可能性の獣達が行くキヴォトス珍道中   作:ハイギガ粒子砲

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ミレニアムにはOOがいる。マイスターもいる。

つまりミレニアムはソレスタルビーイングである。QED


一角獣とエンジニア

私は目の前にいる少女の目を見つめる。いったい、誰なのだろうか。

そう思いつつも、聞かれたのは私から。ということで名乗ろうと思ったが、そこで気付いた。

私の名は何だろうと。

偽造と言っていたが、それはつまり、きっと偽名で登録することになっているはず。

横にいるモモイに小声で話しかける。

 

「私の名は、何なの?」

「ユニ、って名乗って大丈夫だよ」

 

どうやら先程から呼ばれたものでいいらしい。

 

「……私は、ユニ」

「今日新しくゲーム開発部に入った新入部員なんです」

「この人は、ネル先輩。C&Cのリーダーをやってる人だよ」

 

C&Cと言うと……確か、ミレニアムに存在するエージェント組織にして、ミレニアム最強の戦闘集団……

私の記憶にあるもので言うと、ECOAS(エコーズ)が最も近いだろうか。

しかし……

 

「エージェント組織というのに、名前が知れ渡っているのは問題じゃないの?」

「……あ?」

「ヒッ!」

「ユニ!?何言ってるの!?」

 

エージェント、ということは人知れず仕事をこなす者、と私は学んでいる。けれど、話を聞く限り知識とは程遠い。

 

「ということは、C&Cという組織は―」

「……」

「ユニさん、もうやめておいた方が……!」

「―とても優秀、ってことなのだろうか」

「……なるほどな、そう思った根拠は?」

「先も言った通り、エージェントは、知れ渡るのは良くないはず。しかしそれでも活動しているということは、それでも許されるほどの人材達。私はそう予測した」

 

別の考えなら、そもそも私のエージェントに対する認識が間違っているか、そのどちらかだ。

私がそう説明すると、ネルは面白いものを見たかのように笑う。

 

「なぜ、笑っているの?」

「大体私の顔を見た奴は怯える奴らだ。そうじゃない時は私の事を知らない世間知らずかミレニアムの外の奴かのどっちかだった。お前もそうかと思ったが……よく分かってんじゃねえか」

 

理由になっていない。そう言おうか悩んだが、楽しそうだったのでやめておいた。

ところで、ここに来た理由が分からない。私はそれを聞くことにした。

 

「息抜きだよ。おいアリス、格ゲーするぞ」

「えぇ、またですか……?」

「なんで嫌そうなんだよ」

 

C&Cとゲーム開発部は仲が良いみたいだ。今のところC&Cは一人しか出会っていないが。

……私は、どうしようか。

そんな風に悩んでいると、それを察知したのか、ミドリがこんな提案をしてきた。

 

「よかったら、ここを案内しましょうか?あと服も合っていないですし、それも買いに」

「……分かった。そうしよう」

 

私はそれに承諾した。

 

 

 

「そういえば、今のところユニさんは別の世界から来た人ですけど、ヘイローがあるんですね」

「……確かに、不思議だ。機械から人になっている時点で不思議だけれど」

 

私とミドリはそんな会話をしながら外を歩いていた。

今は服屋に向かっているそうだ。

ミドリ曰く、急いで着替えないと色々危ない、だそう。

説明されてもよく分からなかったが、私も別の理由で危なく感じている。

これは勘だが、ビームマグナムは装甲を付けていないと、まともに撃てない気がする。一応、持ってはいるが。

……勘、か。まるで人の様だ。

それからしばらくして、目的地へと着いた。

 

「好きなのを買ってもいいですよ。あっ、でもよく分からなかったら、選びますよ」

「……いや、折角なら、自身で考えてみる」

「わかりました。じゃあ、決まったら声を掛けてくださいね」

 

よく分からないが、分からないなりにやってみよう。

そうして色々な服を見てみるが……

うん、面白い。

人は戦うだけでなく、自身の感情の為に装備を、衣服を切り替える……それが、感情を持つものの行動。

 

……これは。

 

私はいくつか手に取り、着替えようとする。が……

 

「更衣室で着替えてください!」

 

とミドリに怒られてしまった。人とは、少し不便だ。

しかしルールはルール、更衣室と呼ばれた部屋で着替える。

薄黄色のパーカーに、内側がオレンジで、外が紺色のジャケットを上から羽織る。

そして黒色のジーンズを履けば……

思ったより、『彼』に近い格好になったと思う。

更衣室から出て、ミドリに見せる。

 

「出来ましたか?……なんというか、男の人、みたいな格好ですね。似合ってますよ」

「そう、ありがとう」

 

その言葉に少し嬉しくなる。

 

「借りていた服は……」

「この袋に入れてください」

「分かった。私が持とう」

 

