TS綾小路とオリ主   作:七画

5 / 8




冗長な僕と彼女の独白

 

 

次の日

 

学校に登校すると真っ先に綾小路さんと堀北さんに捕まった

 

「貴方にはこれにサインしてもらうわ」

 

「....これ見た感じ僕にデメリットしかない内容だけど??」

 

堀北さんが渡してきたものは簡単な契約書だった

内容は噛み砕いて言うとAクラスに行くために全面的に協力するという僕に何の得もない酷い契約だった

こんなのにサインするの山内ぐらいだよ

 

「Aクラスに上がる為ならこれぐらい安いものでしょう?昨日、薄情な貴方が帰ったあと綾小路さんと考えて作ったのよ。申し訳ない気持ちがあるのならサインしなさい」

 

「まさか本当にそれで僕がサインすると思ってるのかい?」

 

「丹羽、諦めてサインするべき」

 

おお、ブルータスお前もか

綾小路さん...さり気なく契約書の僕が従う相手に入ってるんだよね

使い潰される未来しかないしサインは出来そうにないなぁこれ

 

「綾小路さん。僕は不確定な未来の報酬の為に今を捨てたくはないんだよ。目先の報酬の方がまだ納得できる。メリットがすぐに実感できないと僕はサインしたくないしね、用意出来ないのなら申し訳ないけど諦めてくれると有り難いかな」

 

と力強く力説していると痺れを切らした堀北さんが直接聞いてくる

 

「なら一体貴方は何が欲しいの?」

 

「簡単だよ堀北さん。僕が堀北さんに何時でもお願いできる権利をくれれば喜んでサインするよ」

 

思い切り踏み込んだ要望に綾小路さんが僅かに目を細めた

堀北さんに至っては予想していなかったのか少しフリーズしている

 

「....正直な所、失望したわ。まさかまだ懲りていないなんて」

 

見るからに堀北さんが呆れていた

懲りていないと言うけどそもそもあれは綾小路の嘘なんだけどね

どうせプライベートポイントとかの報酬を要求されると思っていたのだろうが甘いね

僕はこの手の機会を逃すほど僕は馬鹿じゃない

 

「あ、勿論だけど僕は不可能な事はお願いしないし、余程嫌な事なら断ってくれても構わない。単なるお願いだしそこまで重く見なくても平気だよ。あくまでも友人の頼み事程度だと思ってくれて構わない」

 

流石に僕もそんな絶対的な命令権を欲しいというわけではない

単に取っ掛かりが欲しかったのだ

少しずつで良いから相手に自分の要望を通し続ける....そうすれば人間誰しも一度通してしまえば気を付けていても緩くなっていくものだ

 

「それならまだ契約する余地はあるかも知らないわね...」

 

何とか納得して貰えそうだ

これで堀北さんは労働力を確保出来るし、僕も心置きなく堀北さんと仲良く出来る...素晴らしいWin-Winの関係だ

そう思い内心で喜んでいると黙っていた綾小路さんが乱入して来た

 

「堀北、この話は無かった事にしよう」

 

「ん、んん?あれ?綾小路さん?何故白紙にしようとしてるのかな?」

 

「丹羽はこんな契約書なくてもある程度なら堀北と私の言う事を聞いてくれると思う。それの丹羽が何を考えているのか分からないけど間違いなくよからぬ事だと思う」

 

おい、ブルータスやり過ぎだぞ

堀北さんが考え込んでしまったじゃないか

というか君達いつの間にか仲良くなってるよね堀北さんも自然に綾小路さんの意見聞き入れてるし

昨日何かあったからかな?後で綾小路さんに聞いてみよう

 

「それなら意味がないからやめた方が良いわね。丹羽君には悪いけれどさっきの話は無かったことにして」

 

「あ、そう。まぁ綾小路さんの言う通りではあるしね」

 

綾小路さんが見るからに僕に対して非難の目を向けているがあいにく心当たりが全くない

過去はもうあのイカサマ勝負の時に清算したはずだ

綾小路さんは僕にまだ何か恨みでも残っているのだろうか?

