ゆとりハンター(IB勢)が4Gの世界で洗礼を受ける話 作:0cean
小説書くって難しいんですね。小説と呼べるかすら怪しい駄文ですが、楽しんで貰えたら嬉しいです。
フルダイブかどうかってコメントいただきましたが、そこらへん特に考えずに書いてました()。その案でいきますか。
突然だがこの世界にはどうしようもなく理不尽で足掻きようのない瞬間というものがある。脳で理解していてもいざその瞬間が来てしまったら、ただ死を待つばかりの躯とかすというそのときだ。
偶然か必然なのか運命というものは確かにあり、決して認められない運命に直面し、どうしようもない絶望感と無力感を味わう死期に人は走馬灯を見るという。
例えば最終エリアまで追い込んだ魔獣ベヒーモスが死に際に放つ、世界の理すら捻じ曲げる最高最大の一撃・エクリプスメテオ。コメットが粉砕され、いざジャンプをしようとした瞬間に溶岩口が噴出し吹き飛ばされてしまったその瞬間。
例えばかつて王国を一夜で滅ぼした黒龍の御業・却火。全てを燃やし尽くす煉獄の炎が背後に迫り来るとき、味方に裏切られ防護壁から閉め出されたその瞬間。
そう、例えば導きの地のその先、幽境の谷に住まう古龍の中の王たる完全体の赤龍が、遮蔽となる岩がないにも関わらず最終奥義・王の雫を放つべく空高く舞い上がったその瞬間。
隕石に押しつぶされ、
灼熱の炎に全身を焼かれ、
降り注ぐ青白い光に魅了され、
何を思うのだろうか。
絶対の死に直面したとき、わずかな時間を使い君たちは何を感じ、何を見て、どのように散るのか。
そしてこの物語の主人公・Oceanの憧れる“本当のハンター”ならば、その死期にどうするのであろうか。
迫りくる運命に圧倒され、ただただ諦めるのであろうか。それとも風車へ挑むがごとく闘志を滾らせ蛮勇とも見える決死行を行うのだろうか。
決断のときは近い。
とあるハンターの下に、一つの分岐点が迫っていた。
――――――――――――――
「オラァ!!!」
男は機械仕掛けの剣と盾を器用に用い、ガチャガチャと組み合わせ斧を成す。全身の遠心力を使って巨大な盾斧を甲虫に向けて叩き付ける。
ギギギギィィィ!!!
相対する徹甲虫・アルセルタスもまたハンターを向かい打つべくその鋭く巨大な爪を持ってして斬撃を放つ。
方や下位モンス、そしてもう一方は初期装備の並ハン。五分五分の戦いが始まっていた。
「クソっ、武器が弱すぎる!」
拮抗し決定打にかける戦況に苛立ちが現れる。先程から何度もチャアクを振るい続けているのに一向に弱らないのだ。これは5分針コース絶対無理だ…とイライラばかりが募る。
「しゃんしゃーん!弱点ちゃんと狙わないとー!!」
声をかけたのは彼の戦友にしてプロハンのルーさん。歴戦の猛者だからこそOceanがちゃんと弱点に攻撃を当てられていないことに気付いていたのだ。
「さんきゅー。ふぅ…」
気の抜けた返事をするとともに冷静さを取り戻す。本物のハンターへの憧憬からか頭に血が昇っていたが、改めて眼前の甲虫を観察するところから始める。
特徴的なのは素早い機動力を確保している羽、固く鋭い両手の爪に頭の角。肉質はそこまで固くないようだが如何せん今の武器ではまともにダメージが通らない。部位破壊すれば弱点になるのであろうか…いや、今の武器のスペックでは至難の業だ。
「全てのモンスターは頭が弱点じゃないのかよッッ!」
生物である以上あながち間違いないではないが、モンスターには肉質という概念があり、それぞれの武器種に対応した弱点がある。長い脳死狩猟生活〈導き散弾罠ハメ〉の影響か、相手の弱点部位など気にしたことがなかったのだ。故に今回のように頭が硬い角によって覆われているタイプは、頭部の部位破壊を狙うよりも他の柔らかい箇所を狙って攻撃するのが基本的なセオリーである。
ボルボロスやディアボロスなど、新大陸でもそのようなモンスターはいた。ではなぜそんな初歩的なことも知らないのか。答えは簡単。危険度の低いモンスターは相手にしなかったし、高難易度のモンスターは大体頭を狙っておけば間違いなかったからである。だからこそ今まで相手の弱点や肉質を意識したことがなかったのだ。
加えてダメ押しには、新大陸の技術である特殊装衣やクラッチクローによる傷つけはそれを可能にした。取り敢えず全身傷つけておけばオールオッケー。ちまちま弱点狙うのが大変だったら不動転身着込んで狙えるところ斬りつければいいと。
しまいには彼がお世話になっていた
改めて全身の各部を狙い、手応えで弱点を探す。肉質を意識することなんていつぶりであろうか。ハンターとして大切な階段を一段ずつ登っていく。
「腹の裏側か!!」
よく観察し、無防備である部位を見つけた。
「……後はどう攻めるべきか。」
闘技場でのイャンクック戦を思い出し、脳内へ今できる理想の動きを思い描く。
