「……しらn「ハンター様!?はい!シ ナ ラはここに!」………。」
(おっおう、知らない天井っていうつもりだったんだけどなぁ、何なら全然知ってたし。)
ルーツ戦、レイアandバゼル戦、そしてガルルカ戦も越えて、四度目か?
「………。」
(いやぁ、短い間にとことんお世話になったな。ガチで足向けてねれんな。ベッドの向き変えよ。)
……という事は足を向けていたという事だろうか?
「ッ!?ハンターさん、起きましたか!あっ…あのぉ〜、いきなりで悪いのですが積もる報告があります。少し待っていてください。」
「…………。」
(受付嬢はんもおったんか?…確かに色々あるのは予想つくわ。)
慌ただしく室外へと出て行く彼女の背を見届ける。その様子から自分が何をしたのか、何を成したのか、少しずつ実感が湧いてくる。
「………俺は……成したのか……。」
(ヤベェ、今になってことの重大さに気付いた俺の心臓が爆音を轟かせている!これ聞こえてない?)
「はい!街の皆さんも無事に帰る事が出来て喜んでいます。皆んなが貴方様の功績を讃えています………。」
「…喜べ。」
(どした?なんか語尾弱いけど……。ほら喜んで喜んで!俺らがやったんだからしっかり喜んでくれよ〜。)
「え?」
曇る彼女に知ってか知らずかの声掛け。言葉は更に続いて行く。
「これは……俺とお前の偉業だ。…お前が喜ばなければ……誇らなければ…………俺は……この賞賛を受け取れない。」
「……すみません……いえ、行けませんね…。…ありがとうございます♪私達の偉業ですものね、また身勝手にも貴方様に気を使わせてしまった。反省です♪」
「そうだ………よく似合ってる。」
「/////ッ!!?はっはひ〜〜……」
「?」
「ダハハッ!お取り込み中だったか!」
「相変わらず元気ですね、ギルマスは。いい歳の取り方してます。」
「何を言っているジード殿、まだ687歳の若輩者だ。こんな様で年寄りなんて言われては加工屋のジジイに殺されちまう!」
「あはは…、流石ですね…。」
乾いた笑いを見せるは受付嬢、相変わらず桁が違うと乾いた笑いが出るものの、それはそれとして話を続ける。
「おっほん、ハンターさん、シナラさん、騒がしくてすみません。では、…どうされましたか?ハンターさん。……あぁ〜あ、ギルドナイトを見たのは初めてでしたか!。では!「いえ、大丈夫です。」…え?わっわかりました。……もしかしてお知り合いで?」
最後に見た様子とは打って変わって、元の豪快な喋り方に戻っているギルドマスター。やはりこちらの方が生き生きといている分、彼的にも楽なのだろうか。
「そのようなものです。さて、病み上がり失礼だけども、事が事だからね。上の方から渡されたこの報告をしなければ。」
そういうと、その上からの言葉が記されているであろう紙束をひらひらと振るギルドナイトの『ジード』。
「………。」
(うわぁ…面ど(直球))
「……ただ、こんなの読んでたら日が暮れるので手短に。て事でポイー。」
「え?それ捨てていいんですか!?」
「大丈夫大丈夫大丈夫、心配無用。…では本題へ、」
本当に捨ててしまうジードに驚嘆の声を上げる受付嬢。しかし、その軽い空気は何処へやら、先ほどの態度から一転。真面目な声色で話を紡ぐ。
「規定に従わず勝手な交戦を許可した事はとても誉められるものではない。碌な防衛施設の無い場所に置いて、貴重な人材を危険極まりない地へと送り込んだ事も、許される事では無いだろう。…本来であれば。」
「………。」
「………。」
ジードの視線はギルドマスターと受付嬢へと向けられる。ジードの顔はその中性的な様から怖いなどと言う感情は排されがちではあるが……。
今、その発せられるオーラはどこまでも威圧感に満ちた判決を下す側の人間であった。…のだが……。
「………そんなのは些細な事になるくらいに君たちはとんでも無いことをしてくれた!!!喜べ!全部チャラだ!なんならお釣りが来るぞ!!!」
「「えぇ………。」」
「………。」
(さっきまでの雰囲気さんが呼吸してない。この急上昇に、俺はついていけない(過負荷))
ギルドマスターと受付嬢は思わずズッコケそうになるのをなんとか我慢して話の続きに耳を傾ける。
「いゃ〜こちらからの攻撃で成功した事なんて本当に片手で数えるくらいしか無いんだ。それも全部甚大な被害を被ってだ。それなのに今回、誰も死んじゃいない。本当に君たちは規格外だ!」
腕を広げてハンターとシナラを称賛し更に続けて、
「それに現場の残留物や交戦情報はとんでも無く貴重だ。ここまでの戦果を残しておきながら、撃退故に実際に得られるものは少ない。英雄に金だけポンとくれてやるのでは渋すぎる。そこでギルドから追加報酬と手厚〜い援助を約束しよう!手始めにG級…じゃなくてマスターランクへの手続きを…「断る。」」
「ええ!どうして!?」
「ハンター様!?」
「…………。」
次々と起こる驚愕の声。間を置いてジードが言葉を紡ぐ。声のトーンは下がっていた。
「……どうしてか、理由を聞いても?」
「……役不足だ。」
(そこの急降下にもついていけない。…いやまぁ俺のせいなんだけど。…ネルギガンテ戦で理解した。これG級地獄だ。そして地獄に足を突っ込むのは御免だし、こんなの二つ返事で承諾しようものなら"終わり“の始まりやね。)
「…と、言いますと???」
純粋な疑問からか、受付嬢が返答する。が、喋った後で少し後悔した。
「俺にはやり残した事がある。故に容認できない。」
(何が?この選択に心残りがあるとでも?ねぇよ!タコ!………だからねえっていってんだろ!心当たらないから!そんなのあっても俺が容認しないから存在しません。(黙殺))
「成る程、やはり、だからこそというべきでしょうか?。…すみません皆さん、ここからは彼に対する話があります。…シナラ様もどうかお聞き入れ下さい。」
「…わかりました。これは……つまりそういう事でしょうから…。」
「では、お大事にしてください。」
「……病み上がりだ。用が済んだら少し休むのが一番だ。ではまた!」
「……。」
(え?え?え?何勝手に話進んでるの?シナラそういうことってどういうこと?お見通しって何通し?お気遣いありがとうございます。誰か教えて!?)
