仮面ライダーオービット   作:壱肆陸

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task.5 対称性アイアンウィル

 O³コーポレーション ライダー事業部 活動報告

 

 O³コーポレーションとReVTechnicaの臨時業務提携契約中、未確認の進化系「カメレオンロギア」が出現。オービット装着者の千才はそれに対し、欠勤中のエンジニア先堂の協力が必須であると進言。

 

 先堂の捜索に向かった千才がカメレオンロギアに遭遇。そこで発見した先堂、合流したReVTechnicaの「リボルト」と協力し、これを撃破。その際、先堂によってオービット専用バイク型機装「エクステンストライカー」の強化改造が成され、ギア連動とオービットとの出力連結が可能に。

 

 先堂単の欠勤期間の業務に相当するデータ解析、システム・アイテム開発、バットロギアに吸収されたことで破損した『Dr.SMART』の完全修復等の完了報告を出社翌週に受理。よって要指導・教育の上、ライダー事業部への復帰を許可。

 

 今後は古月、千才、帯刀、先堂、以上ライダー事業部4名で業務にあたる。

 

 

__________

 

 

 ───7年前

 

 

「今日の合コン、私と一緒に行かない? 君が来てくれたら盛り上がると思うんだ。嫌なら二人で食事とか……」

 

「ねぇ、今週末空いてないかな。成績上位者でホームパーティーをやろうと思うんだけど。どうだろう? 今後の関係のためにも、是非」

 

「我がサークルに入って……いや君が部長になるべきだ! 著名人とのコネクションも得られるんだ、絶対に損はさせないよ!」

 

 

 国内有数の名門、『應礼(おうらい)大学』。特に経営を学ぶ最高学府として有名なここでなら少しは変わると思ったが、逆だった。利益にがめつい奴らは、その名前(ブランド)の価値にワラワラと寄って集る。

 

 国内トップのIT企業『株式会社 九十九エンタープライズ』の後継者、九十九廉太郎。彼はいずれ天下人となる者として、人を使う術を学ぶためこの大学に来た。

 

 

「グループのメッセージ見てくれたかな。出席未回答だけど、今度のコンパに九十九くんを呼んでくれって皆が……」

 

「行かない。いくつか手の離せないプロジェクトがある」

 

 

 この言葉を言うのも、今週で既に4度目だ。最初こそ何度か付き合ったが、どいつもこいつも媚びるような笑みを顔に貼り付け、打算的な欲望のままへりくだり、すり寄るだけ。動物でも見ているようで愉快ではあるかもしれないが、得られるものは何一つ無かった。

 

 退屈ではあるが不服は無い。これが自然な成り行きだ。

 歴史を作る『王』と、それを支える有象無象。お前はその前者であれと、幼い頃から叩き込まれて来たのだから。他者の端役に甘んじる者の気持ちなんて理解できない。

 

 

「おいなんで行かねーんだよ! 聞いたぜ、今日の店って『銀富士』だろ!? 昔いっぺん行ったことあるんだ。焼き鳥がウメェんだぜ!」

 

「藤城くん……君は呼ばれてないだろ?」

 

「藤城……?」

 

 

 馴れ馴れしく廉太郎の肩を掴み、会話に割り込んできた男は、確か藤城壮大と言ったはずだ。金持ちが多いこの学校で、彼の出自は一般家庭。加えて成績も良くはない。何故ここにいるのかすら分からないような男だった。

 

 だが壮大は、そんなことを全く気にせず会話に食い込み続ける。

 

 

「寂しいこと言うなよ! 俺が行ったら盛り上がるぜ? 一発芸だって新作がなんと5つほどあるしな。なあ廉太郎、お前は行ったことあるか『銀富士』?」

 

「……!? 無い……が」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()、あそこの料理を食えねぇのは損だ! よし決まりだな、俺も行くからお前も来いよ! 金無いなら特別に奢ってやんよ、バイトマスター藤城壮大の財布は絶好調だからな!」

 

 

 有無を言わせぬ勢いと、身分や立場を知らない態度。誰が上で誰が下とか、建前がどうとか、そういうのを全く意にも留めない。己が己であるという自負が溢れたその青年は、廉太郎が初めて目にする人種だった。

 

 

 それが壮大と廉太郎、いずれ『株式会社GFアドバンス』を立ち上げる2人の出会いだった。

 

 

 

「───壮大っ!」

 

 

 それは随分と懐かしい夢だった。それでいて、ずっと浸っていたかった夢でもある。とっくに業務時間の過ぎた『GFアドバンス』のオフィスで、電気も点けず五來廉太郎は縋るように眠っていたのだ。

 

 昨日、廉太郎は何年かぶりに父に会った。九十九エンタープライズの経営者としての将来を捨て、母の旧姓を名乗り、新たな自分として壮大と共に始めたこの会社を、父は捨てろと宣告した。

 

 具体的に言えば、父の充が提案したのは『GFアドバンスの約半数の株式の買い取り』。いわゆる『子会社化』だった。この提案を飲めば最後、GFアドバンスは九十九エンタープライズに徹底的に支配され、会社としての自由意思を失うだろう。

 

 

『俺の夢は“天下一”……そう“世界一”だ。デカい城を持って、誰にもできねぇデカいことで一番になる。理由なんかねぇさ! やりたいだけだし、やれる気がするんだ。お前とならな、廉太郎』

 

 

 大学時代に語ってくれた壮大の夢こそが、GFアドバンスの心臓。誰かの下につくということは、この夢の否定を意味する。だがこのままではGFアドバンスという会社そのものが潰れるだろう。

 

 『夢』か『形』か、その二者択一に答えを出すことなんてできないまま、今に至る。

 

 

「お目覚めですかぁ? いや迷ったんですがね、起こすかどうか。このところお疲れのようでしたし、どうせ暇であれば休んでいた方が有意義かと思いましてぇ」

 

 

 答えを保留した結果、会社に面倒なのが居つくようになった。

 九十九の社員でありGFアドバンスへの投資担当、乙黒要介。起業の条件として充が強制した『九十九からの投資』と共に配置された、事実上の監視役だ。今は廉太郎の返事を受け取るよう充に命じられ、こうして頻繁に彼のもとを訪れている。

 

 

「リフレッシュもされたようですし……そろそろいいですかねぇ? そんな顔をされても困りますぅ。首を縦に振ってくだされば、すぐにでも退散するというのに」

 

「……もう少し、待ってくれ。俺が必ず立て直して……!」

 

「言っておきますが追加融資なんて期待なされぬよう。我が社も資金をドブに捨てるほど暇ではありませんのでぇ。しかし、こんな会社さっさと乗り換えればいいものを、なぁにを躊躇っておられるのか……いやはや分かりません」

 

 

 黒のスーツに七三分け、おまけに黒縁眼鏡の物腰柔らかいベイビーフェイス。絵に描いたビジネスマンのような容貌だが、廉太郎はこの乙黒という男がどうにも嫌いだ。露骨な慇懃無礼に煽るような毒舌、そして冷酷。彼が廉太郎に向ける言葉には、血が通っていない。

 

 

