ゆとりハンター(IB勢)が4Gの世界で洗礼を受ける話 作:0cean
初投稿です。自伝です。ほぼ実話。
ちょうどライズ発売した年に書いたやつです。
消すのもったいなかったので投稿♪
ここは現大陸ハンターズギルド・バルバレ支部闘技場。時刻は深夜2時。一人のハンターがイャンクック相手に死闘を繰り広げていた。
男は大剣を両手に振りかぶり、渾身の一撃を巨鳥の頭目掛けて振り下ろし
――スカった。盛大にスカった。
いや始めから攻撃がまともに当たったことなんてあっただろうか。
すかさず巨鳥の突進を受け、男は吹っ飛ぶ。
「クソクソクソ!ふざけんな!聞いてない!」
もはや死闘ではない。この場はイャンクックによる蹂躙と化していた。
男は叫ぶ。
「最初の雑魚モンスターがこんな強いなんて!!」
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事の発端は一通のDMであった。
MR999の自称プロハン・Oceanの下に同業の友人・ルーさんからDMが来たのだ。
『お兄さんや、暇なら4gやらんか?』
アイスボーンを4000時間こなし、導きの地はオールレベル7。やることと言えばマンネリ気味のモンスター1000体狩猟くらいしか残っていなかった彼は、夏休みだったこともあり二つ返事で了承した。
「ここがバルバレか〜」
そして、二日後
彼はバルバレギルドに旅行で来ていた。
大陸間移動の持ち込み制限にて特殊装衣やスリンガー、武器防具を没収されはしたがなんとかたどり着けた。
ルーさんからは「とっても良いところだよ〜」と言われていたため少し気になる場所であったのだ。
「さーせーん!クエオナシャース!」
「古龍でも狩りますか〜」とクエストを受けようとしたOceanであったが、どうやらギルドの規約によりHRは1からの扱いとなるためクエストを受けられなかった。そのため外部でも受けられる闘技クエスト01『イャンクック』で腕試しをすることにした。
「イャンクックって誰だよwクルルヤックかよw」
…
……結論から言うと彼は現大陸を舐め腐っていた。
………洗礼を受けたのだ。
「おい!タックルどうやんだよ!クソが!!」
メイン武器ではないものの全武器を人並みに使えるという自負がある彼を裏切ったのは、タックルも真溜めも強化撃ちもない現大陸産の大剣であった。初めて持った武器のように体が思うように動かないのだ。
「てかダメージ表記どこいったんだよ!?」
新大陸でこそダメージ表記が当たり前であるが、現大陸にはそんな常識は通用しない。この地のハンターたちはモンスターのひるみや部位破壊、瀕死行動から残り体力を逆算していたのだ。
「体がかってにガッツポーズをッ」
回復薬を飲んだら身体がかってにガッツポーズを行い、すかさず飛んできた火球がわずかな回復量を上回った。何もかも思うように行かず、別の世界の知らない誰かになったような感覚が彼を襲う。
見えない当たり判定に慣れない体の動きが確実に彼のヒットポイントを削り、着々と追い詰めていく。全てがジリ貧であった。
そして、そのときは来た。
「グハッ」
血を吐きアイルーに運ばれるOcean。
巨鳥の鋭爪が彼の胸を引き裂いたのだ。それからは早かった。まず最初に回復薬が切れた。そして注意を奪われた彼は被弾が増え、確実に乙を稼いでいく。
残り5分、4/5乙、回復薬なし、部位破壊なし。
初心者には絶望的な状況であり、諦めても咎める者はいないだろう。
「ありえない。ありえないありえない、認めたくない俺は、俺はMR999のプロハンだぞッ!!」
そう言葉を発すると、今まで誇りであったMR999という数字が途端に身体を縛る鎖のように重くなる。防具が無ければ何もできない無力な自分を実感する。
「俺は…俺は…。」
今 ま で 何 を し て き た の か
配信をしてるプロハンが紹介してる誰がやっても勝てる温い狩りの繰り返し。おかげでMRこそ上がっても、そこに実力は比例していない。だって幼稚園児のお遊戯と大して変わらないお遊びの狩りなのだから。
「いつからだったかな…」
いつからだろうか、戦いに楽しさを見い出せなくなっていたのは。効率に冷めきったつまらない動きをするようになったのは。
「俺は…俺は…」
ど れ だ け の 時 間 を 無 駄 に し て き た の だ ろ う か
気付く
くだらない称号に執着し、技術を磨くことを疎かにした結果が今の自分自身であると。
「…ッ!?」
迷いを咎めるように飛んできた火球に被弾し、吹き飛ばされる。
体力は半分を切った。
「昔は…」
