英雄譚《しゅやくたち》を歌う歌姫《まがいもの》~異聞・英雄《しゅやく》になれない槍使い~   作:笹木さくまのファン

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【英傑達の英雄譚・第二章『最初の授業』 43ページより】

「…………」

「自業自得とはいえ……まだ灰のままか」

 英人は日課にしていた朝のランニングを終えた後で談話室を見ると、そこには昨日の覗き未遂の罰で灰となったままの映助がいたので彼は映助の冥福を祈る様に手を合わせると、流した汗をシャワーで処理するために浴場の着替え場へとやって来た。

 

 そこには、誰かの下着が置かれた籠があった。

 

「……空知も朝練をしたのか?」

 英人は武人肌で超えたいと思った同じ寮に住む人間が朝練をしたのだと思って浴場への扉を開け……

 

 そこには、一糸纏わぬ産まれたままの姿の響がシャワーを浴びていた。

 

「……ふえ?」

「……え?」

 二人は裸のままお互いを見つめ合い……響は顔を急速に赤くし、英人は事態を把握して慌て始め……

 

「キャアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「ま、待ってくれ! これには……」

「音宮、背中を借りるぞ! 遠藤(変態)はそこを動くな!」

「ぐえぇ!?」

「って、天道寺?」

 響の悲鳴が上がると、英人は慌てて弁明を始め……次の瞬間、英人は響の後ろから響の悲鳴を聞き付けてやって来た同じく裸の誠に蹴り飛ばされる。

 

「なんでお前が……」

「に、日課のランニングを終えて汗を流そうとしたら、音宮さんがいて……」

 ひっくり返った英人に誠が何故此処にいるのかを問い掛けると、英人はふらつきながらも立ち上がりながらそう言った。

 

「あー……まあ、俺ら以外にも朝練をやる奴はいるか。悪い、大丈夫か? 後、早く出た方が良い」

「わ、解った……」

 勘違いで蹴りをいれたことに対する気恥ずかしさからかそっぽを向きながらの誠の言葉に英人は蹴られた顎を擦りながら浴場を出ると……

 

「天道寺、あんた……」

「最低ですね~」

「天道寺、お前……」

「誤解だ!」

 響の悲鳴を聞き付けて浴場の外にいた陽向と心々杏には見下げ果てた存在を見るような目で見られ、宗次からは呆れたような顔で見つめられた英人は慌てて弁明をする羽目になった。

 

 ……その話の流れで宗次が夜に練習をしているのを知った英人も夜練を始め、そんな英人に「俺も負けてられないな」と朝練を始めると響が他のクラスメイトに音頭をとってクラス総出で朝練や夜練をする事になるのだが……それは、まだ別の話である。

 

 ーーーーーーーー

 

「……」(ぷしゅ~)

「すげー……本当に頭から煙が出てるぜ?」

「これも幻子の効果のなのかしら?」

 そのページを読み終えた響は当時を思い出して恥ずかしいのか顔を真っ赤にして手で顔を覆っていると、その頭部から幻想(フィクション)に影響されたのか白い煙が出ているのを見て誠と陽菜は苦笑いをしながら本を読んでいた。

 

「てか、これじゃあワテが見境なしの変態みたいやないか! 書き直しを要求「「事実だろうが!」」あぎゃあ!?」

 自身に関して事実を書かれているにも関わらず抗議をしようとしていた映助の頭部が誠と荒い言葉遣いをする心々杏が放った回し蹴りでサンドイッチにされて崩れ落ちる。

 

「あ、あはは……」

「変わらないな、あんな所も……」

 誠と心々杏に蹴倒された映助を呆れた目で見る一樹と優太の隣の席にはなにかを読んでいる英人とそれを訝しげに見ている宗次と少女がいた。

 

「英人、何を読んでいるんだ?」

「ん? ああ、大馬先生や京子先生が政府の書庫から見つけてくれた本の原稿なんだ。タイトルは『聖剣の英雄伝説』っていうんだが……完全にやらせ小説だな。多分だけど、『機械仕掛けの英雄』計画で俺が英雄になった時の偶像(げんそう)を維持する為の小説だと思う」

「でしょうね。でなければプロットの段階であなた達が異世界に転移……と言う名の地球からの追放を画策するわけがないもの」

 少女の言葉に英人と宗次は同時に目をむいて驚く。

 

「英人はそんな事になりそうだったのか!?」

「偶像を維持する為だろうけど、やりすぎだろ! 今考えてみても、音宮さんと彼処で出会えたのは本当に運が良かったんだな……」

「でしょうね」

 少女は英人の言葉にそう呟きながら手に持つ本を次のページに進める。

 

 次なる章は……英人や響、宗次達、果ては『機械仕掛けの英雄』を支援している人々も考えてもいなかった初陣の際の出来事であり……響の幻想兵器の歌が響き渡るその最初の章でもあった。




如何ですか?

次回も頑張ります!
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