「あの九十九充代表のご子息ともあろう御方が、理解していないわけございませんよねぇ? 『Q-Pay』のアプリギアを失い、社長も失踪。ライダー事業の存続が不可能となった今、この会社はもはや死に体、泥船。しかし幸運にも貴方という才能と技術力という財産には無傷だったから、わざわざ泥船ごと買い取ってあげようと申しているのですよぉ?」

 

 

 そう吐き捨てる乙黒の胸倉に、廉太郎は掴みかかる。その言葉は壮大への侮辱。彼が生きた時間への冒涜だ。しかし、掴みかかったまま言葉の一つも返せない。乙黒が言っていることは隅から隅まで正論でしかないのだから。

 

 

「……つまり貴方の返答は最初から『Yes』以外に無いのです。それを保留したのですから、待たせただけの価値を上乗せして返して貰わなければ困ります。それを理解していただけると」

 

 

 満面の笑みで廉太郎の手を払い、乙黒はそう返した。

 それでも廉太郎が答えを出すことはできない。壮大を信じて付いて来た社員たちの生活を、廉太郎は今背負っている。ここで一人勝手に、夢と心中するわけにはいかないのだ。

 

 そう頭では理解していても、壮大の会社を捨てるだなんて、できるはずがない。

 

 

「では賢明なご判断、お待ちしておりますぅ」

 

 

 煮え切らない廉太郎の様子を察し、乙黒はにこやかに去って行った。

 

 

「壮大……俺は、どうすればいい……?」

 

 

 時間だけが無為に過ぎていく。

 生きる道を示してくれた友は、もういない。

 

 

___________

 

 

 平日の昼前。働くでもなくパソコンに向き合っていた男の家で、チャイムが鳴った。通販を頼んでいた覚えは無いので不信そうに扉を開けると、そこには少し息を荒くしたスーツ姿の若者がいた。

 

 

「……っ、O³コーポレーションのライダー事業部です! こちらの御宅で何か不審なものを見ませんでしたか!?」

 

「はぁ!? なんだアンタ、営業かよ。ウチはそういうの取ってないから!」

 

「いやそういうわけじゃなく……あぁっ!」

 

 

 『ライダー事業部 千才新歩』と書かれた名刺を渡す暇もなく、新歩は男の背後を指さして声を上げる。男が振り返ると、人の頭程度の大きさの『何か』が、パソコンから這い出てゲーム機に張り付いていた。

 

 

「いたーっ!! すいません、失礼します!!」

 

「ちょ、おい! 何してんだアンタ! って俺のゲーム!?」

 

 

 新歩は手早く靴を脱いで部屋に突入。ゲーム機から何かを吸い出しているような『ソレ』に一息で飛びつくが、『ソレ』は漂うように新歩を躱し、そのまま扉から外へと逃げ出してしまう。

 

 慌てて『ソレ』を追う新歩と、家の持ち主の男。外に出た『ソレ』に呼応して、付近の住宅からも同じ形の個体が、合計5体も続々と逃げ出していた。

 

 

「どーなってんだ! 俺の残高がゼロになってるぞ!?」

 

「電子書籍の本棚が空なんだけど!?」

 

「録画したドラマが消えてる……!」

 

 

 各所から聞こえる阿鼻叫喚の声。近頃こういったデータや電力の消失が頻発しており、それを引き起こしているのが、あの口付きキノコのような不気味な浮遊物体。

 

 得られた報告からO³コーポレーションはこれをロギアと判断し、小型進化系『ファンガスロギア』と命名。各地で発生し騒ぎを起こすファンガスを捕獲するため、ライダー事業部は東奔西走していた。

 

 

「また被害が……早くとっ捕まえないと!」

 

《Circuit-Open! Trace-On!》

《ORBIT!》

《Can-View!》

 

Find yourself(あなた自身をみつけよう).》

 

 

 オービットへ変身した新歩は、携帯していたロッドを展開し、虫取り網のようなガジェットを構えた。対ファンガス用に先堂が開発した『O³キャプチャーネット』だ。

 

 オービットは跳躍し、まず一匹を捕獲。電磁ネットに入ったファンガスは圧縮され、オービットの腰元のボックスに有線で転送された。

 

 

[夏休みの光景]

[仕事を舐めているとしか思えない]

 

「作ったの先堂じゃん!?」

 

[掃除機タイプにするには納期無理すぎて]

[すんまそ]

 

 

 虫取り網を振り回すオービットのメット内側に表示される、先堂からのメッセージ。彼の役目は後方支援だから仕方ないが、この仕事は今日で4件目なので余裕そうな先堂に少し不平が漏れてしまう。

 

 その平常心が揺らぎのせいか、オービットは一匹のファンガスを捕らえ損ね、そいつは偶然先堂のいる方角へ。焦ったオービットは目の前の二匹を手早く捕まえると、逃した一匹に追いついてネットを被せた。

 

 

[クソビビった。助かった。死ぬかと思った]

 

「いやごめん、僕としたことが……ん? あああああぁっ!?」

 

 

 しかし、その捕獲で心が緩んだ。残り一匹のファンガスがオービットに忍び寄り、腰の収容ボックスを噛み砕く。

 

 その結果、さっき捕まえたファンガス4体と、直近の現場で捕まえてまだ本社に送ってなかった3体が解放。大ポカ。大惨事である。

 

 オービットの手がスマートガンに伸びるが、駄目だ。ここは住宅街、発砲して一般人や家屋に被害が出たら責任問題となるし、だから発砲許可も下りてない。つまりキャプチャーネットで全部捕まえるしかないわけだが、まず住民たちを避難させるのが先か、7体のうちどれを捕まえるか、逃がしたらそれこそ責任問題だがどうすれば───

 

 

「何やってるお前ら。貸せ」

 

 

 混乱して立ち止まったオービットからキャプチャーネットを取り上げ、自身のボックスに接続。そして、その人物はキャプチャーネットの伸縮機能や家屋の壁面、そして自身の身体能力を巧みに操り、漂う7体のファンガスを瞬く間に捕獲してしまった。

 

 

「あ……す、すいませんっ! 本当に助かりました、帯刀さん……」

 

 

 別の現場の捕獲を済ませ、2人に合流した帯刀の活躍で、その場はなんとか乗り切ることができたのだった。

 

 

 

 

「おいゲームのデータ消えてるんだけど! どういうことだよ弁償しろ! 弁償!!」

 

「や、ですがそれは……ロギアの仕業と言いますか……」

「申し訳ございません。ただいまこちらの騒動に関して、我がO³コーポレーションで対応を進めております。修理や破損データの可能な限りの補填を、被害に遭った端末の販売企業様と連携し全費用本社負担で行っておりますので。ご利用の際はこちらのフォームに必要事項の記入とサインを。端末はこの場で回収させていただきます」

 

「あ、あっそう……」

 

「修復の間、O³コーポレーション製の同型機器の貸し出しを無償で行っております。そちらはロギアに対するプロテクトも備えておりますので、安心してお使いください。もちろん捕獲したロギアからデータの復旧が完了しましたら、すぐにご連絡させていただきます。この度は大変申し訳ございませんでした」

 

 

