神保町チェンソー   作:岩ノ森

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チェンソーマンのキャラ再現が難しくて早速挫折が見えています。


バカ悪魔二匹

 神保町のとあるアパートの一室。

 「まずいぞ!早く何とかするんじゃ!!」

 人間に恐れ、慄かれるべき悪魔がそこにいた。

 「分かってますの!何か!何か方法があるはずですの!!」

 その二体の強大な悪魔は、最大の危機を迎えていた。

 

 「ゆりねが帰ってくる前に何とかして直さねーと!」

 「接着剤でくっつけるのはどうじゃ!?」

 「そんなもんすぐに外れてバレて終わりだバーカ!!」

 ゆりねの所持品である呪いの像を粉砕して、慌てる悪魔二匹の姿がそこにはあった。

 

 

 

 物語を始める前に、何故こうなったのかを説明せねばなるまい。

 

 邪神ちゃんとパワーちゃんがいつものようにバカやってそのうちケンカになってそのはずみでゆりねが大切にしていた呪いの像を壊しました。

 

 解説終わり。

 

 

 

 『長い間探しててようやく買えたのよー』

 そう言ってその趣味がいいとは言えない呪いの像を持ち帰ってきたゆりねの顔は、まさにホクホクと言っていい顔をしていた。

 それほどに大事にしていた像を壊したとなれば、どうなるかは火を見るよりも明らかである。

 邪神ちゃんはもちろん、身内でない隣人であるパワーもどんな目に合わされるか。想像しただけで全身の血液が逆流しそうになっている悪魔二匹である。

 「! そうじゃ!全く同じものを急いで買ってくる、というのはどうじゃ!?」

 「それだ!!ネットで探せば!!ゆりねの奴、プラ〇ムに入ってるから秒速で届くはず!!!」

 そう言って大手ネット通販サイトのアマゾネスで検索をかけてみる二人。

 そこには。

 

 『この世に二つとない貴重なものなんで、お取り扱いできるわけありませんバーカ』

 

 という無情のものだった。

 「「うぎゃあああああああああっっっ!!!!!」」

 二人はもはや叫ぶしかなかった。

 もうこの後の展開が手に取るようにわかる。

 きっと鉄製の機械でゆりねに全身を絞られて、絞り出された血で赤い布を染め上げられるのだろう。

 「何か!何か手があるはずですの!!」

 「そうじゃ!!天才悪魔のワシら二人にかかれば、小娘一匹欺くのなど容易いことよ!!!」

 もちろんそんな明治の伝記小説のような目には会いたくない。

 二人は危機的状況の中、生存本能に後押しされ脳みそをフル回転させた。

 

 だが二人の頭の中に浮かんでいたことは、ゆりねを騙すのとは少々違うことだった。

 (このクソ悪魔のせいで死んだら、死んでも死に切れませんの!)

 (おのれ!ワシは悪くないんじゃ!!全部こいつのせいなんじゃ!!それに巻き込まれて死ぬなんてとばっちりもいいところじゃ!!)

 二人の頭の中に浮かんでいたのは、自分の行動を棚に上げてのお互いへの憎悪。

 そして。

 ((何とかこいつにだけ罪をなすりつける!!!))

 相手を貶めるという悪魔的発想。

血縁関係は無いはずなのに、思考が怖いくらいに一致していた。

 

 

 「ただいまー」

 大学から帰ってきた、ゆりねが真っ先に見たもの。

 それは四畳半の居間で壊れた像の残骸を差し出し、土下座する二匹の悪魔の姿だった。

 「あなたたち、それ・・・」

 大事にしていた呪いの像の惨状を見て、問いかけようとするゆりねだったが。

 「「誠に申し訳ございません!でも私(ワシ)のせいじゃないですの(じゃ)!!」」

 二人の悪魔のそろった声に憚られた。

 声が揃うとは思わなかったのか、思わず顔を見合わせる邪神ちゃんとパワー。

 「「私(ワシ)はやめろって言ったのにこいつが無理やり!!!」」

 発言どころかお互いがお互いを指さす動作すら一致していた。

 思わずお互いを見据え、動作が止まる。

 一瞬の静寂の後。

 「てめぇ戯言吐いてんじゃねえ!!お前のせいでこうなったんだろうが!!!」

 「違うウヌのせいじゃ!!ワシはか弱い被害者なんじゃ!!!」

 「どうやったらそんな口が吐けるんだ!!このドブカス悪魔!!!」

「お前こそ極悪非道の悪魔じゃ!!デンジとアキに退治させてやる!!!」

 そう言って罵声を浴びせながら取っ組み合う二人。

 この世界にはデビルハンターという悪質な悪魔を退治する職業がある。だが流石のハンターたちもこんな俗にまみれた悪魔を退治したくはないだろう。というか視界に入れるのすらためらうかもしれない。

