敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗)   作:苦い経験100%

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恐らくこう


「「会議に集中できない」」

 

 

 テロ組織、ラメントの組織構成はシンプルだ。

 上から順にボス、幹部、部下。この三つが並んでラメントは機能している。

 作戦の立案、会議はボスと幹部達で。その後の実行は総出か或いは一部幹部と部下のみで行われている。

 ちなみに、幹部にはそれぞれ専属の部下がいる。これはこの組織の特徴と言えるだろう。

 

 彼らは今日、次の作戦に向けた会議をしていた。

 出席者は幹部全員とボス。それなりに重要性が高いものなのか、皆一様に真剣な顔だ。

 

「さて、一区中央病院を潰す訳だが───対策局の足止めに、幹部を使うことに異存はない。

 だが、半数も使うとは些か過剰ではないか?」

「しかしボス、この機に幾らか奴らを間引いた方が今後の活動が少しでも楽になると…此方にはブラスもいる」

「だとしても、だ。第一、ブラスもそこまで万能ではない。確かに恐ろしい力を持っているがな」

 

 ラメントを率いる者、アイザック。

 緑の髪と蛇のような目を持つ彼は、黒を基調としたコンバット系の衣服や装備で身を固めている。

 機能性を第一としたであろうそれは、重苦しい圧を放っており、見た目の若さを打ち消していた。

 

「…中央の医療機関を落とすんだ、向こうもそれなり以上の奴らをよこすだろうよ。おいそれと間引けるものか。

 何度も言うが、使うのであればエリヤとアナーキストに行かせろ。足止めならば、あの2人で十分だ」

 

 エリヤと呼ばれた神父然とした男と、アナーキストと呼ばれたダークスーツを着た女がそれぞれ頷く。

 その後、アイザックと意見をぶつけていたラフな格好をして、タバコを咥えていた壮年の男は観念したように言った。

 

「…わかりましたよ、従います」

「悪いな、お前の作戦はまた今度だ。ディラン。

 んでもって───目的の『データ』だが、セキュリティを破る時間が惜しい。ここでブラスには働いてもらう。まぁ、保険としてキュリアと適当なやつにもついてもらうが…ブラス?」

 

 ブラス、そう呼ばれたのは最も若い少年。

 青褪めた髪を持つ細身の彼は、どこか上の空だ。どこか遠くを見つめたまま、半端に口を開いていた。

 

 彼の身内を人質に取っているアイザックは、それを二度見する。こいつマジか、とすら思った。

 なーんも聞いてないとでも言わんばかりの態度。

 おいおい本番で「話聞いてませんでした」は割と洒落にならねぇぞ、そう思って再度名前を呼ぶ。

 

「…おい、聞いてるのかブラス」

「ふぁい!?」

 

 マジかこいつ、そんな空気が広がる。

 そんな態度が鼻についたのか、アナーキストはブラスの頬をつねった。

 

「…呆けすぎ、です」

「……いやぁ、その…少しねぇ」

 

 非があると認めているせいか、特に反発もなくブラスは小さな罰則を受けている。

 ただ彼は「はぁ」と思い詰めたようにため息を吐いた。彼自身意図していないものだったのか、あわてて口を塞ぐ。

 

 それが目についたのか、エリヤは「何か悩みでも?」と問うた。見た目に違わず、相談事には慣れていると言った手合いだ。

 アイザックは特に何も言わない。

 人質のことをバラすほど愚かではないと思っているし、そもそも信用を得られるかどうか。

 だから適当に誤魔化すだろうとたかを括っていた。

 

…ワンナイトした時ってどう責任とります?

 

 なので予想外の回答にアイザックは咽せた。

 周りの幹部達も一斉にブラスの方を見る。視線の内情は様々だ。憐憫、驚愕、軽蔑、好奇、無関心…それを浴びてもブラスは心ここに在らず。

 ずっと悩むように眉に皺を寄せている。

 

 こいつ正気か? アイザックは心からそう思った。

 人質取られてんのにんなことやったのお前? 俺が思うのも何だけど頭大丈夫か?

 などと、テロ組織のトップのくせにやたらと常識的な思考を巡らせたまま、アイザックは口を開く。

 

「マジか…お前…え、マジなの?」

「マジです」

「こいつこっわ…」

 

 そこから先の会議はもう話題がそっちに乗っ取られた。

 

「そうですね、やはり向こうの要求に応えるとか…」

「やっぱそれですよね!?」

「バカ、そもそもワンナイトすんな…です」

「「「それはそう、本当にそう」」」

「…ちなみに相手は同志か?非能力者か?」

「え、普通そういうの聞きます?キモいですね」

「は?」

「他人の相手探るとか、ねぇ?」

「いやー、今のはディランがキツイわ」

「どうでも良さげにしてるのが童貞臭い…です」

「俺お前らになんかやったかなぁ!?」

 

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 1区───特異対策局本部。

 

 特異対策1課E班。唯一能力を保持する者達、進化者によって構成されたチーム。彼ら彼女らは、局内でもあまり良い目を向けられていない。

 