ガチャン、ハンター迫真の心の声は誰に届くことも無く。静寂な空間に二人が残された。奇しくも、その状況はジード、彼と初めて出会った時、そして2回目、今回の3回目ともに、同じ配置、同じ姿勢。
「いやはや、結局この状況での再会ですね、これはもう運命の糸でしょうか?……貴方の運命は凄まじいで収まりきらないですよ。」
「…そんな事はない、もっと上が居る。俺なんて霞むほどに。」
(俺如きが烏滸がましいな、どうせ主人公が湧いてくるんやし、そいつらの人生のほうが波瀾万丈に決まってる。)
「ふふっ、貴方以上なんて想像が付きませんよ。英雄の人生はかくも波瀾万丈であるか。」
「俺は英雄などでは無い。俺などが…。」
(拙者が英雄!?そんなわけwww。ガチのやつはソロでネルギガンテ討伐まで行ってるってそれ一番言われてるから。)
「そう自身を下卑しないでくださいな、労ってください。これでも心配してるんですよ?貴重な友人ですからね。」
本気で言っているのだろう。寝具に寝込むハンターの両手をとり、穏やかな声色で語りかける。
「歳が近い知り合いは貴方くらいです。人脈の無さは残念ですが、貴方と知り合えたというだけでも計り知れない価値があります。」
手袋越しに分かる頑張り者の手。それを感じたのは果たしてどちらか。
視線を上げて互いの瞳に映し合う。
「私も中々寂しがりですからね。………仲良くしてくれると嬉しいな。」
目を細めて遠慮しがちに柔らかな表情を浮かべる。
「………。」
(………(絶句)。)
「…よかったですね!もし本当に"私"でしたら貴方はこの労りの言葉によって惚れ込んでいたかもしれませんよ?…これは本当に自慢じゃ無いし、普通に残念というかなんというか……その、よくモテますので………。」
次の瞬間にはいつもと呼べる態度に変わるが、その目はどこか遠くを見ていた。
「だろうな。…やはり今のお前が一番良い。」
(……えぇ……。男がそんな顔できるの?……確かにな、ガチのお前見たらそっちの軽い方が断然いいな。堅苦しいのは苦手なんや。……お前の事だぞ俺!)
「へ?良いって何が……んえ!?いえいえ、待ってください。脱線し過ぎました。…なんか崩れちゃいます。貴方といると。…ですので単刀直入に、貴方宛に特別な指名依頼が来ています。場所はフォンロンのバテュバトム樹海に浮かぶ謎多き…と言うか謎しか無い巨大な建造物『塔の秘境』のてっぺん。『頂』です。」
「…………早い様で、短かった。」
(フォンロン?…あ〜ナルガいるところね。しかし指名とな、そんなに有名人か?活動拠点ここだけなのに?…まっ、まぁあ?一応ネルギガンテボコしたわけだし?でもまっここで慢心して「はい受けます。」なんて言うほどベタにバカでも無いしな。でも話を聞いてやらん事も…。)
「内容はなにぶん特殊なモノで、「受ける。いつ出立だ。」………何処までも予想外というか、いえ、予想は当たっていますが…凄いですね貴方は。」
(本当にな、凄まじいよ(諦観))
「………いや、普通だ。皆、凄まじい。お前もだ。だから俺は、腐っていられない。」
(いや生きるために仕方なくやってるだけやし、ギルドナイトなんて役職もヒョイとなれる訳でも無いやろ?ならお前も凄いんじゃん。てかこの依頼絶対避けられたダルオォォォオ!!!)