 憤る住民たちに、帯刀は流れるように滞りの無い対応を示した。しかも表情豊かとはいえないが決して機械的でもなく、客の心に寄り添った態度、そして誠心誠意の謝罪で場の騒ぎをみるみるうちに溶かしていった。

 

 それを見ていた先堂は、「誰???」と言わんばかりに愕然としていた。

 流石は元営業部のエース。あの仏頂面野心丸出しマンが嘘のようである。

 

 

「───さて、お前ら」

 

 

 完全に騒ぎが収まり、住民たちがいなくなったところで、帯刀の顔から笑みが消えた。瞬間、新歩と先堂の肝は氷点下に。これはもう完全にいつもの帯刀だった。

 

 

「変身しといてなんだあの体たらくは。住民への対応が雑……なのはまぁ一旦いいとして、捕獲の動きに無駄が多過ぎる。判断も遅いし優先順位も滅茶苦茶だ。すぐにパニックになる癖が直ってない。あと先堂は何を丸腰で呆けてるんだ、武器くらい出せバカタレ。死にたくなければ最低限の護身くらい心得ろ。千才はお前のSPじゃないんだぞ、分かってるのか?」

 

 

 正論の絨毯爆撃。新歩は返す言葉も無い。

 一方、先堂の方は馬の耳に念仏というか、このくらいで凹むようであれば無断欠勤なんてしていないわけで、不満そうな顔をして帯刀からさらに説教を喰らっていた。

 

 

「分かったら切り替えろ。『Geo Senter』に登録されたファンガス出現予測地点はまだ残ってる。さっさと行くぞ」

 

[もうよくない? 取られるのは電子マネーとデータ上の製品くらいだし。下手に手を出すとさっきみたいに文句言われるし]

 

「先堂の言い分はアレですけど……極端に小型なロギアの場合、別の場所に本体がいる可能性が高い……って講習で習いました。本体を見つけて叩いた方が解決になるんじゃないですか?」

 

「かと言って眼前の被害を見過すと、世論は一気に俺たちの敵になるぞ。ファンガスが直に人間を襲いださないとも言い切れない。さっきは一般人の手前あぁ言ったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()だからな」

 

 

 ロギアに吸収されたデータを復元する方法は確立されていないどころか、業界ではほとんど『不可能』であるとされている。帯刀が生体データの奪われた左腕をすぐに義手にした所以がこれだ。ロギアに意識のデータを奪われた者、または肉体ごと吸収されてしまった者は、事実上の死人となっているのが現状となっている。

 

 

「足りないのは経験───と言いたいが、この仕事はお前の成熟を待ってくれないのが常だ。失敗すれば民間人や会社に被害が……なにより最悪お前ら自身が死ぬことになる。忘れんなよ」

 

「……はい」

 

[忘れんなって言われても]

 

「なんだ文句あるのか先堂。大体なァ、文面だろうがせめて敬語くらい……! おい聞け。まずは手を止めろ!」

 

 

 『動きの最適化』は新歩の最大の課題だ。検索能力を活かし、オービットのスペックや敵の情報から戦闘のプランを立てるのが基本戦術だが、実際の現場には不確定要素が多過ぎて思ったようにいかない。それら全てに対処しようとすると、今度はさっきのようにボロが出てしまうのだ。

 

 最近、強力な進化系ロギアが立て続けに発生している。今の新歩では、いつか状況に置いて行かれてしまうかもしれない。

 

 現実(ロギア)は新歩の成長を待ってくれない。だとしたら、考えるべきは───

 

 

「……ねぇ先堂。この間エクステンストライカーで『Geo Senter』使ったよね。前から気になってたんだけど、もしかして『オービット』って……」

 

[帯刀先輩、千才、ヤバい]

[これ見て]

 

 

 帯刀の説教を聞き流しながらファンガスのデータ解析を行っていた先堂が、顔色を変えてPC画面を2人に見せた。とはいえコードがビッシリの画面では2人じゃ何が何だか分からないため、狼狽しながらも先堂が言葉、もとい文章に換言する。

 

 

[Q-Pay]

 

「何?」

 

[このプログラムで出力される機能が、前に見たギルダーのQ-Payに近い。というか、多分同じ]

 

「『ギルダー』の『Q-Pay』って……GFアドバンスさんの!? そんな! だって……なんで『Q-Pay』のデータがロギアに……!?」

 

「そういえば、GFアドバンスは最近動きを耳にしない。シープの1件はともかく、カメレオンが出現した区域はGFアドバンスの近辺だったが、ギルダーは現れなかった。何かあったと見るのが妥当か……」

 

 

 GFアドバンスの『ギルダー』。社長の藤城壮大が変身し、CTOの五來廉太郎がサポートする、新歩が初めて会った他社のウェブライダー。互いに信頼し合い、支え合うあの関係に新歩は憧れたのだ。

 

 そんな心から尊敬する2人に、一体何があったというのか。

 

 

「言っておくが千才、今はファンガス駆除が優先だ。他社の事情を追求するのは俺たちの仕事じゃない」

 

「……はい。でも、GFアドバンスさんは……!」

 

「だろうな。わかった、余裕ができたらアポを取って勝手に行け。ただ……()()()()()()()()()。それだけは覚えておけよ、特に……お前はな」

 

 

 嫌な胸騒ぎだ。今すぐに確かめて、置き所を見つけなければいけない感情が、新歩の中で渦を巻いていた。

 

__________

 

 

 新歩が行動を起こしたのは、その翌日だった。

 まず結論から言って、GFアドバンスにアポは取れなかった。電話やメールの対応は、藤城も五來もいないの一点張りで、GFアドバンスの内情は全く探れない。まるで籠城の構えだ。

 

 しかし、それでは新歩の不安が晴れない。居ても立っても居られなくなり、アポが取れないままGFアドバンス本社にまで来てしまった。そう話が甘くないのは分かっている。ただ新歩は安心したいのだ。一目あの2人の姿を見る事ができれば、せめてそれだけでもという思いだった。

 

 

「ネタは上がってるのよ。早く社長出しなさい、ReVTechnicaの廿九日詩が来てるって言えば伝わるから」

 

「で、ですから、ただいま上の者は不在ですのでお引き取りを……!」

 

「ふーん……じゃあいなくていいからウェブライダーシステムだけ見せてもらうわ。あ、こういう時は土産がいるって聞いたから、どうぞ。ウチからプログラム提供してる工場のカップ麺1箱。で、『Q-Pay』のアプリギアはどこ?」

 

 

 GFアドバンスの受付で、すごく見覚えのある人が、すごく見覚えのある大暴れをしていた。困り果てた受付の女性が、偶然居合わせた新歩にSOSの眼差しを送ってきた。困る。だが顔見知りだから逃げるわけにもいかない。

 

 

「すいません、何やってるんですか詩さん……」

 

「あ、アラタじゃない。ちょうどいいところに。ほらO³のウェブライダーよ、雑誌にも出てるヒーローオタクの有名人。だから通してちょうだい」

 

「いやどういう理屈ですか!? すいません怪しいけど悪い人じゃないんです! ちょっとやり方が強引というか、あ、いや僕は……!」

 

 

 詩の親しげな態度で仲間だと思われたのか、新歩が事情を話す前に詩もろとも会社の外につまみ出されてしまった。

 

