敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗)   作:苦い経験100%

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後1ヶ月で一年なので記念に何か書こうか迷ってたりする
でも更新ペースも上げたい、どしましょ


シャトルラン考えたやつは悪魔

 

 好きな人の泣き顔って、キツい。

 

 警察病院から退院した後の午前八時。俺は区営バスに乗りながら、割とゲロを吐きそうな気分だった。酔いとかではなく、シンプルにこう、トラウマ的な方で。

 …いや、キッツイ。何がキツイって、アマネのあんな辛そうな感情を血がついた顔とセットで見て、尚且つ原因が俺にあるのがキツイ。

 

 嫁入り前に傷つけて泣かせた上に刺青じみたもん付けたってもう字面が酷すぎる。逮捕もんだよ。

 これはもういよいよ御両親に小指献上すべきか?

 そう思っていたら、携帯の通知が鳴った。誰からだろうか。班長には今日遅れて来る旨は連絡した筈なのだが。

 

「…ん? クロカゲから?」

 

 友人からの連絡に、やや面食らった。というか時間帯的にはクロカゲも出勤中じゃ…。

 

『あなたのご家族とご一緒したので写真送ります』

何で当の友人がいねぇ間に人ん家の家族と仲良く朝飯食ってんだあんたは!!

 

 送られてきたのはトーストと牛乳を前に『家族達』とダブルピースしてるクロカゲの写真だった。

 せめて笑顔であれよ、なんで真顔?

 つーか皆も皆だよせっかくマトモな住まいに住めてんだからもっと栄養あるもんをだな!?

 

『第四スラムの復興事業の際の警護に充てられたので、出勤がてらご挨拶しに行きました。またしでかしたようですね、自己のバーゲンセール野郎』

『あ、ダブルミーニングじゃないですよ?』

『うるせぇよ、画面越しに殴りてぇよ』

 

 自己と事故をかけんな朝からウィットに富ますな。

 感情のままに返信したけど、なんかもう出勤前から大分疲れた…つーか復興中に警護ってどういうことだ? 監視ならまだしも…とか思っていたら、秒で返信が来た。

 

『先の件から、暴走した進化者の発生数がやや増えてます。上は人員手配を広げてますが、伸ばしたゴムよろしく守りが薄く脆くなりかねません。

 今ならあなたの気持ちが少し理解できます。何とももどかしい気分ですね、これは』

 

 …どうやら、事態はマツバ局長の予想通りらしい。

 あの人に俺が持ってる情報(信用してもらえる範囲)話したら、どんどこどんどこ案と予想出してきたのクッソ怖かったな…しかも幾つか作中のやつ当ててたし。

 

 建てられた予測で、今回的中したと思われるのはワースト二位の予想。手下か捨て駒を使った戦力分散。ちなみにワースト一位はアイザックの初手隕石落とし…なんだけど、こっちは「絶対来ない」と断言されてたっけ。

 あの人、どんな思考してんだ?

 

『あなたは地上に幹部、何人出てきてると思います?』

「…何人出てきてる、かー…」

 

 ラメントは地下に押し込まれた状態だ。子どもの一人…ハルキ*1の機転で、地下の面倒い勢力と潰し合いに持ち込まれた。MVPにも程があんなあの子…。

 情けねぇと思いつつ思考を回す。

 ラメントの幹部は総勢七人。

 そこからエリヤ、アナーキスト、ブラスを除いて残り四人。クロユリ、ディラン、キュリア、トガノウ…。

 よりにもよって拗らせた奴が三人もいやがる…!

