可能性の獣達が行くキヴォトス珍道中 作:ハイギガ粒子砲
本気でぶん殴った訳ではないが、それを受け止め、ぶん投げてくる目の前の少女、委員長ヒナ。
正直もう逃げ出したいが……相手はそれを許してくれないらしい。どんどん撃ってくる。
こちらも負けじと撃ち返すが、これが当たらない。
「なあ!これで手打ちにしないか!?」
「あなたが捕まるなら、それでいいわ、よ!」
軽機関銃でぶん殴ってくるのを何とか避け、反撃しようとするがそれも避けられる。
「クソ、駄目か……!」
「……なかなかやるわね」
切り札を切るか……?しかしただの少女―ただのと言うには強すぎるが―にあれを使うのはなぁ。ニュータイプでは無さそうだし。
ふと足元に何かあるのに気付く。
見てみれば、少し汚れたアタッシュケースだった。
……私の予感が正しければ、これは依頼の品じゃないか?
アル……忘れていったのか……
まあ、ヒナと戦っていれば忘れもするか。
急いでそれを手に取る。
……ん?何か変な音が……まさか!
次の瞬間、大きな爆発が起こった。
「ど、どど、どうしよう!?これを達成できなきゃ今月ピンチなのよ!?」
「でもアルちゃん、そこには風紀委員長がいるんだよ?取りに行ける?」
「あ、アル様のご指示なら、私、人柱でも何でも……!」
「……待って、何かおかしい」
私は皆の注目を集める。
「カヨコ?」
「風紀委員長はたまたま出会ったの?」
「え?えっと、そういえば来るのが分かってたみたいに落ち着いていたわね」
「じゃあ匿名の通報か……もう一つ気になるのは、なんで風紀委員長が来るのか」
「確かに、自分たちで言うのもなんだけど、委員長じゃなくてその配下が来そうだよね。というか、来てた」
「配下って……まあそう言えるかもだけど……だとしても一人で来る?一応、他にもいたにはいたけど……」
人手不足?いや、風紀委員は一般委員だけでも軍隊並みの人数がいる。なのに思いのほか少なかった……委員長の慢心?そんなことするタイプじゃない……
まさか……
「依頼主が、私達を狙った?」
その時、大きな爆発音がした。
あっちは、バンシィが行った方向……!
「どうする、社長?」
「……決まってるわ。行くわよ」
「……げほっげほっ……大丈夫か?」
私は今、ヒナの上に覆いかぶさるように立っていた。
「え、ええ……あなたこそ、大丈夫なの?」
「ああ、私は硬いからな……っとと」
とはいえ、ふらついてしまう。私はデストロイモードを解除する。
爆弾と気づいた時、私は即座にNT-Dを発動し、デストロイモードになって全速力でヒナの元へ飛んでいった。
爆発する瞬間には何とか辿り着き、庇えたが……『アームド・アーマーXC』じゃなければ、反応速度の差で間に合ってなかったかもしれない。
あの爆弾は、まともに受けてはならない。そんな気がした。
「……!?あなたっ……!」
ヒナが狼狽えた声で私の頭を指差す。
「ヘイローが、壊れかかってる……!」
「……噓」
ヘイローは確か、無くなってはならない物じゃ……?睡眠や気絶以外で消えてしまってはそれは死と同義……
つまりあれは、ヘイローを壊す爆弾……?
ならなぜ、至近距離ではないとはいえ、私は生きて……
「デストロイモード……サイコフレームのおかげか?」
「サイコ……フレーム……?」
だとしてもなぜそれが防いでくれたんだ?ヘイローは頭だぞ?
思考は止まらず、加速する。
「訳が分からん……」
「それはこっちのセリフなのだけれど……そうだ、チナツとイオリは!?」
ヒナは通信機を取り出し、誰かと通話し始める。
「アコ、イオリとチナツは無事!?」
『委員長?ええ、二人は通報通り待機していましたが、何事も無かったようなので退却させましたが……まさか、ヒナ委員長の身に何か!?』
「ううん、私は無事……だけど」
「ヒナ、何か来るぞ……!」
私は通信途中のヒナにそう呼びかける。
ずしん、ずしんと何かが近づいてくる音がする。
その音の方向からは、両腕に三門のランチャーらしきものと、肩に一門の重砲が付いた、まるでロボットのような、白い影が……
「モビルスーツ!?」
「ゴリアテ……それが七機……!」
あれはゴリアテというらしい。
モビルスーツと言ったが、大きさは今の私の三倍ほど。モビルスーツには小さすぎる。
とはいえ、一人であれを処理するのは多少きついか……!
