仮面ライダーギーツIF:仮面ライダージャマト   作:アンキパン

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乖離編
第八話 乖離I:新シーズンにEntry


『デザイアグランプリ。それは理想の世界を叶えるため、怪物ジャマトから世界を救うゲーム。

 これまで数多の戦いが繰り広げられ、勝利と敗北のドラマが紡がれてきた。

 そして今、デザイアグランプリは新たなシリーズとして生まれ変わる!』

 

あらすじをひとしきり終えると熱狂しているオーディエンスの中

デザイア神殿に今回の参加者たちがエントリーされていく

 

「それではエントリーメンバーを紹介しよう!まずはお馴染み

 戦闘力ナンバーワン!
不敗の男・仮面ライダーギ…」

 

そして途中でテレビの電源を消す

 

「相変わらず…。恥ずかしく無いのかねまったく」

 

俺は前回スポンサーに言われた

デザグラがエンターテインメントだという事実が頭から離れなかった。

 

「ジャ?ジャ〜!」

 

「え?だめだよ!あんなの見ちゃいけないの!」

 

「ジャ〜!ジャ〜!」

 

一緒にソファーに座っていたポーンジャマトと

テレビのリモコンをかけた押し問答が始まる。

 

「ダメなんだって!教育に良くないの!めっ!」

 

「ジャ…?」

 

今にも泣きそうな声で反抗するポーン

それに根負けしたのか、ムクロは再びテレビの電源をつける

 

「……天才クイズ王、仮面ライダーナッジスパロウこと五十鈴大智!」

 

まだ新メンバー含めた参加者の紹介の途中であり

ポーンはさっきの顔が嘘のように喜んでテレビに集中している。

 

「ちょっとだけだぞ?ちょっとだけだぞ!」

 

「ジャ〜!」

 

絶対聞いていないだろ…

なんて思いながらもその場を後にする。

そうするとどこからか自分を呼ぶ声がする

 

「おーい、ムクロ〜ちょっとこっちに来てくれぇ〜。」

 

「は〜い」

 

声の主はアルキメデル、こちらへ転送されていた道長をズルズルと引きずっていた。

やはり相当重いようで額や頬に汗が滲んでいた。

 

「コイツを上に乗せるの手伝ってくれ…」

 

「いいよ。」

 

そしてせ〜ののかけ声と共に上に運ぶ

重っ…。

そしてそれでも眉ひとつも動かない道長をジロジロと見つめる。

 

「ほんとにコイツ生きてんの?」

 

「あぁ。間違いなく生きている。」

 

まじかぁ…。なんて思いながらも道長の頬をぺたぺたと触る

そしてひとしきり確認終わるとアルキメデルに振り返る

 

「そういえば、学園ゲーム…だっけ。俺行かなくていいの?」

 

「あぁ…。どうやら最初は簡単に攻略させろとさ…

 そうしないとオーディエンス達が盛り上がらないからだとさ〜。」

 

へいへい。つまりジャマトライダーとか強いジャマトはお呼びじゃないってか。

ふざけやがって。何がオーディエンスだ、今度会ったら酷いからな

そうふてくされているとアルキメデルが荷物を置いて近づく

 

「もし暇なら、コイツのこと見ててくれないか?少し私は外で肥料を取ってきたいんだが…」

 

「え〜〜?いいよ。」

 

そうするとアルキメデルは満足そうに外へ駆け出して行った。

まぁ、することも無いしなぁ。たまにはゆっくりさせてもらうとするか…。

そして近くの柱にもたれかかりながら、道長と他のジャマト達を見守る事にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少し時間が経ち、そろそろ監視も飽きてきた頃。

傷だらけの道長がようやく目を覚ました。

 

「ジャマト…?俺は…確か死んだはず…」

 

「お、やっと起きた。」

 

「お前は…!」

 

そう言うと一目散に俺の元に駆け寄り首元を掴む

本当に死にかけてたのか?あまりにも元気すぎるぞ。

 

「どう言う事だ?何故俺が生きてる?お前…何を考えてる!」

 

「そんな事俺が知りたいね…なんでそんなに元気なんだよ…!」

 

俺がそんなこと知るかと言わんばかりの顔をされながら首元の力が段々と緩んでくる

ふぅ。とそのまま服の埃を払う。

すると植物園にアルキメデルが入ってきた。どうやら道長に興味津々みたいだ。

 