 

「アラタがお土産持ってこないから」

 

「そういう問題だったんですかね……?」

 

 

 珈琲に砂糖を入れながら詩が机に置いたカップ麺入りの段ボールを、新歩は珈琲を飲む手を止めて軽く押し返す。

 

 GFアドバンスを追い出された詩と新歩は、一先ず近くのカフェに入って腰を落ち着けていた。一見騒がしい偶然の再会のようだったが、詩の言動から目的は新歩と同じだと察せられる。

 

 

「あのキノコのロギアのことでしょ。あの子が気付かないはずないしね。どう? その後元気にしてる?」

 

「先堂なら、元気に見えます。よく怒られてはいますけど。でも、ってことはやっぱり、ファンガスロギアは『Q-Pay』の……」

 

「えぇ間違いないわ。プログラムはロギアのDNA、それが一致しておいて無縁は通らない。あの進化系は『Q-Pay』を取り込んでいる、いや……『Q-Pay』から産まれたと考えるべきでしょうね」

 

 

 ロギアがアプリギアを取り込んだところで、Guffのデータ同士は悪い意味で干渉しあうもので、機能を保ったまま融合しようとすればどちらかが破壊されてしまう。ウェブライダーがGuff内部でアプリギアを使えないのと同じ理屈だ。

 

 以前、バットロギアが『Dr.SMART』のギアを取り込んだ際は破壊を免れていたが、それは吸収直後にギアを取り出せたからに過ぎない。

 

 つまりアプリギア由来のロギアがいるとすれば、アプリギアのプログラムそのものがロギア化した場合しか在り得ない。前例こそ無いが、詩の考察は素早く的確なものだった。しかし新歩はどうしても解せない。

 

 

「でもどうして『Q-Pay』が……? 何かの間違いにしたって、早く誤解を解くべきだ。警察が気付いて世間に公表されるのも時間の問題ですし、そんな時にあの藤城さんが黙ってるだけなんて……おかしいですよ。どうして……!」

 

「……そう。アラタは会ったことあるのね、ギルダー……藤城壮大と。私は素顔で会うことは無かったけど、人との間に壁を作らない、気持ちのいい人物だった。経営者としても優れていたんだと思うわ」

 

 

 そう藤城を語る詩の言い方が気になった。

 淡々と、冷静に、しかし確かに悲しそうに、()()()()()()

 

 

「アプリギアの喪失と、不自然な雲隠れ。今こうしてアラタと話して、確信した」

 

 

 千才新歩は聡明だ。その可能性に気付かなかったはずがない。

 

 彼が見ないふりをしていた解答(こたえ)を、詩は突き付けた。

 

 

「藤城壮大は既に死亡している可能性が極めて高い。これが私の見解よ」

 

 

 その言葉を掻き消せない打撃音と共に、砂糖の入っていない珈琲の液面が、カップから零れないくらいに揺れる。集まった客の視線が散るまで新歩は何も言えず、叩きつけた拳を机から離した。否定する言葉が、何も見つからない。

 

 死んだ? あの人が? ついこの間に会ったばかりなのに。あの声も、握手を交わした感触も、まだはっきりと覚えているのに。新歩が何も知らず、別の仕事に熱中しているうちに、あの人が死んでいたと?

 

 

「───僕は……何を……っ!」

 

「落ち着いてアラタ。悼むまでに留めなさい。それは私たちの領分じゃない」

 

「でも……!! 『Q-Pay』がロギア化しているなら、藤城さんはロギアに殺されて『Q-Pay』を奪われたんだ! それかファンガスに殺された……! 僕が……僕がそこにいれば……!」

 

「無意味よ、そんな仮定は。私たちに出来ることはファンガス発生原因の究明と、本体の撃破のみ。これ以上の犠牲者を出さないための次善を尽くすしかない」

 

 

 正しいのは詩で、新歩の義憤は聞くに堪えない戯言で、こんなものは悲しみを誤魔化すための欺瞞だ。ライダー事業は元よりそういう仕事で、ましてやこれは他社の仕事の結果。誰がどこでいつ死んだところで不思議ではないし、文句を言える筋合いは無い。

 

 『感情で仕事をするな』。この言葉の意味だって分かっている。新歩個人の気持ちが現状を変えることは無く、この仕事の有り様にもなんら影響を及ぼさない。この感傷は、新歩を苦しめる以外の意味を持たない。

 

 それでも、この感情を収めるべきだと分かっていたとしても、

 

 

「……納得できない。受け入れられるわけがないっ!! 僕は……機械じゃない! この痛みを忘れて生きられない……! 僕は……っ!」

 

 

 新歩は震える声を抑えながら店を飛び出した。詩の前に残されたのは飲みかけの珈琲と、クシャクシャになったそのお代の1000円札だけ。

 

 

「真面目ね……こんな時くらい、自分のために泣いたっていいのに」

 

 

 新歩は分かっている。ここは社会で、自分はもう大人だ。

 だから一人で泣くのだ。その涙を誰にも見せないように、慟哭を喉の奥で殺して。

 

 

___________

 

 

「五來さん。ReVTechnicaの廿九日詩さんとO³コーポレーションの千才新歩さんが……」

 

「わかってる……少し、考えさせてくれ……!」

 

 

 受付の従業員の連絡を受けるまでも無く、フロントで起こっていた騒動は廉太郎も把握していた。こうなるのは時間の問題だというのは自明だった。いま世間を騒がせている小型ロギアの大量発生、本来ならGFアドバンスも動くべき事態で不動というのは、怪しまれても仕方のない状況なのだから。

 

 疑いを晴らそうにも、『Q-Pay』の喪失と藤城壮大の失踪を世間に公表することはできない。その行為はGFアドバンスは虫の息だと自白するも同然で、そうなればすぐにでも他の企業に攻め滅ぼされてしまうだろう。

 

 社員もこの状況を不安がっている。このままでは内部からもGFアドバンスは崩れるかもしれない。今は誰にも、弱さを見せるわけにはいかない。

 

 

「───失礼しますぅ。状況は如何です? 何やら社内の雰囲気が悪そうにお見受けしますが?」

 

 

 不安と不幸の渦中では、いつだって状況は最悪に向かって舵が切られる。いま一番会いたくない人物───乙黒が来てしまった。

 

 

「見計らってでもいたのか……!?」

 

「なんのことやら……自意識過剰でございますよぉ。こんな会社を見張るくらいなら家族との時間を増やしたいものですがね。今日は報告と提案に参りました。グッドタイミングだったのは、まぁ否定しませんけどねぇ」

 

 

 乙黒がタブレットで報告書と解析データを表示する。内容は大量発生中のロギア───ファンガスに関するもの。そのデータもギルダーのエンジニアだった廉太郎の理解の範疇にあったが、概要は到底易々と受け入れられるものではなかった。

 

 

「ふざけろ。『Q-Pay』のデータがロギアになっている……だと!?」

 

「えぇ間違いなく。Guff内部で正体不明の存在に奪われたという『Q-Pay』が、ロギアとなって被害を生んでいる。これは責任問題でしょう。このことが明るみに出ればGFアドバンスは……ドボン、でしょうねぇ」

 

 

 その命を奪っただけでは飽き足らず、夢の象徴を害意として蔓延させる。どこまで壮大を侮辱すれば気が済むのだ。臓物が煮えくり返る程の怒りを覚えながらも、同時に廉太郎は確かな恐怖を感じていた。

 

 さっき現れた2人。天才エンジニア廿九日詩と、O³の新人ライダー千才新歩。どちらもよく知っているが恐ろしいほど優秀と記憶している。あの2人は間違いなく、この事実に気付いている。だからここに現れたのだ。

 

 

(もしO³コーポレーションとReVTechnicaが、この事実を以て攻撃を仕掛けてきたら……!)

