愚かな勝ち犬は、自分の強さを忘れた。
素直に応援出来ないや。
「…っくあぁぁぁ~。」
「ちょっと、何気ぃ抜いてんのよ。もしかして、また夜遅くまでゲームしてたの?」
「うるさいなぁ。これでも健康になった方なんだぜ?」
「いい?『伝説』を作るには体が一番大事な資本なんだからね?」
「はいはい、分かってるって。」
昼頃のビビッドストリート。
才気溢れる若者が通る道を、二人の「次世代の才能」が歩いていた。
そして、二人がたどり着いた先は…
「いらっしゃい!…あ、悠馬に葵じゃん!」
「こんにちは、杏さん!」
「うっす。…あれ、彰人さんは?」
「今は仕事だよ~。飲み物何にする?」
「あ、私オレンジジュースで!」
「俺は…、ブラックで。」
「おっけー!」
WEEKEND GARAGEは、元々杏と謙の二人体制で経営していく方針だった。
しかし、謙が突然の病に倒れ入院してしまい、今は杏一人で経営している状況だ。
「…お待たせしました、オレンジジュースとブラックコーヒーです。」
「あ、こはねさん!こんにちは!」
「ひゃい!…あ、あはは、こんにちは…。」
「もう、こはね!その子達はそんなに怖くないよ!それに、なんかあったら私が守るっていつも言ってるでしょ?」
「う、うん…。」
「…。」
「…え、えっと、今日の話し合いしよっか。」
「う、うん!」
「ありがとうございましたー!」
「また来ます。あざした。」
「ん、またねー!」
店主に挨拶を告げ、喫茶店を去る。
辺りはすっかり暗くなっていた。
「家送るよ。」
「おぉ、気が利くね~。悠馬もちょっとずつオンナゴコロが理解出来てきたんじゃない?」
「理解出来てたら苦労しないよ。」
「え?」
「なんでもない。ほら、行くよ。」
「あ、ちょっと待ってよ~!」
夜は始まったばかり。
☆★☆
____。…もうやめてくれ。
__っと!どういう事よこれ!
_人のせいじゃないよ…。
あんたのせいだからね。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
「…東雲君、大丈夫?」
「彰人、大丈夫!?なんかすっごいうなされてたけど」。
「…あぁ、わりぃ、大丈夫だ。」
どうやら悪い夢を見ていたようだ。
ここ最近頻度が高くなっている。今日は病院に行った方がいいかもしれない。
「…全部忘れちゃう?」
「お前らはしっかり仕事しろ。あと、俺ももうすぐライブあるし…」
「今、何時か分かってる?夜中の2時。1時間も経ってないよ?」
「私達、東雲君が寝た後、お話してたの。そしたら、いきなり呻きだしたから…。私、心配で…。」
「…そうか、ありがとな。んじゃ遠慮なく。」
「あぁ、腰いてぇ…」
「それはこっちのセリフなんだけど。というか、もう一回初めてからの方が勢い強かったよね?」
「ふふ。でも、東雲君が元気になってくれたなら、良かったかな。」
「お前らなぁ…。」
疲れた時は酒を飲み、友人と喋り、女を抱き、よく寝る。
これが気持ちよく生きるコツだとどこかの居酒屋で聞いた。
まぁ、どうせどこかのオヤジが流した話だろうが…。
「案外的を得てんのが腹立つな。」
「「?」」
「何でもねぇよ。」
「彰人、白石、小豆沢。朝ごはんが用意出来た。食べるぞ。」
「「「はーい」」」
☆★☆
「そういえば白石、昨日言っていた話の事だが…。」
「あぁ、悠馬君と葵ちゃんの事?前から知り合ってたんだけど、昨日来てくれたんだよねー!」
「へぇ、俺らを超えようってコンビか。いい度胸じゃねぇか。」
「あれ、彰人やる気じゃん?」
「…思い出しちまうよな、あの日の事。」
伝説を創った夜。
喉で支配し、歌で魅了し、全身で掴み、放さない。
私達はなんにでもなれると思っていた。
それぐらい達成感もあったし、本気だった。
でも今は…
「私はあの子達の事、素直に応援出来ないや。」
「…小豆沢。」
「何でなんだろうね。…なんだか、上手く応援出来ないの。もちろん、あの子達が駄目って訳じゃなくて…。これは、私自信の問題だよね。」
「おいおい、これからライブなんだから湿っぽい話はやめてくれよ。気分下がっちまうだろ。…ご馳走様。」
「あ、ちょっと彰人!今の言い方は…。」
「俺はずっと昔に全部言ったはずだ。…なぁこはね。お前は、どうしたいんだ?」
…私は!
ワタシハ…?
ドアが閉まってからも、答えはでないままだった。
私、こんなに女々しい女の子だったのかな?
頑張ってる人すら応援出来ないのかな…。
☆★☆
「…俺だって抱いた女にこんな事言いたくねぇよ、クソッ。」
行き場のない憤りは、空を切る形で消えていった。
どうも、ナンダムです。
そろそろR18タグを付ける時なのかもしれません。
でも大人な四人のねっとりした雰囲気出したくて…(伝われ)
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