ゆとりハンター(IB勢)が4Gの世界で洗礼を受ける話   作:0cean

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久しぶりにIBやると本物の神ゲーで驚きますよね。






Episode2 「このチャアク不良品です^^」

 

 

 

 

「だ〜か〜ら〜!一番良いのを頼むっつってんじゃん?あるっしょ、あれ!あれ!」

 

 一人の男が店頭で騒いでいた。

 

 

 

 

 ここはバルバレにある唯一の武器屋前。時刻は午前11時。

 先程から武器屋の青年へ必死に何かを訴えている男の名前はOcean。かつて自称MR999のプロハンであったが、現在は【HR1】の駆け出しハンター…つまり初心に帰り、心機一転したのか。

 

 イャンクック相手に死闘を繰り広げた彼は心を入れ替え、本物のハンターを目指す決心を付けたのだ。

 

 Oceanは何か武器屋に訴えているようだ。

 

「あれだよ、アレ、アレ。最序盤に貰える武器倍率ぶっ壊れてる爆破武器!必要素材も任務クエスト進めるだけで揃うやつ!!あるでしょ!初心者からRTA勢まで救済してくれる神武器!はよ!はよはよ!」

 

 前言撤回。この男はイャンクックにボコボコにされても何も変わっちゃいなかった。社会を舐め腐ったゆとりの根性はそう簡単には治らないものだ。

 

 武器屋の青年は答える。

 

「ぁあ?何言ってるかわからねえが、【HR1】に出す爆破武器なんてあるわけねぇだろうが!」

 

「あ、そーいうこと言っちゃう系ね。へー、ははーん。俺が誰だかわかってない感じか〜」

 

「イャンクックにボコボコにされたって話題の新大陸出身ルーキーだろ?」

 

「え、おいその話誰から聞いたっ!!」

 

「そんなの酒場で有名なネタさ。みんなお前さんのこと知ってるぜ?なあ、期待のルーキーよ!」

 

 

 青年はそう締めくくると、Oceanの肩をポンと叩き奥に行ってしまった。

 

 そして、取り残された彼はというと、顔を真っ青にして呟く。

 

「マ?え、ちょ、ホンマ勘弁してぇ…」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 時刻は数日遡る。

 

 イャンクック討伐を果たした翌朝、速攻で新大陸に帰還しようとしたOceanの宿にギルドの使いが訪れ、手紙を置いていった。

 どうやら彼がセリエナを出た直後、後を追うように新大陸から手紙が出されたようだ。

 

 

 

『ハンター・Ocean殿

 近頃新大陸のハンターのゆとり化が起きていると将軍から聞かされていてな、現大陸での実地研修を予定しているのだ。そんな中バルバレへ行くと聞いたのでな、休暇中すまないが2つ程頼まれてくれないか。なあに、黒龍を越えたお前なら簡単な仕事さ。詳細は下記に添付する。

 

【➀現大陸実地研修の下見】

現大陸各地の実地研修の下見を頼む。手始めに向こうのギルドに登録し、G級まで上げて来てほしい。

 

【②古龍渡りの調査】

現大陸各地に潜む古龍についての痕跡採取及び、バルバレでの情報収集を頼む。

 

                 総司令 』

 

 

 

 ?

 

 ??

 

 

 ビリビリビリ

 

 手紙を破くOcean。

 

 慌てて破片をかき集めるOcean。

 

 そして男は顔を真っ青にして、脂汗をダラダラと流しながらベッドに入り込む。そして5時間後、ようやくベッドの中でノソノソと動き出し一人の戦友にDMを送った。

 

 

 

 

 

DM∶ルーさん

 

 

「助けてください」

「お願いしますガチで」

「ヤバイどうしよ」

「いややっぱお前のせいだわ」

「責任取れ許さねえ死ね」

 

『どしたん話きこか』

 

「4Gなんの武器強い…?」

 

『4Gはチャアクと操虫棍やね』

『え?てかお前今どこよ??』

『ちょっと??おい無視すんなー?』

……

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そして後日、冒頭の場面に続く

 

 

 

「マ?え、ちょ、ホンマ勘弁してぇ…」

 

 

……

 

 復帰の早い男・Oceanはさっそく気を取り直し、初クエストである【肉焼き】を受け、遺跡平原へ来ていた。

 

 背中にはボックスにあった初心者用チャアク・クロムナイトフォートレス。本音を言えばこんな武器倍率カスみたいなチャアクをもつ事自体が不満しかないがそこは我慢する。チャアクが強いと聞かなかったら絶対に持っていなかったと思う。

 

 初期クエストならチャアクの試し切りにもうってつけか、と歩き始めたOceanの前に一人の少女が現れた。

 

