○月△日
情報の整理のために日記を書くことにした。
日記と言ってもここは洞穴の中で紙もペンもないので、石を使って壁を掘るような形だが。
後、日付も分からないので雰囲気づくりのためだけに付けているだけで特に意味はない。
取り敢えず今までのことを書いていくと、僕はある日、交通事故で死んでしまった。
しかし、目を覚ますと体が縮んでしまっていた。
というか赤ちゃんになっていた。
最初は混乱したが、自分もオタクの端くれであったので、こういった妄想をしたことはあった。だから、なんとか状況を飲み込むことができた。
親や友達と唐突に会えなくなってしまったのは、やはり悲しいし、前世での後悔もあるが、そういったものは日記をつけれるようになるまでの数年間で折り合いをつけることができた。
しかし、2つほど懸念点がある。
1つは、女になっていたことだ。
ある程度落ち着いた後に自分の体を確認したところ、男の象徴が生えておらず、女のあれがあったので女に生まれたことを理解した。やはり生理だったり、自身の恋愛対象はどうなるんだとか色々不安なことはあるが今から悩んでどうにかなるものでもないので、一旦保留とした。
それよりも2つ目が問題で、どうやら僕はすごい昔に転生してしまったらしい。中世ヨーロッパとかそういう次元ではなく、まず住んでいるのが、洞窟、親が着ている服も、毛皮とかそんなレベル。
物語の主人公ならこんな状況でも、農業や科学の知識を使って無双できるんだろうけど僕には無理だ。
例えば、作物を育てるのに窒素とかリンとか使うと良いらしいとかいうガバガバ知識はあるが、「じゃあその窒素とかリンって自然界のどこにあるの?」となってしまう。
まあこればっかりは仕方ないので、知識無双は諦めてどうにかこの暮らしに慣れていくとしよう。
○月□日
今日は仕事をさせられた。まだ5歳の幼女なのに。
まあ現代の日本基準で考えると異常に思えるが、こちらの世界ではこれが普通なのだろう。
仕事の内容は、水くみときのみ集めだ。
きのみ集めはまだしも、水くみは想像していたより辛かった。
洞窟から川まではそこまで距離はないとはいえ、幼女の体で全く舗装されていない道を進むのはキツい。
しかも水をくんだ後の帰り道は、土器のような取っ手のない器で、そこそこの量の水を抱えて帰らなければならないので更に辛い。これを今日から毎日やらないといけないらしい。
現代日本の、蛇口をひねれば飲んでも腹を壊さない水が出る凄さに今更ながら気づくことになった。
大切なものは失ってから気づくってやつだね。
一応、朗報?もある。
親から聞いた話だが、この世界には普通の人とは違う特別な力を持つ「魔法戦士」なる人間がいるらしい。
なにせ、この世界に生まれてから初めての異世界要素だっただけに、その話を聞いた時はワクワクした。
「魔法戦士」は白い獣に力を与えられてなるらしい。
しかし詳しく聞いてみると、その「魔法戦士」とやらは化け物と戦うことになるので、基本的に大人の男がなるものらしい。
しかもその「魔法戦士」ですら、化け物との戦いで死ぬことは珍しくないらしい。
つまり、自分は大した力を得られないであろう上に、めちゃくちゃ強い化け物とたまにエンカウントする可能性があるということだ。
クソゲーか?この世界は
○月☓日
今日は色々衝撃なことがあった。
一応今日のことを時系列に書いていくと、まず僕はきのみなどを集めるために、一人で森にやってきていた。
そこで白い毛をした小動物が目の端に入ってきた。
その時「魔法戦士」に力を与える存在の白い獣とやらのことを思い出し、十中八九兎か何かだろうと思いつつも少し気になり、後を追いかけることにした。
その白い獣が向かった先に行ってみると、そこには白い体に赤い目、そして特徴的な耳毛を生やした動物がいた。
つまり、白い獣とやらはキュウべぇであり、僕が転生したこの世界は、「魔法少女まどかマギカ」の世界だったのだ。
混乱する僕に対し、キュウべぇは「何でも願いを叶えてあげるから、宇宙のために死ね(意訳)」と言ってきたので、僕は落ち着いて詳しい話を聞こうとした。
その瞬間、化け物が現れた。
明らかに普通の生物とはかけ離れたその姿を見て、僕は急いでその場から逃げ出した。
しかし、徐々に距離を縮められ、逃げられないことを悟った僕はここで死ぬよりはマシと思い、僕の足元に走ってついてきていた
キュウべぇと契約し、魔法少女になった。
願い事は慎重にしなければと考えていたので、願い事は後回しにして、魔法少女の力だけを先に貰った。
できるかどうかは分からなかったが、そこは融通が聞くようだ。
そして、魔法少女の力を使って何とか化け物を倒し、命からがら何とか家(洞窟)に帰ってくることができた。