 一般的に、進化者は『危険指定生物』として扱われる。

 突発的に暴れる者が多く、被害をもたらすことも少なくない。いわゆる暴走というやつだが、中には自分の意思で暴れるものもいる。

 そのため、発覚次第政府によって捕縛・隔離される。

 海外では即時死刑や、強制労働、国外追放など、苛烈な措置が取られることもあるそうだ。

 そのため、此処『蘭善』は、最も進化者に寛容な国と侮蔑と期待の目を向けられているのだ。

 

 隔離した進化者を、進化者の鎮圧に使う。

 そんな試みがされたのは『蘭善』が初であり、その組織であるE班の設立も初のことであった。

 そんな彼らは今、本部の第408会議室に集っている。皆一様に若い。年若い少年すらいた。

 

「やぁ皆、揃っているようだね」

「ぅあぁっ!?イサカ主任!お、お疲れ様です!」

「かっ!忘れてねーのかよ!」

「遅いぞおっさん」

「早く帰らせろー」

「おつかれーっす!イサっさん!」

「おはおは」

 

 彼らのまとめ役なのか、中年の男───イサカと呼ばれた彼は、組織的な挨拶とは程遠い殆どに苦笑いで「相変わらずだね君たち…」と呆れ混じりに返す。

 穏やかな性格なのか、無礼とも言っていい態度はさほど気にしてはいないようだった。

 

「…うん、元気があってよろしい。

 それじゃ、会議を始めようか…フジワラ、資料はもう皆に配ってくれたかな?」

「資料…あぁ!? わ、忘れてました! すいません今配ります!!」

「あはは…珍しいな…」

 

 フジワラ・アマネ。緑のショートヘアと、同じ色の瞳が特徴的な彼女は、慌てて資料を皆に配る。

 その動作に、何人かは冷めた目を送っていた。

 どうやら、彼女は幾人かに気に入られてないようであり、彼女もそれを理解しているのか、何となく居心地悪そうにしている。

 

 …イサカもそれに気づいているのか、悩むように眉間を揉む。しかし、今は職務を優先させると決めたのか、資料を手に話を始めた。

 

「…よし、行き渡ったかな。今回、密偵として放っている局員から、一区総合病院襲撃の情報が入った。

 真偽はともかく、まず捨て置けない問題だ。

 そこで、我々E班は4、5班と当日警備に当たる。万が一の場合に備えて、2班が近辺に待機している」

「…最初から2班に任せりゃ良くね?」

「バカ、万が一の待機だろ。病院おとりで本命別とかあり得るだろ。イサッさんに無礼だぞお前この野郎ばか野郎」

 

 気怠そうな金髪の女に、ゴーグルをつけた黒髪の男が噛み付く。2人とも若く、恐らくは16か17辺りだろう。

 仲はあまりよろしくないのか、今にでも喧嘩が始まりそうな空気が流れ出す。

 

「ユズさん、ヤマトさん…その、落ち着いて…」

「話しかけんな半端女」

「お前には関係ねぇぞこの野郎」

「…はい……」

「お前ら、あんまりフジワラに───」

 

 止めに入ろうとして、粗雑に扱われるフジワラを見て、イサカは流石に注意する。

 しかし、フジワラに傷ついた素ぶりは無い。

 それどころか、それを引き金に何処か上の空になる。彼女はぼんやりとしたまま固まり、思い詰めたように肩を落とす。

 

「…イサさん、アマネ連れてすやすやしたい」

「……会議の途中だけど…今日は、少し様子が変だな。仕方ない、ミナヅキ、頼んでいいかい?」

「任された」

 

 それを見て、小柄な少女───ミナヅキが、アマネを外に連れ出すことを提案する。

 彼女の様子が変だと分かったのか、イサカもそれを了承した。

 

 

 

 

   ◆

 

 

 会議室前、休憩スペース。

 

「アマネ、今日はどうした」

「あはは…少しね…ありがとうミナヅキちゃん」

 

 アマネはコーヒー缶を受け取る。

 ミナヅキと同じソファに座り、しかしコーヒーを開けることなく思い悩むように俯いていた。

 

 どうやら2人の仲はいい方らしい。

 ミナヅキは小柄な頭をふんふんと動かして、アマネを気遣うように何かあったのかと聞こうとしたが、お茶を濁された。

 

 するとそこに、一人の女性が通りかかる。

 黒髪にピンクのメッシュ。凛々しい顔立ちの彼女は、アマネとミナヅキのことを知っているのか、2人を見るなり驚いたように駆け寄る。

 

「どうしたの、2人とも。

 この時間帯って会議じゃなかった?」

「クサビ、アマネげんなり。ワケを言ってくれない」

「クサビ主任…」

「…あー…また嫌な対応でもされた?」

「ああ、いや、今はそれはどうでも良くて…」

 

 アマネは少し辺りを見渡した。

 周囲に人影がないと分かれば、意を決して口を開く。

 

…ああ、その…ボク…えっと、酒の勢いで、はい、その一夜明かしちゃって…その人と話し合わないとなぁと

思いの外やばやば

朝から生々しっ…

 

 心配とマジかこいつ、そんな感情が半々で混ざった眼差しを向けられた。

 

短め番外編

  • 学パロ世界線
  • ひたすらキスだけのブラスとアマネ
  • 彼氏持ち女性陣トーク
  • 野郎どもの猥談
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