを虐めるとか、この世はどうなってんのかね?」

 

 

 それだけじゃない、とアルマは続けて。

 

 

「年老いたばあさんの下らない同じ話しを聞いてやるのに1ヴァリスだ。つまり、金を払わないと誰も聞いてやらないんだぞ? 下らない本当に下らない。この世界は、弱者に厳しすぎる」

 

 

 フィンにもそれは心当たりがあった。

 弱者に厳しすぎる。それを否定する事は出来ない。

 

 迷宮都市オラリオには数多くのファミリアが存在する。

 その全てのファミリアが善性に溢れているかと聞かれたらそうではないと首を横に振る事ができる。乱暴で弱者に狼藉を働く冒険者も数多く、それに繋がりオラリオ内の治安も良くはない。

 市民や冒険者の犯罪、もっと最悪なのがファミリア同士による抗争など、何度も起きている。

 ダイダロス通りには、まともに稼げない冒険者が溢れており、中には子供を捨てて、孤児となっている幼子も存在する。

 

 そういう意味では、アルマの言い分もフィンは理解が出来ていた。

 弱肉強食が世の常であるが、迷宮都市オラリオではそれが顕著に現れている。

 

 

「だがまぁ、そんな世界に命を掛けた()()がいたのも事実だし、それに付き合ってる“俺”も同じバカってことだ」

 

 

 雰囲気が変わった。

 表情は笑みを浮かべたままであるが、底知れぬナニかを黒い彼は秘めていた。

 

 先程までとは違う、全ての闇を暗い尽くしたかのような黒いナニか。

 悪魔が本性を表したような、そんな錯覚を覚えてフィンは問いを投げる。

 

 

「君は何に付き合ってるんだ?」

 

「大した事じゃない、見届けるのさ。()()が死ぬに値したモノなのかどうか、な」

 

「もし、値しないものだったら?」

 

 

 アルマは少しだけ考えて。

 

 

()()()も、ソレに付き合った“俺”もその程度の器。“俺”の物語を終わらせて、この世界を終わらせるさ」

 

「それはつまり――――世界を滅ぼすって意味かい?」

 

 

 ぞくり、と。

 フィンは己の背筋が凍りつき、肌に鳥肌が立つ感覚を覚える。

 

 この男ならば、目の前に座っている一般人ならば、それが可能であるとフィンの本能が訴える。

 オラリオに残存するファミリアを総動員させて、討ち取らなければならないと、フィンは考え警戒心を露にしていた。

 

 だが直ぐにそれは見当違いであることを思い知らされる。

 先程放っていた雰囲気はどこへやら。黒いナニかではなく、アルマに戻った彼は首を傾げて、どうしてそうなるのか、考えて不思議そうに口にした。

 

 

「何でそうなるんだ?」

 

「君は世界を終わらせるって口にしたじゃないか。そういうことじゃないのかい?」

 

「……あぁ、そうか。そう捉えられるのか」

 

 

 笑みを浮かべて、片手を振る。

 違う、と否定しながらアルマは笑みを浮かべて。

 

 

「滅ぼすとかナイナイ。自分の思い通りにならないからぶっ壊すとか、子供じゃあるまいしありえないだろう」

 

 

 馬鹿馬鹿しい、と口しながら否定してアルマはそう言えば、と思い出して。

 

 

「アンタ名前なんていうんだ? 見た感じオレよりも歳上だよな?」

 

「……よく解ったね」

 

「おっ、当たったか。流石オレ!」

 

 

 ひゃっほーう、とはしゃぐアルマを見て、フィンは思わず苦笑を浮かべる。

 今の子供のように喜ぶアルマ、そして先程見せた黒いナニかを宿した彼。一体どっちが本当の顔なのか、初対面のフィンには解らない。

 

 兎にも角にも、眼を離すことが出来ない存在である事を再認識する。

 ロキやリヴェリアのように放っておくなど出来ない、と片手を出して――――。

 

 

「フィン・ディムナ。君はアルマ・エーベルバッハだろ?」

              「――――これからよろしく頼むよ」

 

 

 

 





>>フィン・ディムナ
 まだアラサーの小人族。
 最初は黒いのを警戒していたけど、コイツ本音しか言わない、と警戒を解くのも束の間、やっぱりヤバイヤツ?と警戒することに。
 
 黒いの「がっつり歳上だが、オレの友達だ」
 フィン「え?」
 
 勇者曰くマジで?

>>第三勢力
 黒いのの事
 好き勝手するけど、暴れはしないよ。勇次郎よりはマシだよ。男の子を女の子にしないもん。

>>殴って蹴って、ひたすら暴れた
 ザルドとアルフィアに勝てた真実。
 つまりはフィジカルゴリラ。由緒正しき脳筋戦法。パパ黒とか勇次郎ちゃんとかと同じ怪異。
 やはりフィジカル。フィジカルが全てを解決する



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