昔はもっと戦えた。昔の自分ならもっと乙を気にせず、負けることを気にせず、ひたむきに戦えた。
友人と共に
ソロで
かの
あのときは、あのときは、あのときは…
今や昔の、偉業を成した当時ならどうだっただろうか。
「グッ!?」
胸に今までにない衝撃を受ける。イャンクックの突進を真正面から受けてしまったのだ。
体力は火事場ラインを切った。
『しょうがない。初めてだから』
『俺は悪くない。運が悪かっただけだから』
『大丈夫。リセットして次本気出せば勝てるさ』
MR999の巨大な影が甘い言い訳を囁く。そして同時に不安や絶望、無力感、虚無感、喪失感、いろんな感情が彼の中で渦巻く。
敗北―その2文字が浮ぶ。
Oceanは武器を納刀し、ゆっくりと立ち上がった。
この状況を見ている者がいるとすれば誰もが、心が折れたと感じるだろう。
だが、
「………れない。負けたくない。諦めない。」
ハンターは顔を上げ巨鳥を見上げる。
「イャンクック…お前は確かにどんな鳥竜種よりも強いよ。でも、だけど……」
ハンターは駆け出す。
「俺は…」
その瞳に溢れんばかりの闘志が宿る。彼の心にあるのは名もなきハンターとしての矜持か、それとも終わりなき狩猟本能か。
身体はとうに限界を迎えている。息も絶え絶えだ。でも彼はもう止まらない。
「俺は…もう逃げないッ!!」
かくして、この物語の主人公・ハンターOceanの歩みはここから始まる。最初の壁は
「ラァッ!!」
迫りくる巨鳥の嘴を紙一重で避けて、溜め攻撃を叩き込む。
イメージするのはかつて憧憬した剣聖の太刀筋。あの武人は初見の
攻撃して、突進をローリングでいなして、もう一度溜め攻撃を放つ。泥臭く、不格好な戦い方だが今の自分にできる最大の動きを続ける。
『あるものは すべて使え!周囲をつぶさに観察しろ!想像力だ!体のみならず 頭を使え!』
脳裏をよぎるのはかつてゾラ・マグダラオス戦で総司令の放った言葉。
ギミックはないかと周囲を見渡し、見つけた小さな段差を使ってジャンプ攻撃を仕掛ける。
「乗れた!!……くそッ!?!!」
初めての乗りシステムからすぐに振り落とされてしまう。ならばもう一度、もう一度と、戦いの中で乗りをマスターしていく。
体力は猫火事場ラインを切り、意識が朦朧とする。イャンクックにもようやく疲労が見えるようだ。
『相棒!!』
最後に脳裏を過ぎ去るのは、かつての仲間たち。導きの青い星の下に集った狩人達の姿だった。
「そうか…俺にはみんながいたのか…。」
それはハンターとしてのOceanが積み重ねた唯一心の底から胸を張って誇れるセリエナでの絆。
人と人の繋がりの大切さ。そんな当たり前のことに今さら気付き、恥ずかしくなる。
だからこそ
勝ちたい。負けたくない。挑みたい。掴み取りたい。胸を張れる狩人〈ハンター〉に、今度こそ。
ひたすら大剣を振るう。振るう。振るい続ける。
イャンクックも翼を広げOceanを迎え撃つ。
この瞬間だけは、まるで闘技場が一人と一頭、二人の戦士だけのもののように錯覚する。
…
……
………永遠とも思える刹那の末
【【【 メインターゲットを討伐しました 】】】
【【【 20秒後に帰還します 】】】
そのアナウンスが流れるとともに、彼は気を失うのだった。
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☆エピローグ☆
試合後のインタビューにて、自称休暇中のプロハンOcean氏はこのように語ったという。
「現大陸まじパネェっす。大変っすね〜!」
「え?自分っスか?余裕っした〜」
「あ、今後っすか?自分は予定があるんで…うぃっ」
だが、このときの彼はまだ知らない。
自分の醜態が全国に晒されていたことを。
ギルド上層部が近年のゆとりハンターの増加を重く捉えていたことを。
セリエナに帰還後、総司令から現大陸での実地研修が彼に言い渡されることを。
彼の悲劇は始まったばかりだということを。
これはゆとりハンターの俺が、現大陸を制覇して今度こそ胸を張れる本物のプロハンターを目指す話。
そして物語の因果は異形なる古龍との邂逅を果たす。
きっとそうに違いない。
★ 次 回 予 告 ★
総司令から現大陸実地研修を言い渡され絶望に暮れるOcean。そんな彼の前に現れたのは諸悪の根源・DMの差出人であるルーさんだった。彼はなんと、【HR1】!?え、雑魚じゃん帰れよ。え、4周目?さーせん許して!帰らないで!!なになに、4gはチャアクと操虫棍が強い?おっけメイン武器はチャアクで行きます!
次回「あ、このチャアク不良品っスね^^」
全てを越えた先でまた会いましょう!
続く(未定)