蟲惑魔とGX世界   作:メリルメリルメリル

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塵も積もれば

 

 僕達がこの施設に来て万丈目さんとのデュエルした日から3ヶ月程たった。

 

 あのデュエルの後はこのデュエルアカデミアでどう生活していくのかって説明ばかりで特にコレと言った出来事もなかったかな。

 強いて言えば明日香さんに頬っぺたをぷにぷにされたくらい。

 

 

「ねえ。あなたの肌、信じられないくらい白いしモチモチなのだけど何か美容液とか使ってるのかしら?」

 

「びようえき???えっと、とくに何か道具は使ってないよ?

(強いて言えば体内のヘカ巡回を高速で行ってるから体がそれに順応してこうなってるとしか……)」

 

「そう……美容なんてデュエルと比べてしまえば興味が薄かったのだけど、そんな私でも気になるくらいのだからてっきり何か使ってるのかと………

 これも精霊やヘカとかいう力の関係なのかしらね」

 

「うん、そんな感じだよ思うよ」

 

 

 と言う話をしたんだけど、これと似たような内容を何度も女子生徒達に、はたまた先生にまで聞かれて大変だった。

 姉さん達も今が大事な時期だからって夜以外は多くても2人しか近くにいてくれなくて寂しいし……

 本当にこの3ヶ月、本っっっっ当に忙しかったし疲れたよ。

 デュエルしたり、肌や髪の話したり、デュエルの勉強したり、変なのに絡まれたり……

 

 

 

 

 そう、特に変なのに何度も絡まれるようになって大変だったんだよ。

 

 あれは万丈目さんと明日香さんが外でデュエルしているのを万丈目の下僕の二人、取巻太陽くんと慕谷雷蔵くんと一緒に眺めるふりしてこっそり背中を出して光合成していた時の話しなんだけど……

 

 

「うおぉ!1ターンでXYZ-ドラゴン・キャノンを!?流石万丈目さんだ!」

 

「(ふあぁ……ふんふ~ん………)」

 

「フィールドにはブラッド・ヴォルスのみ!

 このデュエル一気に終わっちまうんじゃないか!?」

 

「……ん?」

 

「ん? どうした?」

 

「つうかお前、また背中がはしたな……だらしない事になってるぞ」

 

「あ、本当だ。ありがとう。……僕ちょっとトイレ行ってくる」

 

「おう」

 

「……アイツがトイレ行くとこ初めて見たな」

 

「(トイレなんて行った事無いけどこういう時はこれが一番良い言い訳だって前に万丈目さんが教えてくれたからね)」

 

 

 僕は他の人と違ってヘカの使用量が多いから口にしたモノ全部エネルギーに変わって何も残らないから無いものは出ない。

 万が一に出るような事があったとしたら、それは他の誰かから強力な呪術をかけられた可能性が高いから魔法都市エンディミオンに駆け込んで精密検査を受ける必要があるくらいの事態だよ。

 

 

「(やっぱり敵意を感じる。

 またかぁ……ヘカの使い方下手くそで弱いモノいじめになっちゃうと思ったかほっておいたのに、いい加減しつこい)」

 

 

 とりあえず僕以上の未熟者が相手だし、ここはリセ姉の十八番である【獲物を迷い混ませて出口を消し去り消耗させるラクチン狩猟術初級】の簡易版でいこうかな。

 

 自分の幻影を作り人通りの少ないところに入らせて本体は姿を見えなくして通りの入り口で待つ。

 すると1年下の男の子が隠れながら、けれど全然隠せてない、むしろ敵意を撒き散らしながらと言って良いくらいな状態で思わず苦笑しちゃった。

 

 

「(感情はヘカを術に込める時にどれ程強く込められるかに直結してるのにこんなに撒き散らしてたらせっかくのエネルギーが勿体ないなぁ~)

 僕に何か用?」

 

「うわわ!………お前!気付いてやがったな!」

 

「そんな気配垂れ流してれば誰でも気付くと思うけど……どうしたの?」

 

「お、お前!万丈目さんから離れろ!」

 

「ん?……えっと、万丈目さんの知り合い?」

 

「お前みたいな弱そうな男女(おとこおんな)のくせに!

 いきなり現れて憧れの万丈目さんに付きまといやがって!生意気なんだよお前!

 この五階堂宝山がお前にデュエルを申し込む!

 お前が負けたら万丈目さんから離れろ!」

 

 

 こうして僕は五階堂くんとデュエルする事になったんだ。

 

 僕が万丈目さんの近くにいる理由は単純に側にいると落ち着くからだ。

 ヘカが上質なのは評価高いけど、それだけだったら明日香さんの側にいる。

 明日香さんの方が見慣れた感じの体つきだし。

 

 じゃあ何でって話しだけど、万丈目さんは僕の事をあまり差別しないんだよね。

 他の人は精霊だからって珍しがって極端に距離をつめるか、異物と思って無意識に距離を取るかのどちらかが大半な中でここまで僕を他人と変わらない扱いする人間も珍しくてさ、だからこそ僕にとって人間の友達第一号候補が万丈目さんなんだよね。

 

 だからこのデュエル、負けられないって気合いが籠ったんだ。

 

 

「「デュエル!」」

 

「ボクの先行! ドロー!