 

結局その後は僕と櫛田さん経由で赤点三銃士を呼び戻して堀北さんが謝罪し、もう一度勉強会を再開したのだった

 

 

 

綾小路視点

 

 

私がこの学校に来てから自分が本来なら学ぶ筈のない事を学び、ホワイトルームの頃では考えもしなかった変化が私に起きている

この環境によって私は更に成長出来ると思えた

しかしそんな私には今、警戒する人間がいる

丹羽万尋....最初の頃はただの気さくで優しい人物だと思っていた

だがそれは結局第一印象に過ぎなかった

あまりに親切に色々と教えてくれる事に少し警戒して

コンビニで買い物に手伝ってもらった時、私は彼に聞いた

 

「丹羽はどうして私にそこまでしてくれるの?」

 

「そうだなぁ....人間助け合って生きていくものだろう?なんとなく、だよ綾小路さん」

 

「・・・丹羽、なんか胡散臭い」

 

「失礼だなぁ、聞いてきたのは綾小路さんじゃないか」

 

そう言った彼は笑っていた

彼の目は言ってしまえば死んだ魚の様な目をしていた

だからそんな彼が笑うと凄く怪しい

結局私の予想は当たって、丹羽にアイスをたかられてから気付いた

 

「人に助けられたらお礼するのは当たり前だよ?」

 

「・・・・ちょっと腹が立つ」

 

一ヶ月が経ち私は丹羽とそれなりに親しくなった

そもそも私に話しかけて来る人が少なかった為必然的に近くの堀北と丹羽との会話が多かった

この学校でなら私も普通の高校生として生活できると感じ始めた矢先

今月のPP振り込みが0ポイントになりクラスが混沌と化した

私達は不良品らしい

私が感じていたこの学校のシステムに対する疑問も解けて少し納得した

クラスの一部の生徒はそれに対して異議を唱えていた

堀北もその内の一人だった

丹羽も成績は良かった方と話していたなので納得していないかと思ったが

彼はポイントを全部綺麗に使い切ってしまったらしく堀北にポイントを貰おうとして断られていた

私も貸せる程待っていないので諦めてもらうしかない

 

堀北に誘われAクラスに上がる為に協力する事になった

ある時の昼休み、担任の茶柱によって私の学力に疑いの目を向けさせ

堀北に私の学力の不信感を抱かれてしまった

当然の如く彼にも堀北経由で通達されてしまった

言葉では驚いたと言っていたが見た感じ全く驚いていなかったのには少し警戒心を抱かせた

早過ぎるとは思うが父からの刺客だろうか?

念の為気を付けようと思う

放課後、策を考える為にカフェに三人で入った

0ポイントの彼は厚かましくも私に奢らせて涼しい顔をしながら堀北の話を聞いていた

結局あまり案も出ずに今日は解散となった

その後自分の部屋に帰ってからは今日の出来事を思い返すことにした

茶柱が言ったクラス全員が必ず赤点を回避できる方法

あの時、やけに強調して言っていたのが気になった

もし仮に赤点を回避する方法があるならどんな方法だろう

恐らく勉強会ではあの赤点組が必ず赤点を回避出来る筈がないので他の方法となる

一度学習の観点から離れて考える必要がある

テストで点を取るためには答えを知っていれば良い

そうなるとカンニングと過去問ぐらいしか私には有効的な手段が思いつかない

となると過去問による赤点回避しかなさそうだ

教師から貰える事はあの言い方からしてまずありえないから上級生の誰かと取引で手に入れれば赤点は免れる事が出来そうだ

ここではPPで買えないものは無い、か

どうやら最初に説明されていた事は本当だった様だ

 

ここまで考えて私はこれを堀北に伝えるべきか悩んだ

この推測自体は筋がある程度通っているので調べる価値はあるけれど

これをすると私の評価が高くなってしまう

それは私にとって都合が悪い

私はあくまで平凡な生徒として何事もなく過ごしたいのだ

どうしようか考えてから妙案をひらめいた

丹羽が考えた事にすれば大丈夫かもしれない

そう思い、丹羽にメッセージを送ってその日は寝た

 