「誰だ?お前…」

 


「目覚めたか。お前みたいな奴は初めてだよ、まさか息を吹き返すとはねぇ」

 

「お前がジャマトを送り込んでいる黒幕か!?」

 


「それに元気も良さそうだ…素晴らしい。仮面ライダーをぶっ潰すのがお前の望みだろう?」

 

アルキメデルは道長に鼻がくっつきそうな距離まで顔を近づける

道長も負けじと睨み返す

俺はその光景をただ見つめていた。そんな中、いきなり電話が鳴り響く。

 

「なんだ…こんな時に…。はいジャマーガーデン。」

 

アルキメデルが電話に出る

確かにこんな時に誰だ。電話なんて。

 

「え?ジャマトライダーを?…わかった。ただし余計な事はするなよ。」

 

アルキメデルと道長の視線が俺の方に向く

誰が何の様だ…?またあのスポンサーか?

 

「ムクロ…お呼び出しだ。」

 

「誰から?」

 

「デザグラのプロデューサーからだ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

呼び出されたのは暗い路地。

そこには木造の移動式屋台がぽつんと立っていた。

まさかな…と思いつつもそこへ近づく。

そうすると横から黒いジャケットに黄色の服を着た女が現れた。

 

「お待ちしておりました。花咲ムクロ様。ニラムが屋台でお待ちです。」

 

どうぞと屋台まで案内された。

そこには何やら分からん物をズルズルと啜るニラムと呼ばれたスーツ姿の男がいた。

その男はこちらに気づくと、啜っていたものをごくりと飲み込むとこちらへ話しかけてきた

 

「これは失礼。お待ちしておりました。私はデザイアグランプリ・プロデューサーのニラムです。

 寒かったでしょう?どうぞこちらへ。」

 

と言われるがままに隣へ案内されると目の前にニラムが食べている物と同じものが出される

目の前に出された物に困惑しているとニラムが口を挟む

 

「これはラーメンというこの世界の食べ物です。この黄色い糸みたいなものが麺と言われ、

 この濃厚なスープと絡みついてなんとも言えない味わいが…」

 

ぜんっぜん分からん。らぁめん?

こう考えている間にもニラムが講釈を垂れているのだろうがさっぱり分からん。

俺達ジャマトは水さえ飲めれば十分だし。人間でいう空腹だってそんなに感じた事はない。

なのにいきなりこれを食えと?罠だな。これは。

 

「特にこのスープ。一度飲めば病みつきになりますよ。さぁどうぞ遠慮なく私の奢りです。」

 

「まさか…。ど」

 

「毒なんて入っていませんよ。

 私が客人に毒を盛ったなんて知れればデザグラの信用問題に繋がります。

 そんな事は断じてしていません。」

 

俺の言葉を割って弁明し始めるニラム。

あまりの圧に少し申し訳なさを感じる。

まぁ、でもこのらぁめん気にならない訳でもない。

騙されたと思って食ってみようか。

と手で糸を掴もうとするとニラムが手を叩く。

 

「痛っ!」

 

「これは手で食べる物ではありません。この様に割り箸という物を使って

 麺を掴み、口に運ぶ物なのですよ?さぁ、これを使って。」

 

と既に割った割り箸をこちらに渡すと再び催促をする。

そしてその箸で麺を掴み、恐る恐る口に運ぶ。

 

そして口の中に放り込むと…

 

「美味い…」

 

これは…水なんかよりもよっぽど美味いぞ。

この丸い大きいのも、この緑のも。全部美味い。

手が止まらない。次から次へと口の中に放り込んでいく

 

それを見て呆れたような顔をするサマスとは対照的に

満足したようにニラムは笑顔でこちらを見つめる

そしてそれを次々に食べているとやがて何故か苦しくなってくる。

息が詰まりそうだ…!

 

「……!」

 

「ゆっくり食べないからですよ。」

 

と水を目の前に置く。

その水で詰まった物を流し込むと少しマシになった

ゆっくり食べるのか、勉強になるな…。

 

とニラムも一緒に食べ始めると2人に割り込む様に

横からサマスがわざとらしく疑問をぶつけている。

 

「浮世英寿の願い、何故却下しなかったのですか?」

 


「泳がせておけばいずれ化けの皮が剥がれる。

 何故自分の母親がミツメだと言っているのか…」


 

「えぇ。本来ならあり得ないことです」

 

ありえない事…?ギーツが?

