盾の英雄記   作:トッポ(チョコ無し)

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「仕事やだ!」
「今日は少なくとも寝れませんからね。頑張ってください閣下」
「もうやだ!この子と隠居するもん!」
「新種の魔族じゃん本当に仕事増やすな!このバカ皇帝!」
「ガヴ?」
「閣下、少なくとも3日はこの部屋で拘束させてもらいますね」
「えっ?ボク、皇帝だよ?君の上司だよ?」
「うるさいですねさっさと仕事に取り掛かってください」


仲間と出発

翌朝、日が登る前に目を覚まして昨日、確認できなかったヘルプ項目にざっと目を通しながら王様からお呼びが掛かるのを待っていた。

他の勇者達が起き出し日の傾き具合から10時過ぎぐらいに俺達は呼び出しを受けた。

待ってましたとばかりに期待に胸を躍らせて謁見の間に向う。

 

「勇者様方のご来場」

 

謁見の間の扉が開くと其処には様々な冒険者風の服装をした男女が12人ほど集まっていた。

騎士風の身なりの者もいる。

おお……王様の援助は凄いな。

俺達は王様に一礼し、話を聞く。

 

「前日の件で勇者の同行者として共に進もうという者を募った。どうやら皆の者も、同行したい勇者が居るようじゃ」

 

一人に付き3人の同行する仲間が居るのなら均等が取れるな。

 

「さあ、未来の英雄達よ。仕えたい勇者と共に旅立つのだ」

 

え? そっちが選ぶ側?

これは俺達も驚きだった。

まあ、よくよく考えれば異世界の良く分からない連中に選ばせるよりも国民の方に重きを置くよなぁ。

なんか順番に並ばされる。

ザッザっと仲間達が俺達の方へ歩いてきて各々の前に集まっていく。

 

 錬、5人

 元康、4人

 樹、3人

 俺、0

 

「王よ!」

 

なんだよコレは! 幾らなんでも酷いんじゃねえか。

俺のクレームに王様は冷や汗を流していた。

 

「う、うぬ。さすがにワシもこのような事態が起こるとは思いもせんかった」

「人望がありませんな」

呆れ顔で大臣が切り捨てる。

 

「召喚されて2日まで人望も何も無いとは思いますが?」

「むっ…」

大臣はバツが悪そうに綺麗に伸ばした髭を触っている。

そこへローブを着た男が王様に内緒話をする。

 

「ふむ、そんな噂が広まっておるのか……」

「何かあったのですか?」

 

元康が微妙な顔をして尋ねる。

さすがにこれでは不公平も甚だしい。何だよこの、小学校でチームを作って遊ぶ時に一人だけ仲間はずれにされたような感覚は。

幾らなんでも異世界に来てこんな気持ちになるなんて聞いて無いぞ。

 

「ふむ、実はの……勇者殿の中で盾の勇者はこの世界の理に疎いという噂が城内で囁かれているのだそうだ」

「それで?」

「伝承で、勇者とはこの世界の理を理解していると記されている。その条件を満たしていないのではないかとな」

 

元康が俺の側に寄ってきて小声で話しかけてきた。

 

「昨日の雑談、盗み聞きされていたんじゃないか?」

 

使用が違うゲームしか知らないって言うあれか?あれが原因で俺は仲間はずれにされているのか?

というかなんだよその伝承。

俺は詳しくないけど、曲がりなりにも盾の勇者だぞ!

そりゃあ他の勇者と比べると、攻撃力に乏しい武器持ちだけど、ここはゲームじゃねえよ!

 

「冒険者よ!誰か…カイン殿に同行したいと思う者は居らぬか!」

 

何か怯える羊みたいな目で俺を睨み錬に同行したい冒険者(男を含む)が錬の後ろに隠れる。

錬もなんだかなぁとボリボリと頭を掻きながら見て。

 

「俺はつるむのが嫌いなんだ。付いてこれない奴は置いていくぞ」

 

と、突き放す口調で話すわけだが、そいつらは絶対に動く気配が無い。

 

ちなみに男女比は、女性の方が多いという不思議。

ある意味ハーレムが完成しかけている。

 

「偏るとは……なんとも」

 

樹も困った顔をしつつ、慕ってくれる仲間を拒絶できないと態度で表している。

ちなみに元康の仲間はみんな女だ。何処までも女を引き寄せる体質なのかコイツは。

 

「均等に3人ずつ分けたほうが良いのでしょうけど……無理矢理では士気に関わりそうですね」

 

 樹の最もな言葉にその場に居る者が頷く。

 

「俺としては一人でも良いが」

「あ、勇者様、私は盾の勇者様の下へ行っても良いですよ」

 

元康の部下になりたがった仲間の女性が片手を上げて立候補する。

 

「良いのか?」

「はい」

 

セミロングの赤毛の可愛らしい女の子だ。人に取り入るのが上手い娘なのだろう。

 

「他にナオフミ殿の下に行っても良い者はおらんのか?」

 

シーン……誰も手を上げる気配が無い。

王様は嘆くように溜息を吐いた。

 

「しょうがあるまい。ナオフミ殿はこれから自身で気に入った仲間をスカウトして人員を補充せよ、月々の援助金を配布するが代価として他の勇者よりも今回の援助金を増やすとしよう」

「そうですか。」

 

妥当な判断だ。

俺を気に入らないなら仲間になりたい奴を探して補充するのが一番良いに越したことは無い。

 

「それでは支度金である。勇者達よ、しっかりと受け取るのだ」

 

俺達の前に四つの金袋が配られる。

ジャラジャラと重そうな音が聞こえた。

その中で少しだけ大き目の金袋が俺に渡される。

 

「ナオフミ殿には銀貨900枚、他の勇者殿には600枚用意した。これで装備を整え、旅立つが良い」

「「「「は!」」」」

 

俺達と仲間はそれぞれ敬礼し、謁見を終えた。

それから謁見の間を出ると、それぞれの自己紹介を始める。

 

「えっと盾の勇者様、私の名前はマイン=スフィアと申します。これからよろしくね」

「よろしくスフィア嬢」

 

何か遠慮かそんなのが無い感じでマインは気さくに話しかけてくる。

あんな出来事があったからなのちょっと気遅れした風に見えた。

 

「とりあえず行こうかスフィア嬢」

「マインで良いですよー」

 

マインは元気に頷くと俺の後ろに着いて来た。

 

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