盾の英雄記   作:トッポ(チョコ無し)

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謁見

「ま、まずは王様と謁見して頂きたい。報奨の相談はその場でお願いします」

 

ローブを着た男の代表が返事を待たずに重苦しい扉を開けさせて道を示す。

 

「……しょうがないな」

「ですね」

「ま、どいつを相手にしても話はかわらねえけどな」

 

たくましい奴らはそう言いながら付いて行く。俺も置いて行かれないように後を追うのだった。

 それから俺達は暗い部屋を抜けて石造りの廊下を歩く。

……故郷に似た空気を感じる。…戦争だ!戦争の雰囲気だ。

まぁ、それを知った所で何も行動することは無い。

俺達は無言で廊下を歩き、謁見の間に辿りついた。

 

「ほう、こやつ等が古の勇者達か」

 

本の少し頭を下げ、目だけで観察する

謁見の間の玉座に腰掛ける偉そうな爺さんが俺達を値踏みして呟いた。

なんとなく印象が良くないなぁ……。人を舐めるように見る奴を俺はどうも好きになれない。あの爺さんにとって価値が無くなれば処分されるだろう人類戦線の盟主連盟の様に

 

「ワシがこの国の王、オルトクレイ=メルロマルク32世だ。勇者共よ顔を上げい」

 

頭を戻すますます、連盟に居た無能に似ている

まぁ、一応は王族であり行政のトップだ。大人しくしとこうか。

 

「さて、まずは事情を説明せねばなるまい。この国、更にはこの世界は滅びへと向いつつある」

 

王様の話を纏めるとこうだ。

現在、この世界には終末の予言と言うものが存在する。いずれ世界を破滅へ導く幾重にも重なる波が訪れる。その波が振りまく災害を撥ね退けなければ世界は滅ぶというのだ。

その予言の年が今年であり、予言の通り、古から存在する龍刻の砂時計という道具の砂が落ちだしたらしいのだ。

この龍刻の砂時計は波を予測し、一ヶ月前から警告する。伝承では一つの波が終わる毎に一ヶ月の猶予が生まれる。

当初、この国の住民は予言を蔑ろにしていたそうだ。しかし、予言の通り龍刻の砂時計の砂が一度落ちきったとき、災厄が舞い降りた。

次元の亀裂がこの国、メルロマルクに発生し、凶悪な魔物が大量に亀裂から這い出てきた。

その時は辛うじて国の騎士と冒険者が退治することが出来たのだが、次に来る波は更に強力なものとなる。

このままでは災厄を阻止することが出来ない。

だから国の重鎮達は伝承に則り、勇者召喚を行った。

というのが事のあらましだ。

言葉が分かるのは俺達が持っている伝説の武器にそんな能力があるそうだ。召喚陣に言語理解の魔術を入れてないのが不思議だ。

 

「話は分かった。で、召喚された俺たちにタダ働きしろと?」

「都合のいい話ですね」

「……そうだな、自分勝手としか言いようが無い。滅ぶのなら勝手に滅べばいい。俺達にとってどうでもいい話だ」

 

ニヤけたまま言われても興奮が隠しきれてなくて微妙な空気になるぞ。

今回はバレてないみたいだけど。…まあ、俺も便乗するか。

 

「確かに、助ける義理も理由も無いよな。タダ働きした挙句、平和になったから『さようなら』されたらたまったもんじゃ無いしな。というか帰れる手段ってある?無いなら無責任過ぎない?」

「ぐぬ……」

 

 王様が臣下の者に向けて視線を送る。自身の言葉にせずに責任を逃れるやり方か賢いな。…これに比べて家の盟主長は『えー、そこの配置こうじゃない?あっ、責任は取らないけど』とか言って高官達に叩き出されてたっけ懐かしいな。

 

「もちろん、勇者様方には存分な報酬は与える予定です」

 

