モンハンは狩ゲー?いや死にゲー   作:Ωが来た!

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 久しぶりの投稿が謎に最新話ではない人間のクズ。


零乙目、平気では無い

 

 月並みな話、夢を見ていた。

 自分は上から、自分を見ていた。

 この世界に生まれて、そして自身の異常性を知り、そして…。それでも何もできなかった。それを持ってしてもやはりヒーローになる事はできなかった。

 

 ここは夢だとわかっている。知っているから。何がどうしてどうなったか。ただやはり真に分かろうとはしなかったんだろうな…。

 

 

「君だけでも逃げるんだ!…おい!お前の相手は俺だ!!!そうだ!俺を見ろ!お前を狩る男だ!襲った事を後悔させてやる…!」

 

 

 知らないふりは知らないフリだ。全部知ってる。襲った奴は…まあ、アルセルタスだ。別名は『徹甲虫』トンボとカブトムシとカマキリとハチを掛け合わせたみたいな奴で、その名の通りの突進バカ。

 

 …そんな突進バカは一瞬で三人の命を消し飛ばし、危うく小さな命すらも切り裂く所だった。

 

 

 あまりにも一瞬すぎて、その子は状況を理解せぬままに駆け出して行ってしまった。…結局はそれがよかったのだが。

 

 自分の手を見る…。今見ている自分と同じ、男の子って感じの手だ。

 

 

 うん。わかってる。この頃の俺は、辛うじてまだ俺だった。俺が俺として本格的に発現したあたりから全ておかしくなった。

 

 俺が居るのに、新しい俺も居る。どっちも正しく俺だから、余計にややこしくなって、それが嫌で、混乱して、ダメになった。

 

 

 俺がジャギィに殺されてる。

 

 あの子がジャギィに殺されてる。

 

 見捨てて逃げて、でも殺されてる。

 

 見捨てて逃げ切って、耐えきれなくなって死んでいる。

 

 中途半端なせいで仲間を呼ばれてバラバラにされてる。

 

 

 

 ……視界が影って、また晴れる。

 

 

 俺がジャギィに一撃を入れてる。

 

 俺がジャギィに三撃を入れてる。

 

 俺は、ジャギィを倒している。

 

 

 俺は、学者になりたかった。ゲームではその細かい生態描写に心惹かれた。その姿に、その様に。

 

 そんな男が、この世界に来たならば?目指すは一つ学者一択だ。ハンターだなんて命がいくつあっても足らない訳だし。

 

 裕福では無いが貧乏では無い。強靭では無いが貧弱では無い。天才では無いが、無能では無い。ただ、やる気は、夢は、確かにあった。

 

 

 ……なんの皮肉か、命が幾つあっても足らないならば、やり直せばいいらしく、ツテも財産もなかなか厳しい俺には、結局のところハンター家業しか残されてはいなかった。

 

 

 怒涛の日々は些細な問題をかき消した。

 

 俺には、余裕もきっかけも無かった。今がその時なのかもしれない。自分を労わり、向き合うその瞬間こそが。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「…。……病院では無いのか。」

 

 

「ハンター様!?!あ〜〜……。心よりお待ちしておりました…体調の程は…?」

 

 

「………何をしておる!…まったく情けない……。」

 

 

 心底安心した様子のシナラ、いつも通りを演じるもやはりしおらしいルーツ。

 

 ……曲がりなりにも自分を心配してくれる人達だ。…人外じみた人と人外ではあるが、それでもだ。話すべきだろう。今は不思議と、話せる気がするのだ。

 

 

………

……

 

 

「お前の父親の物だったのだな……流石!英雄たる者を産みし片割れ!この様なものを持っているのだ!よほど腕の立つ強者であったのだろう!」

 

「……。」

(すみません父上、なんか盛られちゃいました。)

 

 

 壮大な面倒ごとに父親まで巻き込んでしまった様であったが、それを解く事はハンターには出来なかった。

 

 

「…そうじゃ、その剣については我も知らん。その存在自体は今すぐにでも叩き折りたいがな。……疑わしい事はするな、次は止まらぬやも知らんからな…。」

 

 

「………。」

(知らんがな。)

 

 

 何処まで行ってもこれに尽きた。どうしてここまで強火なのかこれが分からない、さて次はとシナラを向けば、

 

「………。」

 

「…………。」

(いや俺みたいにならんでくれよ、何か喋ってくださいよ。)

 

 

 好奇心の高さと、その心変わりの激しさ、そして余りにも珍しい事態からか積極的に話を展開していくルーツと比べて、シナラの様子は一貫して静かそのもの、今の今まで忘れていた事や、先ほどの光景に対して彼女の心に引っ掛かるものがあったのだろうか?

