敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗)   作:苦い経験100%

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 どの視点からも書きたい!!!!!(本音)(遅くなった理由)



恋愛は駆け引きと言うがこの場合は刺し殺し合ってるも同然

 

 

 9月21日 天候:快晴 蘭善中央4区。

 時刻-14:32 ラズリ・ストリート内部。

 

 青い建造物、それと装飾。青い空や、水場の流水を模るそれらは、涼しげで雅な印象を与えてくる。

 ここは確かに名の知れたデートスポットでもあるが、それ以前にショッピング特化の街道。訪れるのは、若者だけでなく、家族連れも多い。

 

 そんな道の中を、一組の男女が歩く。

 緑色のショートヘアの少女、フジワラ・アマネと、蒼白色の髪を少し伸ばした少年、ブラス・リッター。

 年は同じくらい。もっと言えば、今頃は高校に通っていてもおかしくない若さだ。

 だが、二人ともそれが許されない身でもある。

 

 けれど二人がしているのは、紛れもなくデートだ。

 男女が予定を組んで遊ぶイベント。恋人か夫婦か、その前段階で行うもの。アマネもブラスも、デートは今回が初めてであり『とりあえず、チョーカー売ってるところに行く途中に、行きたい店があったら行こう』と大雑把に楽しむことにしていた。

 

 彼らが巡った店は、それほど特別でもない。

 CDショップでは少女が好きな曲を少年に薦めたり。

 ブティックでは少年が家族や子ども達に贈る服に悩んで、少女からアドバイスを求めたり。

 昼時にはクリームの山が乗ったパンケーキに協力して挑んだりと、そんな極めて普通な日常を過ごす。

 

 そんなこんなで時刻はとっくの昼過ぎ。

 気温も徐々に上がり出した頃合い。

 

 9月中旬といっても、まだ少し暑い。

 アマネは羽織っていたパーカーを少し脱いで肩を出した。どうやら、機能性の高い羽織もののようだ。肩落としスタイルにも対応しているらしい。

 ただ、下がタンクトップということもあり、必然的に脇なども出てしまうのだが。

 

 …羞恥はあるのか、少女は少し顔を赤くした。

 少女の隣を歩いていたブラスは、面食らった顔をしたかと思えば少女の手首を掴んで言う。

 

「自覚がねぇのかあんたは…! 

 今朝方にナンパされたの忘れた!?」

「いや、でも暑くて…」

「じゃあどっかモールとか入るぞ。まだ空調効いてるだろうし、とりあえず肩とか出さないでくれ本当に…」

「……意識しちゃうから?」

「……………ハイソノトオリデス…

 

 少年は顔を手のひらで覆う。

 そんな彼には見えないだろうが、強く掴まれた手首を見ながら、乱れた息を吐いて笑う少女がいた。

 振り解けない事実がお気に召したらしい。

 そんな自分が「かなりやられてる」と気づいたのか、慌てて首を横に振ってもいたが。

 

 少しの間の後、ブラスは少女の細い手首を強く握っていたことに気づき、離しながら「悪い、痛かったか!?」と申し訳なさそうな顔をする。

 

「あははっ、大丈夫だよ…でも、今の男の子って感じした。ぜんっぜん振り解けなかったし」

「俺はその感想もらってどうしたら良いの…?」

「さー? どうだろうねー?」

 

 クスリと揶揄うように笑うアマネ。

 彼女は後ろに手を組みながら先へと進む。

 ブラスは何度目かわからない溜息をついてから、彼女の隣に並ぶように歩幅を合わせた。

 

 そうして、チラリと横にいる肩を露出したアマネの方を不安そうな眼差しで見る。彼女はその視線に気付いたのか、羞恥と喜びで顔を赤くする。

 …だけど揶揄いたいと思ったのか、それとも別の思惑があるのか。ともかく、彼女は自身の胸元に手を置く。

 そして上擦った声で少年に向けて囁いた。

 

…ぇと、…横から『見えた』方が嬉しかった?

ノーコメントだ往来で言えるかバカ!!

