モンハンは狩ゲー?いや死にゲー   作:Ωが来た!

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 モンハンと言えば、やっぱり出さないとねぇ?(今更)


十四乙目、猫の手しか無い

 

「………。」

 

「?どうかしましたか?」

 

「…………。」

 

ガクンッ!

 

「えっ?えっ!?どうされッ!……気……絶…?……効果が?しかし今更?……こんなに続くものでも…。」

 

 

 最早精神論の領域。文字通り『根性』で立っていたのも限界が来た様だ。反応が得られず、何度か声を掛ければ突然、糸が切れたかの様に崩れ落ちてしまう。

 

 

「……えっと!…ちかっ………顔がっ!………ン〜〜〜〜ッ!。」

 

 

 地面に倒れるその前に、ハンターの肩を持ち何とか支えるシナラ。その顔と地面を交互に見る。

 

 

「………迎えもすぐに来る訳でもありません。」 

 

 

 空いた猶予をどう過ごすか……。

 

 

「……いつまでもこの体制でいる訳にも……しょうがないですよね、では失礼します…。」

 

 

 丁寧に寝そべりさせると、破損の目立つ自身の防具を外しその膝にハンターの後頭部を当てがった。言うところの膝枕であろうか。

 

 

「……装備の損傷が酷い…これでは着心地も悪く要らない負荷がかかってしまう。……せっせめて頭と胴は外さないと……。そうこれはハンター様の為。そこに私情何て…あるわけがありません。」

 

 

 まるで言い聞かせるかの様に続けてハンターの装備を外しにかかる。

 

 

「?……っ!……?おかしいですね。…外れるはずなんですが。………んっ!ほらっ、持ち主に負担掛けないでっ、………あっようやく……何だったのでしょうか?」

 

 

 果たして、内部が変形して絶妙に挟まっていたのだろうか?特別な作りで外し方が間違っていたのか?それを追求する気は更々無い様だ。

 

 

「…静か…ですね。本当に、ここには二人きりしか居ないみたいです。」

 

 

 龍の残影は未だ色濃く、虫の音すら響きやしない。空は既に熱を失い、冷たく、ただひたすらに静寂を貫いた。

 

 

「……あなたの寝顔を見るのは……いつぶりでしょうか。本当に変わりませんね…。この時だけ、私だけの独り占め。…ふふっ。安らぎの表情…その一助になれば……私も嬉しいです。」

 

 

 破壊の嵐により切り開かれた一帯に、空から降り注ぐ月光が、静かに、静かに、彼女の美しき艶のある黒髪に深みを待たせ、その面持ちをどこまでも凛々しく、どこまでも優しく、どこまでも愛しみあるものへと昇華させていく。

 

 

「……こうも無防備ですと、イタズラをしたくなります。……少しだけ……。」

 

 

「………少しだけ。」

 

 

 はじめは頬や鼻を軽くつつくくらいのものが、いつの間にか髪を解き、頬を撫で、その視線は顔だけに止まらなくなっていた。

 

 

「…ハァ……………も、もう少しだけ。」

 

 

 手はいつの間にか胸板を軽く触れはじめ、気付けば優しく撫でていた。

 

 自身の口角はいつの間にか上がっていた。

 

 自身の呼吸はいつの間にか熱を帯びていた。

 

 自身の目はいつも何か彼の口から目を離せない。

 

 自身の体温は周囲の静かさとは真反対に高揚の一途を辿っていく。

 

 

「…………こんなに無防備に………知ってましたか?…実は私、我慢は苦手なんですよ?………。」

 

 

 少し悪戯っぽく、語り掛ける。それは彼にも、そして自分にも言っているのだろうか。

 

 

「それに何と、欲深くもあるんです。貴方が認められるのは嬉しい、活躍して、皆んなの注目の的になるのは…。だけど同時に凄く嫌でもあるんです。………何故だか分かりますか?」

 

 

 返事は無い。ただ、別に欲しいわけでも無い。

 よく見たい、その全てを目に、脳に焼き付けたい。ともすれば自然に顔が近くなる。

 

 

「………………………………いえ、今そんな事をしたって意味はありません。……ありませんったらありません。」

 

 

 言葉とは裏腹に、との声色は嘘を付けない。

 

 

「……ケッ!怪我人に!……それもハンター様に!……このシナラ、そこまで堕ちたつもりはありません!」

 

 

 一人慌ただしく、時に声を裏返しながら、延長戦へと勝手に突入していくシナラ。

 