「……頼みがあるんだが」
「奇遇ね、私からもあるのだけれど」
「じゃあ、口にする必要もないか……いくぞ」
「ええ」
私は小声でNT-Dと唱え、ヒナは機関銃を構える。
部分からサイコフレームが見えるようになったアームド・アーマーBSを展開し、狙いを定める。
最大までチャージし、一番前にいるゴリアテに向かって―放つ。
それと同時にヒナが乱射しながら、前へ進んでいく。
私が放ったビームはゴリアテを貫通し、その後ろにいたゴリアテにも当たった。
しかし、前にいたゴリアテは倒せたが、もう一つは足を貫いただけでまだ生きているみたいだ。
だが、それをヒナは見逃さず、ハチの巣にしていた。
あと五機……っ、ヤバいな、意識が……短期決戦にするしか。
出来るだけ機動力を上げるため、BSを外す。
BSはガタンと音を出して外れる。
バックパックのブースターを限界まで吹かして近づく。
「ヒナっ、トドメを頼む!」
「分かった!」
BSを外した右腕に付いているビームサーベル……『ビームトンファー』を形成し、ゴリアテの脚部、腕部を斬り、即座にその場を離れる。
そしてヒナがそのゴリアテに銃口を押し付け、一切の慈悲を見せずゴリアテを鉄くずにした。
あと四機、同じようにやれるか……?
やるしかない……!
しかしその時、意識が一瞬飛んでしまった。
「危ない!」
「……ぁ」
一機がすでにこっちを捉えている。
肩の重砲から光が―
―あふれ出る前に一発の弾丸が貫いた。
「バンシィ!大丈夫!?」
「……アル?」
「私達もいるよ!」
アル達……戻って来たのか……
倒れそうになるところを皆に支えられる。
「なんで戻って来た……」
「仲間は見捨てない。それが便利屋68よ」
「……っふ、一生アウトローになれ無さそうだな」
「なんで!?」
「……便利屋68」
ヒナが声を掛けてきたのを聞いたアル達は一瞬強張る。
「……空崎、ヒナ」
「あれ、二体相手にできる?」
「あれって……まさか、ゴリアテ?」
「……一体は私が相手する」
そろそろ気力も戻ってきた。さて、最後の一仕事とするか。
「……あーもう!どうせ折れないんでしょ!危ないと思ったらすぐに退きなさい!いいわね!」
「ああ、分かった!」
私は立って、全速力で一体のゴリアテを目指す。
何発か撃たれるが、知らない。無視だ無視。
この速度なら、私の方が速い。もう理解している。
懐に潜り込み―アームド・アーマーVNを展開し、掴みかかる。
デストロイモードは、パワーも大幅に上がっている。
「う、おおおおお!」
勢いで持ち上げ、その状態でビームトンファーを突き刺す。
これで、終わりだ。
動かなくなったゴリアテをぶん投げ、皆の方を見る。
ゴリアテは全滅、したみたいだ。
ふう……寝るか……
私はそこで意識を手放した。
倒れたバンシィを抱えるようにして、空崎ヒナの方を見る。
誰かと通信……どうせアコだろうけど、してる。
今のうちなら、逃げられるかも……
「逃げるよ、皆」
「え、ええ、そうしましょ……」
「待ちなさい」
どうやら、バレバレだったみたい。
「聞きたいことがある。そうすれば、見逃す」
「……どうする?」
「……場合によるわ」
「あなた達の雇い主は……
アナハイム?」
どうしてそれを……そう思いながらも顔には出さないようにする。
「……悪いけど、そういうことを話すわけにはいかないわ」
「そう……一応、言っておくわ。ここに通報したのも、アナハイムよ」
それだけ言うと、空崎ヒナはどこか去っていった。
……やっぱり。
嫌な予感が止まらない。
まだ、続くのかな……これは……
あの騒動から三日後、私は体調を完全に取り戻した。
ヘイローも治ったし……治るものなのか。まあいい、それより気になることがある。
アナハイム……あの死の商人がなぜここに……
勘だが、多分私と……ヒナを狙って襲って来たんじゃないだろうか……うーん。
それはともかく、ハルカが回収してくれていたBSは大丈夫だが、VNは少し無理をしすぎたせいで調子が……まだ使えるから問題ないか。
だが……
「カヨコー、機械を直せるところといったらどこだー?」
「んー……ただ直すとこなら思いつくんだけど……バンシィのは特殊すぎるし……ミレニアムに行くしかないと思うよ」
「ふふふ……タイミングバッチリね!丁度ミレニアムで仕事があるの!その時に探しましょ」
「アル……そうだな、そうしよう」
こうして、ミレニアムに行くことになったのだった。
一方その頃。
「ユニって姉妹とかいないの?」
「殴りあったり一緒に戦った次女と鳥になった三女がいる」
「どういうことなの?」