 

 

「………。グヘッ……」

(あぁ蓋をしてしまうほどに傷付いていただなんて、気付かなかった私が恨めしい。ふふふっ、ンフフッ、けれどこれでより一層貴方と私は一つになれる!深く深く理解できて、貴方を知れば隣に座れる、ふさわしくなれる。愛おしき弱い貴方を支えられる、強い貴方に憧れて、弱い貴方を支えられる、全て全てを見ていたい、発見したい、貴方を構成する一部となりたい、そして…あぁこのシナラに頼って欲しい、ン"ッッ!ンフフ、貴方に焼かれて焦がれてしまう!!……うふっ、ふえっ、ふへへへっ。)

 

 

 ………大いに引っ掛かったようだ。

 

「うわぁ……。」

 

 祖龍ですらドン引きしている。正直な所五十歩百歩な所はある、人?の事は言えない。

 

 

「………して、あの剣はどうするのだ?今は畑に突き刺してるがあのままにして置くのも良くないのだろう?。」

 

 

「………。」

(いや仕方なかったとはいえど人の親の忘形見を畑に刺すな。)

 

 

 知らなかったとはいえど、扱いに困っていたのは事実。

 

 

「うへっ…あ、ルーツ様がやりました。」

 

「こやつめ…!」

 

 

 音速でルーツを売るシナラ。事実ではあるのだが…。

 

 

「………。」

(あの畑で龍殺しの実でも育てるか?)

 

 

 すっかりいつも通りの雰囲気が流れ始めた。…これもいつも通りになるとは、誰も予想がつくまいて。

 

 

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

 

「うへっ!?!?」

 

「何事じゃ!!??」

 

「ッ!」

(ファ!?)

 

 唐突に叩かれる玄関戸、その力加減からただごとではない事は感じ取れたハンター、すぐさまベットよりはね起き、玄関へと急行すると、既に扉は開いていた。

 

「ハンターさん!大変です!出ました!出ちゃいました!とんでもないです!やばいです!このままじゃ全部終わっちゃいます!」

 

 扉の先には受付嬢、それも酷く落ち着きが無い。彼女の背後をよく周りを見れば騒がしく、大きな荷物を竜車に乗せている人も見受けられた。

 

「何が…。」

(一体何が………てか大体予想はつかんだけどなこの世界でやばいなって言ったらそれはもうあいつらしかいない。)

 

 そう言う事に限って良く当たる。まったく本能は本当に役に立つ。

 

「古龍!襲来です!対象はあの『古龍を脅かす獣牙』とも表される【滅尽龍】『ネルギガンテ』です!!!!」

 

「………?」

(出たよ古龍。…え?ネギ!?何で?現大陸だよここ!?)

 

 

 『ネルギガンテ』、古龍を喰らう古龍としてその名を轟かせ、己の身を顧みず目に付くものを片っ端から破壊していくとんでもない攻撃性な持ち主。

 なにより悪魔の様な外見も相まって非常に危険度の高い古龍種であり、そんな本種最大の特徴として、全身に生え揃う棘と横に生えた巨大な剛角が挙げられるが、何よりも……。

 

「古龍に良くある風とか熱波とか自然に干渉するような力はありませんし、とびっきりの巨体でまさしく歩く天災といったわけではありませんが………尋常ではない耐久力と持久力に加え、桁外れな再生能力で相手を真正面から薙ぎ倒す激ヤバ古龍です!」

 

 

 古龍はその存在故、意識して他者を攻撃する事はない。…意図せずして環境をひっくり返されるのはいい迷惑ではあるのだが、ネルギガンテは違う。それ故にもしこの街を捕捉した場合、徹底的な破壊は過去の事例を見れば目に見えていた。

 

 

「…………。」

(クシャなら嵐が過ぎ去るのを待つだけでいいが、ネギは反撃しないと本当に好き放題される、でも何で現大陸にいるんですかねぇ?)