まぁ、そもそも規格外なところはめちゃくちゃあるが…それと出生が関係あると…?

てか今度はあいつ何願ったんだ?


 

「そもそもよ、あいつの願いって何なの?」

 

教えてくれはしないだろうと思いつつも2人に聞いた。

 

「浮世英寿がデサイアグランプリのゲームマスターになっている世界。」

 

二ラムがそう答えると俺は頬張っていたラーメンを少し吹き出す。

ゲームマスターとはまた大きく出たな…これも母親に会うためか…?

横では何やら物言いたげなサマスを片手で制止するニラムが話を続ける。

 

「失礼。話が逸れてしまいましたね。」

 

こほんと一度咳払いをし話題を変える

 

「確かにそうだな。そもそもなんで俺はこんなところにお呼ばれされた訳?」

 

「あなたをお呼びしたのは他でもありません、あなたにはデザグラ新シーズンに合わせて

 正式にジャマト陣営としてデザグラに参加いただきたい。」

 

「ほーん。でも自分で言うのも何だが、明らかにイレギュラーキャラみたいな物だろ?」

 

「いいえ。イレギュラーなんかではありません。ジャマトは常に進化し、

 やがて人の姿を借り仮面ライダーへと変身…!

 願いを叶えようとする者たちの前に立ち塞がる…!これこそがリアル…!」

 

と、急に立ち上がり何やら語り出した。

正直リアルがどうとかはわかんないがつまりは目の肥えたオーディエンスへの追加サプライズか。

結局俺たちはエンタメの消費アイテム扱いなのは変わらないか…

まあ、お許しが出る分まだマシなのか…?と再びラーメンを啜り、ニラムの方を向く。

 

「それで?新シーズンとやらは何が違うんだ?」

 

そう聞くと、ニラムはサマスに指示をし

サマスはどこからか取り出したタブレット端末を起動、

それぞれ各ライダーと各数値が示された円グラフの映像を映し出す。

 

「まず前提として、今回は以前のデザグラと違いオーディエンスの支持率が影響していきます

 ゲームの内容、結果次第でオーディエンスが評価を下し支持率は変動、

 そして最終戦をクリアした段階で最も支持率を多く獲得したプレイヤーが

 デザ神に認められる。」

 

「なんか世界救うゲームってコンセプトは何処へ。って感じだな。

 まぁ、どうでもいいけど。」

 

その言葉にフッっと笑って見せるとニラムは話を続ける。

 

「そしてもうひとつ。実はこの中にひとりだけ事前に運営が指名した『デザスター』がいます」

 

「デザ…?」

 

「デザスターです。デザスターには他のライダーを妨害するミッションが与えられています。

 そしてデザスターが正体を気付かれず、最後まで生き残る事が出来たならば、

 デザ神の座を奪うことができます。」

 

「何だそれ…。ほぼズルだな。」

 

「まぁ、そうおっしゃらずに」

 

そんな愚痴にも笑顔で対応するニラム

もはや不気味さすら感じる。本当にただの人間なのか?

 

「そもそも、そんな内情俺に話していいのかよ?

 もしそのデザなんとかの事もしかすると俺が他の奴らに話すかもしれないだろ?」

 

「そうなれば、バレたデザスター側の問題です。

 あなたはただデザグラを楽しんでいただければいいんです。

 それにこの内情を知ることで彼らへの見方も変わるかもしれませんよ?」

 

さらっとマッチポンプ肯定しやがった。

この人がプロデューサーで大丈夫か…?まぁ、前回のギロリも似たようなものか…?

そしてニラムは笑顔を崩す事なく再び俺へ話しかける。

 

「説明は以上となります。いかがです…?ご参加いただけますでしょうか?」

 

「俺はあいつらが倒せるなら何だっていい…。

 ただ俺は参加するからにはデザグラを本気で破壊するつもりだが…

 それでもいいと?」

 

「それも一種のリアリティー。心配はご無用です」

 

それを聞きニヤリと笑ったニラムはそう答えた。

 

「そうかい。」

 

奴の余裕なのか、それとも本当にぶち壊されても構わないのか

どちらとも取れる返答を聞いた俺はスープしか残っていない器に目をやり

そのまま飲み干す。

空の器を屋台に置き、椅子から立ち上がる。

 

「分かった。引き続き参戦してやるよ。んで?話はこれで終わり?」

 

「ええ、お忙しいところありがとうございます。」

 

意外とあっさり終わったなと思いながらも立ち去ろうとしたが

一つだけニラムに質問をしてみる

 

「なあ、ひとつだけいいかい?」

 

「何でしょう?」

 

「ギーツの母親のミツメだが…そいつは何者なんだ?