 「あのね、二人とも」

 「「ゆりね!殺すならこいつから!!」」

 相も変わらず一致する、二人の発言内容とタイミング。ゆりねはそれに対し、多少の感心の混じったあきれ顔をしていた。

 「その呪いの像、本物じゃないレプリカだったから。別に壊れても構わなかったのよ」

 「「・・・・・・・・・・・・え?」」

 「私としたことが偽物を掴まされちゃうなんて。店の人にも腹立つけど、よく考えるとそんな貴重品が神保町なんかにゴロゴロと転がってるわけないもんね。私の方もバカだったわ」

 はぁーとため息をつきながらどこか遠い顔をするゆりね。

 「「・・・・・・・なぁーんだ!!」」

 それに反して、悪魔二匹はみるみるうちに表情が明るくなっていった。

 「たっくよー、ゆりねもドジだよなー。パチモン掴まされるなんて、いつも邪気眼スタイルしてるから視力落ちてんじゃねーの!?」

 「ふんっ、ワシは最初からニセモノだと分かっておったわ。まぁ?人間の小娘ごときの目じゃあ見分けられんだろうが?」

 ギャハハーと口を大きくして牙を見せて笑う二匹。先ほどの剣呑な雰囲気はどこへやらである。

 一件落着、と思われたその時。

 「邪神ちゃん、パワーちゃん」

 「「ん?」」

 「私のこと騙そうとしたわね」

 「「へ・・・・・」」

 「正直に謝れば、本物だったとしても許してあげたのに。何でそんなことするかなー」

 ゆりねから放たれる、どず黒いねっとりとした怒りのオーラ。

 「「私(ワシ)は正直に謝ろうって言ったのにこいつが誤魔化そうって!!!」」

 またもや言動と行動が一致。

 「「お前真似すんじゃねぇー!!!」」

 お互いまた取っ組み合う。愚かしいところが完全一致していた。

 「というわけでいつものことだけど」

 ゆりねがのそりのそりと、畳を踏んで近づいてくる。

 「覚悟、いいわね」

 悪魔(バカ)|二匹の顔からは血の気が引いていた。

 「あの・・・ワシを傷つけると、アキとデンジが悲しむから・・・・・二人のためにワシだけは見逃した方が・・・・・」

 「なっ!てめえ汚えぞ!!」

 そう言ってゆりねから逃れようとするパワーであったが。

 「あのね、パワーちゃん。アキさんから言われてるの」

 「えっ」

 「『パワーの奴が迷惑かけたら遠慮なく殺す勢いでやってください』って」

 パワーの顔がさらに青くなる。

 「というわけで、二人とも」

 ゆりねが逃げようとする二人の腕をガっと掴む。

 「痛みを覚えて反省しなさい」

 

 

 ハンターの用事で外を出歩いていたデンジとアキ、現在居住しているアパートの目の前へと帰ってきていた。

 「あ」「うん?」

 その瞬間、アパートの中から見知った悪魔二匹の断末魔を聞いた。

 と思ったらガシャーンと窓ガラスが割れ、血まみれの二匹が飛び出してきた。

 「今日の天気は晴れのち悪魔か」

 「大方、またゆりねさんに迷惑かけたんだろ」

 夕焼けの赤い空に、二人の肢体が舞う。太陽の逆光で黒いシルエットに見えた。

 その後まもなく、どさどさっと血と夕焼けで赤く染まった二人が目の前に落ちてきた。

 「「お、お前(ウヌ)がいなければ・・・こんなことには・・・・・」」

 一字一句一致した台詞を吐き、二人はガクリと意識を失った。

 「なあ?こいつら生き別れた姉妹悪魔とかじゃねーんだよな?」

 「違うだろ。多分」

 そう平然と言ってのけるアキだが、頭の中はゆりねへの謝罪のことでいっぱいになっていた。

 

 




舞台設定ですが早川家は邪神ちゃんたちが住むアパートに訳あって越してきています。邪神ちゃん成分強めで行くのであんま鬱にはならないです(多分)
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