「おっすおっす、しゃんしゃん!ようやく来てくれたんだね」

 金髪碧眼ツインテールの完璧にキャラクリされた美少女がそこにいた。

 

「うわ出た変態」

 彼女の名前は…いや彼の名前はルーさん。Oceanをこの地に引きずりこんだ諸悪の根源にしてHR999のギルドカードを複数所持しているプロハンである。どうやらOceanを助けにわざわざ来てくれたようだ。

 

「え?てかルーさんともあろう方が何そのみすぼらしい格好?」

 彼の知るルーさんとはおしゃれのレベルも非常に高く、キャラクリだけでなく重ね着や色設定で常にかわいい見た目にしている意識高い系なのである。そんな彼が一体なぜ初期装備のくそしょぼインナー防具なのか、、、一つの疑問が湧いた。

 

「そりゃぁ〜もちろん一緒に旅をするために最初から始めるのさ!」

 

「は??」

 Oceanは耳を疑った。

 

「しゃんしゃんにこのMHシリーズ屈指の名作の良さを教えてあげるよ!」

 

「え、じゃあ、今HRいくつ…?」

 恐る恐る聞く。

 

「【HR1】さ!!」

「雑魚じゃん帰れよ!!!」

 思いっきり怒鳴った。

 

「あちゃ〜。まあ安心してよ。こう見えて4周目だから。TAもそこそこやってたんよ?」

 

「本当にごめん、キャリー頼んますorz」

 

 そう言って【HR999】のギルドカードをチラチラと見せてくるルーさん。すかさず土下座して謝るOcean。二人のお決まりパターンであった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

時刻は午後3時

 

気を取り直したOceanとルーさんは本来の目的であった遺跡平原へと足を運んでいた。目的であった肉焼きをさっさと終わらせるためである。

 

「さて、ここらでいいかな。しゃんしゃんに操作のレクチャーをしてあげよう!」

 

「おお〜!!」

 

「といっても君オールラウンダータイプで全武器そこそこ使えたよね?だいたいはワールドのチャアクと要領は同じだよ。斧強化とかGPがあったりなかったりするから注意ね」

 

「いやいや舐めないでもろて。それくらい楽勝よ。お、ちょうどいい雑魚モンス発見〜!今倒しに行くぜ!ドスジャグラスもどき!」

 さっそくモンスターに飛びかかるOcean。

 

「いやいやそれドスジャギィだから…。」

 友人の無知ぶりに顔をしかめるルーさん。

 

 

 

 

 

 

 

「……。ん?いやどうしてこの☆1肉焼きクエストに大型モンスターが…。しかもあのドスジャギィ…」

 悲しきかな、プロハンの疑問も虚しく走って行ってしまうOcean。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ビン回収してたら死んだwザッコww」

 ドスジャギィを瞬殺したOceanは浮かれていた。思い出したのだ、カンストMR装備で下位モンスをいたぶる気持ちよさを。

 だから気付かなかった。いくら下位のドスジャギィといえど初期装備で瞬殺できるわけがないことに。

 そして、だから見落とした。後ろから高速で突進してくる甲虫種を。

 

 

 

 

「しゃんしゃん!甘いよッ!!」

 

バコンッ

 

 

 咄嗟に後ろに入ったルーさんがチャアクのGPでガードする。そして迷わずドスジャギィの亡骸を剥ぎ取りに行くOcean。

 

 高速で飛び回りこちらを警戒している巨虫を横目に歴戦のハンターは異常事態を察する。兵隊がここにいるということは…と最悪の想像をし、ため息を吐く。

 

「……徹甲虫アルセルタスか…。ドスジャギィが明らかに瀕死だったから警戒してたけど、まさか初期クエストでこうなるとはね。この周回では何らかのイレギュラーが起きている可能性もあるのかな?」

 

「どうしようかしゃんしゃん、初期装備だとちょっと不利かな。一旦帰るのもありだと思うけど…ってしゃんしゃん!おい何無視して剥ぎ取ってんだよ殺すぞ!」

 

「〜っし、剥ぎ取り完了!ビンもさっきので溜まった。ルーさんや、俺はもう逃げないって決めたの。帰る理由がどこにあるわけ?」

 ドヤ顔で告げる

 

「剥ぎ取り早ッ、いやまあ君ならそう言うだろうと思ったよ。やつの名前はアルセルタス、“今の段階では”動きが早いだけの虫だ。一応その装備でも戦えないことはない。やばくなったらカバー入れるから好きにやるといい。」

 言っても言う事を聞かないのだ。ハンター・ルー=デスペラードは目の前の馬鹿について考えることを諦めた。なるようになればいい。周囲の痕跡を見る限り最悪の想定は必要なさそうだ。