次の日、私はスマホの着信音によっていつもより少し早く起こされた

学校に行き、彼に事情を説明して堀北に伝えるように頼んだ

驚く事に彼は私の特異な出自に気付いていた

しかし特段興味が無いらしく友人として忠告しただけで特に何も言われる事はなかった

話題を変えて丹羽から堀北に言ってもらうように頼み込み最後には根負けして了承してくれた

なんとか了承してもらえて私は取り敢えず安心してしまった

だが、私は彼について誤解をしていた

私を友人と言ってくれた事が嬉しくて見逃してしまったのかもしれない

丹羽は...平然と嘘をつく人間だった

彼は堀北に私が言った通りの報告をして最後の最後で私の考えだとサラッと言い

結局、面倒ごとが増え、堀北の私の評価を有耶無耶に出来ず高まってしまった

勿論丹羽に相応の報いを受けて貰った

 

 

そのあとも紆余曲折あり、皆で集まった勉強会で丹羽とペアになり勉強をしていた

今回の範囲も私からすれば既に何年も前から知っているから勉強する必要がないので特にする事がない

隣に座り勉強している丹羽はやる気なさげにボールペンを走らせていた

静かにノートを書いている姿だけ見ると大人びた知的な印象を受ける

とても平気で人を裏切り、高笑いするようには見えない

丹羽が私の視線に気付いたのか適当に話を投げかけてくる

暇なので全部答えてあげた

どうせ彼には私の学力もある程度知られているだろうし答えても構わないだろう

彼が分からなかった所は数学の応用問題でよく理解していないと解けない問題だった

丹羽の学力なら躓いていてもおかしくはない

だが丹羽には何か引っ掛かりを感じる

体つきや実際に触ったときに調べたが身体能力に於いては普通だ

テストの点も比較的に高いが、堀北程では無くそこそこの学力しかない

だが時折、僅かに歪さを、ある筈のない綻びが見えてしまう程、非凡な思考をする事がある

私が普通じゃないと気付いた事がそうだ

少なくとも私には丹羽の底が見えない

けれど初めて出来た私の友達でもある

彼も言っていたが友人とは言え全てを話す必要はないのだ

私に秘密があるのと同じように彼にもあるのだろう

私がそうやって考えている時に彼は勉強に飽きたのかノートなどを片付け、代わりにトランプを取り出して私に笑顔で言った

 

「今からやるゲームで一度だけ相手に隠し事なしの質問が出来る賭け事をしない?」

 

私は暇だった事もありその賭けに乗り、イカサマをされて負けたのだった

予め何かしているとは気付けたが、何をやったかわからない程手口が巧妙だった

終わってからイカサマについても追及したらすんなりと手口をひけらかしてきた

 

 

「イカサマしちゃったし綾小路さんの勝ちでいいよ。これこそ勝負に勝って試合に負けた、だね。何か質問ある?誠心誠意答えてあげるよ」

 

彼が何をしたかったのかよく分からなかったが

私はどうやら絶好の機会を得たのかも知らない

彼の事だもしかしたら嘘をつくかも知れないが

聞きたい事を聞こう

 

「・・・・Dクラスには何かしら優れた才能と欠陥のある生徒。故に不良品と呼ばれる生徒が配属されていると茶柱先生に聞いた。何か丹羽は心当たりがある?」

 

それを聞いた時、丹羽が初めて真剣な顔で考え始め、直ぐに元の緩い表情で答えた

 

「一時期、学校に行くのが面倒になって不登校だった事ぐらいかな?それ以外は特にないと思うよ。あとこれは僕の個人的な意見だけど必ずしもあの先生が言っていた事が正しい訳じゃ無いと思うよ」

 

「そう....答えてくれてありがとう」

 

「寧ろ、こんな事で良いの?って感じだよ。過去の黒歴史教えてとかだったら僕は綾小路さんに逆らえなかったかもよ?」

 

「・・・どうせ真面目に答える筈無い」

 

「信頼無いなぁ。僕が勝ったら君のスリーサイズを教えて貰おうとしてたのに」

 

「また殴られたいなら言ってくれれば良いのに」

 

「もう懲り懲りだよ。君にやられた場所がまだ痛むんだよ?」

 

友人として彼と仲良くするのは根本的に間違いな可能性が出てきた

世間知らずな私でも流石に引いてしまうほどセクハラ発言である

 

 

 




疲れた
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。