 ボクは切り込み隊長を攻撃表示で召喚し、効果により手札から荒野の女戦士を攻撃表示で特殊召喚する!

 手札の装備魔法、宝玉の剣を切り込み隊長に装備!

 このカードは戦士族モンスターにのみ装備可能!装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップ!

 更に装備魔法、神剣-フェニックスブレードを荒野の女戦士に装備!

 このカードも戦士族モンスターにのみ装備可能!装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップ!

 カードをセットしてターンエンド!」

 

 切り込み隊長☆3、地、戦士族

 攻撃力1200→1500

 守備力400

 

 荒野の女戦士☆4

 攻撃力1100→1400

 守備力1200

 

 

 五階堂宝山、LP4000、手札1枚

 ・モンスター×2

 切り込み隊長

 荒野の女戦士

 ・魔法、罠×3

 伏せ

 宝玉の剣

 神剣-フェニックスブレード

 

 

 歴戦の戦士といった雰囲気の戦士とまだ実戦経験の浅そうだけれど油断ならなさそうな雰囲気の女戦士が剣を構えている。

 切り込み隊長は何故か沢山のアカデミア生が使っている超人気カードだからともかく、荒野の女戦士は初めて見るからその未知の能力を想像すると少し気押され気味になる。

 

 しかし、次のドローカードでその気持ちは霧散した。

 

 

「僕のターン、ドロー!………(あれ?この手札、もしかしてこのターンで終わるんじゃ?)」

 

「どうした!? 手札が悪いからって言い訳にはならないぞ!」

 

「おっと、ごめんね。(運良くそういう手札だったってだけだし、別に僕はデュエルが得意じゃないんだからリスペクトデュエルとか今はまだ考えるべきじゃないよね)

 僕は手札のアトラの蟲惑魔をコストにライトニング・ボルテックスを発動するよ!」

 

「なにぃっ!?ライトニング・ボルテックスだと!?」

 

 

 アトラ姉さんが飛び出し腕を大きく振り降ろすとドラゴンの咆哮かのような轟音と共に手から雷が放たれ2つの爆発が起こる。その後姉さんは背後に飛んぶと墓地へと姿を消した。

 

 

「ぐうぅっ!ボクのモンスターが!?」

 

「魔法カードアームズ・ホールを発動!

 デッキの1番上のカードを墓地に送った後に装備魔法を手札に加える。

 僕は早すぎた埋葬を手札に加え、ライフを800ポイント支払いそのまま発動。

 アトラの蟲惑魔を攻撃表示で特殊召喚!

 続けて僕はアトラ姉さんに重力の斧-グラールと巨大化を装備するよ」

 

 地面に紫色の空洞が発生しアトラ姉さんがゆっくりと浮かび上がり、身の丈の倍はありそうな斧を担いだと思えば丁度良さそうな身長にまで伸びた。

 

 アトラの蟲惑魔☆4、地、昆虫族

 攻撃力1800→2300→4100

 防御力1000

 

 

「こ、攻撃力4100ぅ!?」

 

「バトル! アトラ姉さんでダイレクトアタック!」

 

「くっ……リビングデッドの呼び声を発動!

 荒野の女戦士を特殊召喚!」

 

「この瞬間、アトラ姉さんの永続効果を適用して手札から電網の落とし穴を発動するよ!」

 

「手札からトラップだって!?」

 

「落とし穴かホールと名の付いたトラップカード限定だけどね。

 電網の落とし穴により特殊召喚された荒野の女戦士を裏側表示で除外するよ」

 

 

 荒野の女戦士の体を姉さんがすり抜け、通りすぎてから荒野の女戦士の姿は霧のように消える。

 その頃には不適な笑みを浮かべた姉さんが斧を振りかぶっていた。

 

【フフ】

 

「そ、そんな馬鹿なあぁあぁぁあぁぁッ!」

 

 

 

 

 ……という事があったんだよね。

 

 ただこの話には続きがあって、1回デュエルを受けてから五階堂くんは何度も何度も何度もデュエルを仕掛けてきて大変だった。

 

 万丈目さんの側から消えろとは言わなくなったんだけどさ、

 やれ最初のデュエルはお前の手札が良すぎただけだ!とか。

 やれ蟲惑魔なんて未知のカード使うズルしやがって!対策してきたから負けないぞ!とか……

 

 君達にとって蟲惑魔は初見かもしれないけど、僕からしたらほぼ全部のカードが初見みたいなものだからその理屈だと皆の方がズルい気がするんだけど?