 

 

「行くぜ相棒(クロムナイトフォートレス)!!」

 好敵手を見つけたとばかりに鉄製のチャアクを抜刀しアルセルタスへ走って行くOcean。その瞳には本物のハンターへの憧れが強く写る。真の狩人(ハンター)はここで立ち向かう。そう憧れが訴えかける。

 高速で移動しハンターにその巨大な角で突進を仕掛ける巨虫。

 

 

「出し惜しみは無しだ!行くぜッ!!」

 盾強化を済ませ、アルセルタスの攻撃にGP―ガードポイントを合わせ超出力解放属性斬り―超解放をぶち込む。手応えは上々。あまりの威力に徹甲虫も大きく怯んだようだ。様子からして十分なダメージを与えられていることがわかる。すぐに鋭い剣撃で追い打ちをかけビンをチャージする。

 

 

「もう一発ッ!!」

 すかさず飛んできた反撃をGPでいなし再び超解放を放…………………………不発し、高出力属性斬りが出てしまい盛大にスカった。

 

 

 

「え??」

 

 手元のチャアクを見る。そして時が止まった。たった今盾強化したばりなのにすでにチャアクから輝きが失われてしまっている。

 刹那の思考。一つの可能性にたどり着き、両手に持つゴミ(クロムナイトフォートレス)を地面に叩きつける。

 

 

 

 

 

「あんのカス、不良品のチャアク押し付けやがったなッ!!!!」

 

 

 

 勘 違 い で あ る 

 

 

 現大陸(4g)のチャアクは強力ではあるが超解放を撃つたびに盾強化が解除されるというどうしようもない欠陥仕様なのだ。何が最強武器だ。斧強化もない、超解放もめんどくさい。なんだこの儀式ばっかり大変でただただ使いにくくて使いこなせない雑魚武器種は。思うように使いこなせなかった時が一番萎える。

 

「しゃんしゃん!危ない!!」

 そしてキレ散らかすOceanの横っ腹に高速で飛来したアルセルタスの角が突き刺さり、記念すべき初クエストにおいて華麗な1乙目を飾るのであった。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

☆エピローグ☆

 

 だが、まだ彼は知らない。

 この程度の悲劇はまだ悲劇ですらないことを。

 

 そして彼の側にいる最優のハンターは後に語る。

 4周目の世界はまさしく地獄であったと。

 

 悲劇はさらなる惨劇を引き起こし、圧倒的な力の前に大地は避け、狂気の侵蝕は異常な早さで拡大していっていることに、まだ俺たちは気付かない。

 

 

 これは俺が本当の狩人〈ハンター〉になる物語

 

 

 まだまだ先だけどね。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――

★ 次 回 予 告 ★

 

 アルセルタスってカマキリなの?ハエなの?てかアイスボーンに大型の虫系のモンスターっていなかったよね。流石にキモいから?。そんなこんなデカ虫と死闘を繰り広げる俺!と、そこに不穏な知らせが。

「しゃんしゃん、このクエスト失敗するかも」

 額に冷や汗を流し金髪の少女はそう告げる。え、ルーさん??何をそんな腑抜けたこと言ってるのちょっとやめて本当。本物のハンターを目指す俺に「逃走」と「失敗」はありえないんですけど?

 

Ocean∶次回・ルーさん死す!!

ルー∶おい殺すなー!

 

 

次回「岩なし王の雫、知ってる?」

 

 

 

 

全てを越えた先でまた会いましょう

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

★キャラ紹介コーナー★

 

◎Ocean 17 ♂

 蒼いブリゲイドシリーズを好んで着る銀髪のチャラ男。口調は「〜っす。〜ッス」。コロナで高校休校中にひたすら導きを回してた阿呆。

 HRの値や導きの地の地帯レベル、モンスター討伐数などを絶対視しておりHRが999未満の相手に見下した態度を取るクソ野郎。ハンターとしての腕前は全武器において並程度であり、TAwikiルールや闘技クエストを嫌い、防具やアイテムに頼り切った脳死戦法を好んでいた。

 また、乙ることやクエスト失敗に対して異常な拒否反応を示しておりソロ・マルチ・救難参加問わず自分や味方が乙ると態度が悪くなり、失敗しそうになるとすぐにリセットするなど目に余る地雷行為も目立つ。

 

 現大陸において、ハンターに憧れていたかつての童心を思い出し、今度こそはと“本物のハンター”になることを目指し歩き始めた本作の主人公。本物のハンターを目指すようになってからはライト/ヘビィを弱者のチキン武器と見下すようになり、近接でガチンコで戦う意外は本物ではないと謎の持論を展開していくことになるめんどくさいやつ。

 

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