私は袋を受け取り、服を入れて持つ。

目的の一つは達成した。

 

「次は、どこへ?」

「どこが……って言っても、分かりませんよね。……あ!あそこなら……」

 

 

 

ミドリに連れられてきたのは、エンジニア部の部室だった。

……何故か、天井に穴が開いている。

入ってみると、そこにいたのは紫色の少女だった。

 

「おや、ミドリくん。どうしたんだい?」

「ウタハ先輩、こんにちは。この人、転校生で、それでミレニアムの案内をしてて……」

「なるほど。私はウタハ、エンジニア部でマイスターだ。よろしく」

「ユニ。よろしく」

 

挨拶を交わし、握手をする。

手袋越しだが、硬さを感じる手だと分かる。これまでにも色々なものを作ってきたことが伝わる。

 

「他にも二人いるんだが……今は二人とも用事でいないんだ。それより、いいタイミングで来たね。いいものを見せてあげよう」

 

ウタハはそう言い、私達を連れて歩く。

 

「いいものって、なんですか?」

「二つあるんだけれど、その中の一つが特に面白いものでね。これだ」

「……!これは……」

 

そこにあったのは、三つの盾と六つのガトリングガンだった。

 

「これが……いいもの?」

「ああ、まずはこのガトリング、一見ただのガトリングだが、中身はエネルギー……つまり、ビームを撃てるガトリングなんだ。まあ、これは再現しようとするなら、簡単なんだが。本題はこっち」

「盾……ですか?」

「ああ。少し、解体してみたんだが、面白い装置が組み込まれていた。最初はレーダーか何かと思っていたが……弄って起動してみると、エネルギー膜のようなものが出たんだ。さらに解析してみると、これはビームに対してとても強力な防御性能を発揮することが分かったんだ。仮に名前を付けるとするなら……」

「I、フィールド」

「……今、なんと?」

「これは、Iフィールド。正式にはIフィールド・ビームバリア発生装置」

「君は、これの事を知っているのかい?」

「深くは知らない。けれど、多少は理解しているつもり。これは私が使っていたものだったから」

 

私は語った。私が何者か、これが何かを。

 

「……異世界の存在……」

「信じる?」

「ああ、信じるとも。キヴォトスには無い技術がそれを裏付けている。もしあるなら、私がこんな技術を知らないわけがない」

「それは良かった……そういえば、これはどこから?君の言い方では、まるで拾ってきたみたいだ」

「ああ、拾った……というより、ここに落ちてきたんだ。ほら、天井を見たまえ」

「だから……」

「また実験の失敗かと思ったけど、そういうことだったんですね」

 

また……?建物が破壊されることは多くあるのは駄目なんじゃないのか……?

……まあ、二人とも当たり前のようにしているから、気にすることではないのだろう。

それはともかく、これらはどうしようか。所有者としては、彼女の物になるのだろうか。

そう考えながらシールドやガトリングを見つめていると、ウタハが笑いながら言葉を放つ。

 

「そんなに見つめなくても返すさ。ただ、落ちてきた衝撃でいくつかまだ壊れた状態なんだ。それを直してからでもいいかい?」

「直してくれるの?ありがとう、感謝する」

「その代わりと言ってもなんだが、これを調べても……」

「全然構わない。それで礼になるなら」

「本当に?ありがとう。助かるよ。これがあれば、夢に近づく……ああ、盾とガトリングはどちらも一つだけ直しているから持っていくといい。ガトリングは直し次第ゲーム開発部に送るよ」

 

ウタハに礼を言い、私達はこの場を後にした。

 

 

 

私とミドリは公園と呼ばれる場所で休んでいた。

 

「どうですか?ここは。まだ二つしかまわっていませんけど」

「……歩くだけで、私が感じることのできなかった人の営みを感じた。それだけで、面白いと言える」

「そうですか……それは良かったです。えっと、実は会ってほしい人がいて、さっき連絡してここに来てもらうことになったんです。いいですか?」

「ああ、構わない。どんな人?」

「とっても頼りになる大人で、優しい人です。だからきっとユニさんの力になると思います」

「そう、ありがとう」

 

この子達は、優しい。大人になっていないからだろうか、自分の想いを突き通す力、それも人のための……

また深い思考に入りかけた瞬間、突然大きな爆発音がした。

 

「おらおらぁー!道を開けろぉー!」

「こいつに吹き飛ばされたくなかったら退くんだなぁ!」

 

そう大声が聞こえる方を向くと、そこには―

 

―多くの戦車があった。




一方その頃。
「……うん、美味しいね、このクッキー。ナギサが作ったの?」
「ええ、はい。ではなく……なぜ、空から落ちてきたのですか?というかその恰好は?なぜ名前を?そもそも誰ですか!?」
「私?私は、リ……ううん、私の名前は――」
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