 

 少年はそう言って、アマネの手を握る。

 そんな彼の心の中は今も大騒ぎ。

 

 蒼白色の瞳が、アマネの喉元を見る。

 依然としてそこには無防備に晒された刺青がある。故意ではなくとも、自らが刻んだ赤い葉のようなそれに、彼はダメージを喰らいっぱなしであった。

 隠したいと思う反面、マーキングのようで安堵している面もあり、良心の呵責と独占欲のせめぎ合い。

 

 しかも、それだけではない。

 

 少年は少女の顔を覗き見た。

 彼女が時折に浮かべるのは、噛み締めるような笑顔。時折喉元を撫でては「えへへ…」と控えめな笑い声。そのくせ顔も耳も真っ赤で恥ずかしそうに。

 かと思えば、繋ぐ手の力を強くして悶えるような声を出す。彼女の心は陶酔か、或いは忘我か。

 とにかく、嬉しそうな少女がそこにいる。

 ブラスはそれを見て、少女へ尋ねた。

 

「…朝のやつ、そんな嬉しかった?」

「だってキミがあんな…あんな…さぁ…独占欲いっぱいな感じでさ…すっごい良かったんだもん…」

「いやアレはなんつーか、一気にぞあっとしてやっちゃったというか、半ば勢いというか…あんたが誰かのものになるとか、考えたくなかった

 

 どふっ、と少女の体が少年にぶつかる。

 半ば弾かれたようにブラスへ抱きついたアマネ。彼女は我慢するように目をギュッと瞑りながら、言葉にならない声をあげて、少年の体にぐりぐりと頭を押し付ける。

 一方で少年の方はといえば、往来の場でのハグが気恥ずかしいのか、何とかアマネをひき離そうとする。

 

「俺にも恥ずかしく感じる心ってやつがな!?」

「じゃあいちいちボクの心をめちゃくちゃにしないでよ少しはセーブしてよ!! 心臓足りなくなるってぇ!!」

「俺のせいなのこれ!? つかそれ言ったら今日のあんたも大概だろうが!!」

 

 潤んだ緑の瞳で睨まれながら、少年はたじろぐ。

 そんな騒ぎの中でも、平和な時間は過ぎていった。

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 9月21日 天候:快晴 蘭善中央4区。

 時刻-15:32 ラズリ・ストリート内ビル屋上。

 

 無人のビルの上、一人の女が狙撃銃を構える。

 細身の体と金色の髪に、猛禽類のような瞳を揃えた彼女の側には、何やら大仰な機械もあった。

 その機械からはコードが伸びており、彼女の耳にあるイヤホンへとつながっている。

 

「………胃もたれしそうになるわね」

『えぇ…盗聴してるのかい、君…?』

「いきなり通信繋がないでください、マツバ局長。セクハラで訴訟しつつお金を搾り取りますよ」

『清々しい程に本音が出ているね、結構結構』

 

 彼女のイヤホンに割り込む若々しい男の声。

 マツバのそれに、女はさして驚きもしない。

 軽口のやり取りは、慣れたように。

 

『首尾はどうなってるかな』

「やはり来ました。3人ほどぶちのめしたので回収させたところです。まぁ残党らしいチンピラしかいませんが。

 …途中から嫉妬全開の顔でしたけど」

『いつの時代もその手の嫉妬は尽きまじか…回収と鎮圧ご苦労様、あとで芋蔓式だ』

 

 彼女は既に『報復』を鎮圧している。

 音も立てずに、気づかれることもなく。

 

 彼女が鎮圧したのは、ラメントの残党だ。

 地下に向かった本隊とは違い、地上に取り残された者達。寄る辺を失った彼等が、最初に始めたことは『犯人探し』だ。

 何故、自分達は取り残されたのか。

 何故、本隊が地下に潜る羽目になったのか。

 その原因を探るために奔走した彼等は、やがて一人の少年にたどり着く。

 

 ブラス・リッター、元はラメント幹部であった者。

 彼がある花屋で働く姿、部下の子ども達や家族達と通話する姿、特異対策局の施設に出入りする姿。

 残党達は、どうやらそれを目にしたらしい。

 そしてこれを『裏切り』と判断した。

 

 実情は裏切りとは程遠いのだが、下っ端も下っ端の者達がそれを知る由もない。

 仮に本人に問い詰めても、周りの人間から「裏切りもクソもハナから人質での雇用だし、何ならそっちの上役が彼の故郷いきなり燃やしたんだが?」とキレられそうではあるが。

 

