共に乗り込んだ騎士達と故郷の話をして多少仲良くなった…と思う。
そうして俺は城の前にまで連れて行かれ、騎士達が俺を槍で拘束したまま謁見の間にまで案内する。
其処にはなにやら不機嫌そうな王様と大臣。
そして……。
「スフィア嬢、宿に居たのでは?」
錬と元康に樹、その他の仲間が集まっていた。
そしてマインは俺が声を掛けると元康の後ろに隠れて、こちらを睨んでいた。
「どうしました?」
まるで俺が悪人みたいにみんなが俺を睨んでいる。
「本当に身に覚えが無いのか?」
元康が仁王立ちで俺に詰問してくる。
「何も無いですよ?ああ、そうだ。私の部屋に置いていた銀貨が無くなっていましたね。」
ふと、元康が俺の革鎧を着ている事に気が付いた。
…まだ、問わないでおこうか。まずは相手の主張を聞かないとな
「お前、まさかこんな外道だったとは思いもしなかったぞ!」
「外道? 何のことですか?」
俺の返答に、謁見の間はまるで裁判所のような空気を醸し出した。
「して、盾の勇者の罪状は?」
「うぐ……ひぐ……盾の勇者様はお酒に酔った勢いで突然、私の部屋に入ってきたかと思ったら無理やり押し倒してきて」
「…」
「盾の勇者様は、「まだ夜は明けてねえぜ」と言って私に迫り、無理やり服を脱がそうとして」
元康の後ろに居たマインが泣きながら俺を指差して弾劾する。
「私、怖くなって……叫び声を上げながら命からがら部屋を出てモトヤス様に助けを求めたんです」
「…」
…なるほど、馬鹿だ。大馬鹿だ。
これを元康達は信じているのか?
「何を言っているのですか?昨夜は一滴もアルコールは摂取していないですよ。そもそも彼女が居る身としてはスフィア嬢には全く魅力を感じません。」
「嘘を吐きやがって、じゃあなんでマインはこんなに泣いてるんだよ」
「知りませんよ。」
この様子では元康とは、話にならない。一応王に進言しておくか
「王よ。寝込みに革鎧とこちらに来た際の服と銀貨約390枚の入った袋を盗まれました。どうか犯人を捕まえてください」
「黙れ外道!」
王様は俺の進言を無視して言い放った。
「嫌がる我が国民に性行為を強要するとは許されざる蛮行、勇者でなければ即刻処刑物だ!」
「そこまで言われるのでしたら私がしたと言う証拠がお有りで?」
反論をすると王は手を上げ証拠を持つ兵士を呼んだ。
「先刻、盾の勇者の泊まっていた部屋を捜索した際、このようなものが。」
「キャア!」
その兵士の手には破れていない女性用の肌着があった。
ちらりとマインに目を向けると誰からも見られていないと踏んだのか、マインは俺に舌を出してあっかんベーっとする。
「はぁ、その下着を持っている貴方は私を呼びに来た兵士の中にはいませんでしたね。いつ捜索したのですか?」
「…」
兵士は答えない。少なくともこの場では勇者ですら無い犯罪者に答える口はないらしい
「答えよ」
「はっ盾の勇者が宿を経ってすぐに捜索しました。」
王が痺れを切らし兵士に命じた。模範的な兵士だな
次の質問だ
「では捜索後どのように城に戻ったのですか?」
「最短距離を馬で駆けました。」
「おかしいですね最短距離を通ったのなら私が乗っていた馬車とすれ違っていますよ。それにーー」
「はっ! 強姦魔が何を言ってやがる」
元康がいきなり会話に入ってきた。
鬱陶しいが無視したら面倒な事になるだろうなぁ
はぁ、
「どうしました?元康さん?まだ、話しているところですよ。」
「どれだけ弁解してもお前がしたことは悪なんだよ」
「私は何もしていないですが?むしろ身に覚えの無い冤罪で非難されているのですが。」
「ならなんでマインはこんなに泣いているんだ!」
「知らないですって」
「嘘をつくな!」
「…はぁ。王様、元の世界に帰す手段が有れば返してください。」
「異世界に来てまで仲間にそんな事をするなんてクズだな」
「そうですね。僕も同情の余地は無いと思います」
「都合が悪くなったら逃げるのか? 最低だな」
「そうですね。自分の責務をちゃんと果たさず、女性と無理やり関係を結ぼうとは……」
「帰れ帰れ! こんなことする奴を勇者仲間にしてられねえ!」
「最後だから言うけどなんだその話し方は、気持ち悪いぞ」
「ただの仕事時の話し方ですよ」
異世界に来てまでどうしてここまで言われないと行けないのだろう?
5年ぶりに取れた休暇の始まりがこれで気分が悪くなるぞ普通なら
「で、戻せるのですか?」
すると王様は腕を組んで唸った。
「こんな事をする勇者など即刻送還したい所だが、方法が無い。再召喚するには全ての勇者が死亡した時のみだと研究者は語っておる」
「……な、んだって」
「そんな……」
「う、嘘だろ……」
「ああ、やっぱり。自己紹介の前に質問があったのに答えなかったのはこうならないためでしたか。」
「黙っていろ!」
ガン!
俺の腕を後ろで掴んでいた兵士が膝裏を蹴ってきた。汚れのない貴重な仕事着だぞ!
「そろそろ離してください。皺になったらどうするのですか」
俺はさらっと騎士の拘束を剥がす。
「こら! 抵抗する気か」
「暴れねえよ!」
騎士の一人が俺を殴る。
ガン!
良い音がした。けれど痛くも痒くも無い。
どうも騎士の方はそうではなかったようで殴った腕を握って痛みを堪えている。
「…もう、取り繕う必要も無いか。王様、俺の冤罪に対する罰は何ですか?」
軽く腕を振り、痺れを治してから尋ねる。
「……今のところ、波に対する対抗手段として存在しておるから罪は無い。だが……既にお前の罪は国民に知れ渡っている。それが罰だ。我が国で雇用職に就けると思うなよ」
「なるほど…」
つまり冤罪ふっかけて奴隷に堕とせなかったから、一度放出して犯罪に手を染めさせて殺すか奴隷に堕とすのだろう。
「1ヵ月後の波には召集する。例え罪人でも貴様は盾の勇者なのだ。役目から逃れられん」
「はいはい、お優しい王様」
チャリ……。
あ、そうだった。念には念をと盾に隠して置いたんだったな。
「ああ、そうだった。ほらよ」
最後に残った俺の全財産である銀貨30枚を取り出して元康の足元にばら撒いておいた。
「うわ! 何するんだ、お前――!」
元康の罵倒が聞こえてくるが知ったことではない。
城を出ると道行く住民全てが俺の方を見てヒソヒソと内緒話をしている。
ホント、噂話の伝達が早いことで。
呆れて物も言えない。
こうして俺は信頼と金……全てを失い、最悪の形で冒険が幕を開けたのだった
「休暇どうすっかな」
日本政府
戦争開始直後から核戦争に発展すると考えていた為、アメリカ側で参加していると言う姿勢を見せるために自衛隊と徴兵隊を派兵した。
実は核ミサイルは4発ほど飛んできていたが撃墜し被害を抑える事に成功している。(運試しに勝利)
戦争終了後、まだ機能していたイギリス政府とコンタクトを取っていた。