 

「…こっこう言うのはやはり面と向かって……でもこれはまたと無い……。」

 

 

………彼女の葛藤はまだ続きそうだ。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「そして今回の相棒はこちら!」

 

 

「『王牙琴【雷鳴】』、そしてその改良版の『王牙琴【雷鳴】改』です!」

 

 

「……!」

 

 

ガラガラガラガラ

 

 

 手綱を握る手はとても重い。心なしか相棒も意気消沈。………よく分かんないけど。

 

 でもハンターさん達は本当に勇敢だ。こんな状況でもいつも通りに振る舞ってる。空元気だって振るえないようなこんな状況なのに。

 

 

「…………。」

 

 

 何一つ気の利いた事を喋れない自分が恨めしい。……何よりこんな悪運に絡まれた自分が恨めしい。

 

 

 

……

………

 

 

 

「…………結局何も言えなかったにゃ………それに行ったちゃったにゃ……。本当に……。」

 

 

ブモオォォ

 

 

「ブモオじゃにゃいにゃ。この低学歴なアイルーはアプトノス語は履修してにゃいにゃ。……アイルーに学歴とかにゃいけど。……でもお前バカにしたにゃ?」

 

 

 『アイルー』…言ってしまえば二足歩行の猫。獣人族とも呼ばれる彼等彼女等は、器用な手と人の言葉を理解して話すことのできるレベルの知能を持つ。人間と暮らした方が良いことも多いため、多くのアイルーが共存の道を歩み、人もまた大いに受け入れている。

 

 ……しかしメラルーは盗みを好むので、ある意味では敵対してしまう事もしばしば。マタタビに目が無く、あれば他の物には目もくれずそれをのみを盗み、与えれば大人しくなるので一つ持っておくといいかもしれない……。

 

 

「にぁぁぁ〜〜、本当についてにぁい。こんな事ににゃるにゃら、恥を晒してでもシンドイワシなんて食べるんじゃなかったにゃ。……全部あいつらのせいにゃ!今度会ったら絶対負けにゃいなにゃ!あいつらアイルーの心にゃしにゃ!普通黙って逃げるかにゃ?」

 

 

ブオォォ

 

 

「そう考えたら負かすじゃだめにゃ!しばき倒してやるにゃ!文句なんて言わせにゃい!拳こそ正義!元とはいえオトモアイルーにゃめるにゃよ?」

 

 

ブモオオォォオ

 

 

「………生きてたらって?わかんにゃいけどどう言われた気がするにゃ。……何でお前言葉わかるんにゃ?おかしくにゃい?」

 

 

ブモオォ…

 

 

「……腹立つにゃ、全然分かんにゃいけどまたバカにされた気がするにゃ。」  

 

 

 どんな勝負かは知らないが、どうやらシンドイワシを食べた事による疲労感によって爆睡した結末置いてかれた様だ。

 

 

ブモオォォオォォオ

 

 

「お前絶対嫌われてるにゃ!性格悪過ぎにゃ!だからこんな所まで来る羽目になってるにゃ!」

 

 

ブモオォォ

 

 

「似たもの同士仲良くにゃんてお断りにゃ。それに嫌われてにゃいにゃ。普通に運が悪いだけにゃ。……にゃほほ……。」

 

 

Ooooooッ!

 

 

「ニャ!?えぐ過ぎにゃ!?ここまで聞こえてこの迫力とか頭おかしいにゃ!?……どこいくにゃ!逃げるにゃ!臆病者!置いてくにゃ!こんにゃ危険地帯で一匹とか寂しいでしょうにゃぁぁあ!!」

 

 

 大地も大気も震わして、遠く遠くへ運ばれる。野生に近しい彼らには、それでも平常心を失わせるには事足りる。

 一匹と一頭の雑談も裏切りによって打ち切られてしまった。

 

 

「………探すの嫌にゃ……でも探さないと帰れにゃい……。」

 

 

 この森を一匹で?逃げ遅れたモンスター一匹に見つかるだけでもヤバい以外に他ならない。

 

 

「ついてにゃいにゃ……。にゃほほ……。」

 

 

 全く自分が何をしたと言うのか、どうやらとことんついてないらしい。

 

 

……

………

 

 

「逃げ遅れたトロいモンスターの一匹や二匹、出くわすかと思えば全然いにゃい、近道でジャギィの巣の中とか普段なら絶対死んでるにゃ。…にゃ!卵!……だからどうしたにゃ……こんにゃ状況でお荷物にゃんて持ってられるわけにゃい。」