 

 

 もはやGFアドバンスの余命は幾ばくも無い。

 廉太郎がそのことを理解したと見た乙黒は、口元に嘲るような笑みを浮かべて、別の資料を画面に提示した。

 

 

「我が九十九エンタープライズで、『サイファイナックルウォッチ』を警察組織にも提供するという計画が進んでいるのはご存知の通りで」

 

 

 それは世間的には最近知られるようになったが、内部ではかなり前から進んでいた話。元々、ロギアに対抗する戦力は警察が持つべきという声が強く、その最たる例であるが技術的に困難だったウェブライダーの配備に、九十九エンタープライズが真っ先に手を挙げたのだ。

 

 そこで装備を量産するためのデータ収集として、全国幾つかの企業に『サイファイナックルウォッチ』を売りつけた。GFアドバンスもその一つだ。要は自分の息子の会社を実験サンプルとして利用していたということであり、不本意ながら廉太郎もそれを了承していた。

 

 

「その計画が実行に移せる段階に来たとのことです。実装予定となるウェブライダー『ファウスト』は、アプリギアとの連動及びGuffとの接続機能をオミットした量産型ウェブライダー『九十九トルーパー』を指揮し、数の力でロギアを打倒する新形式の兵器となるとか」

 

 

 資料にある『ファウスト』の姿はまさにギルダーのコピーのようで、それもまた廉太郎への当てつけのつもりなのだろうか。しかし、廉太郎は知っている。父はこんなつまらない事のために行動を起こさない。

 

 

「既に『ファウスト』の資格者は選定済み、間もなく部隊の編制も行われるようで。ここから九十九代表からの伝言でございます。ギルダーをバックアップした実績より、貴方を九十九エンタープライズに迎え入れ、この『ファウスト』のエンジニアの座に就いてもらう……と」

 

「馬鹿な……! 俺に……この偽物のサポートをしろというのか!? ふざけるなッ! 俺にだって矜持はある……俺は『ギルダー』のエンジニアだ!」

 

「全く……空の神輿を担ぐのになぁんの意味がありましょうか」

 

「貴様ッ……!」

 

「どこぞの凡人の下に付いて何がプライドなのです? 九十九エンタープライズの後継者として人の上に立つことだけが誉れであると教えたと、御父上からお聞きしていたのですが。いつからそんなつまらない人間に成り下がってしまったのか」

 

 

 そうだった。乙黒も、父も、考えているのは実利と名声のことばかり。意思も理想も無く事務的に結果だけを求める、あの会社はそういう奴らの巣窟だ。

 

 人を動かし、人の上に付くとはそういう事ではないと、廉太郎は壮大に教わった。ただ、奴らはそんなものはただの『思い出』であると吐き捨て、悪意もなく踏みつける。この怒りを尊重することすら無い。

 

 何を言ったところで無駄だ。それがこの現状を変えることは無い。

 

 

「お前たちは人間じゃない……」

 

「恐縮です。現在騒ぎになっているロギア大量発生に関しても、警察は試験的に『ファウスト』を投入することを決定したようです。出動の際に同行して頂けましたら、それを以て買収とエンジニア雇用の契約は成立としますので、ご検討の程をよろしくお願いいたしますぅ」

 

 

 もはや逃げ場など無いのは誰の目からも明らかだった。壮大の会社と社員たちを守るには自由を捨てて九十九エンタープライズの傘下になり、周囲の企業の侵略から隠れるしかない。

 

 壮大が生きた時間が、その意味もろとも崩れ去っていく。それをただ感じながら、廉太郎は『ファウスト』の資料に手を伸ばすことしかできなかった。

 

 

____________

 

 

 それから数日後。帯刀の予想通り、ファンガスによる被害は深刻さを増した。

 被害の規模と範囲は共に拡大し、ファンガスはデータの強奪のみならず破壊活動も行うほど狂暴化し、遂には各地で怪我人さえも出るようになった。

 

 O³コーポレーションとReVTechnicaを中心に、周辺区域の企業のウェブライダーもファンガスの対処に追われ、騒ぎは都内全域にまで拡大。まさに蔓延するウイルスの如く、ファンガスは縄張りを着実に広げていた。

 

 ここで死傷者をゼロに出来るかどうかで、ウェブライダーの存在意義が問われる。そんな中、ライダー事業部たちも後手の対応に甘えるだけでは終われない。捕獲した複数体のファンガスのデータから本体の居場所を特定したO³コーポレーションは、事態収拾のためその座標をReVTechnicaと共有。『オービット』と『リボルト』が共にファンガス本体討伐へと向かった。

 

 

「あれ以来ね。気持ちは落ち着いた?」

 

「……そうですね。あれからすぐにファンガスの被害が大きくなって、その対応に何度も向かって、その間は忙しさに甘えることができました。でも僕は……やっぱり辛いです。あの人がもうこの世にいないことが、受け入れられない」

 

 

 現場に到着し、詩と新歩は言葉を交わす。帯刀も先堂も別の現場のファンガスに対処しており、ReVTechnicaも同じような状況らしく、この場にいるのは2人だけ。誰の支えもなく、傷を負った心のまま新歩は独りでここに来たということだ。

 

 

「アラタの言う通り、私たちは不合理な人間……心を無視して仕事はできない。辛いなら休むべき、ナツキだってそう言ったはずよ。無理しないでここは私に任せて」

 

「できませんよ、そんなの。詩さんを信用してないわけじゃない。でも……それでも藤城さんは死んでしまった。もし、僕に何かできたのに、詩さんまで死なせてしまったら……! 僕はきっともう生きられない」

 

 

 そこは数年は使われていないであろう廃倉庫だった。床から柱と壁面を伝って菌糸がビッシリと張り巡らされており、大気中を無数の小ファンガスが浮遊する。その中心にいるのは、紅白色のキノコの笠を頭から身体にまで被った毒々しい人型ロギア。サイズはちょうど人間と同程度であり、あれが本体と見て間違いないだろう。

 

 

「貴方はウェブライダーに向いてない。人の命が関わる仕事をするには、優しすぎる」

 

「そうかもしれません……僕はきっと、皆さんより弱い。誰の犠牲も耐えられない。だから戦うんです。もう誰も死なせないために、アイツを倒す! それが僕の仕事です!」

 

 

 この決意に口を出すのは野暮というものだ。詩は心配を胸の内に仕舞い、アプリギアとReVサイファイデバイスを構える。新歩も同じようにし、ギアをデバイスにセット。

 

 

《Sci-fi-Driver Boot up》

 

 

