敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗)   作:苦い経験100%

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何度も書き直してたら間があいちった



トロフィーが解放されました>コラテラルダメージ

 

 知らないものを知っていく。

 初めて触れるもの、学ぶものばかりだ。

 

 第四スラムの光景は、驚きの連続だった。それはクサビ主任も同じなのか、ゴミ箱を見ては「注射器が一本もない…」って驚いていた。

 その他にも「シンボル的なもの」だとかがないとか。

 

 スラムに近づくな。大人達は皆してそう言う。

 それは治安の悪さが最大の理由だ。肝試しで地下スラムに行った子ども達が、そのまま帰って来なくなるなんていう事件も実際にあった。

 でもここでは、そんな事件起こりそうもない。

 

 …ボクは知らなかった。ここが例外なだけかもしれないけれど、スラムは単に悲惨な場って感じの、漠然としたイメージだけがあったんだ。実情も深くは知らない。

 大抵の知識は学校で習ったものばかり。

 その日を暮らすのも大変だとか、そこの子どもは学校にも行けてないだとか、犯罪が横行するだとか。

 でも、それだけじゃないんだと今は思う。

 

 いくつかある屋台のうちの一つ、料理を取り扱っているところに行こうと主任の指示に従う。

 頼んだのは、スープを2杯。注文を受けて、商品を用意する最中に店主の人が聞いてきた。

 

「あれ、見ない顔だね。何処から?」

「あー…地下の方から」

「…そっか、悪いこと聞いちゃったね…お詫びにしてはケチくさいが、なんか知りたいことあったら、何でも聞いてくれよ! 名前なんてーの?」

「ああ、えっと…アマオトです。

 隣の人は、カネグサって言います」

「よろしくねー」

 

 偽名を名乗って、出身地にも嘘をつく。

 スラムの調査をする上で、変装は不可欠だ。そういうことで、ボク(アマオト)クサビ主任(カネグサ)は服装を変えている。

 ボクは黒シャツに白のパーカーに加えて、髪の中に幾らか赤色を入れられた(女性局員からの要望で研究された、毛にダメージがほぼ入らない染髪剤らしい)。

 

 クサビ主任は慣れているのか、雑に髪を束ねては顔の左半分を隠すように包帯を巻いて、赤いジャケットを羽織っている…包帯には血糊が少し付けられてた。

 ボクはフードを目深にかぶるだけ。

 人の認識は案外緩いらしく、目元が隠れれば大凡の問題はないとはレオネさんとユカタンさんの弁だ。

 

「実は、ある人を探しに来てまして」

「人探しか、そいつってウチ出身のやつ?」

「いやー…そうって訳でも…青白っぽい髪をした男の人なんですけれど…心当たりとかありませんか?」

「あるにはあるが…ああー、ちょっと待ってくれ…今から俺が知ってる奴の特徴言ってくぞ?」

 

 店主さんは、ボクより4、5歳程年上に見える。彼は顎に手をやりながら、思い出すように呟いていく。

 

「目つきが少し悪い」

「少し鋭いです」

「背丈はアマオトさんより少し高い?」

「はい」

「青白い髪」

「綺麗で好きな色って思いました」

「……クソ真面目」

「…恐らくそうですね…」

「………()()()()()()()()()()

「え? あ、はい浮いてまし───」

よぉし、ちょっと待ってろ。今からあのバカに電話してお袋さんから去勢して貰うよう説得してくる

「はい!?」

「へいお兄さん待って待って待って待って」

 

 きょせ、去勢って何!? 横で話を聞きながら周りを見ていたクサビ主任も、目を剥いて店主さんの肩を掴む。

 一体何がどうなったらそんな判断になるの!? ボクと同じようなことを思ったのか主任は慌てて尋ねた。

 

「お兄さんその一回落ち着こう、うん一回ね? 勘違いだったらまずいでしょ色々と!!」

「気分を悪くしたらすまないが、あのバカはここ最近、酒の勢いでやらかしてる!そこにこの子と来た!女遊びを教えた覚えはないんだが…!」

「アマオト、ごめん『確定』だこれ」

「ぐぼぉはっ!?」

 

 ちょっと待って欲しい。

 本当に心の底から待って欲しい。

 

 確かに、現状一致するの一人しかいないけど!! ハズレじゃなくてよかったと思ってるけも!!