俺以外の勇者達はグッと握り拳を作った。

どれぐらいと明言してないな。本当にくれるのか怪しいな

 

「他に援助金も用意できております。ぜひ、勇者様たちには世界を守っていただきたく、そのための場所を整える所存です」

「へー……まあ、約束してくれるのなら良いけどさ」

「俺達を飼いならせると思うなよ。敵にならない限り協力はしておいてやる」

「……そうだな」

「ですね」

 

どうしてコイツ等は常に上から目線なんだよ。

現状、王国が敵になったら一番困るのは俺達だぞ。

まぁ、戦うにしても先立つものがなければどうにもできないからな、援助金と報酬がある明言を取れただけマシか

 

「では勇者達よ。それぞれの名を聞こう」

 

ここで俺は気が付いた。これ、さっきまで読んでいた本。四聖武器書に似ていないか?

剣に槍に弓、そして盾。

勇者という共通項もあるし、という事は俺達は本の世界に酷似した世界に召喚されたのだろう。

剣の勇者が前に出て自己紹介を始める。

 

「俺の名前は天木錬だ。年齢は16歳、高校生だ」

 

剣の勇者、天木錬。外見は、美少年と表現するのが一番しっくり来るだろう。

顔のつくりは端正で、体格は小柄の165cmくらいだろうか。

女装をしたら女の子に間違う奴だって居そうな程、顔の作りが良い。髪はショートヘアーで若干茶色が混ざっている。

切れ長の瞳と白い肌、なんていうかいかにもクールという印象を受ける。

細身の剣士という感じだ。

正直、剣に向かない身体だ。多少は振れるのだろうが競技用の剣道系だろう。

「じゃあ、次は俺だな。俺の名前は北村元康、年齢は21歳、大学生だ」

 

槍の勇者、北村元康。外見は、なんと言うか軽い感じのお兄さんと言った印象の男性だ。

錬に負けず、割と整ったイケメンって感じ。彼女の一人や二人、居そうなくらい人付き合いを経験しているようなイメージがある。

髪型は後ろに纏めたポニーテール。男がしているのに妙に似合っているな。面倒見の良いお兄さんって感じだ。

…ちょっと盟主長と同じ雰囲気があるな。特に女難の気配がほぼ同じ、こっちの方が薄いか。

 

「次は僕ですね。僕の名前は川澄樹。年齢は17歳、高校生です」

 

弓の勇者、川澄樹。外見は、ピアノとかをしていそうな大人しそうな少年だ。

なんていうのだろう。儚げそうな、それでありながらしっかりとした強さを持つ。あやふやな存在感がある。

髪型は若干パーマが掛かったウェーブヘアー。大人しそうな弟分という感じ。

あの目、恐らく正義に憧れてるか。勇者は正義の権化みたいなものだしな。現実と夢を混同しなければ良いが、

そういえば、みんな日本人のようだ。あの顔で外人とかだったら驚くけどさ。

俺が最後だな。

「最後は俺だな、俺の名前は岩谷錵寅。年齢は26歳、大学生だ」

 

王様が俺を舐めるように見る。気持ち悪い。俺はホモじゃ無いんだわ

背中がゾワッとしたわ

王はもう一度全員の顔を見渡して口を開いた。

 

「ふむ。レンにモトヤスにイツキか」

「王様、俺を忘れてる」

「おおすまんな。カイン殿」

 

この謝り方、意図してやったな。…まだ、大人しく従っておくか。




「神と言っても異界の神だと思う」
「異界の、神」
「異界への干渉はワタルと言う成功例があるからの。」
「なるほど。こちらから干渉できるなら向こうから干渉もできるか。」
「…魔族達がこの大陸に来る前に召喚陣と共に異界への到達を目指した研究が進んでおった。恐らく今も残っておると思う。あの地は半異界化しておった。」
「その場所はどこに」
「この大陸の最南端、今は亡き魔導帝国の帝都でワシの元勤め先だ。」
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