「………なんか戦っているわけでも無いのに降参という言葉しか出てこないよ、たしかに"依頼人"はかなり急かしてるからね、準備はお早めに。ではまた。………貴方に、導きの蒼い星が輝くよう祈っていますよ!」
一礼の後に部屋から退出して行く、その前に。
「あっ、その前に安静は絶対ですよ!労わって上げてください、友人には元気でいてほしいですからね。」
「………お前もな。」
(友人……。なんだよ、めっちゃ嬉しいじゃねえかよっ!クソッタレ!)
「…!はい!では今度こそ!」
がちゃん。
「…………。」
(…………えっと、取り返しつかない?つまりこれもしかして死んだ?(いつも通り))
ポツンと取り残されたハンター。その思いは残念ながらその様だ。
…
……
………
「ハンター様、………私は貴方についていきたい、貴方を送り出すのはとても、とても辛いから…。ですが、これはハンター様の決着、私が出る幕などありません。……ありませんのに、私は…私はッ……。」
「……。」
「ハンター様。一言、一言だけ、貴方の言葉があれば私は何処へでも、その言葉の意味が表す通りに、何処までもついて行きます。」
「…………。」
「私は貴方のモノです。分かっています。出立を前にしてこの様な真似をして、我儘の為に時間を割いてしまっている……。ですがっ!どうかっ!……どうか……どうか………。」
その必死さとは逆さまに、今にも消えてしまいそうな声を、捻り出す。
「戻れ。」
「………。」
「先に戻れ、家に。……後から帰る。だから、待っていろ。」
「…えっ?え?…はっ……はい!…腕によりをかけて、夕飯を準備しています。ですから、ですから!…どうかご無事で。」
「……付いてくるなよ。」
「はい♪わかっています。そもそも指名の依頼に勝手について行ってはいけません。これは完全に何処からどう見ても通るはずの無いわがままですから………私は信じます。信じないなどありません。……どうかお気を付けて……。」
………
……
…
「………。」
(フツーに連れていきたかった!あのサポートの味知ったら元の狩に戻れるか?いや戻れない。なんだよ依頼者音信不通ってそこんとこしっかりしろボケ!)
「はっハンターさん!着いたにゃ!長旅ご苦労様にゃ!」
「……(コク)」
(おっ頷いた、初めての長旅だもんなお前もそう思うか!……俺は俺に何言ってだ?(田舎))
そうして長い長い遠征は、しかし着実にその時を迎えていた。
「……早い。」
「ボクもにゃぜんぜん襲撃がなくて驚いてるにゃ。これもハンターさんの覇気に恐れ慄いたからに違いにゃいにゃ!ジャッキーも連れてくる必要無いにゃ!」
ギャッ!?
響く抗議の声は置いといて、その道のりは驚くほど何もなかった。陸の襲撃も、海の襲撃も。不気味な程に、凪いでいた……。
「…………。」
(屠龍剣なんて大層な名前付いてんだ。しっかり頑張ってくれよ?)
腰に掛けた刃を見る。塔に出現するモンスターは一律して龍属性が効く。何が出るかわからない状況ならとりあえずこれでと言ったところだ。
「………。」
(あれからうんともすんとも言わない。少なくとも古龍は無し、でいいのか?)
「ボクは此処までにゃ……。お帰り、待ってるにゃ。誰が相手か知らないけど。ハンターさんならけちょんけちょんにゃ!」
「………高いな。」
(本当にな、せめて出現する可能性のある奴くらい教えてくれよ本気で。これ一応調査依頼だけど、絶対調査で済まないやつやん。新大陸よろしく調査対象ブッ調査するだけやん。調査して調和()する奴やん。……塔が高えや(現実逃避))
この地に降り立ってから圧倒的に、天高く、最早天を貫かんと聳え立ち、その存在感を示す異様な人工物。
「………遠いな。」
(これ行くのも登るのもエグくね?……頑張るか…。)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
!!!
かの存在がほんの、僅か一瞬の微睡から……いや、永い永い眠りから目を覚ます。
『時は来たれり』と。
…………………ッ!!!!!
放たれる世界の咆哮。それは高い様でしかし低く、轟く様で、響き渡る。
それは正に歓喜。待ちに待った念願の成就。
それは正に興奮。これより起こる事象に対する。
それは正に………
イマならコレをアラわせる。我だけのエイユウ!あぁ、…なんとなんとアマく、クセになるなヒビきなのだ!!!
その血その肉その全て、全て全てが我のモノ!さぁ!最後の最後まで永遠に!
タイクツなんてさせぬ……絶対に…絶対……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ハンター君
ゲームならカットされてた塔登り。現実だと発狂しそうなくらいに高くて無事発狂。
ルーツ
某有名少女になって住居に散らばってるゴミが金になる事に気付き、ハンターが好むであろう対戦形式に持ち込む為に頑張る。
シナラ
住み着く権利を得る。今回の依頼は村クエ的な感じでソロ限なので泣く泣くお留守番。
ジード
名前の語感に似合わない麗しさ。本人的にはこれに似合うゴリゴリになりたいが、周りからは常々妹の様な扱いを受け、職場な的に女性が少ない為、女装任務に行かされることも。……ダメみたいですね。
補足
ハンター君の武具修繕はギルドがなんとかしてくれた。
さて、戦闘かぁ…。