 だけど、いや、なんかこう、あるじゃん!! 確定するにしたってこう、何かこうあるじゃないか!!

 

 血を吐いて倒れながらボクは呻く。

 

 …よく考えてみたら「肋骨が浮いてる」なんて情報、服がない姿見てないとわからないじゃないか…見事に自爆した……うん?待って、今ボクは変装していて、偽名を使って…やばい、もしかしてこれブラスがすごい爛れたやらかしをしてることになっちゃってる!?

 

 待って一旦整理しよう!

 お酒でやらかしたことがバレている。

 そこへ地下から女の人が訪ねてきて、性格に関する質問に答えることが出来て、更に裸体を見たと分かる…。

 だめだぁ言い逃れできる要素ゼロだぁ!?

 

「あの、待ってくだ…むごぉ!?」

「…ごめん、今は駄目」

 

 クサビ主任に口を塞がれる。待ってください主任!ブラスがただならぬ誤解を受ける羽目になってるんです!!

 実情的にその、誤解されたままなのは彼にとって申し訳ないどころじゃない!!

 

「…いやもう仕方ないよこれは、後で明かすから、こう、この一件はもう何というか…二次被害(コラテラルダメージ)ってことで…」

 

 ひどく気の毒そうに主任が言う。今ここにはいない彼に、主任はひどく申し訳なさそうにしていた。

 

 

 

 

   ◆

 

 

 ───バックアップチーム

 

「…レオネ的にはハーレムってどうなの?」

「全員幸せにすんなら問題ない派」

「え、ハーレム行ける人?」

「滅茶苦茶上手く出力されてねぇと地雷かなぁ…ああでも、複数人の中で一人を選ぶってのも…」

「エディンの王室漫画、今度貸すよ」

 

 

   ◆

 

 

 

 

 …彼に酷い汚名を生んでしまったボクは、もうあれよあれよと流れに乗せられてしまった。

 なんかすごい親身な対応されたし、色々贈り物を渡された。使われていない綺麗な布とか、缶詰だとか。

 

 ……すごく、良い人達なんだなって思う。

 

 ボクらは、ある建物を紹介された。普通の家より、少し大きい家。建築物の基礎部分の上に、廃材や資材を用いて作られたものらしい。

 孤児院でもあり病院でもあるここに、彼の育ての親がいるとのことだ…少し、ワクワクしているが、それ以上に申し訳なさの方が強い。

 

「ボクは害虫…ボクは害虫…」

「いやこれはもう事故だって、後からちゃんと話せば大丈夫だと思うし…昼ドラみたいだね、ふふっ」

「笑い事じゃないですよぉ…」

 

 泣き言を溢しながら、扉を叩こうとした。

 けどその前に、注意書きがあったので目をそっちに向ける。書いてある内容は…「妊婦がいるため騒音厳禁」…ああ…なるほど…親身に対応された理由がよく分かった…。

 

「……タイミング悪かった?」

「これはもう…そういう運だと思います」

 

 ボクと主任は遠い目をする。

 優しく扉を二、三度ノック。しばらく足音が扉越しから聞こえてきて、ガタリと開いた。

 ボクが最初に見たのは、ボクと同じ色の目。

 次に見たのは、褐色の肌にすこし険のある顔立ち。

 茶色い髪を後ろに縛った彼女は、丈夫そうな青いエプロンを付けていて、ボクらを見るなりカラッと笑った。

 

「いらっしゃい! 大体の事情は店の奴らから聞いてるよ、あたしはマーサ、マーサ・クラーク!