プロハンを真似し弱点に貼り付いてひたすら攻撃をするのがベストではあるが、自分にはそれを可能にするだけの実力がないことを以前痛感した。確実に攻撃を捌き、相手へ安定して攻撃できるようによく観察し動きを考える。
下位だけあって行動パターンは落ち着いて見れば容易に見切れるし、そこまで遅れを取るような相手ではない気がしてくる。
「ここだっ!!」
二連で振られた爪をガードポイントで合わせ、高出力をお腹に叩き込む。そして、すかさず盾を構え撤甲虫との位置を調整する。
――下位モンス程度被弾ゼロで倒せなきゃ真のハンターにはなれない。
彼のやろうとしていることは単純明快。機動力のある盾と剣で普段は攻撃し、隙のあるモーションに高出力を叩き込むというものだ。
必死で脳死斧ぶんぶん&超解放を撃ちたい自分を抑え込む。一回で大ダメージを当てて被弾するよりも確実にダメージを与えていき被弾しない動きの方がDPSは上がる。無意識でありながら狩りの本質に近づく。
――よく動きを観察しろ、集中、集中だ。
闘技場で見せたあの戦い。多くの者に笑いものにされる中、一部のG級ハンターたちはそうではなかった。イャンクック戦終盤に見せた無我の境地の攻防、彼の戦意と集中力に確かなハンターの姿を見た者たちがいた。
それほどまでに執念を感じされる何かがあの瞬間にはあった。本当の極限状態に出したあの全身が研ぎ澄まされていく感覚を思い描き、動きを最適化させていく。
――本当のハンターはこう動く。
「……。………ふぅ…。」
小さく息を吐き再び盾を構える。
ギギギギィ!!!
アルセルタスもまた怒り状態へ突入し、動きが早くなる。高速でハンターの周りを飛び翻弄し、目の前の小さき人間を殺すべく全力で攻撃をしかける。
落下の加速を利用し、その巨大な角を持ってして全身全霊の突進をする。
「来た!!」
背後から来た突進をGPで受け流し、アルセルタスの"頭部"に高出力を叩き込む。完璧なタイミングでのカウンター。反撃をされた甲虫は体勢を立て直すべく空へ逃げようとする。
しかし
――榴弾ビンの追撃には強力な
撤甲虫は体勢を整えられず撃墜する。
「喰らえ!ビン4個分だ……!」
すかさず榴弾ビン4個分を乗せた超解放を叩き込む。
確かな手応えと共に甲虫の角と右の刃が砕ける。部位破壊、確実にダメージを与えられていた証拠であり、様子からもうそろそろ瀕死が近いとわかる。
ダウン時間はまだある。斧を剣に構え直し再び腹を斬りつける。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(数分前)
「おお、頑張ってる頑張ってる!…ん?」
離れたところから様子を見ていた歴戦ハンター・ルー=デスペラードは一つ異変に気付く。
彼のOceanへの評価は仲の良い並ハンであり、お世辞にもプレイスキルが高い類いとは認識していなかった。共にミラボレアスを周回した前回だって雑魚乙して即抜けするようなカスだった。
――あれ、本当にしゃんしゃん?
眼前に繰り広げられる戦いを見守る。
無駄が多く不格好だ。だが、自分やTA勢達のように最適化された動きではないにも関わらず、被弾を全くしていない。防御重視で反撃に徹底している。まるで相手を見極めようとしているような、不自然な動き。
そしてそのとき、戦友の纏う雰囲気が変わった。
突然、防御重視のチキンスタイルから攻撃重視の戦法に切り替わる。積極的に攻撃を仕掛けつつ、被弾は完全に抑えている。チャージアックスの隙が多い大技や斧モードは最小限にして立ち回ることでアルセルタスの動きに完璧に対応してみせたのだ。
見る見るうちに動きが良くなっていく。早さだけを追求した自分たちの戦い方とはどこか違う、全てを正面から迎え撃つ、正統派を地で行くスタイルの戦い方。
「…すごい。まさかここまで…いったいこの数日で何が…。……それに…。」
その戦い方から、雰囲気から、戦意から、何かへの執念・憧れのようなものを全身にビリビリと感じる。
「……。懐かしいかも。」
壁に向かってがむしゃらに立ち向かうその姿勢が。
何があっても決して諦めないその眼差しが。
強敵へと挑むその狩猟が。
眼前に繰り広げられる攻防一体の戦いが、まるで映画のワンシーンのようで魅入ってしまう。
「……。」
経験、実績、知識、実力、人望、才能、全てを揃える最優のハンターはその瞬間、かつてかけだしだった頃の自分を思い出す。
まだ知識も経験も何もなかった頃の自分。
溢れんばかりの狩猟本能を胸にこの世界へやってきた日のことを。
金髪の少女は微笑む。
――ああ、本当に連れてきて良かった
――しゃんしゃん、キミさ
――最高に“ハンター”してるじゃん。
ギギギィィィィイイイイイイ!!!!!!!