 母親なのに会う事はおろか、それを願う事すら許されないなんて、只事じゃない…。

 お前たちは何を知っている?何を隠している?」

 

「彼がご心配で?」

 

「そんなんじゃ無い。ただ少し気になるだけだ。」

 

その質問に笑顔のまま返すニラム。そのままはぐらかすつもりか…?

その緊迫した空気に割って入ったのはサマスだった。

 

「あら?ミツメさんの事ならあなたが一番知っているのでは?」

 

「何…?」

 

サマスにそう言われるとまた頭の中に存在しない記憶が流れ出した。

頭が痛い…!何なんだ…!

その記憶では前回初めて行ったはずのデザイア神殿で、

顔はわからないがミツメらしき人物と何かを話している映像や、

何故か俺を前にして戦慄しているミツメの映像が流れていた。

あまりの痛さに頭を抱え、そのまま地面にうずくまる。

 

そしてそれを見たニラムが再びサマスを制止する。

 

「まあ…これ以上の詮索は御法度。ということで…。

 あなたのご活躍に期待していますよ。それでは。」

 

そう俺に話すとサマスと共にどこかへと消えて行った。

ミツメに詳しい…?あの女は何が言いたい?

再び頭痛が起こるとそのまま意識を手放した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目が覚めるとジャマ―ガーデンにいた

 

「おお、やっと起きたか。」

 

そこにはアルキメデルと道長がいた

 

「何?ここまで運んでくれたの?」

 

「ああ、随分帰りが遅かったもんでな。心配して様子を見に行ったんだ」

 

「そのせいで俺まで手伝わされた。そのままくたばってりゃよかったのに。」

 

にこやかなアルキメデルとは対称に

近くの木にもたれかかった道長はどこか不服そうだった

 

「へ〜ありがと。お父さん。それに道長も!」

 

「気安く名前を呼ぶな!」

 

そう道長に近づいた俺の肩を押す。

いいじゃん。別に。

そのまま呆れたようにそっぽをむき道長がアルキメデルに尋ねる

 

「それで、お前らの目的はなんだ?」

 


「理想の世界を叶えることさ。」

 

「そ、俺たちジャマトにとってのな…!」

 

会話の中に割り込むと奥でジャマトが何やら物音を立てている

そちらを見つめニヤニヤと笑みを浮かべていると不思議そうに道長はこちらを睨みつけていた

 

「お…?そろそろ頃合いかな…!」

 

そう呟いたアルキメデルはそのジャマトに話し始める。

 


「仲間がやられた…!お前の出番だ…!」

 

ルークは雄叫びと共に姿を変えてゆく。

 

「お前は…!?」

 

そしてルークは仮面ライダーシロー / 豪徳寺武の姿へと変わる

その現実に戦慄する道長。

 

「何?道長の知り合い?」

 

「あぁ…以前のデザグラでラスボスにやられて退場したやつだ…!」

 

と道長に肩を置いて話しかけるムクロ

そして、ひとしきり答えた後またムクロを掴む

 

「またか…。」

 

「どうゆう事だ!?なんで脱落した奴の姿を!?」

 

「それは…企業秘密。」

 

「ふざけんな!」

 

とその答えに苛立つ道長はムクロを突き飛ばす

そして服のシワを直しながら道長に話し始める

 

「ふざけてなんかいねぇ…。事実を知れば道長は正気を保てなくなるぞ。多分な。

 その覚悟お前にあんのかよ…?」

 

それを聞きこちらを睨みながら何も言わずに再びルークへ視線を向ける

そしてルークはこの場において場違いな台詞を言い放つ

 


「人命救助が最優先だ…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

            DGPルール

 

          ジャマトは進化する。

      人間に化けるものも、仮面ライダーになる者も

          進化は多種多様である。

 

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