 

『予測出来ない性格ばっかだしなぁ』

『うーん、見なかったことにしたいメッセ』

 

 どいつこいつもアレだがキュリアはダメだ。キュリアは本当にダメだ。あのカス外道、話が通じねぇし。

 そこに加えて衝動で動くわ、かと思ったら変に思考回る時があるわで最悪だハゲろ。

 

 作中でも民間人大量に殺しかけている。

 …防衛戦とか本当に冷や汗出たな…。

 最期には能力を限界以上にまで使用して、ゲラゲラと笑いながらより多くの非能力者や、主人公達を殺そうともがいたが、それも叶わず肉体が崩壊した。

 力を振るいまくれたと、口を開けて笑いながら、満足そうに、けど何処か空虚そうに。

 

「…………一応、対策はして貰ってるけど」

 

 あんなド級のイカれ野郎に皆を殺されてたまるか…と意気込むのは良いけど、頭の出来が良くないので、その辺りはより上手くできる人に任せるしかねぇのである。不甲斐ない。その代わりパワーで応えるしかない。

 もうちょっと頭よく生まれたかったな。

 

 とか思ってると、話の流れをぶった斬るように、一枚の写真が送られて来た。黒い髪と、白い髪の双子…イェンとヨウ*2が、クロカゲの胡座の上に座ってた。

 その次には、二人からのものと思しきメッセージが送られて来る。

 

『クロカゲと遊んでもらってるー』

『足が硬い、減点だー』

『すいま』

『すいません、携帯取られちゃって』

 

 ………まぁこの人なら大丈夫だろ。

 

『最期に言い残すことある?』

『(自分が)もう助からないゾ♡』

 

 そんなくだらないやり取りをしていたら、いつの間にかバスが目的地に着いていた。

 …頭が少し軽くなっている。

 悩みすぎるのも良くないんだろう。いや分かってんだけど、悩んじまうのはもう仕方ねぇと思いたい。

 

 頭の中に、血のついた泣き顔が浮かぶ。強く印象に残っている。いつまで時間が経っていても、克明に思い出せる…贅沢言うなら笑顔の方を思い出したい。

 けれど、ストンと腑に落ちたものが一つ。

 

「………泣かしちまったけど、泣いてくれたってことでもあんだよな…」

 

 アンニュイな刑事の言葉が頭を過ぎる。

 〝お前、大事にされてるって自覚あんのかね〟

 …その言葉に、馬鹿正直に頷けなくなった。

 自覚あんなら、あんな顔させることしちゃ駄目だ。

 

 バス停に降りて、辺りを見渡す。

 天気は晴天。秋の空気が心地良い。先ず、アマネに会ったら何をすべきだろう。

 そう思いながら、俺は対策局に足を運んだ。

 

 

 

 

   ◆

 

 

 

 ───結局何も思い浮かばなかったぁ!!

 

 どうも、彼女に気の利いたことも碌に思い浮かばねぇブラスです。オフィスの前で唇が消失するほど下唇噛んでます。ナメクジのように死にたい。あまりにもカスだ。

 

 何だろうな、どうして欲しいんですかね俺は。

 悩んだままオフィスに入る。頭ん中は何の整理も出来てない。謝ったらあいつ気に病むだろうか。どうしよう、謝りたいし、泣かせたくないし、気に病ませたくないし…難易度高いなぁ!?

 

「おはようございっ」

「そも神経系って簡単に再接続出来るもんなのか? 今回は足をくっつけた訳だけど、稼働にこれから支障が出ないって断言も出来ねぇ。やっぱり一回だけでも検証してみた方が良いだろ。実験用のラットなら調達出来る」

「その、ボクちょっと前にブラスの心臓を治したんですけど、その時の諸々でブラスの身体構造を無意識に把握してた可能性があります。だから今回の接合が可能になったのかなぁって…多分、他の人だとそう簡単に四肢の接合ってそもそもうまくいかない可能性が…それを踏まえると『治す』は出来ても、生やすとかくっつけるは、ある程度の知識とかは必要に…?」

何の何の何!?!!?