そのとき、耳をつんざくような咆哮が聞こえた。Oceanが上手くアルセルタスを追い詰めたのだろうか。
ドドドドドドドドドドト
そして、同時に巨大な存在感を放つ何かが高速でこちらのエリアへ向かっていることに気付く。
「…!!来ちゃったかぁ。うわ無理〜。」
歴戦のハンターは全てを察知し、すぐさま救難信号を発射、チャット欄にメッセージを打ちこむ。
「実質裸ノーダメ…しかも武器的に勝つことは無理か。一応出したけど救難は絶望的だよね。…これは真面目に詰みか。」
小さく呟き、最優のハンターは隣のエリアへと歩みを進める。
勝てないことはわかっている。なんならリセットか帰還してしまえばいいだけのこと。でもそれはできない。どんなに絶望的で理不尽な状況であっても、後輩ハンターにあんな戦いを見せられた後ここで逃げられるハンターなんていない。
「こんな姿しゃんしゃんには見られたくないわな。」
正直本気でビビっている。冷や汗を流し、手が震え、恐怖で足が竦む。ハンターとしての矜持なんてもの投げ出して逃げてしまいたい。あまりにも絶望的だ。でも挑むって決めた。ここで逃げたら“ヤツ”はアルセルタスのところへ行くだろう。あの戦いの邪魔はさせたくない。恐怖を狩猟本能に変え、無理やり意識を切り替える。
「さながら岩なし王の雫に挑むハンターってね。」
金髪の少女は巨大な気配のするエリアへと足を踏み入れる。
……そしてその直後、高速で飛来した何かによって大地が砕け、轟音が響き渡った。
〜〜〜〜〜〜〜
ピコン!
【チャット】
ルー∶しゃんしゃん、このクエスト失敗するかも。
それはアルセルタスとの戦闘中突然流れた。瀕死に入りあと数分もあれば片付けられるだろうか。
「え?は?あのルーさんがなんで??」
――せっかく勝てそうなのになんて不吉なことを。情けない、本当にアイツHR999なわけ??これだからモンハン老害勢は。ギルドカード返納しろよ。はあマジ萎えるわー。どっちがキャリーしてんだかwうわだるいなぁw俺がキャリーするしかないのかーw
少女の決死の想いは全く届いていなかった。
これは最優のハンターが歩む軌跡。
そして、後に現大陸を救う伝説の狩人の物語。
ほんとかなぁ…?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★ 次 回 予 告 ★
戦闘!勝利!剥ぎ取り!この瞬間が一番生を実感する。そんな勝利の美酒に浸る俺の下に巨大な影が。
「え、ガンダム種運命で見たやつだ!!」
「それザムザザーな」
うん、俺でもわかる。あれは無理。どうしよ。てかなんかやばいオーラ放ってない?でも逃げるのは違うよなぁ…。主人公ってこういうとき謎の力に覚醒するものだよね。じゃ持ち芸のあれやりますか!行くぜ全てを越えた先で3…//やめろおおおお!!
次回「歴戦個体はMHWからです←」
あなたに導きの青い星があらんことを。
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★キャラ紹介コーナー★
◎ルーさん(ルー=デスペラード)男 年齢不詳
Oceanの友人にして最優のハンター。中身は大学生くらい。だいたい美少女のアバター使ってる変態で、今回は金髪碧眼美少女のアバターになってる。ゴスロリ、チャイナ、キャラコスプレとにかく重ね着コーデのおしゃれセンスが異次元。TwitterのDMで声かけてディスコグループ作ったりするコミュ力高い系彼女持ち性格めっちゃいいカス。プロレスが好き。
モンハンは2ndからやっている超古参でほとんどの作品HR999超えているガチの変態。2ndGが一番面白いらしい。色んな作品に愛着を持っててアイスボーンのアルバトリオン初見討伐時にBGM聞いて泣き始めたやべーやつ。全武器でTAやってたことあるくらいなんでも使えるタイプ。メインはコロコロ変えるけど今はガンランスらしい(前はハンマーだった)
夏休み中だったOceanにブックオフで4Gが300円で売ってるよと誘って魔境に引きずり込んだ張本人。諸悪の根源。サイコ。ちなみに彼がOceanをしゃんしゃんと呼ぶのはOceanさん→Oceanしゃん→おーしゃんしゃんって流れで生まれた偶然の産物。
ちなみにモデルになった人には一切許可取ってない。
バレたらそっと消します。