 …うちのバカ息子が申し訳ないことをしたらしいけど、一応事実確認をしておきたい…リドルのやつ、最近は気が立ってるから早とちりしやすくってねぇ…」

 

 入りなよ、と親指でボクらは屋内に通される。

 でもボクは、すんなりと入れないでいた。

 

 …ブラスに対する気持ちというのもあるけど、それに加えて、少し思い出してしまった。

 お母さんとお父さんのことだ。進化者になってから別れたきりで、今では手紙でしかやり取りをしていない。

 会おうと思えば会える、故郷はそう遠くない。

 でも、今あったらきっと色んな槍玉に上がってしまうから、ボクは会わないことを選んだ。

 

「───…あっ…」

「…大丈夫?」

「……だ、大丈夫っ、です…あははっ、何でだろ…なんか、急に…ちょっと…ごめんなさい…」

 

 押し込めていたものが、解けてしまった。

 目元が滲んでいく。喉が震えていく。人の家の玄関先で、膝から崩れ落ちるなんて迷惑なことをしてる。主任はボクの隣でゆっくりと背中を撫でてくれて、申し訳なさでいっぱいだった。

 

 早く立たないと、早く泣き止まないと。

 じゃないと迷惑になる。早く切り替えないと。

 そう思っていたのに、ボクの顔いっぱいに固い布の感触がする。無言で背中を穏やかにトントンと叩かれる。

 二人に、崩れそうな背中を支えてもらっている。

 

「…いっぱい泣きな、色々あったんだろ?」

「あーまぁ…そうだよね、…うん、本当にそうだ」

 

 固い布は、丈夫なエプロン。今泣くことを肯定してくれたのは、初めて会った人と、今もお世話になっている人。

 ……優しい人達がいる、そうだ。そうなんだ。

 もう周りは怖くない、怯えなくて良いんだ。

 舌打ちの音も「関係ないだろ」って冷たい声も、今のボクには遠い音なんだから。

 

 やっと、それを自覚出来た。

 

 ボクは息を吸う。深呼吸一つ、ゆっくりと立ち上がって、お礼を言ってから目元の涙を拭く。

 大声を出したい気分になる、けど我慢だ。

 今はそれよりも、やるべきことがある。

 

「…ボクはアマオトって言います。ブラスさんを探して、ここにやって来ました。少し、お話を聞かせてください」

 

 今語れるボクのこと、全てが終わったら本当のことを。頭を下げながら、そう誓う。少しの沈黙のあと、ボクの肩にマーサさんの手が置かれた。

 優しい手の置き方だ。布越しに伝わる体温は、温かくてどこかホッとしてしまう。

 

「そんなもん、頼まれなくても教えるさ。

 全部ってなると長い話になりそうだ…ああそうだ、あんた達まだどこに泊まるか決まってないだろ?」

「まぁ、そうですね…あの、もしかして」

「ならここに泊まって来な。ブラスの知り合いなら、あたしも幾つか話を聞きたいからね」

「…ふむ、なるほどわかりました」

 

 主任とマーサさんが話を進めていく…その最中に、ボクへサムズアップする主任の手が見えた。

 宿泊地が決まったことへの労りだって、それと励ましも込めたハンドサインってわかった。

 

 …本当に、良い人にボクは恵まれた。

 

 ねぇブラス。キミのせいかな、だなんて冗談混じりに少し思ってしまう。だってキミと知り合ってから、目まぐるしく全てが動いていくから。

 きっかけはアレだけど、でも、そうだ。最初に楽にしてもらったのは、キミだったから。

 

 だから、今度はきっとボクの番。

 

 





Tips:マーサ・クラークのスペルはMartha・Clark
  ブラス・リッターのスペルはBrass・Litter
  (※LをRにしろと再三言われたが「そんな資格ねぇよ…」と拒否してた過去があったりする)

短め番外編

  • 学パロ世界線
  • ひたすらキスだけのブラスとアマネ
  • 彼氏持ち女性陣トーク
  • 野郎どもの猥談
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