 召喚された銃型の『ReVサイファイドライバー』と、ベルト型の『O³サイファイドライバー』にそれぞれデバイスを同時に装填。波のように迫り来る小ファンガスの大群を前に、詩は撃鉄の歯車に左手を置き、新歩は握った左手と三本指を立てた左手を交差させた。

 

 

「変身!」

「変身」

 

《Circuit-Open! Trace-On!》

 

《ORBIT!》

《Can-View!》

 

《REVOLT!》

《Bubble Talk!》

 

Find yourself(あなた自身をみつけよう).》

Enjoy, popping life(弾ける毎日を楽しもう).》

 

 

 光の板を通過し変身したオービットとリボルトが、小ファンガスの群れに潜り本体を目指す。もう捕獲する必要もないから片っ端から殴り潰し、撃ち抜き、薙ぎ払う。しかし、倒したところで分身体(コピー)は壁面より生成され、生れ落ちてすぐウェブライダーを狙う。

 

 

「キリがない……!」

 

 

 就任前の戦闘シミュレーションからも分かっていたが、新歩は帯刀とは違って多数の敵を相手するのが苦手だ。そもそもオービットは範囲攻撃の手段に乏しい。

 

 

「照準がブレるしスタンプの機能が上手く発動しない。室内を満たすこの胞子のような粉体……感知と伝達を阻害するチャフになってるわ。内部データを消費し任意の機能を発現させる『Q-Pay』の能力、厄介ね」

 

 

 一方でリボルトも苦戦を強いられている。『バブルバース』に引き込もうにも本体ごとでなければ意味が無い。小ファンガスたちはそれをさせないように、リボルトを重点的に足止めしているようだった。

 

 発見されにくいこの場所に加え、倉庫という広い閉鎖空間が戦闘においてかなり痛手となっている。そして、まるでこちらの手の内を知っているようなファンガスの挙動。何かの意志を感じるのが、どうにも胸騒ぎを呼ぶ。

 

 

「っ……エクステンストライカーを使います! カメレオンを倒した最大出力で一気に本体まで駆け抜ける!」

 

「賭けだけど、試す価値はありそうね。起動までの時間は私が稼ぐわ」

 

 

 待機させたエクステンストライカーを呼び戻すため転進するオービットの足が、出口付近で止まった。その倉庫の入り口を塞ぐように現れたのは、武装した人間の隊列。

 

 

「撃て」

 

 

 先頭の男の指示で、隊員たちが対ロギア弾を発射。オービットを追う小ファンガスが一斉に破裂した。

 

 今回のファンガスロギア討伐において、O³コーポレーションはReVTechnicaだけでなく警察にも情報共有を行い協力を要請していた。それを受けての警察からの援軍が到着したのだ。直近の強力な『個』の進化系なら話は違うが、今のような状況だとこの援軍は非常に有難い。

 

 

「助かります! O³コーポレーションの『オービット』です。あの本体を倒す算段があるので、少しの間『リボルト』の援護を……」

 

 

 新歩はそこで違和感を覚えた。隊長と思しき先頭の男性が、オービットを見ていない。男が気にしているのは敵の状況と、後ろにいるスーツ姿のビジネスマン───乙黒だけだった。

 

 

「乙黒さん。本当に来るんですかね? その『ファウスト』専属のエンジニア、五來というのは。そういう契約なのは分かっていますが、必要だとは思いませんね。我々はプロです、素人のバックアップなど邪魔なだけですよ」

 

「まぁそう言わず。彼の優秀さは保証しますので。この期に及んでここに来ないほど愚かでも無いと思いますしねぇ」

 

 

 男がケースから取り出したのは、藤城壮大が使っていた『サイファイナックルウォッチ』と新歩が見たことの無いアプリギア。

 

 

(前に先堂から聞いた……九十九が警察に装備提供するって話。それで五來さんがエンジニアになるんだ。よかった、五來さんは無事だったんだ……)

 

 

 九十九は元々GFアドバンスのスポンサーで、それ以上の意味は無いのだろう。でも、今このタイミングでこうなってしまうことが、少し新歩には辛かった。まるで彼が死んだところで代わりはいると言われているようで。この社会の冷酷さを、突き付けられているようで。

 

 警察とリボルトがファンガスを相手取り、オービットの足が止まってしまったその時、部隊の影から掻き分けるように彼は現れた。

 

 

「───五來さん……?」

 

 

__________

 

 

 少しだけ前。O³コーポレーションから提供されたファンガスロギア本体の座標を廉太郎も受け取り、この一戦が『ファウスト』実装試験の場となるという決定も聞いた。そしてエンジニアとして出動を命じられたのだ。

 

 この命令に応じれば最後、GFアドバンスは九十九エンタープライズの所有物になるも同義だ。しかし応じなければいずれ朽ちるか、踏みつぶされる。飼い殺されてでも生きる選択肢を、廉太郎は経営者として選ばなければならない。

 

 

「悪い、壮大……俺は、お前に遺されたモノを……何一つ、守れなかった……!」

 

 

 この会社は壮大の夢そのものだ。追い詰められ、失う寸前になって、この場所で彼と交わした言葉を走馬灯のように思い出してしまう。

 

 

『……いやあ、意外と叶うもんなんだな。夢って』

 

『まだ叶ってない。こんな小屋のようなオフィスを建てたくらいで満足してどうする』

 

『かーっ! これだから金持ちはよぉ! 違うんだよ、こうやって形になって目の前に現れるとさ……なんか実感するもんなんだよ。あぁ俺たちはちゃんと近付いてる、ってな』

 

『当然だろう。俺たちはお前の目標を達成できるよう計画を立て、それを忠実になぞっている。学生が対象のビジネスコンテストで起業の資金と実績を確保し、注目と信用を得た。父の条件で九十九から出資を受けざるを得なかったのが俺としては不本意だが、計画の進度としては完璧だ。不思議なことは何もない』

 

 

 そうやって根拠と結果を伝えたら、壮大は指を振るいつもの古臭いジェスチャーで廉太郎を諭したのを覚えている。

 

 

『そうじゃねぇ。俺一人だったら絶対ここまで来れなかったって話だ。お前がついてきてくれたから俺たちの城はここにある。だから今、急に思ったんだよ。お前みたいなすげぇ奴には、もっといるべき場所があるんじゃねぇのか……って』

 

 

 あれは壮大にしては珍しい弱音だった。普段は勢い任せのような生き方をしている癖に、この男はそんな事も言うのかと驚いた記憶がある。それと同時に、壮大も決して超人ではないと、廉太郎が知った瞬間でもあった。

 

 

『……大きく出たな。俺抜きでこの先やっていけるつもりか? 應礼(おうらい)に受かるだけの頭はあるが、専門知識はからきしで、戦略眼どころか計画性すらロクに無い。あと麻雀も弱い。おまけに拾った物を食う程の危機管理能力の低さの、その辺の飼い犬の方がまだ利口に見えるお前が?』

 

『おい言い過ぎだ馬鹿野郎』

 

『見くびるなよ、壮大。いるべき場所だと? 俺たちは親父の九十九なんて超えて世界一になる会社だ、これ以上の看板があるか。幸運だと思うのなら会社のために俺の命を使い果たせ。それが俺の選んだ道だ』

