敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗) 作:苦い経験100%
過去話-本音で殴るな、どうしようもないだろ
子どもには憎悪しかなかった。
自分を捨てた家族への復讐心しかなかった。
だから、ある組織に拉致された時、心の底から幸運だと思った。自身の復讐を果たせると思っていた。
だのに、ある少年が邪魔をする。
彼は子どもに「自分達がやっている事はやらせない」と強く表明し、事実そうなるように行動していた。
子どもがやるなら復讐も遊びか、子どもは問うた。
軽んじられていると思ったのだ。子どもだから、そんな理由で抑え込められるのが我慢ならなかった。
「ああそうだ。まだ
だから、その言葉に子どもは息を呑んだ。
自身の行いは「取り返しがつかない」ことを、ここで子どもは初めて強く意識した。
初めて自分の行動を停止した。ここでようやく、名前を捨てた子どもは自身の意識が定まった。
思想に耽ることはなく、感情に溺れることもない。
子どもは、少年の側にいるようになった。
だが復讐を捨てたわけではない。先の発言をするような少年が何なのか、知りたくなっただけ。
少年は組織の幹部だった。しかし立場は他と比べて弱いのか、幹部の誰に対しても敬語だった。
だというのに、譲らないときは頑として譲らないのだから面白いと思った。
「よし、今日は計算系やろっか」
少年は教育者でもあった。彼が庇護する子どもの中には、読み書きや計算ができないものもいた。彼はそんな子ども達に、時間を見つけては簡単に物事を教えていた。
なぜ自分から仕事を増やすのだろう? そもそも、僕らが読み書きや計算が出来ても意味がない。こんなことより、復讐の方がよほど大事だ。
親身になるくせに、僕の復讐は否定する。僕らを戦わせるような提案は強く反対する。教えてもらえるのは、応急手当てのやり方、読み書きと計算、それとスラムの知識。
…いろんなことを教えてくれるのに、復讐のやり方は一つとて教えてくれない。
「ねぇ、どうして僕を止めるの?」
子どもは問うた。原点の疑問を吐いた。
すると、少年は悩んだ末にこう聞いてくる。
「盗みをやったことは?」
「…ない」
「泥と血だらけの手で食ったパンの味は知ってる?」
「知ら、ない」
「罪悪感も湧かないほど飢えたことは?」
「…ない、そうなる前に此処にいた」
「やらかした後で、罪悪感に塗れて死にたくなったことは? 盗みを咎められるだなんて当たり前のことで、喉が裂けそうになる程嬉し泣きしたことは?」
「…───何が言いたいんだよさっきから!!」
要領を得ない話に、子どもは爆ぜたように怒鳴る。
少年は苦く笑ってから、子どもの手を取って言った。
膝を折って、子どもと目を合わせながら。慣れていることなのか、その動作はとてもスムーズで。
「しなくても良い経験はして欲しくないし、そんなことをして死んでほしくないって思ってる奴がここにいるって話。
…ぶっちゃけちゃうと、俺の我儘なんだけどさ。子どもがそうなるのって、すごい嫌なんだ」
それでいて、とても優しい声色で。
どうしようもない程の、我儘だった。
それが少年の動機であり、思いだった。
「綺麗な手だ」
「───……」
ああ、この人は馬鹿なんだと子どもは思った。
「汚れちゃったら、お兄ちゃん悲しいぞ」
「っ…………」
そんなことで、恨みや辛みが晴れるわけない。
正しく我儘だ。この人は、自分が嫌だという理由で僕から「復讐」という選択肢を奪い続けている。
それは子どもが辛い目に遭ったり、死んだりするのが嫌だからという単純な理由で。
…子どもは復讐心を捨てたわけじゃない。恨みなんて簡単に晴れない。憎悪は確かに心にへばりついている。
だけど、子どもは復讐を諦めることにした。
少年が、きっとそれを永遠にさせてくれないだろうから。そう思い知って、選択肢を一つ消した。
「…僕の、負けです」
「へ? 何が?」
同情心も、道徳心もない本音。
辛い経験をして欲しくないし、死んで欲しくない。
そんなのを見るのは嫌だから。
それを我儘と言い切る。
びっくりするほど単純な理由。
単純だから、どうしようもない。嫌と言いたくなるほどに、少年はわからされてしまった。
その日から、ジャックはブラス・リッターの側にいるようになる。でもそこに、以前のような観察するかのような目はない。まるで側近のように、右腕のように彼はいる。
どんな心境の変化があったのかはわからない。ただ彼は、重要な選択をしただけである。
───これは、過去の話。1人の子どもが、ある未来を少年によって殺された話。
Tips:ジャックくんはDLCボスだったりする。なおそんな未来を変えた彼は、このことを全く知らない。どうやら告知を見る前に没したらしい。
短め番外編
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野郎どもの猥談