 

 

 近くには何もいない事は確定しているとはいえど、その天気はいつも通りの良くも悪くもない程度、風もそこそこ温度も普通。と言うのに生命の息吹が自分のみとは中々に不気味なもので…。

 

 

「他のは割れてる。……お前も置いてかれたのかにゃ……。」

 

 

 散乱する殻の破片。ポツンとその中に卵はあった。寂しさとは不思議な事で、自分の境遇も相まって、特に考えずに気付けば行動に移っていた。

 

 

「……卵でもいいにゃ、ヨイショッ……蔦で囲って背負えば…ヨシ!…暫くは話し相手にでもにゃるにゃ。」

 

 

 その後の事はどうするかなど聞いてはいけない。知能があるとはいえど、そこまで思慮深い種族でも無いのだ。

 

 

「……あの図体でどこまで行ったのにゃ?痕跡ばかりで本体が全くいにゃい。」

 

 

 居るのは一匹と一個だけ。…植物?…無いよりはマシかもしれないが……。

 

 

「…………。」

 

「ッ!?…しっ!にゃにか居るにゃ!……卵ににゃに言ったんだって話にゃね。」

 

 

 だからこそ、これ以上ない程にその精度は研ぎ澄まされていた。

 

 

「………人?」

 

 

 そう人。それもまだ幼い出立の少女がぽっと立ちながら遠くを見つめていた。迷子にでもなったのだろうか?ただ人と分かれば話は早い。

 

 

「にぁ!どうも失礼にゃ!何でこんな所にいるのか知らにゃいけどあぶにゃいにゃ!荷車に連れてくからついてくるにゃ!……あっアイツいないんだったにゃ。……唐突にだけどアプトノス知らにゃいにゃ?一応相棒でどっか言っちゃったにゃ。」

 

 

「…………いいぞぉ…流石我の英雄じゃぁ………。」

 

 

 近づいて分かったが、何かに熱中している様だ。ぶつぶつと独り言を唱えるその口から垂れた涎を仕舞う事も忘れ、蒸気した絹の様に白い肌、熱を帯び蕩けた真紅の瞳。髪は長く艶やかで美しく。

 

 ただしかし、その一連は少女という器には不相応と言った様子を受ける。が、

 

 

「?……あっあのぉ……。」

 

 

 どうしてここにいるのか、何しているのか、危険な事くらいは知っているはず。だが気にしない。深く考える種族ではないからだ。

 

 

「…にゃ…無視しないでくれると助かるにゃ…。……?生きてるにゃ?こんな所で立ちながら目開けて寝てるとかそんな訳……。」

 

 

 そんな事を考えて…声に出しつつ肩を…身長的に叩けないので仕方なしに太ももを叩くと。

 

 

「何じゃあぁぁあ!?!?!?「ニヤァァァァアァァァア!?!?!?」…誰じゃお前!!!「こっちのセリフニァ!!!」。」

 

 

 静寂は崩れ去る。一気に阿鼻叫喚の騒がしき場へと変化した。

 

 

……

………

 

 

「とにかく!ここはあぶにゃいにゃ!取り敢えず一緒に来るにゃ!」

(まだ一人でここに居るとか頭沸いてるにゃ!だけど仲間が欲しい!手も借りたい!アイルーの手じゃ足りにゃいにゃ!にゃんとしてても引き込まなくては…。)

 

 

「だから問題ないと言っておろうが!まだこれからいい所!邪魔せんとさっさと失せろ!」

(何だこのけむくじゃらは!我をガキ同然に扱いおって!…しかし暴れるのも不味いし何よりこんな事で本気になったと知られれば立場が無い!)

 

 

 基本的な絶対者の龍が、己の立場、それもたった一軒の家の中でのヒエラルキーのことを考える様になったとは、知るものが見れば自分の脳みそを疑うだろう。…今までの知識と概念故に。

 

 

「何処がにゃ!問題しかにゃいでしょうが!早くアプトノス探すの手伝うにゃ!……にゃっ…。」

(何処がにゃ!問題しかにゃいでしょうが!一人は危ないからついてくるにゃ!……にゃっ…。)

 

 

 つい本音と建前が入れ替わってしまう。知能は高くとも理性は対して優れてはいない。

 

 

「なっ!…このけむくじゃらがそんなのに我のお楽しみを後回しにさせるとな!?…………あっ。」

(なっ!…いかんいかんこんなのに熱くなっては。ここはくーるに行かなくてはな。………あっ。」

 

 

「けっけむくじゃら!?いくら何でも失礼にゃ!いつも毛並みは整えてるにゃ!それにアイルーって種族名。ボク自身には『アイー』って名前があるにゃ!」

 

 

「アイルーぅ?そんな下々の名前など知るか!…………。」

(んっといかんいかんこんな事で時間は使ってられん。えーと確か、あぷとのす…だったか?)