 ともかく、狙撃銃を畳みつつ女はぼやく。

 

「というか、わざわざ現場に声をかける暇があるの? 彼の『正式加入』なんて度を越した無茶を使ったんだし、皺寄せも相当でしょうに」

『人っていうのは盲目的でね。自分の常識を覆すような決定事項は、一度に同時に処理できないらしい。皆が見事にそっちへ気を取られて助かるよ。

 おかげでクリフの案が水面下に潜った』

「嫌な大人ね、クソ大人よあんた」

 

 目上の立場にぞんざいな物言い。

 普通の職場であれば大目玉、何らかの処分が降ってもおかしくはない態度。

 けれど、マツバは通信機越しに笑うだけだ。

 

『どうだい、彼らのデートの様子は。ブラスくんもフジワラさんも笑えてるなら僕に問題なしの報告を、何処か翳りがあるなら彼らの主治医に連絡を回してくれ』

「…問題なし…どうしたの、急に?」

 

 狙撃銃を折り畳んだ女は、機材と共にそれを担ぎ、ビルから退避を始めた。どうやら狙撃地点を変えるつもりらしい。

 足音は不気味なほど立たず、機械の擦れる音もない。

 ただ、会話の音のみが鮮明だった。

 

『特に何も…強いて言えば、一瞬とは言えど、二人で一つの「更なる進化」を遂げた彼等がどんな子なのか、興味を持っただけだよ。

 まぁ、調べてみれば案外呆気ない。

 お人好しな子と、欲張りな子がいるだけだった』

 

「…その呆気ない子が、一瞬だとしても次の段階に到達したことを危ぶむべきじゃないかしら」

 

『逆だよ、だからこそ僕らが急ぐ必要がある。

 空から降り注ぐ星や、消えない炎に対処する術を「普通の人間」はどうしたって持たないんだから。

 人は失った物と、いつか向き合わなきゃいけない。

 …最初っから何回も言ってるのに、老人達は皆して決断する側には回りたくないってのらりくらりだ』

 

 疲れ切ったようなマツバの声。仕事を投げ出したいという気持ちがありありと現れたため息。

 そんな彼の言う『老人』達への愚痴に、女は言う。

 そしてその返答がわかっていたのか、女の声にほぼ重なるようにマツバは言った。

 

「普通ね」

『異常だよ』

 

 長年連れ添ったような雰囲気すらある。

 そんな二人の会話に、遠慮はなかった。

 

「良いのかしらねぇ、特異対策局のトップがこんなので。

 …あの若い子がまた騒ぐわよ? ただでさえ最近テロリスト風情を取り込むとは何事か、ってわぎゃわぎゃ貴方に叫んでたみたいじゃない」

『あの子は早朝会議作るから僕は苦手だよ。

 まぁ最近会議で無言が目立つし、気は配っておこう。

 ありがとう、ヤサカニさん』

 

 そこまで話して、プツンとマツバからの音声が途絶える。それを見計らってかから、ヤサカニと呼ばれた女はため息を吐きつつ呟いた。

 

「…忙しい事は否定しないのね、ヘタレめ」

 





Tips:次回はチョーカー回ですけど更新は遅いです(力強い宣言)

Tips2:主役二人の色々。
ブラス:スラム時代はチンピラとバトルしたり、子ども達守ったり、仲間に勉強教えたりと忙しめ。偶に幼い子へ拾った絵本の読み聞かせなどをしていた。読み聞かせは棒読み気味で「真剣に読んで!」と怒られたことがあるそうな。ある日いきなり家族が人質化してテロの片棒担がされた。
 声はやや高めで、低い声も出せる。ザ・お兄ちゃんな感じで、透き通り気味。

アマネ:学生時代は活発的。苦手科目は数学で、得意なのは現国。よく屋上で弁当を食べていた。部活の代わりに文化祭実行委員などに所属。ボーイッシュな見た目と快活さのせいか、人気も少しあったらしい。ぼんやり進路を考えていたら高2で学生時代を強制終了される。
 声は女性の中ではやや低めで、少年声に少し近い。透き通り気味。

短め番外編

  • 学パロ世界線
  • ひたすらキスだけのブラスとアマネ
  • 彼氏持ち女性陣トーク
  • 野郎どもの猥談
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