早々には戻ってこれないだろう。
「ねぇねぇ、彰人君って彼女いるの?」
「…今はいないですね。」
「えぇ~~嘘ぉ!?」
テレビ局の近くにある居酒屋。店長がいい人で、撮影が終わった後に良く飲みに来る場所だ。
…正直、帰りたい要素しか無かった。
頼んでもないはずなのに次々と運ばれてくるツマミ。多分、ディレクターの仕業だろう。
不必要にプライベートを聞き出そうとしてくる同じ会社の女子。もちろんナシだ。
「でもよぉ彰人、どうせお前の事だ、モテるんだろ?」
「正直、モテない理由が無いよね…。歌手としてテレビに出るほど人気、顔もいい、貯金もある。3拍子揃ってるじゃん!」
「あはは…。ありがとうございます。」
「あ、そうだ。ここは一つ、私を頂いてみても…?」
「やめときなアンタ。彰人君が困ってる。」
しょうもない会話が続く。
…帰ろ。
スマホを眺め、わざとらしく言う。
「…あぁ~。すみません、この後予定あるんでした。なんで、先に帰りますね。」
「え、は!?もう帰るのか!?」
「えぇ~~!?やだやだ帰んないでよぉ!そのままお持ち帰りしてぇ~~」
「セクハラですか?」
「違わい!切実な話なんじゃ!もう私も_」
「お金、置いときますね。それじゃ。」
勢いよくドアを閉めた。
☆★☆
店のドアを開けると、いつもの人が出迎えてくれた。
「…あ!彰人じゃん!」
「おう」
嗅ぎ慣れたコーヒーの香り、見慣れたカウンター。
あぁ、やっぱりここが俺の帰ってくる場所だ。
「お帰り彰人。飲み会どうだった?」
「クソつまんねぇから抜けてきた。…こはねと冬弥はどこだ?」
「あ、あぁ…。あの二人は今、ナカヨシしてる途中だよ。…正直、近付くの躊躇っちゃうよね。」
「ハッ、だから一人だったのかよ。悲しいこった。」
「うるさいなぁ!…もういいよ。取り敢えず、夜ご飯作りたいから手伝ってくれない?」
「ヤダ。俺も入ってくる。」
「え、ちょ、彰人!?」
後ろの方で怒りの声が聞こえた気がしたが、それを無視して店の奥へと戻っていった。
「うーーっす。」
「…彰人か。」
「あ、あきとくん!?」
「おうおう、元気なこった。杏は混ぜてやんなかったのか?」
「…これを言うと言い訳みたいになるからあまり言いたくなかったのだが。いいか?」
「お、おう。言ってみろ。」
「杏は昨日、彰人が潰してしまt」
「悪かった。楽しんでくれ。あと、風呂入ってくるからその後俺も参加させろ。」
「…彰人は、台風みたいな奴だな。」
「そ、そうだね…。あと、流石にこの耐性のままだと恥ずかしいからドア閉めて欲しかったね。」
「…。」
☆★☆
「3人とも、ご飯だよぉ!」
杏に号令をかけられ、渋々彰人達はリビングに戻った。
今夜はハンバーグだ。
「こはねぇぇ!!大丈夫だった!?彰人と冬弥に何か変態みたいな事されなかった!?」
「うん、大丈夫だったよ!二人とも、凄く優しかったから…」
「おい、あろうことかハンバーグに人参いれたバカはどこのどいつだ。」
「そんなの、杏に決まっているだろう。」
「いやマジレスしなくていいんだって。」
「そういえばさ、昨日買った映画見ない?」
「あ、そうだったね!ご飯食べ終わったら見よっか。」
「おう。冬弥も見るだろ?」
「彰人、その…。俺は、もう少しお前とベットにいたい。」
「お前結構ストレートに言うのな。…わ、分かった。」
「あれ、もしかして彰人、照れてる????」
「また昨日みたいにしてやろうか」
「ヒッ!た、助けてこはねぇ~~~!」
「彰人君、杏ちゃんをいじめちゃ駄目だよ!あと、いくら可愛いからって、程々にね!」
「納得いかねぇ…。」
くだらない話だ。
だけど、これが求めていた空間なのも事実だ。
「…あ、そういえば」
おもむろに杏が切り出した。
「実は今日、カフェに来たお客さんが面白くてさ〜」
「…それが、どうしたんだ?」
「あの子…。そうだね、高校生くらいの男の子。私達を超えるような、伝説を作りたいんだって」
「「「…!!」」」
杏以外の動きが途端に止まる。
ナイフの落ちる音が、部屋に響いた。
お久しぶりです。
今回はソウイウ展開は無しで行こうと思います。
だいぶ匂わせてるけど()
こんな感じのを、ちょくちょく投稿していけたらと思います。
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