 

 

「あぷとのす?何じゃそれは…あぁ、あの灰色の奴か、それならあっちにいた。ほれ、早ういかんと間に合わんぞ。」

 

 

 

「本当にゃ!確かにここは見晴らしがいいにゃ、あそこかにゃ!ありがと娘さん!気を付けて帰るにゃよ!」

 

 

 どうやらここは白亜の岩璧のそのてっぺん。見晴らしはうんと良さそうだが、それを堪能する余裕は既に無く。一転清々しい程の切り替わり、次に係る声を聞く前にダッとその場から消えてしまった。

 

 

「むっ娘!?そんな事言われたのは初めてじゃぞ!?」

 

 

 普通置いてくなんてことはないのだが、彼らはそこまで深く思考はしないのだ。(n回目)

 

 

「つくづく生意気な奴じゃ…。それに変な奴じゃ、卵なんて背負うなど……。…時間は使ってられん、か。不思議なものだ。時間など腐る程あったと言うのに、今はそれが極上の宝そのもの…あっ、見逃してはならん!」

 

 

 再び目を向ける。その気配は極限まで納められ、馴染んでおり、大自然の芸術とも呼べる白亜は、彼女の存在を確と掻き消した。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「でもでもでもでも!……〜〜〜〜ッ!。」

 

 

「ハンターさん!ハンターさん!「うひゃっ!?」ウニャ!?!?ってこれさっきやったにゃ。」

 

 

 たった一人の延長戦が漸く終結した様だ。比較的最近何処かで経験した光景を追体験しながらも、そんな事よりと言わんばかりに賞賛が止まらない。

 

 

「迎えに来たにゃ!凄いにゃ!本当に凄いにゃ!英雄さんだにゃ!」

 

 

「えっえぇ。しっかりと…。ですがそれは私には相応しくありません。…賞賛はハンター様に。」

 

 

 目線は自然と下へ向く。

 

 

「生きてるのかにゃ?……今の所大丈夫そうだけど早く連れて帰った方がいいにゃね、ほら!早くこっち来るにゃ!」

 

 

ブモオォォ

 

 

「動けるかにゃ?装備とかはボクが運ぶにゃ、支えられたらいいけど流石に無理にゃ。」

 

「大丈夫ですよ、これくらい、ハンター様の傷に比べれば何ともありません。」

 

「…あまり無理はしにゃいでにゃ。」

 

 

 無理しているのは分かりきっているが、確かに体格差的に無理な話。

 大人しく散乱した装備等を拾っていく。

 

 

「これはモンスターの一部にゃ?拾っといた方がいいにゃね。」

 

 

 こうして回収を進めて行くと荷車の方が何やら騒がしくなってきた。

 

 

「あっ!アイツ!」

 

 

 心当たりはありありの様で、入り口のそばに回収物を置くと急いで中に飛び込んで行く。

 

 

「あっアイルーさん!?これはどう言うことですか!?」

 

 

グキャ!ウギャ!

 

 

 ハンターを背に何やらわちゃわちゃとシナラの前で騒ぐ一匹の小さな竜。

 

 そしてシナラは何が何やらと言わんばかりに目をグルグルさせそれでもハンターは守ろうとその身一身に竜の攻撃?を受け続けていた。

 

 

 赤みがかった体色に背中は薄い青。何より特徴的な襟巻き。体は極端に小さいが。紛れも無い『狗竜』ドスジャギィの若年個体、ジャギィ、それであった。

 

 

「あ〜、新しいオトモダチ?危険性はにゃいよ!産まれたばかりだし…。にゃ、にゃはは……。」

 

 

ブモオォォ………

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ハンター君

 緊張の糸が切れちゃった。

 

 

シナラ

 誰もいないからと油断して一人の世界に入っちゃったみたい(他人事)

 

 

アイルー

 小物界の大物。

 

 

アプトノス

「俺、実はRISE発売まで皆勤賞だったんだぜ……。」

 

 

ジャギィ

グキャッ!

 

 




 ジャギィって絶対いいペットになる。
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