 

 朝っぱらから情報の濁流過ぎる。

 レオネさんとアマネがなんか難しそうな本を辺りに積み上げて、なんかマシンガントークをしていた。

 俺の体に関わることなんだろうけど、なんかサラッと凄いことを言われた気がする。

 

「あんたが蒔いた種だよー。

 …あ、ダブルミーニングじゃないからね?」

「流行ってんすかそれ、つか朝っぱらからそのノリはキツいです…! 何なんだ今日…!?」

(……前に朝からあんたのこと襲ったってアマネから報告された方がきつかったのは黙っておこう)

 

 背後からべしべしと書類で班長に叩かれる。

 班長曰く、二人は早朝からこんならしい。アマネは俺の足について、レオネさんは能力が起こした四肢の接合に興味が湧いたらしく、白熱した治療トークになったとか。

 滅茶苦茶集中しているらしい。

 俺が来ても気づかないくらいには。

 邪魔をしないよう、ゆっくりと自分の事務机に荷物を置くと、向こうも話し合いがひと段落したのか、アマネは俺を見るなり目を見開いてドタバタとすぐさまそばに駆け寄って来てはしゃがみ出した。

 

「ブラス…っ! 足は大丈夫? ちゃんと動く? 痛くない? 昨日は眠れた?」

「ん、あんたのおかげで。走っても大丈夫そうだし、何度か蹴りもやったけど問題な───いきなりズボンの裾を上げないでくれませんかねぇ!? もう上がんねぇって生地に皮膚挟んでいっだだだだだだだ!?!!」

 

 患部の具合見たいんだろうが待って欲しい。

 部屋着じゃねぇんだよガチガチのスキニーなんだよ生地で肉がギチギチで死ぬほど痛い!!!

 

「朝から何やってんの…?」

「ユカタンさんちょ、アマネ止めて皮膚が千切れる!?」

「うーん、因果応報」

 

 そうだろうけどさぁ!?

 …この後、なんだかんだ冷静さを取り戻したアマネが「ほんっっとうにごめんなさい…」と顔を真っ赤にしながら謝って来て、一応場は収まった。俺の心は収まらない。

 

 

 で、班員全員が揃った。現状報告や、今日やることを整理するためにミーティングが始まった。

 …書類関係に一切手ぇつける気配ないな…大丈夫か?

 隙間時間見つけて後でやっとこう。

 

「ミーティング始めるよー。先ずは現状報告。各地で暴走した進化者の発生件数が増えてるから、皆して戦闘準備を欠かさないように…ただ、ブラスとアマネは今日、出動停止だから絶対行かないでね」

「へ?」

「えっ」

 

 どうしよう、心当たりしかない。

 クサビ班長は、固まる俺とアマネを見て、慌てて首を横に振る。その流れに乗って、ピンクのメッシュも黒髪の上で左右に揺れていた。

 

「別に先のことを咎めてるってわけじゃないからね。ああ、でも時間できたら話し合いはするから、特にブラスは」

「嘘だろ…」

「お、怒るとは言ってないから…ね?」

 

 …アマネから背中さすられんの癖になりそう。

 心を持ち直してる間にもミーティングは続く。

 

「いやさぁ、ぶっちゃけ今日やることって捕縛した暴走者の取り調べと、あと爆破現場からゲットした記録の解析と…あとなんだっけレオネ」

「情報収集品らしきやつの調査」

「そうそれそれ。殆どちょっと酷な情報処理系で、荒事も簡単な事務系の仕事もないんだよね───ということで、先々に置いていた予定を色々変更。少し特殊な形にして実行することにしたの」

 

 ラメントは不甲斐ないけどまだ捕捉の真っ最中だしね、と班長は申し訳なさそうに苦笑する。

 対策局側は『待ち』と『対策』しか出来ないのが現状だった。姿が見えなければ、攻めにも行けない。かと言って地下を本腰入れて洗うとなると、地上のことが疎かになりかねない。

 こればかりは仕方ねぇ、今は対策の方に力を入れるしかないのだろう。

 

「ブラス、アマネ。二人には暇がある時には殴り合いに参加してもらうことになったから」

 

 だから俺は、班長の言ったそれが、その範疇のものであってくれと、俺は心の底から祈っていた。

 

 

 

*1
ラメントの課していた汚れ仕事から、ブラスが保護した子ども。

*2
ハルキと同様、保護された子ども。





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・ブラスの場合
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短め番外編

  • 学パロ世界線
  • ひたすらキスだけのブラスとアマネ
  • 彼氏持ち女性陣トーク
  • 野郎どもの猥談
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