盾の英雄記   作:トッポ(チョコ無し)

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ステータス

「では皆の者、己がステータスを確認し、自らを客観視して貰いたい」

「へ?」

 

ステータスって普通に見れるのか…

 

「えっと、どのようにして見るのでしょうか?」

 

樹がおずおずと王様に進言した。

いきなりステータスとか何の話だよコラ!

 

「何だお前ら、この世界に来て真っ先に気が付かなかったのか?」

 

レンが、情報に疎い連中だと呆れたように声を出す。

知るか! というか、何だその情報通ですって顔は。

 

「なんとなく視界の端にアイコンが無いか?」

「え?」

 

言われるまま、俺は何処を見るでもなくぼんやりとすると視界の端に何か妙に自己主張するマークが見える。

 

「それに意識を集中するようにしてみろ」

 

ピコーンと軽い音がしてまるでパソコンのプラウザのように視界に大きくアイコンが表示された。

 

 岩谷錵寅

 職業 盾の勇者 Lv10

 装備 スモールシールド(伝説武器)

    異世界の服

 スキル 無し

 魔法 陣魔術

    刻印魔術

    付与魔術

 

 

さらっと見るだけで色々な項目があるけれど割愛する。

ステータスとはこれの事か。造ったゲームに似ているな。

レベル10…まぁ、あそこで沢山殺したからなぁ

 

「Lv1ですか……これは不安ですね」

「そうだな、これじゃあ戦えるかどうか分からねぇな」

 

他はレベル1か、殺しどころか喧嘩もしてなさそうだな

本当に魔物を殺せるのか怪しいな

 

「ステータスですか」

「勇者殿の世界では存在しないので? これはステータス魔法というこの世界の者なら誰でも使える物ですぞ」

「そうなのか?」

 

 現実の肉体を数値化して見ることが出来るのが当たり前なのか、これは驚きだ。前世はステータスなんてものなくて当たり前だったんだけどなぁ。世界の違いって事で置いとくか。

 

「それで、俺達はどうすれば良いんだ? この値は不安だからな」

「ふむ、勇者様方にはこれから冒険の旅に出て、自らを磨き、伝説の武器を強化していただきたいのです」

「強化? この持ってる武器は最初から強いんじゃないのか?」

「はい。伝承によりますと召喚された勇者様が自らの所持する伝説の武器を育て、強くしていくそうです」

「伝承、伝承ね。その武器が武器として役に立つまで別の武器とか使えばいいんじゃね?」

 

元康が槍をくるくる回しながら意見する。

それもそうだ。というか俺は盾。盾だけでも戦えるが、武器がある方がなにかと便利だし戦いやすい。

 

「そこは後々、片付けて行けば良いだろ。とにかく、頼まれたのなら俺達は自分磨きをするべきだよな」

 

異世界に勇者として召喚されるという燃えるようなシュチエーション。

是が非でもやってみたいという思いが沸々と湧いてくる。

なんていうか夢一杯の状態で興奮が冷めそうに無い。

他の連中はみんな己の武器に御執心だ。

質問もせず己の武器の説明でも読んでるらしい。

俺が聞いておくか。

 

「俺達四人でパーティーを結成するのか?」

「お待ちください勇者様方」

「ん?」

 

王様は一切答えず大臣が進言する。

 

「勇者様方は別々に仲間を募り冒険に出る事になります」

「それは何故ですか?」

「はい。伝承によると、伝説の武器はそれぞれ反発する性質を持っておりまして、勇者様たちだけで行動すると成長を阻害すると記載されております」

「本当かどうかは分からないが、俺達が一緒に行動すると成長しないのか?」

 

武器の所に伝説の武器の使い方とかヘルプがついていた。

みんな気が付いたようで目で追っている。

 

注意、伝説の武器を所持した者同士で共闘する場合、反作用が発生します。なるべく別々に行動しましょう。

 

「本当みたいだな……」

 

というか何このゲームっぽい説明は。

まるでゲームの世界に入り込んだみたいだ。

ズラーっとこの武器の使い方が懇切丁寧に記載されているけれど、今は全部読んでいる暇はなさそうだ。

 

「となると仲間を募集した方が良いのかな?」

「ワシが仲間を用意しておくとしよう。なにぶん、今日は日も傾いておる。勇者殿、今日はゆっくりと休み、明日旅立つのが良いであろう。明日までに仲間になりそうな逸材を集めておく」

「ありがとうございます」

「サンキュ」

 

 それぞれの言葉で感謝を示し、その日は王様が用意した来客部屋で俺達は休むこととなった。

 




盟主長 コルト・フォン・アールホルド
男 56
人類戦線の盟主長であり魔族を従え実質的に大陸の統一を行った存在。
アールホルド帝国の現皇帝で何度も軍や自国の領主に口出ししてその度に叩き出されているのを多くのメイドや執事、果てには商人にも目撃されている。
それでもなおトップに立つだけのカリスマと実力を持っている
自分の息子が家出しその先で死亡したが、孫が生きている事だけは魔導具で確認できている(場所は分からない)

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