 

 

「違う。幸運だったのは……救われていたのは俺の方だ。お前がいたから俺は……!」

 

 

 誰かの上に立つのではなく、誰かと並んで歩きたい。父の教育で覆い隠されていたそんな自分自身に、壮大は気付かせてくれた。

 

 他人を上にも下にも見ないからこそ、人の本質を見抜くことに長け、人と手を繋ぐ才能を持っていた。こんな男は他にいない。壮大こそが人の上に立ち、仲間を導く『王』の器だった。そんな彼の力になりたかった。そのためなら、命だって惜しくなかったのに。

 

 

「そうだ。あの時、死ぬべきだったとしたらお前じゃない。俺が───」

 

『そんなこと言うなよ廉太郎。命を使うとか、らしくもねぇ』

 

 

 その時、そんな壮大の声が聞こえた気がした。廉太郎は思い出した。そういえばあの会話の続きで、壮大はこんなことを言っていた。

 

 

『俺はお前の言う通り馬鹿だ。器用でもない。おまけに夢のために頑張るのが楽しくてしょうがない! だからきっと突っ走っちまう。俺だけじゃ駄目なんだ。俺が精一杯この会社を引っ張るからさ、会社を守るのはお前に任せる。どんな時だろうが……一緒に戦おうぜ、廉太郎』

 

 

「そうか……そうだったな。だからお前は、最期に謝ったのか。馬鹿野郎……!」

 

 

 悩みに悩んで、迷って、張り詰めて、そんな大事な約束すら忘れるところだった。

 

 廉太郎は砕けそうだった心と共に、重い体を持ち上げ、立ち上がる。

 例えこの先に続くのが奈落であろうと、地獄であろうと構わない。遺された『意志』と『力』を携え、戦うべき場所へ。

 

 

__________

 

 

「───五來さん?」

 

「ようやくご決断なされたようですね。泥船を捨て、利益と市場価値に基づき行動する。それこそ我が九十九エンタープライズの後継者のあるべき御姿……」

 

「黙れ。邪魔だ」

 

 

 皮肉交じりに何かを言っている乙黒を、心底どうでもいいと言うように、廉太郎は片手で退かして真っ直ぐ進んだ。新歩の目にはその姿が、激しい暴風の中を必死に進んでいるように見えた。

 

 エンジニアが到着したのを見て、戦闘準備に入ろうとする男。彼が警察から選ばれた『ファウスト』の資格者なのだろう。廉太郎たち会社員を見下す態度を隠そうともしない。それが、どうしても、()()()()()()

 

 廉太郎は余裕ぶった様子の男を乱暴に殴り倒し、その手からアプリギアを奪い取った。

 

 

「ッ……!? 貴様、何を!」

 

「乙黒。GFアドバンス死なせないため、買収と『ファウスト』の契約を飲む。だがこれは屈服じゃない」

 

 

 廉太郎は言葉を返さず、一方的に己の決心を語る。どうせ通じるはずがないのだ。どいつもこいつも壮大は死んだと、自分たちの夢を見下し唾を吐く。廉太郎は心のどこかでそれを受け入れていた。このクソみたいな現状に、あろうことか適応しようとしていた。

 

 そうじゃないはずだ。本当は頭に来ていたんだ、自分を囲う誰も彼もに。壮大もきっと恥も外聞もなく怒っていたはずなんだ。彼の心はまだ自分の中に生きていたのに、勝手に死んだと決めつけていた。

 

 

「親父に伝えろ、俺たちの会社はお前らの好きにはさせない。九十九にも、O³にも、ReVにも屈するものか。どんな状況に置かれようが、どんな犠牲を払おうが、俺は戦ってやる」

 

 

 あの日誓った約束はまだ死んでない。廉太郎はその左腕に、壮大が遺した『サイファイナックルウォッチ』を巻き付け、奪い取ったセキュリティアプリのギア『ガーディアン365』を装填した。

 

 

《Sci-fi-Knuckle-Watch Boot up》

《Ready for Access… Ready for Access…》

 

 

 目の前には『Q-Pay』の尊厳を堕としたファンガスと、GFアドバンスを無価値だと断じた乙黒。そしてどこぞのぽっと出の資格者もどきに、会社を脅かすO³とReVのウェブライダー。

 

 その全てに怒りを以て廉太郎は見せつける。死してなお折れることのない、藤城壮大の意志を。

 

 

「変身……!」

 

 

《Circuit-Open! Trace-On!》

《FAUST!》

《GUARDIAN365!》

 

Deffence of the best offense(防御こそ最大の攻撃).》

 

 

 四方から迫る光の板を通り抜け、顕現するその姿は緑に染め直されたギルダーそのもの。だがそこにある意味はコピーではなく、彼の意志を継ぐという覚悟。その右腕の盾は、彼の意志を護り抜くという決意の証。

 

 

 ウェブライダー『ファウスト』ガーディアンウェア

 所属:『九十九エンタープライズ』

 変身者:技術責任者 五來廉太郎

 

 

「現状を打破する……!」

 

 

 小ファンガスに応戦するリボルトから横取りするように、ファウストは敵に左拳を叩きつけた。インパクトの瞬間にナックルウォッチの機能が作動し、小ファンガスは粉々に破裂。迫る追撃は盾で防御し、次々と敵を叩き潰していく。

 

 しかし、ファウストがここに投入されたのは軍隊を率いると言う特性ゆえである。資格を強奪し使える兵のいないファウストでは、誰の目から見ても手数が足りていなかった。

 

 

「プロテクション365、展開」

 

 

 データ収集のための戦闘を完了し、ファウストは左腕の盾『プロテクション365』の機能を解放した。ファウストをドーム状の薄い防壁が覆い、そのまま本体に向けて走り出す。

 

 当然、無尽蔵に生まれる小ファンガスはファウストを止めようと四方八方から襲い掛かる。だが、小ファンガスがファウストに接近したその瞬間、突如空中に出現した小型のバリアがそれら全ての進行を阻んだ。

 

 

「雑魚に用は無い。そこを通せ」

 

 

 ファウストの『プロテクション365』はロギアから収集したデータより構築した最適な防御プロトコルをバリアとして出力する機能を持ち、細かく分割することで同時に最大365のバリアを展開することができる。

 

 ファンガスには敵の接近で瞬間的に出現&消滅し、自動防御を行う小型バリア+散布された胞子だけを通さない大型バリアで対応。これで小ファンガスを気にする必要は無くなった。

 

 

「随分と……好き放題やってくれたな。お前の命、返して貰うぞ」

 

 

 遂にファウストは本体のもとへと辿り着いた。コピーが役に立たないと見たか、不動を貫いていたファンガスがようやく動き出す。

 

 ファンガスが撒き散らした胞子が光を伴って爆発した。胞子のウイルス機能だけをブロックするバリアでは爆炎を防げず、ファウストの体勢が崩れる。そして爆炎が晴れた時にファンガスが持っていたのは───ギルダーが使っていた光刃の円盤、『Q-Arms[サーキュラー]』。

 

 

「『Q-Pay』の機能からQ-Armsへのアクセス権を奪ったか。それは俺たちの誇りだ。その汚い手を離せ」

 