 

 

 ゲームに置いて『新大陸』からが初登場であるネルギガンテ。ならば新大陸にのみ住んでいるかと思えばそれは違う。

 『古龍いる所にネルギガンテあり』、故にこそ、いない理由なんてないのだ。

 

 

「ハンターさん!どうか力を貸してください!私達はこの場所を守る義務も確かにありますが、それだけで動く程薄情なつもりはありません!みんな本当は離れたくはありません!故郷が破壊されて良いだなんて思ってません!……でもしょうがないと割り切るしかない相手である事は事実です……。」

 

 

 台風に立ち向かう馬鹿はは居ない。地震に勝てると思ってる阿呆なんて頭がおかしい、そう言う相手が古龍種なのだ。

 

 圧倒的かつ絶対的な生命力を誇り、数千年を平気で生き、疲れを知らず、致命傷を与えられようと何事もなかったかのような復帰する、尋常の者たちとは一線を画す、正に『次元が違う』、それが古龍なのだ。

 

 とは言えど、生き物である以上腹も空けば毒も効く。傷を負えば苦痛も感じる。

 

 

「……ですが!抗えるなら抗いたいです!戦えない私が言っても何も説得力は有りません、私に出来ることは此処で待つことだけ、厚かましいのは重々承知、ですがお願いします!この街を救って下さい!」

 

「当たり前だ。………準備する。」

(…………うし、覚悟決めた。ここで引いたら…駄目なんだろうな。それは俺じゃ無い。)

 

 

「……ッ!……ありがとうございます!」

 

「………。」

(え?そんな曲がるん!?柔らかッ!)

 

 ブォンと音が聞こえそうなほど勢いよく頭を下げる受付嬢。彼女の体は凄まじい柔軟性を持って二つ折りになった。

 

「……忘れられては困ります。」

 

「……。」

(忘れてはないけど……巻き込むのもアレだしそもそも俺の戦い型的に相性が悪いと言うか何と言うか……。)

 

 

「何と言おうと、私も参加させていただきます。本気です。参加させて下さい、生意気な事を言ってしまい誠にすみません本当に参加させて下さいお願いします。おそばに居させて下さい足は引っ張りませんから。」

 

 ハッキリと、凛々しく、堂々と言い放ったその言葉は竜頭蛇尾。次第に威勢を無くして失速して行った。

 

「シナラさん…。本当に宜しいのですか?…その……まだ日が浅いですし…いえ!協力してくれるのはありがたいですが……やっぱりその……。」

 

「懸念も承知です。が、ハンター様が想いを寄せると言う事は、十分過ぎるほどに理由たり得ます。」

 

「シナラさん…。」

 

 嬉しいやら心配やら、本当に良いのかと少々困惑気味な受付嬢、しかし、シナラはまだ話し終えていない。

 

「確かに、私がいた期間は長いとは言えないでしょう、たかだが数週間ですし。ですが私はこの街をその数週間でまるで昔から暮らして来たかのように思っています。それはこの街に住まう人々が私を受け入れてくれたから。安心してください、心配しないでください。大丈夫ですから。…ハンター様、私の我儘、どうかお聞き入れを……。」

 

「……ッ!本当にっ……ッ!頭が上がりません!」

 

 彼女の眼は真剣そのもの、その覚悟を知っている。その覚悟を無碍にする事など……出来ない。

 

「わかった。……準備する。」

(そんな事言われたら否定出来ないやん。……しゃあなし、ルーツみたいに切り替えが大切。準備するか。)

 

 

「ありがとうございます。ハンター様、私もすぐ準備して参ります。では、集会所で詳しい説明をよろしくお願いいたします。」

 

「わかりました!この街を、よろしくお願いします!」

 

 

 

 

既に破滅は来たれりて、殲滅の鐘は鳴らされた!

 

張り裂けるほどの喇叭の音はけたたましく響き渡り己の存在を知らしめ続ける!

 

 渇欲の龍は尽く、何を思って挑まんとす?

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ハンター

 とは言えどやっぱり行きたくは無い。当たり前だよね、誰だってそうなんだもん。

 

シナラ

 絶対についていかなきゃ(使命感)

 

ルーツ

 薄々勘付いてはいた。既に観戦モードに突入中。

 

ネルギガンテ

 明らかな異常反応を感知して尚立ち向かう選択をするやべー奴

 





 これで少しはマシになったかな?
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