 そのくせアトラ姉さんの事はトラウマになったらしくて見ただけで体がビクリと跳ねるくらいなのに、姉さんの姿が見えないと思えばそんな事言っちゃう感じがちょっと可愛くてそのヘカを食べちゃ……何でも無い。

 

 ちなみに僕のカードの知らなさ加減といったら、アカデミア生なら誰でも知ってるライトニング・ボルテックス以上の知名度の高さの破壊輪を本気で装備される罠カードだと思ったくらいの無知なのだ。

 勉強しようと思って教科書とにらめっこしていても流行のカードは教えてくれないし、その教科書も〇〇のカードを知っている前提で書かれてる事が多くてどこからその効果処理が生えたのか意味不明なんだよね。

 僕が知りたいのはその〇〇のカードが知りたいのに訳わかんないよ。

 

 だから僕が五階堂くんとの最初のデュエルで1ターンキルに関しては……そりゃあ、手札が良かったのは否定できないよ?

 

 そんな感じで週に何度もデュエルし続けた結果……

 

 

「ケホ、ケホ……」

 

【サラムトリフィ!見てくれる人呼んできたよ!

 大丈夫サラムトリフィ!?】

 

「わ、わかんない……ケホ、コホ………」

 

 

 僕は体を壊した。

 

 夜に眠るのも少し慣れてきていたのに朝目が覚めたら体がだるくて、立とうとしたら上手く立てずに数歩歩いただけで膝から崩れ落ちちゃってアトラ姉さんにベットへと運ばれる事態になった。

 

 

【はいはい、そのために私達が来ているんですから大丈夫ですって。

 これ以上悪化させない為にもアトラはいい加減黙りなさい。

 はい、サラちゃん。唾液を検査キットに入れたいから、あ~って口開けてね~】

 

「あ~……」

 

 

 そうして今はアトラ姉さんに呼ばれた魔法都市エンディミオン付近住みでウィッチクラフト所属のエリートなハイネさんが審査してくれていて、サポートにラドリーちゃんの上司のナサリーさんも付いてくれている。

 2人ともアトラ姉さんの個人的な友達で、姉さんの必死の剣幕に急いで来てくれたんだよね。

 

 

【あ~……これは~………】

 

【植物族のアレ、ですかね~】

 

【間違いなく植物族のアレよね】

 

「アレってケホ……何?」

 

【サラちゃん……今そんな服着てるけどちゃんと光合成はきちんとできているのかしら?】

 

「えぇ?……そういえば最近満足にできてないかも。

 人間さん達の目もあるから」

 

【でしょうね。 単純に過度なヘカの消耗というのも大きく影響があるのだけれど、光合成不足に加え、急激すぎる環境の変化によるストレスに疲労と様々な事が重なりすぎてしまった結果ね】

 

【これは文句無くドクターストップね。

 今日からはいつもの蟲惑魔らしい服を着て十分に光合成をして、精神への激しい負担になるような事は当然、ある程度回復するまではヘカの消耗も極力避けるようにしましょうね】

 

「え? 前の格好で良いの?」

 

【ちょっと嬉しそうね】

 

【そんなに嫌だったのかしら~】

 

「嫌じゃないけど、ちょっと、かなり窮屈で……」

 

【う、うぅ、うあぁ……ごめんね、ごめんねぇ……私が、私が無理をさせたから……うぅ、おぇ、あぁあぁぁぁぁぁ!!!】

 

「ね、姉さん? 大丈夫だって言われたよ? だからほら、泣かないで……」

 

 

 他の姉さん達も心配そうに見ていてくれてたのだけど、さっきまで僕に向けられてたその心配が確実にアトラ姉さんに向けられている。

 こんなに形振り構わず精神を揺らしてる姉さんは初めてでどうしたらいいのかわからないけど、抱き付いてくる姉さんの背中をさする事だけはできた。

 

 

【……アトラがこんなに泣いてる姿、初めて見たわね~】

 

【私は……2回目かな………】

 

 

 こうして私は念願の光合成をする時間を得ることができた。

 





 五階堂くんはアニメで1話だけ登場してきた人で何故かデュエルの内容も覚えていたのでそのままのプレイング。
 もし次に試合が描写される事があれば確実に強くなっています。
 使うかはわからないけれど使えそうな伏線はばらまいとこうと思った。

 五階堂くんはアトラの蟲惑魔な猟奇的で邪悪な笑みを間近で見て軽いトラウマになりましたが本人(アトラの蟲惑魔)、もとい本体は五階堂くんと出会ったのは2試合目なので何故怖がられてるか知らない。

 デュエルで召喚されるのは分身であって本体も意図的に意識を分身に向けなければ今召喚されたな程度の認識しかできず何が起きているかは把握していない。

 では何故前回ラドリーがペラペラ喋っていたかと言えば仕事をサボってたからです。
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