 

 まるで玩具でも扱うように振り回すファンガスのサーキュラーを、ファウストの盾は完全に受け止めた。そしてカウンターの殴撃がファンガスの顔面に炸裂する。その後の反撃もファウストの盾を破ることはできない。鋼鉄をも裂くはずの斬撃が、一切通らない。

 

 

「『プロテクション365』はQ-Armsの一つとして開発していた装備の改造版だ。ここに来る道中でこのナックルウォッチと接続させ、『ガーディアン365』のギアと連動するよう調整した」

 

 

 壮大と共に考案し、壮大が死んだ後も無意味だと分かっていながら開発を進めていた装備。それが九十九の『ガーディアン365』のプログラムと連携することで、時間制限の無い防御特化武器として完成したのは少し気に食わないが、今はそれでいい。これは壮大から受け継いだ、堅牢なる無敵の盾だ。

 

 

「分かるか。お前のその軽い殺意如きで、俺たちの盾は破れない」

 

《Circuit-Full-Open! GUARDIAN365!》

 

 

 時間切れでサーキュラーが消滅するのを見届けると、ナックルウォッチのギアを廻し、ファウストは必殺シークエンスを起動した。光を放つ『プロテクション365』をファンガスへと投げ付けると、その身体に刺さった先端から盾が分解。六角形の光の格子となってファンガスの全身を拘束する。

 

 そして、身動きの取れないファンガスの前に多層のバリアが並び、ファウストが左拳を握り固めた。

 

 

「叩き潰す……!」

 

《IGNITION-OVERDRIVE》

 

 

 怒りのままに突き出されたファウストの拳がバリアを押し、幾重にも重なった衝撃増強機能と反発力が桁外れの破壊力を生む。その砲撃にも等しい最強の矛を受けたファンガスの肉体は木端微塵、原型すら残さず周囲の菌糸諸共吹き飛んだ。

 

 完全勝利したファウストは、面倒そうに戦いを見ていた乙黒に宣誓する。

 

 

「取引だ。『プロテクション365』のマニュアルは俺の記憶にしかなく、それを誰にも伝えるつもりはない。この『ファウスト』を100%で使えるのは俺だけだ。お前たちは『俺』と『ファウスト』という商品価値を無視できない。そうだろう?」

 

「なるほど……待たせただけの付加価値、ということですか。この話は一度持ち帰らせていただきますが、恐らく『ファウスト』は貴方にお譲りすることになりましょう。我が社に利益をもたらす働きを期待しております」

 

 

 現実は残酷で、社会は冷酷。それでも廉太郎は向き合い方を決めた。受け入れられない現実は拒絶し、抗戦する。それがGFアドバンスの新たなウェブライダー『ファウスト』だ。

 

 

「───あァ? なんか思ってたのと違ぇんだが……まぁそうか。新しいのが増えるってのもあるわな。学習したよ」

 

 

 ファウストがファンガスを倒し、戦いは終わったと誰もが思ったそのタイミングで、そいつは生成されたように現れた。見てくれは洒落た雰囲気の中年男性の人間だが、その場にいた全員が直感する。

 

 こいつは、人間ではないと。

 

 

「お早う人間(クソ)共及びウェブライダー諸君。俺の名は───」

 

 

 根拠は無かった。ただ、その飄々とした立ち振る舞いが、作り物のような不気味な笑いが、廉太郎の記憶に刻まれた影と結びついた。

 

 確認するまでも無い。奴こそが、Guffの深海で『樹』からデータを貪り、壮大の命を奪った未確認存在。

 

 

「ッ……貴様あぁぁッッ!!!」

 

「あ? オイよしてくれ、『こっち』で使うスキンが仕上がってねぇんだ。それに、まだ挨拶の途中だろうがよ」

 

 

 この怒りを抑える理由など、どこにも存在するものか。慟哭にも似た叫びを上げたファウストは、全霊の殺意を帯びて男へと殴りかかる。

 

 しかし、ポケットを手に入れたまま動かない男を前に、ファウストは地に伏した。頭上から落下し、ファウストの動きを止めたのは───倒したはずの人型大ファンガスロギア。

 

 瞬間、倉庫の壁面から消え去った菌糸が凄まじい速度で再増殖を始めた。その様相は先程の有り様をあっという間に凌駕し、菌床というより生物の体内のようだった。

 

 

「馬鹿なッ……!」

 

「俺だって人間の心くらい分かるぜ。勘違ってやがったんだろ? 街に出るチビを見て、さっきのが本体だと錯覚した。恥じるこたぁねぇ、人間ってのは都合のいいよう解釈を曲げる、そういう生き物だ」

 

 

 その時、オービットの視界に『超巨大なロギア反応』が現れる。その座標はまさにこの地点。いや、この『真下』。

 

 倉庫が激しく揺れ、舗装された地面が砕け割れる。大地を突き破ってせり上がるファンガスロギアは生物の模倣なんて規模ではない。もはや建造物、天高くそびえ立つ『塔』だ。

 

 処理しきれない展開と惨状。文字通り視界を塞ぐ巨大な絶望。それらを前にして新歩は、巨大ファンガスの前に佇む彼に、必死に絞り出した一言を投げかけた。

 

 

「何なんだよ……お前は……!」

 

「挨拶の続きをしよう。俺は『デバッガー』。お前たちが『Guff』と呼ぶ世界の住人にして、意志にして、番人。さぁこっからが本当の小手調べだ。適応し、抗って見せろ、ウェブライダー」

 

 

 その日、超巨大ファンガスロギア───『ファンガスT型』が都内に出現。その菌糸はおよそ40平方キロメートルのエリア及びその内部の民間人を取り込み、支配した。

 




File-09 仮面ライダーファウスト ガーディアンウェア
ダイバーフォーム

【挿絵表示】

ガーディアンウェア

【挿絵表示】

九十九エンタープライズ製「サイファイナックルウォッチ」で変身するウェブライダー。変身者は株式会社GFアドバンス技術責任者 五來廉太郎。セキュリティアプリ「ガーディアン365」のアプリギアから生成されたライドアプリギアーマーを纏い、右腕の「プロテクション365」の堅牢性とナックルウォッチによる打撃を活かした肉弾戦を得意とする。量産型ウェブライダー「九十九トルーパー」を統率することで、大規模な作戦にも対応可能。


File-10 ファンガスロギア
ファンガスT型

【挿絵表示】

コピーファンガス(中)

【挿絵表示】

コピーファンガス(小)

【挿絵表示】

クーポンアプリ「Q-Pay」のプログラムから生まれ、現実世界から「キノコ」の生態を再現した特殊進化系ロギア。胞子のような極小サイズの毒性炸薬データによる範囲攻撃を得意とする他、体表を組成する論理コードのコピーを出力・自己増殖させ「ファンガスエリア」及び「コピーファンガス」を形成する能力を持つ。本体はT型と呼称される最大級の大型ロギアで、その能力範囲は街一つを飲み込むほど。コピーを倒すことで得られるGuffデータは極めて少なく、ダメージが本体にフィードバックすることも無いため、本体の撃破が最優先とされる。
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